
Appleは9月9日(米国時間)、AIエージェント「Siri AI」の詳細を発表した。9月14日(米国時間)から英語のベータ版を提供し、10月には日本語、フランス語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語のベータ版も追加する予定だ。
「Siri AI」は、Apple Intelligenceの新しい基盤モデルを使い、ユーザーの個人的な情報を参照しながら質問に答えたり、複数のアプリをまたいだ操作を実行したりできる新しいSiriだ。対応するiPhone、iPad、Macでは、新OSへのアップデート後に利用できる。
一方、サーバー側の大規模モデルを利用する機能には1日の使用回数制限が設けられる。Appleは将来的に、有料でアクセスできる範囲を拡大する方針も明らかにしている。
メールやメッセージを横断して回答。30万以上のアプリを操作可能に
「Siri AI」は、Apple Intelligenceの基盤モデルを刷新し、デバイス上で動作する最新のオンデバイスモデルと、Private Cloud Compute上で動作するより大きなモデルを組み合わせて処理する。Appleによると、Siriへのリクエストは1日25億件に達するという。
新しいSiriでは、メールやメッセージなど複数のアプリに保存された個人の情報を横断して参照できる。発表会では、「母が訪問中に一緒に作りたいと言っていたものは?」とSiriに尋ねるデモを実施。母親から届いたメールに書かれたレシピと、メッセージで過去に話していた内容を組み合わせて回答する様子が披露された。
カメラを通して見ているものについて質問することも可能だ。例えば店頭で商品にカメラを向け、その商品について最新情報を確認したり、料理に必要な材料のうち不足しているものを買い物リストへ追加したりできる。
カメラアプリにはSiriモードが組み込まれ、カメラに映した内容をもとに複数の予定をまとめてカレンダーへ登録するといった操作にも対応する。
他社製アプリとの連携も大幅に広がる。WhatsAppでメッセージを送る、Audibleで本を再生するといった操作に加え、Outlookでメールを下書きする、Notabilityで課題を検索する、旅行アプリにレストランを追加するといった操作が可能になる。
Appleによると、Siri AIから操作できるアプリは30万以上。開発者はSiri AI向けの新しい機能をアプリに組み込める。発表会で示された対応アプリの一覧には、LINEのアイコンも含まれていた。
ホーム画面には専用の「Siri」アプリも追加される。音声入力だけでなく文字入力にも対応し、過去の会話を確認したり、その続きを再開したりできる。会話内容はiCloudを介してApple製品間で同期される。
また、文字を入力できる場所からSiriに文章の作成や編集を依頼できるほか、Safariでページの更新を監視して通知を受け取る機能、説明文から自動化を作成するショートカット、企業に電話をかけた際に関連情報を表示する電話アプリの機能などにもApple Intelligenceが使われる。
Siri AIの音声表現も強化される。複数の声から好みのものを選択でき、話す速さや表情の強さも調整可能。iPhone 18 Proに搭載されるオンデバイスモデルは、こうした音声表現にも利用される。音声入力の精度も向上し、句読点やつづり、大文字・小文字の扱いなどがより正確になるとしている。
日本語は10月から。利用回数には制限、将来は有料でアクセス拡大
「Siri AI」は9月15日に配信される「iOS 27」などの新OSから利用できる。まず英語のベータ版を提供し、日本語、フランス語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語については10月からベータ版を提供する予定だ。
Apple Intelligence自体は16言語に対応する。一方、「Siri AI」はEU加盟国と中国では提供されない。主に法的な制約が理由とされている。
また、「Siri AI」には利用回数の制限がある。サーバー側のモデルに依存する一部のApple Intelligence機能について、1日の使用回数に上限を設ける。この上限は機能の種類やリクエストの複雑さ、システムへの負荷、システムポリシーなどによって変動するとしているが、Appleは具体的な回数を明らかにしていない。
さらにAppleは、こうした機能へのアクセスを将来的に有料で拡大する予定だと明記している。料金や具体的な課金方法は現時点では発表されていない。
Appleは6月の「WWDC」で、「iCloud+」の上位プランに、制限付きで提供されるApple Intelligence機能への拡張アクセスを含める方針を示している。今回の有料化がiCloud+の上位プランとどのような形で結び付くのかは、今後の発表を待つ必要がある。
「Siri AI」はiPhone以外にも広がる。新型の「AirPods 5」では、ハンズフリーでSiri AIに個人の文脈を踏まえた質問ができる。
「Apple Watch Series 12」と「Apple Watch Ultra 4」では、直前15秒の会話を文字起こしする「Live Rewind」や、会話の要点をまとめる「Siri Recap」がSiri AIを前提とした機能として用意される。いずれも年内に英語のベータ版として提供される予定だ。
Appleが目指す新しいSiriは、質問に答えるだけの音声アシスタントから、ユーザーの情報を理解し、複数のアプリをまたいで実際の作業まで進めるAIエージェントへと役割を広げる。一方で、現時点では日本語対応が10月以降となることに加え、サーバー側モデルを使う機能には利用制限がある。今後の料金体系も含め、実際の使い勝手はベータ版の提供開始後に見えてきそうだ。
(画像:Apple)
