DJI、Osmo Pocket 4Pで撮影した短編映画を公開。撮影監督・瀧本幹也氏が語る小型カメラの可能性

DJI JAPANは8月25日、ハンドヘルドカメラに関する技術資料「テクニカル ガイドブック」を公開した。あわせて、撮影監督の瀧本幹也氏がDJIのシネマジンバルカメラ「Osmo Pocket 4P」で全編を撮影したオリジナルショートフィルム「存在の不確かな彼女」も公開している。

瀧本氏は、是枝裕和監督の「そして父になる」「海街diary」などで撮影を担当した撮影監督。今回の作品では、石見銀山の町並みを舞台に、Osmo Pocket 4Pの小型・軽量なボディやジンバル、オートフォーカス、広いダイナミックレンジなどを生かした撮影に取り組んだ。

「存在の不確かな彼女」は、島根県の歴史的な銀山町・石見銀山に引っ越してきた主人公が、ささやかな菓子を届けるために町を歩く物語だ。道中で何度も迷いながら、少しずつ町との関係を築いていく姿を描く。瀧本氏はロードムービーとして作品を構想し、江戸時代から続く石見銀山の風景を舞台に選んだ。

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「レールが必要な撮影も手持ちでできた」 瀧本幹也氏が評価した軽さ

瀧本氏が撮影で特に評価したのが、カメラの小ささと軽さだ。図書館の本棚越しに主人公を追いかけるシーンでは、一般的な撮影機材ならレールを敷いてカメラを移動させる方法も考えられる。Osmo Pocket 4Pは小型で軽いため、撮影者自身がカメラを持って動きながら撮影できたという。

移動の多いシーンでも、ジンバルによる手ブレ補正とオートフォーカスが役立った。瀧本氏によれば、オートフォーカスは被写体の顔を正確に捉え続け、動きのある場面でも高い精度を見せたという。

デュアルレンズも撮影を効率化した。町の広い風景を見せるカットから人物の表情を捉えるカットまで、レンズを切り替えながら撮影できるため、撮影準備にかかる時間を短縮できた。出演者の待ち時間を減らせたこともメリットだったとしている。

画質についても瀧本氏は高く評価している。撮影したデータを持ち帰ってグレーディングしたところ、明るい部分から暗い部分まで幅広い階調が残っていたという。特に印象に残ったのが17ストップのダイナミックレンジで、屋外の明るい通りから薄暗い室内へ移動するようなシーンでは、画面内の明るさが大きく変化する。Osmo Pocket 4Pでは、こうした場面でも明部と暗部の情報を広く残せる。

瀧本氏は、屋内のキッチンシーンを自然光だけで撮影したことも明かしている。撮影のために東京から照明機材を持ち込んだものの、結局一度も使わなかったという。「グレーディング後の印象として、それがOsmoで撮影されたものだということを忘れてしまうほどです。大型カメラと比べても全く劣るものではありません」と、完成した映像について評価している。

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60mm中望遠レンズやD-Log 2にも対応

Osmo Pocket 4Pには、新たに60mmの中望遠レンズを搭載する。ポートレート撮影でも使いやすい焦点距離で、広い風景を撮ったあとに人物へ寄るなど、撮影中にレンズを切り替えながら異なる画角を使い分けられる。

イメージング性能では、LOFIC技術を採用。ダイナミックレンジは17ストップに達し、新しい「D-Log 2」カラープロファイルにも対応する。D-Log 2では、撮影時に残した広い階調を生かしながら、編集時に色や明るさを調整できる。プロ向けの映像制作で使われるカラーグレーディングにも対応しやすい仕様だ。

DJIは今回の発表で、こうした映像技術を小型カメラに取り込むことで、撮影機材の大きさに左右されにくい映像制作を目指す姿勢を示した。

その背景には、DJIが12年以上にわたって取り組んできた映像技術の蓄積がある。DJIは空撮と地上撮影の両方で技術開発を進めており、プロ向けジンバルの「Ronin」シリーズから、より小型のOsmo Pocketシリーズまで製品を展開してきた。

2024年には、Roninシリーズが映画・テレビ制作におけるカメラスタビライザーシステムへの貢献を評価され、テレビ芸術科学アカデミーから「テクノロジー&エンジニアリング・エミー賞」を受賞した。さらに2025年には、DJI Ronin 2と研究開発チームが、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)による「科学技術賞」を受賞。中国企業として初めての受賞となった。

同年にはOsmo Pocket 3の全世界累計販売台数が1000万台を突破している。Vlogや旅行などの日常的な映像撮影に小型ジンバルカメラが広く使われるようになったことを示す数字でもある。

DJIが今回公開したテクニカルガイドブックでは、カメラの小型化について、持ち運びやすさだけを追求するのではなく、撮影時の制約を減らし、映像表現の幅を広げるための技術として位置付けている。Osmo Pocket 4Pで撮影した「存在の不確かな彼女」は、そうした考え方を実際の映像で示す作品になっている。

ショートフィルム「存在の不確かな彼女」と、瀧本氏によるメイキング・インタビュー映像、DJIのハンドヘルド映像技術をまとめたテクニカルガイドブックは、それぞれ公開されている。

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(画像提供:DJI)

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