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ユナイテッド航空が日本初のメディアショーケース開催。アプリの日本語対応や日本市場の事業拡大など発表

ユナイテッド航空 アジア・ミクロネシア地区営業担当支社長の桐山謙一氏(左)と、CCOのデイビッド・キンゼルマン氏(右)

ユナイテッド航空は10月15日、日本初となるメディアショーケース「JAPAN Media Showcase 2026」を羽田空港第3ターミナルにおいて開催した。

イベントには、同社のアジア・ミクロネシア地区営業担当支社長を務める桐山謙一氏と、最高顧客責任者(CCO)のデイビッド・キンゼルマン氏が登壇。日本市場への投資や今後の路線展開をはじめ、機内Wi-Fiや公式モバイルアプリ、客室設備の刷新など、旅行者の利便性を高めるための取り組みについて説明した。

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ユナイテッド航空、日本市場への投資を加速。路線拡大から機内サービス刷新まで

写真は筆者撮影

今回のメディアショーケース開催の背景には、日本市場での事業拡大に加え、旅行者が航空機に乗る前から目的地に到着するまでの体験を改善しようとする同社の方針がある。

ユナイテッド航空は、日本と北米を結ぶ路線網を広げるとともに、デジタル技術や機内設備への投資も進めている。航空券の予約や搭乗手続きを便利にするだけでなく、空港内での移動や乗り継ぎ、機内での過ごし方、到着後の案内まで、旅のさまざまな場面で生じる不便を減らすことを目指している。

桐山氏は、コロナ禍を経て同社がビジネスのあり方を見直し、創業100年の歴史を持つ航空会社でありながら、スタートアップのようなスピード感で変革を進めてきたと説明。新しい技術やサービスを積極的に取り入れ、顧客のニーズに迅速に応えていく姿勢を強調した。

今回発表された施策は、機内の通信環境からデジタルサービス、客室設備、食事にまで及ぶ。具体的には、SpaceXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を活用した機内Wi-Fi、日本語に全面対応した公式モバイルアプリ、最新仕様のボーイング787-9の導入、機内食の刷新などが挙げられる。

また、日本発着便についても、成田―シカゴ線の復便をはじめ、北海道や大阪、沖縄から北米へ向かう路線の開設計画が明らかになった。

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Starlinkで機内Wi-Fiを高速化。ゲートから着陸後まで無料でネット接続

(画像提供:ユナイテッド航空)

今回紹介された取り組みのひとつが、Starlinkを活用した機内Wi-Fiだ。

ユナイテッド航空では、マイレージプログラム「マイレージプラス」の会員を対象に、座席クラスを問わず無料で高速Wi-Fiを提供している。ビジネスクラスだけでなく、プレミアムエコノミーやエコノミークラスでも利用できるため、会員であれば追加料金を気にせず、機内でインターネットに接続できる。

Starlinkは、低軌道衛星を利用して通信するサービスで、高速かつ低遅延の通信に対応しており、高度3万5000フィートの上空でも動画のストリーミング視聴やオンラインゲーム、大容量データの送受信などを快適に行える。

従来の機内Wi-Fiでは、通信速度が十分に出なかったり、洋上飛行中に接続が不安定になったりすることがあった。地上では問題なく利用できる動画配信サービスやオンラインゲームも、機内では通信速度や遅延の影響を受け、快適に使えない場合がある。Starlinkの導入によって、こうした通信環境の改善を目指す。

(画像提供:ユナイテッド航空)

出張中に仕事のメールを確認したり、クラウド上のファイルをやり取りしたりする人にとって、機内でも地上に近い通信環境を利用できることは実用的なメリットになる。長距離フライト中に動画を楽しみたい人や、オンラインでの連絡を維持したい人にとっても、通信環境の改善によって機内での時間をより有効に使えるようになる。

接続できる時間帯も変わる。ユナイテッド航空が採用するのは、搭乗ゲートにいる段階から離陸後、着陸、到着後の地上移動まで通信を維持できる「ゲート・トゥ・ゲート」の仕組みだ。従来のように、飛行機が一定の高度に達するまで通信開始を待ったり、着陸後に接続が再開されるのを待ったりする必要がなく、空港での待ち時間も含めてインターネットを利用できる。

同社によると、Starlinkの利用実績はすでに3700万人以上に達しているという。2027年末までに保有する全機材への導入を完了する計画で、今後はより多くの路線で高速な機内通信を利用できるようになる見込みだ。

公式アプリが日本語に全面対応。日本円決済や乗り継ぎ案内も

通信環境の改善と並んで紹介されたのが、公式モバイルアプリの機能拡充だ。アプリは本日10月15日から正式に日本語に全面対応し、北米以外では初めて日本円での決済も可能になった。航空券の検索や予約、搭乗手続きなどを日本語で進められるため、英語での操作に不安がある人にとっても利用しやすい。

アプリでは、旅行の進行状況に合わせて必要な情報を表示する「トラベルモード」を利用できる。出発前の準備から空港への移動、搭乗、乗り継ぎ、目的地への到着まで、その時点で必要な情報を確認できる仕組みだ。パスポートやビザなどの渡航書類についても、事前登録や承認に関する手続きをサポートしており、出発前に必要な準備を進めやすくしている。

空港での移動を助ける機能も用意されている。例えば、預けた手荷物は、各ポイントでスキャンされるたびに状況が更新され、機内への搬入や到着空港での受け取りなど、荷物がどこまで運ばれているかをアプリ上で確認できる。乗り継ぎがある旅程では、預けた荷物が次の便に積み込まれたかどうかが気になることもあるが、アプリから状況を把握できれば不安を減らせる。

搭乗に関する情報も、必要なタイミングで確認できる。スマートフォンのロック画面には搭乗開始時刻やカウントダウンなどを表示できるほか、搭乗ゲートでは、どの搭乗グループが案内されているか、搭乗がどこまで進んでいるかを確認できる。ゲートの前で待ち続けなくても状況を把握しやすくなるため、ラウンジや空港内の店舗で過ごす時間も調整しやすい。

このほか、離陸前に地上を移動する時間の確認や、機内食の事前予約にも対応する。Starlinkへの接続に関する手続きもアプリから行えるため、旅行中に必要な情報やサービスをまとめて利用できる。

特に乗り継ぎの際には、アプリの案内が役立つ。乗り継ぎ空港に到着すると、次の搭乗ゲートまでの徒歩ルートや所要時間がマップ上に表示され、右折や左折といった進行方向も案内される。空港によっては、保安検査や税関の通過にかかる時間も確認できるため、乗り継ぎ時間が限られている場合にも、移動の見通しを立てやすい。

前の便の遅延などで乗り継ぎが難しくなりそうな場合には、「コネクション・セイバー(Connection Saver)」を使って状況を確認可能だ。これは、乗り継ぎ客を救済するため、必要に応じて接続便の出発を一定時間調整する仕組みで、アプリで状況を把握できれば、乗り継ぎに間に合うか不安なときにその後の行動を考えやすくなる。

目的地に到着した後も、アプリから手荷物受取所のターンテーブル番号や現地の天気、時差、空港からのライドシェア乗り場などを確認できる。海外の空港では、荷物を受け取ったあとに交通手段を探したり、配車サービスの乗り場を確認したりする必要がある。こうした情報をひとつのアプリで確認できれば、到着後の移動もスムーズに進めやすい。

搭乗履歴をデジタルコレクションに。飛行距離や訪問都市を記録

公式アプリには、旅行の管理に加えて、これまでのフライトを振り返るための機能もある。「パスポート(Passport)」は、年間の飛行距離やフライト回数、最短・最長フライト、訪れた都市や国の数などを記録し、マップ上で確認できる機能だ。

さらに、搭乗した航空機の機種や特別塗装のデザインを、デジタルカードのように集めることもできる。航空機の種類や塗装に関心がある人にとっては、搭乗の記録をコレクションとして楽しめる仕掛けだ。記録した情報は家族や友人と共有することもできる。

キンゼルマン氏自身も、以前はスプレッドシートを使ってフライトの記録を管理していたとのこと。搭乗履歴がアプリに自動的に記録され、見やすい形で振り返れるようになれば、旅行の管理が便利になるだけでなく、これまでの移動を楽しむキッカケにもなる。フライト回数や飛行距離を自分で記録している人にとっても、興味深い機能といえそうだ。

最新仕様の787-9「エレベーテッド」導入。全クラスで客室設備を刷新

ユナイテッド航空 CCOのデイビッド・キンゼルマン氏

デジタルサービスとともに、機内で過ごす時間そのものを改善するための設備投資も進んでいる。そのひとつが、ボーイング787-9の最新仕様「エレベーテッド(Elevated)」だ。2026年10月25日の成田―ヒューストン線から投入される予定で、客室全体を刷新する「ノーズ・トゥ・テイル(Nose to Tail)」の方針に沿って、機首から機尾まで各クラスの設備を見直している。

ビジネスクラス「ユナイテッド・ポラリス」には、新たに「ポラリス・スタジオ(Polaris Studio)」を8席設置する。通常の座席と比べて約25%広いスペースを確保した座席で、プライバシーにも配慮しながら、長距離フライトでもゆったりと過ごせる空間を目指す。

北米までの長時間の移動では、機内で十分に休息を取れるかどうかが、到着後の疲労にも関わってくる。ビジネスクラスの居住性を高めることで、移動中の快適さを向上させる狙いだ。

客室の刷新は、上級クラスだけにとどまらない。プレミアムエコノミーに相当する「ユナイテッド・プレミアムプラス」と、エコノミークラスの「メインキャビン」も新しいシートへ切り替える。全席に大型のシートバックモニターと電源を備えるほか、Bluetoothイヤホンの接続にも対応する。乗客は普段使っているワイヤレスイヤホンを座席モニターに直接接続し、機内エンターテインメントを楽しめる。

スマートフォンやタブレットなどを充電しながら過ごせることに加えて、Bluetooth接続に対応することで、機内用に有線イヤホンを用意する手間も減らすことが可能だ。

グアムを拠点に日本(東京・大阪・名古屋)やアジア近隣路線を結ぶ機材については、従来の737型機約10機すべてを最新の「ボーイング737 MAX 8」に刷新した。当初の予定より3か月早く更新が完了しており、機内エンターテインメントの刷新に加え、従来機と比べて燃費効率が約20%向上したという。機材の更新を通じて、機内での過ごしやすさと運航効率の向上を図っている。

成田―シカゴ線が10月25日に復便。北海道・関西・沖縄から北米への直行便も

写真は筆者撮影

機内設備やデジタルサービスの刷新と並び、日本市場への投資を示す取り組みが路線網の拡充だ。ユナイテッド航空は、今後約6カ月の間に、日本と北米を結ぶ4つの新規・復便路線を開設する計画を明らかにした。首都圏の空港を経由せずに北米へ向かえる選択肢を増やし、各地域からの旅行や出張をより便利にする狙いがある。

最初の路線となるのが、10月25日に運航を開始する成田―シカゴ線。同路線は復便となり、これまで羽田発着で運航していた同路線を成田発着に切り替え、国際線の乗り継ぎ利便性を高める。

ユナイテッド航空はANAとのパートナーシップのもと、都心へのアクセスやビジネス需要に強い羽田と、アジア各地への乗り継ぎ需要を取り込む成田の役割分担を進めており、今回の移管も東京の2空港を活用したネットワーク強化の一環となる。

続いて、12月12日には新千歳空港と北米を結ぶ直行便が就航する予定だ。北海道から北米へ直接向かえるようになれば、渡米する旅行者は首都圏の空港を経由するルート以外も選べる。出発地や目的地によっては移動時間を短縮できるほか、乗り継ぎに伴う手間や待ち時間を減らせる可能性もある。

2027年3月28日には関西国際空港―ロサンゼルス線の運航開始を予定している。さらに、同日には那覇―サンフランシスコ線の開設も計画している。

これらの路線がそろえば、北海道、関西、沖縄から北米へ向かう際の選択肢が広がる。利用者は出発地や目的地、旅程に応じて移動ルートを選びやすくなり、首都圏を経由するために必要だった移動や乗り継ぎの負担を減らせる場合もありそうだ。

世界のシェフと機内食を共同開発。日本の食材や出汁を生かしたメニューも

ユナイテッド航空 アジア・ミクロネシア地区営業担当支社長の桐山謙一氏(左)とタシ・ジャムツォ氏(右)が対談

機内での時間をより充実させる取り組みとして、食事の刷新も紹介された。ユナイテッド航空は8月から、世界各国のシェフと協力して特別な機内食を提供する「シェフズ・テーブル(Chef’s Table)」を展開している。Netflixのドキュメンタリー番組『Chef’s Table』に登場するシェフらと連携し、機内で楽しむための料理を開発するプログラムだ。

イベントには、大分県由布市を拠点に活動するタシ・ジャムツォ氏も登壇した。同氏は、日本の食文化や旬の食材から着想を得て、機内で提供するメニューを開発している。

機内では、気圧の変化などによって地上とは味覚の感じ方が変わる。そのため、レストランで提供する料理をそのまま機内に持ち込んでも、想定した味わいを再現できるとは限らない。タシ氏は、こうした機内特有の環境を考慮しながら、日本の出汁や旬の食材が持つ風味を生かした料理を目指しているという。

対象となるメニューは搭乗前に事前予約できる。あらかじめ食事を選んでおけば、機内で好みの料理を楽しめる仕組みだ。長距離フライトでは、座席や通信環境に加え、食事も快適さを左右する要素のひとつ。シェフと協力してメニューを開発することで、機内での食事をより楽しめるようにしている。