
Obsidian Entertainmentは、ファン待望の人気SFアクションRPG『The Outer Worlds 2』を日本時間10月30日に発売した。プラットフォームはXbox Series X|S、PlayStation 5、PC。
本作は2019年に発売した『The Outer Worlds』の続編にあたるタイトルで、プレイヤーは地球議会から派遣されたエージェントとして、新たなコロニー「アルカディア」を舞台に、原因不明の時空の亀裂の謎や、3つの派閥による勢力争いに立ち向かうことになる。
筆者は9月25日から開催された「TGS2025」のタイミングで、『The Outer Worlds 2』の開発陣とのグループインタビューに参加。すでに本作をプレイしている方もいるとは思うが、本作のこだわりポイントなどを聞くことができたので紹介したい。
新舞台「アルカディア」での新たなストーリー展開が楽しめる『The Outer Worlds 2』
インタビューに先立ち、まずは開発担当バイスプレジデント兼エグゼクティブプロデューサーのJustin Britch氏から、本作についてのプレゼンテーションがあった。
「The Outer Worlds」シリーズは、シングルプレイヤーの1人称・3人称RPG。テーブルトークRPGを基本としており、プレイヤーは自身の分身となるキャラクターを自由にカスタマイズすることができ、プレイヤーの選択に基づいて展開するインタラクティブなストーリーを楽しむことができる。
初代『The Outer Worlds』の続編として開発された『The Outer Worlds 2』では、地球から切り離された巨大コロニー「アルカディア」を舞台に新たなストーリーが展開する。
アルカディアでは、危険な「時空の亀裂」が発生していることに加えて、この地域に存在する派閥がお互いの覇権をめぐって勢力争いを繰り広げているという2つの問題が発生しており、プレイヤーは地球議会から送り出されたエージェントとして、これらの問題に対処していく。もちろん、「あえて放置して問題を解決しない」という選択肢を取ることも可能だ。
アルカディアには、「The Protectorate」「Auntie’s Choice」「The Order of the Ascendant」という3つの派閥が存在する。
- The Protectorate(護国帝政府):3勢力が争う前からアルカディアの覇権を握っていた派閥で、全体主義的な性質を持ち、完全な社会の実現を目指している。
- The Order of the Ascendant:元々は護国帝政府の一部だったが、独立した科学者集団のような宗教集団。数学や科学、予測などの精度を上げていけば問題が解決できると考えている。
- Auntie’s Choice:「クレオおばさん」と「スペイサーズチョイス」が合併して誕生した巨大企業で、この地に侵攻してきた第3の派閥。最終的には利益しか考えていない。
これらの派閥にはそれぞれ、固有の領土、信奉者、オーディオデザイン、プロパガンダがあり、派閥間の争いはリアルタイムで進行し、地域の支配権をめぐって激しくぶつかり合う。この中のどの派閥に協力するのか、どの派閥の活動を妨害するのか、もしくは傍観するのかは完全にプレイヤーに委ねられている。
「The Outer Worlds」シリーズは風刺が効いた作品として有名だが、本作も企業や政府を極端に誇張したダークな印象の作品に仕上がっているとのこと。どんな表現が飛び出してくるのか楽しみだ。
キャラクターのカスタマイズについては、プレイヤーのプレイスタイルに応じて「プラスの特性とマイナスの特性を同時に得る」という要素が存在する。
たとえばしゃがみ歩きを多用するプレイヤーの場合、しゃがむ速度やしゃがんだ状態での移動速度を速くできるというプラス特性を得るが、同時に「立ち上がると膝の状態が悪くなる」というマイナス特性も獲得し、立ち上がったときに膝がパキッと鳴って敵に見つかってしまうリスクがつきまとうことになる。
プレイヤーの行動を常に観察し、ゲーム体験を変化させるのがこのシステムの面白い部分で、メリットを得つつも同時にデメリットも得る、トレードオフのステータスを付与するシステムとなっている。
また、個性豊かなコンパニオン(仲間)たちによる様々なストーリー展開も魅力のひとつだ。彼らはそれぞれの信念や思いがあり、プレイヤーがどういう行動を取るかによって、ときには協力してくれたり、対立したりすることもある。
『The Outer Worlds 2』は、日本時間で10月30日にフルリリース。発売時点で日本語にも完全対応しており、Xbox Series X|SやPlayStation 5、PCでプレイ可能だ。
Brandon Adler氏とMatt Singh氏とのグループインタビュー
プレゼンの後には、『The Outer Worlds 2』のゲームディレクターのBrandon Adler氏と、デザインディレクターのMatt Singh氏とのグループインタビューが行われた。
記者:
本作に登場する6人のコンパニオン(仲間)について、彼らの特徴を詳しく教えてください。
Brandon Adler氏:
本作には3つの派閥が存在するとプレゼンでお伝えしましたが、コンパニオンもゲームの冒頭からそれぞれの派閥の世界観を持っている状態からスタートします。
コンパニオンはスーパーソルジャーやオートメカニック、近い未来を占える不思議な人物などそれぞ特徴的な人物が揃っていて、とにかくユーザー側に幅広いオプションを設けています。
Matt Singh氏:
コンパニオンはそれぞれがパーソナルストーリーを持っていて、プレイヤーは彼らのパーソナルクエストを進めることができます。
プレイヤーがそのクエストに対して、影響を与えたり(助けたり、助けなかったり)することで、彼らの「自分の世界に対する考え方」や「クエストの内容に対する考え方」が変わってきます。ストーリーの最後の方では、そのコンパニオンのパーソナリティが完全に変わってしまうということもあります。
彼らはプレイヤーが彼らのためになるようなことをすれば感謝しますが、逆にプレイヤーが彼らの理念に反する行動をとった場合、対立関係になってしまうこともあります。
そうなると「ここであなたとは離れる」と宣言して離脱したり、場合によっては戦うことになる可能性もあります。コンパニオン自体の存在がこのワールドの中に完全に組み込まれている生き物のような存在だと言えますね。
彼らはパーソナリティだけではなく、戦闘における役割も様々な選択肢が揃っています。プレイヤーのプレイ経験に応じて、「ヒーラー」「ダメージディーラー」「タンク」の役割を与えることができ、アップグレードも可能です。
記者:
コンパニオンは最大何人まで連れていくことができる?
Brandon氏:
1つのミッションにつき最大2人までです。
Matt氏:
1人だけ連れていくこともできますし、コンパニオンに頼らずソロでプレイすることもできます。
記者:
コンパニオンは3つの派閥のそれぞれの思想を持っているとのことですが、お互いに対立する思想を持った2人を連れて行ったときに、ケンカしたりと何か特殊なイベントが発生することはあるのでしょうか?
Brandon氏:
世界を探索する中で、お互いに戦っている派閥同士のコンパニオンを連れていくと、色々なイベントがあります。
たとえば、Auntie’s Choiceの本部に対立する派閥のコンパニオンを連れて入ろうとすると、入り口で「反対勢力の人間は入れられない」と断られてしまいます。
そこでどうするかはプレイヤーの判断になります。無理やり入っていくこともできるし、入るのを拒否されてしまったコンパニオンに対して「船に戻って待ってて」と指示することもでき、それによってコンパニオンがとるアクションも変わってきます。
Matt氏:
それぞれの派閥に対して何かアクションをしたいときに、逆にコンパニオンが助けてくれるということもあります。
Auntie’s Choiceから何かを盗んで賞金を得ようというイベントがあるのですが、その盗みが運悪く見つかってしまったときに「この人は味方だから今回は見逃してあげて」とコンパニオンが助けてくれることもあります。逆に足を引っ張ることもあるので注意ですね。
記者:
たとえば3つの派閥に自分のお気に入りの派閥があったとして、その派閥を支援したいと思ったにも関わらず、会話や選択肢、コンパニオンの選択によって意図しない別の派閥が力をつけてしまうということはあり得るのでしょうか。
Brandon氏:
プレイヤーは、どこかの派閥を支援することもできますし、あるいは全ての派閥を支援せず、自分のやりたいことだけをやるという選択も可能です。
プレイヤーのアクション次第で、どこかの派閥を強くしたり弱くしたりすることはできます。それはサプライズではなく、プレイヤーのアクションの自然な結果として起こることであって、どこかの派閥を応援しようと思って活動すれば、その派閥は強くなっていきます。基本的には自分の思った方向に自然に話が進んでいくはずです。
サプライズはもっと他のところで用意しているので、それによって結果が変わったりというのは別のところで楽しんでもらえればと思います。
記者:
本作も皮肉たっぷり、ブラックジョーク満載になっていると聞いていますが、このセンスはどこから来ているのでしょうか?参考にしているコンテンツはありますか?
Brandon氏:
初代『The Outer Worlds』の段階から、このあたりについてはTim Cain氏とLeonard Boyarsky氏がかなり追求していて、たとえば映画で言えば『未来世紀ブラジル』とか、不条理なユーモアが多く含まれるWesley Anderson監督の映画などを参考にしています。
それから、ユーモアと未来的な要素をミックスする点で、テレビ番組の『ファイアフライ』と『デッドウッド』という番組をかなり参考にしました。
記者:
前作では、「知能」のステータスを最低にすることで「おとぼけ」というマイナス特性を得ることができましたが、本作も専用のセリフはたくさん用意されていますか?
Brandon氏:
「おとぼけ」は多くのファンに気に入られているマイナス特性です。これはObsidian Entertainmentになる前の「ブラックアイランド」や「トロイカ・ゲームズ」時代のRPG作品からゲーム内に用意してきました。
本作では、最初のキャラクター設定のときに2つのポジティブな特性と2つのネガティブな特性を選ぶことができるのですが、そのネガティブ特性の中で選べる選択肢のひとつが「おとぼけ」となります。この特性を得た場合には、会話のダイアログオプションの中で「おとぼけ」ならではのセリフを楽しめるようになっています。
ただし、本作ではプレイヤーが選択したスキルや特性、背景など、カスタマイズした内容すべてに加えて、プレイヤーがこれまでの会話においてどのような内容を選択してきたのかなども大量に参照されて反映されるようになっているので、「おとぼけ」だけではなく色々な表現ができるようになっています。
記者:
たとえば初期ステータスが同じキャラクターを用意したとして、過去の選択肢においてマイナスの反応をしてきたのか、プラスの反応をしてきたのかによって、その後の会話や選択肢が変わるということはあるのでしょうか。
Matt氏:
そのあたりはしっかりと実現していまして、反応性が大きいのが本作の特徴です。会話の内容が変わるだけではなく、世界自体が変わっていきます。
たとえば先ほどの「おとぼけ」では、言葉だけでなくアクションも変わってきます。缶を見つけたときに「振ってみるよ」というアクションを選択でき、それが良い結果につながることもあれば、缶が破裂してびしょびしょになってしまったりと、起こる出来事自体が変わることもあります。
それぞれのプレイヤーがどうやってワールドとインタラクションしたかによって、表現・会話・ストーリーすべてが変わってきます。私たちはあくまでゲームマスターであり、プレイヤーたちが自分だけのストーリーを作っていくことを真剣にサポートしたいといつも思っています。
記者:
戦闘について、前作から大きく変わった点について教えてください。
Matt氏:
戦闘については、前作よりも体験を改善しようと考えて開発を進めてきました。武器はさらに色々な種類を用意し、同じような武器ではなく、ハッキリと違いがわかるような武器を用意しました。
敵も新しいものが登場していますし、全体的に機動性を持たせているというのが特徴です。動きもパルクール、ヴォルカー(ジャンプして障害物を乗り越える動き)、スライドといった新しい動作が追加されています。
それから、前作にもあったSF的な武器をさらに増やしたのと、防具にもSF的な要素を持ったものを導入しています。全体として武器・防具にバラエティを持たせることと、明確に違う特性を持つようなものを登場させようと考えて開発してきました。
記者:
本作は前作とは違う星系が舞台ですが、「ムーンマン」や一部企業以外に、前作から引き継がれているキャラクターや要素などはあるのでしょうか。
Brandon氏:
前作に登場したキャラクターは、前作の舞台「ハルシオン」に、前作の時間軸に存在しているという扱いになっていて、本作ではほとんどを新しく刷新しています。
今回の派閥のひとつに「Auntie’s Choice」がありますが、これは前作の「クレオおばさん」と「スペイサーズチョイス」が合併してできたメガ企業です。そういった理由もあって、今回「ムーンマン」が出てきているという背景があります。前作で登場した多くのNPCやコンパニオンはハルシオンにいて、今回はアルカディアの新しいキャラクターたちが出現しています。
Matt氏:
ひとつお楽しみとして、AmazonのPrime Videoで配信されている「シークレット・レベル
記者:
『The Outer Worlds 2』の発売を待ち望んでいたユーザーに向けて、一言ずつメッセージをいただけますか。
Brandon氏:
本作は開発に5〜6年をかけてきて、ついに完成に至ったということで、みなさんに手に取ってもらえるのをとても楽しみにしています。
私たちは本作を反応性が良く、規模が大きい作品にするのを目標に開発を進めてきました。プレイヤーの方々に自由な選択肢を設けていますので、ぜひ楽しんでください。
Matt氏:
今回、新たなワールドを作ったことで、プレイヤーの皆さんに自分だけのストーリーを語ってもらえるのをとても楽しみにしています。今回は1人称視点だけではなく3人称視点もありますし、1人称視点が苦手という人も楽しんでもらえるはずです。
また、対応プラットフォームも拡張して、Xbox、PC、PlayStationと自分の好きなデバイスでプレイできるようにしています。そこも楽しみな部分ですね。
記者:
ありがとうございました!
