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ソフトバンクが法人戦略を発表、営業利益倍増を目論む 精鋭120名 「DX本部」 の提供ソリューションのマネタイズ化まであと少し

7月2日、ソフトバンクは都内で法人事業戦略説明会を開催し、ソフトバンクの法人部門における成長戦略や最新の取り組みについて説明が行われた。

その中で、ソフトバンクは単に通信キャリアとしてではなく、データ・AI・IoT・5Gなどの次世代テクノロジーを通じた法人ソリューションを提供することで法人部門を大きく成長させていくことを目標としていると明かした。

事業戦略スローガンはBeyond Carrier。 これは 「通信キャリアを超えて」 という意味だ。これまでのソフトバンク法人部門は、通信キャリアとして固定電話や携帯電話の販売を主としてきたが、今後はこれらの 「通信」 分野だけでなく次世代テクノロジー分野も開拓し、企業成長に導く。

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法人事業が成長の原動力に

ソフトバンクは今回の法人事業戦略説明会で、法人向け事業として3つのキーテクノロジー 「データ」 「IoT/5G」 「AI」 をあげた。

このうち、IoT部門については市場の拡大とともに世界で使用されるデータ容量の大幅な拡大を予想し、それに伴いデバイスのニーズだけでなくソリューションのデマンド(需要)が拡大すると予想。

ソフトバンクが公開した資料によると、世界のIoT市場は2030年に1,534兆円に到達し、IoTデータ容量は2035年には2015年の2,450倍、2.3ゼタバイトに膨れ上がる。世界のIoTデバイス数も1兆個に増え、法人向けソリューション分野の大きな成長が見込まれる。

当然、大幅に膨れ上がったデータを人間が一つ一つ処理することは不可能で、これらを解決するのがAIビジネスだ。IoT市場の拡大とともにAI市場が今後6年間で32倍弱の318兆円に到達すると予測されているという。

こうした次世代テクノロジー市場の拡大を背景に、今後は既存のあらゆる産業が再定義されるとソフトバンクは説明する。また、既存サービスがデジタル化するのはまだまだこれからで参入余地が十分にあること、さらに産業の再定義によって社会的課題が解決することも考えられると、交通渋滞や生活習慣病、労働人口の低下や自然災害の予測などを例に上げて伝えていた。

代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内 謙氏

これらの社会課題の解決にソフトバンクは参画する。ただしソフトバンクだけで参入するには限界があることを痛感したこともあり、ソリューションの構築は各業界のリーディングカンパニーやベンチャー企業との連携を模索する。

各企業との連携はすでに開始されており、まだ明かせないプロジェクトも多数ある中、ソフトバンクはイオン九州との取り組みを紹介していた。この詳細については後で詳しく紹介する。

 

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今後数年で営業利益倍増を目指す

ソフトバンクが成長戦略としてあげるソリューションは、ロボットやAI・RPA、セキュリティ、デジタルマーケティング、クラウド、IoTの合計6本の柱。

すでに多くの関連企業と連携し、上記分野で各ソリューションを提供している中で、ソフトバンクの法人部門は売上・営業利益ともに順調推移を遂げている。2018年の売上高は6,205億円、営業利益は763億円で、前年度比で増収増益を記録している。

ちなみに、ソフトバンクの今井康之副社長は営業利益について今後数カ年で倍増させる計画であることを明らかにした。売上高1兆円弱、営業利益についても1,500億円を目指す。

今後はモノを売るというビジネスモデルから、定額制のサブスクリプションサービスにビジネスモデルが転換していき、主にB2B2C (BtoBtoC) がメジャーとなっていくと予想。これらの成長領域に対して、ソフトバンクはリソースを投入していく考えだ。

ちなみに、ソフトバンクはグループ内にYahoo! Japanが存在する優位性を挙げている。ソフトバンクユーザー以外も利用する巨大プラットフォームを持っていることは、他キャリアに対して大きなアドバンテージになっていると話す。その上で、Yahoo! Japanの成長はグループ全体の成長に貢献するとも考えているようだ。

 

精鋭揃いのDX本部を結成、社会課題解決に向けたソリューションを提供

ソフトバンクは前述6本の柱に関連した ”社会課題解決” に向けたソリューションを提供するため、社内に精鋭部隊を結成した。その名も 「デジタルトランスフォーメーション本部」 、通称DX本部だ。

DX本部はソフトバンクの法人営業メンバー約3,000名の中から選ばれた120名で構成される。これらの精鋭メンバーには新規事業に必要なスキルを身につける教育を行い、これまでの 「通信営業」 から 「新規事業の創造」 にマインドセットを転換した。

この結果、DX本部では約450の新規事業アイデアが誕生したという。中にはビジネス化は難しいものもあったものの、現在は35件が進捗中だという。さらにそのうちの17件については2020年度までにマネタイズ (収益化) できる見通しだ。

この17件は三菱地所や住友生命、国土交通省などとの共創で実現。各業種別では、物流からは4件、小売・流通、不動産・建設、サービス・観光から3件、ヘルスケアから2件で、各業種平均は約3件となっている。すべての案件に共通するテクノロジーはAIとIoTであるとのことだが、詳しくはまだ言えない段階であるとのことだ。

今回の法人事業戦略説明会で、ソフトバンクは実際の取り組み事例としてイオン九州とのラストワンマイル配達事業における協業を発表した。今年6月から22時以降の夜間配送の実証実験を行なっており、第2弾としてCBcloudの配送サービス 「PickGo」 を活用した実証実験を行う予定。

マネタイズはまだできていないが現在検証段階に入っており、近いうちにマネタイズ化とサービス範囲の拡大も予想される。

ちなみに報道関係者向けの法人事業戦略説明会は、今回が実質的に初めての開催となる。今後も年2回のペースで同様の説明会を開催していく考え。

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