2017年6月6日、Appleは年に1度の開発者向けイベント「WWDC 2017」を開幕。初日の基調講演では、新型「MacBook Pro」や「MacBook」と同時に、新型「iMac」を発表した。
この新型iMacは、すでに各Apple StoreやApple公式サイトで販売中。前々から「iMac」の5K・27インチモデルが欲しいと思っていた僕は新型モデルを速攻で購入し、11日の昼過ぎあたりに自宅に到着した。
今回発表された「iMac (2017)」はデザインの変更を伴わない、いわゆるマイナーアップデートモデル。変更された箇所はプロセッサやグラフィック性能の内部アップグレードに留まるが、地味ながら着実な進歩を感じることができた。同記事では、新型モデルのファーストインプレッションや使用感、そしておまけとして21.5インチモデルとの比較等をお伝えできればと思う。
iMacの27インチモデルはとにかく大きい
こちらが到着した「iMac 27-inch, 2017」。見ていただけたらお分かりいただけるかと思うのだが、パッケージのサイズがとにかく大きい。
27インチの5Kディスプレイを搭載しているためかなり重く、持つだけでも一苦労。僕の場合は配送でお願いしたので、買ってから家に届くまで持ち歩く必要は全くなかったが、もし店頭で購入することを考えているのであれば、かなりの覚悟が必要だと思う。
プロセッサは第7世代「KabyLake」を搭載
僕が今回注文したモデルは、「Retina 5Kディスプレイ 3.5GHzプロセッサ」モデル。
Apple公式サイトのオプションで、プロセッサはIntelの第7世代「Kaby Lake」の4.2GHzクアッドコアIntel Core i7 (Turbo Boost 仕様時最大4.5GHz)を選択。ストレージは普段からクラウドストレージや外部ストレージを多用しているので、本体容量はそこまで多くなくても良いと思い、今回は512GBのSSDをチョイスした。
メモリは、5Kモデルの場合のみ自力で追加搭載することができるので、とりあえず最小容量の8GBを選択。さらに、「Magic Trackpad 2」や「Magic Mouse 2」などの操作系デバイスは、過去モデルを購入した時に全て入手しているので、今回は「Magic Mouse 2」と「Magic Keyboard (JIS)」のみの購入となった。グラフィックカードは「Radeon Pro 575 (4GB)」を搭載し、合計金額は286,800円(税別)。
付属品は「Magic Mouse 2」と「Magic Keyboard」の他に、本体用の電源コード、そして「Lightning – USBケーブル」が1本だ。
本体デザインの変更はほぼなし Magic Keyboardのキーが若干変更に
本体デザインは相変わらずのクオリティ。2015年モデルとほぼ変わりはないため特筆して紹介することはないが、流線型の背面が特徴の薄型デザインは、やはり他のどのデスクトップ端末よりも美しく感じる。
背面下部には、従来通りUSB-3.0ポートやSDXCカードスロット、3.5mmイヤホンジャック、イーサネットポートが備え付けられている。ただし、「Thunderbolt 2」が廃止され、新たに「USB-C / Thuderbolt 3」ポートが二つ搭載した。
ディスプレイサイズは、冒頭から何度かお伝えしている通り27インチ。普通のデスクトップPCとしては若干大きめかもしれないが、解像度が5,120×2,880ピクセルと大きいおかげで、基本的な作業スペースがとても広い。
実際に21.5インチから27インチに乗り換えて感じたのは、画面はやはり大きな方がいいということ。27インチもの広さがあれば、SafariやChromeなどでブラウジングをしながら、iTunesやYouTube、Twitterを同時に開いていても画面が狭く感じることはほとんどない。さらに、映像コンテンツを大迫力で楽しむことができるという利点もある。
iMacは21.5インチモデルと27インチモデルの2種類があるが、27インチモデルは少し大きすぎるかも…と感じて21.5インチモデルを選ぶ人が意外と多い。もちろん置き場所が確保できないなら21.5インチモデルの一択になるとは思うが、27インチモデルが置けるほどの十分なスペースがあってどちらを購入しようか迷っているというのであれば、まずは27インチモデルを検討することをオススメする。
画面は2015年モデルと同様にIPSディスプレイが採用されているため、斜めから見てもハッキリと画面が見える。さらに、Retinaディスプレイであるため文字が小さくてもくっきりと見え、iMacと一日中睨めっこしていても目が疲れないのもグッド。
ちなみに、iMacには「Magic Keyboard」が必ず付属してくるが、他にも「Magic Mouse 2」や「Magic Trackpad 2」のどちら(もしくは両方)かをチョイスすることができる。このうち、「Magic Mouse 2」と「Magic Trackpad 2」は以前のモデルから特に変更がないものの、「Magic Keyboard(JIS)」は「Command」や「Shift」キーの表記が文字ではなく記号に変更になっている。
とはいえ、キーの並び順に変更はないので、基本的な操作感に変化はほとんどなし。これらの操作デバイスに興味がある場合は、一昨年に公開した当サイトのレビュー記事をどうぞ。
iMac – 2017年モデルと2015年モデルとの違い
2017年モデルの特徴は、とにかく処理性能が向上している点。先ほども少し触れたが、「iMac (2017)」に搭載されているプロセッサは、Intelの第7世代プロセッサの「Kaby Lake」。従来モデルに搭載されていたプロセッサは、第6世代「Skylake」だったので(21.5インチ4Kディスプレイモデルは第5世代「Broadwell」)、また一つ世代が新しくなった形だ。
僕が購入したiMacで、「Geekbench 4」によるベンチマークを取得してみたのだが、シングルコアスコアが5685で、マルチコアスコアが19322とまずまず(メモリは8GB)。2015年のモデル(プロセッサは「Core i7 4.0GHz」)のベンチマークスコアが5250/17500前後だったので、数字だけで見ると約1割程度、性能が向上したことになる。
iMac, 5K 27-inch (2017) | iMac, 5K 27-inch (2015) | |
---|---|---|
シングルスコア | 5685 | 5250 |
マルチスコア | 19322 | 17500 |
またグラフィック性能も向上。僕は今回「Radeon Pro 575 (4GB)」を選択したが、従来モデルに比べて動画の編集やエンコードはかなり快適に。3Dゲーム(Cities: SkylinesやFF XIVなど)も余裕でこなすことができた。
さらに、2017年モデルから27インチモデルはVRにも対応し、VRヘッドセットを利用することでVRゲームを楽しむことができるようになる。もちろん、VRコンテンツの制作にも活用できるだろう。
ディスプレイも2015年モデルに比べて約43%程度明るくなった。輝度は500nitになり、よりハッキリと、美しい表示が可能に。ちなみに前モデルと同様にディスプレイはP3色域に対応しているため、色の再現度が高い。写真や映像関連で仕事をしている人にとっては重要な要素だろう。
ただし、ディスプレイが明るくなったことでどれほど変わったのかと言われると、正直そこまでの変化を感じることはできなかった。言われてみれば緑色や青色の表現が少し明るくなったかもしれない…という程度なので、すでに2015年モデルを購入しているのであればわざわざ買い換えるほどではないかと思う。
搭載ポートの一部が変更に USB-C/Thunderbolt 3をサポート
そして、2017年モデルのもう一つの変化、それは「USB-C/Thuderbolt 3」の搭載だ。先ほども少し触れたが今までの2015年モデルは「Thunderbolt 2」ポートが採用されていたものの、2017年モデルでは「Thuderbolt 2」が廃止され、「MacBook」や「MacBook Pro」の後を追うように「Thuderbolt 3」が搭載された。
これで、iMacも「LG UltraFine 5K Display」へ画面を出力することが可能になった。それだけでなくUSB-C機器と直接接続することができるようになるなど、便利になったことは間違いない。
しかし、その代償として従来の「Thunderbolt 2」コネクタを持つアクセサリを使うことが実質不可能になった。従来アクセサリを継続して使用したい場合は、「USB-C/Thunderbolt 3」に対応したアクセサリを購入するか、「Thunderbolt 3 (USB-C) – Thunderbolt 2アダプタ」などの変換アダプタを購入するようにしよう。
iMacに搭載された「USB-C/Thuderbolt 3」の性能については、まだしっかり検証できていないが、少なくとも「LG UltraFine 5K Display」への画面出力が可能。さらに「Anker USB-C & HDMI変換アダプタ」を経由して2枚の4Kディスプレイへの出力も可能だった。
2017年モデルの「iMac」は、搭載できるメモリの規格が2,400MHz DDR4に変更されている。搭載できるメモリの最大容量は21.5インチモデル(非Retina)で16GB、21.5インチモデル(Retina)で32GB、27インチモデルは最大64GBまで搭載することができるようになった(21.5インチモデルも実は非公式で64GBまで対応)。
27インチモデルに関しては、購入後に自力でメモリ交換・増設が可能なので、もし知識があるようだったら自身で購入して増設するといいと思う。もしメモリに関する知識に自信がなかったり、21.5インチモデルを購入しようと考えている方に関してはApple公式サイトで購入する際にあらかじめメモリを増量しておくといいだろう。僕もこのレビュー後に、32GBか64GBまで増設する予定だ。
「21.5インチ4Kモデル」と「27インチ5Kモデル」との比較
そして、最後に「iMac, Retina 4K, 21.5-inch (2017)」モデルとの比較。
「iMac」の21.5インチ4Kモデルは、今回のマイナーアップデートによって、性能が大幅にアップグレードされた。プロセッサは第5世代「Broadwell」から第7世代「Kaby Lake」にジャンプアップしただけでなく、外部GPUが搭載されたことによってグラフィック性能も何倍も強化。もちろん5Kモデルほど高性能ではないものの、それでも4Kモデルも決して悪くない性能だ。
価格も2015年モデルの発売時に比べると安くなっているので、買っても損はしないだろう。ただし、メモリだけはあとから気軽に増設できない(詳しくはこちらの記事へ)ので、増設する場合は購入時に必ずカスタマイズしておくように。
しかも、こうして並べてみると21.5インチモデルは27インチモデルに比べてコンパクト。案外スマートに見えるのは、21.5インチモデルの方かもしれない。
ただ、画面の大きさや、性能面など普段のパフォーマンスを考慮して、個人的には21.5インチモデルではなく27インチモデルを買うことを強くお勧めしたい。
以上が、「iMac 27-inch, 2017」の外観や使用感まとめ。基本的には2015年モデルから大きな変更はないので、すでに2015年モデルを持っているユーザーは、わざわざ買い換える必要はないように感じた。
ただし、まだiMacを買ったことがない方や古いiMacをお持ちのユーザーにとっては最高の一品だと思われる。特に「USB-C/Thunderbolt 3」など全く新しい規格が導入された上に、VRにも対応するなど、今後のメインストリームに合わせた端末になっているのも特徴。USB-CやVRコンテンツはまだまだ普及していない状態だが、今後は市場も大きくなる予感がしている。将来を見据えた端末という意味でも、購入をおすすめしたいところだ。
もし、新型iMacの購入を検討しているなら、間違いなく今回のモデルは「買い」。MacBookシリーズのように外に持ち運びはできないが、一箇所に留まって作業することが前提の方は、ぜひ大画面のiMacを楽しんでいただければと思う。
以下にiMacシリーズ(2017年モデル)のスペック比較表を掲載しておいた。どのモデルを購入するか、参考にしていただければと思う。各種CTOオプションについては表が見づらくなるのであえて表記しなかった。確認する場合は、Apple公式サイトからどうぞ。
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21.5インチiMac (2017) | 21.5インチiMac (2017) 4Kディスプレイモデル |
27インチiMac (2017) 5Kディスプレイモデル |
|
---|---|---|---|
ディスプレイ | 21.5インチ LEDバックライトディスプレイ |
21.5インチ Retina 4Kディスプレイ 広色域ディスプレイ(P3) |
27インチ Retina 5Kディスプレイ 広色域ディスプレイ(P3) |
解像度 | 1,920 x 1,080 | 4,096 x 2,304 | 5,120 x 2,880 |
プロセッサ | 2.8GHzデュアルコアIntel Core i5 (Turbo Boost使用時最大3.6GHz) | 3.0GHzモデル 3.0GHzクアッドコアIntel Core i5 (Turbo Boost使用時最大3.5GHz) 3.4GHzモデル |
3.4GHzモデル 3.4GHzクアッドコアIntel Core i5(Turbo Boost使用時最大3.8GHz) 3.5GHzモデル 3.8GHzモデル |
ストレージ |
1TB HDD |
3.0GHzモデル 1TB HDD (5,400rpm) 3.4GHzモデル |
3.4/3.5GHzモデル 1TB Fusion Drive 3.8GHzモデル |
メモリ | 8GB 2,133MHz DDR4オンボードメモリ | 8GB 2,400MHz DDR4オンボードメモリ | 8GB(4GB x 2)2,400MHz DDR4メモリ、ユーザーがアクセスできるSO-DIMMスロット × 4 |
グラフィック | Intel Iris Plus Graphics 640 | 3.0GHzモデル Radeon Pro 555(2GB VRAM搭載) 3.4GHzモデル |
3.4GHzモデル Radeon Pro 570(4GB VRAM搭載) 3.5GHzモデル 3.8GHzモデル |
本体サイズ | 幅52.8 × 高さ45.0 × 奥行き17.5 cm | 幅65.0 × 高さ51.6 × 奥行き20.3 cm | |
通信 | 有線LAN:1000BASE-T 無線LAN:IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応 Bluetooth:Bluetooth 4.2に対応 |
||
カメラ | FaceTime HDカメラ | ||
ポート | SDXCカードスロット USB 3ポート × 4 Thunderbolt 3ポート(USB-C) × 2 ギガビットEthernet |
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オーディオ |
ステレオスピーカー / マイクロフォン / |
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付属品 | キーボード Magic Keyboard / Magic Keyboard(テンキー付き) マウス・トラックパッド |
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価格 | 120,800円〜 | 3.0GHzモデル:142,800円〜 3.4GHzモデル:164,800円〜 |
3.4GHzモデル:198,800円〜 3.5GHzモデル:220,800円〜 3.8GHzモデル:253,800円〜 |
CTOオプション(CPU・メモリ・ストレージなどのカスタマイズ)についてはApple公式サイトで直接確認を。
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