
Appleは8月25日、小型デスクトップPC「Mac mini」の新モデルを発表した。新たに「M6」と「M5 Pro」を搭載し、AI処理やグラフィックスの性能を大幅に引き上げた。M6モデルでは、従来のM4モデルと比べてAI性能が最大4倍、グラフィックス性能が最大2倍、CPU性能が最大40%高速になっている。
日本での価格はM6モデルが14万9800円から、M5 Proモデルが29万9800円から(どちらも税込)。予約注文は8月25日に始まり、9月22日に発売する。
小型デスクトップからAIを動かす端末へ

Mac miniは、ディスプレイやキーボードなどを別途用意して使う小型デスクトップMac。家庭向けのPCとしてはもちろん、外付けディスプレイや周辺機器を組み合わせたクリエイティブ環境、開発環境などにも利用できる。小型ながら用途を限定しないことが、Mac miniの立ち位置となっている。
今回の新モデルでは、こうした従来の用途に加えて、AIを常時動かす「エージェント型コンピューティング」も強く意識した。Appleは、Mac miniをデスク上で常時稼働するAI端末として使うケースや、企業の業務環境でAI処理を担わせる用途を想定している。
背景にあるのは、Apple Siliconの性能向上と、PC上でAI処理を実行する機会の増加だ。新しいM6ではGPUの各コアにNeural Acceleratorを組み込み、GPUを使ったAI処理を高速化。M5 Proでは大容量のユニファイドメモリと高いメモリ帯域幅を用意し、大規模なローカルAIモデルなどを扱えるようにした。

M6モデルのCPUは12コア、GPUは12コア。いずれも従来のM4モデルから2コアずつ増えている。AppleはCPUについて、シングルスレッド性能が世界最速としている。
12コアGPUには、Mac miniとして初めて各GPUコアにNeural Acceleratorを搭載。さらにデュアル16コアNeural Engineを備え、Neural Engineの処理性能は前世代比で最大2倍となった。
Appleによると、M6モデルのAI性能はM4モデル比で最大4倍、グラフィックス性能は最大2倍。メモリは16GBを標準搭載し、最大32GBまで選択できる。メモリ帯域幅は最大170GB/sに達する。
実際のアプリケーションを使った性能では、LM StudioによるLLMのプロンプト処理がM1搭載Mac miniと比べて最大13.5倍、M4モデルと比べても最大4.8倍高速になるとしている。Microsoft Excelでの表計算はM1モデル比で最大2.3倍、M4モデル比で最大1.5倍。レイトレーシングを利用した『Cyberpunk 2077: Ultimate Edition』のゲーム性能はM4モデル比で最大2倍としている。

より高い処理性能を求めるユーザーにはM5 Proモデルを用意する。最大18コアCPU、最大20コアGPUを搭載し、アプリ開発、動画レンダリング、科学シミュレーション、3D制作、VFX、ゲーム開発などをターゲットにする。
GPUには強化されたシェーダーコアと第3世代のレイトレーシング機能を搭載。M5 ProのGPU各コアにもNeural Acceleratorを組み込み、写真や動画のアップスケール、大規模な拡散モデルの処理といったAIワークロードに対応する。
ユニファイドメモリは最大64GB、メモリ帯域幅は最大307GB/s。大規模なローカルAIモデル、複雑な3Dシーン、ProRes RAWの編集、大量のカスタムデータセットなどを扱える容量を確保した。
Appleのテストでは、M5 ProモデルのLM StudioによるLLMプロンプト処理はM2 Proモデル比で最大8.5倍、M4 Proモデル比で最大4倍高速。Blenderのレイトレーシングを使ったレンダリングはM2 Proモデル比で最大4.5倍、M4 Proモデル比で最大1.4倍高速となる。Affinityでの画像処理はM2 Proモデル比で最大2.1倍、M4 Proモデル比で最大1.5倍高速としている。
Wi-Fi 7やThunderbolt 5ポートを搭載

本体前面にはUSB-Cポートを2基配置。USB 3に対応し、ヘッドホン端子では高インピーダンスヘッドホンを利用できる。
背面のThunderboltポートは、M6モデルがThunderbolt 4を3基、M5 ProモデルがThunderbolt 5を3基搭載する。このほかHDMIも備える。

Thunderbolt 5を使えば、複数のMac miniを接続して大規模なAIモデルをデバイス上だけで処理する構成も可能になる。USB-C経由のgenlockにも対応し、ディスプレイとカメラを正確に同期できる。iPhone 17 Proとの組み合わせも想定している。
また、M6とM5 Proの両モデルでWi-Fi 7、Bluetooth 6、2.5Gb Ethernetを利用できる。10Gb Ethernetもオプションで選択可能だ。
OSには「macOS 27 Golden Gate」を採用。Apple Intelligenceの新機能に加え、AIアシスタント「Siri AI」を利用できる。
Siri AIは、メッセージ、メール、写真などの個人情報を文脈として利用し、必要な情報を探したり、質問に答えたり、アプリをまたいだ作業を実行したりできる。Spotlightやシステム全体のコンテキストメニューにも統合され、キーボードショートカットから画面上の情報についてSiriに質問するVisual Intelligenceも利用可能だ。文字入力中にSiriを使って文章を作成・編集することもできる。
Apple Intelligenceでは、Safariの閲覧内容を整理する機能、自然な言葉でショートカットの自動化を作成する機能、写真アプリの高度な編集機能などを追加する。
Apple Intelligenceは現在パブリックベータでテストでき、macOS 27の正式版は今秋に無料アップデートとして提供する予定。Apple Intelligenceは英語、日本語、中国語、韓国語など複数の言語をサポートする。
Siri AIは現在、パブリックベータで英語環境を対象にテストを実施している。macOS 27ではベータ版として提供し、対応言語は順次拡大する予定だ。

本体には重量比で50%の再生素材を使用している。筐体には100%再生アルミニウム、すべての磁石には100%再生希土類元素を採用。製造に使う電力は、サプライチェーン全体で風力や太陽光などの再生可能エネルギーから調達する。
Appleは2030年までに事業全体でカーボンニュートラルを達成する計画を掲げており、新型Mac miniもその取り組みに沿った製品となる。紙製パッケージは100%繊維素材で構成し、家庭でリサイクルできる。
新型Mac miniの日本での価格は、M6モデルが14万9800円から、M5 Proモデルが29万9800円から(どちらも税込)。予約注文は8月25日から受け付け、9月22日に発売する。
(画像:Apple)

