
アドビは9月10日、ドキュメント編集ツール「Adobe Acrobat」の日本語版において、新機能「チャットによるPDF操作」と「ポッドキャストを生成」の提供を開始した。PDFの編集や変換といった操作を自然言語で指示できるようにするほか、PDFの内容をポッドキャスト形式の音声として生成できるようにする。
Adobe Acrobatではこれまで、PDFの内容を理解するためのAI機能が強化されてきた。2025年2月には、文書の要約や質問への回答などを行う「Acrobat AIアシスタント」を導入。同年12月には複数の文書を横断して情報を扱える「PDFスペース」も追加されている。
今回のアップデートでは、AIを使ってPDFの「操作」と「聴く」ことにも対応する。PDFの機能を探してメニューを開いたり、複数の手順を踏んだりする従来の操作方法に加え、やりたいことをチャットで伝える方法を用意した。また、長い資料を画面で読むだけでなく、音声で内容を把握できるようにした。
PDFの操作を自然言語で指示できる「チャットによるPDF操作」
「チャットによるPDF操作」は、Acrobat上のチャットボックスに自然言語で指示を入力すると、AIがPDFの内容や構造を確認し、指示された操作を実行する機能だ。
例えば、「このPDFの3ページ目を削除して」「文書内の○○という文字を△△に置き換えて」「パスワードを設定して」といった形で指示できる。ユーザー自身がメニューから目的の機能を探したり、対象となるページを確認したりする手間を減らせる。
対応する基本操作は、ページの削除、ページの回転、ページの抽出、PDFの作成、PDFの書き出し、スキャンとOCR、テキストの置換、ツール検索、PDFの保護、入力と署名、圧縮、共有、印刷の13種類。今後も対応する操作を増やしていくとしている。
アドビが2026年に日本で実施した調査では、普段からPDFを利用している18~59歳の158人のうち79%が、AIとのチャットによるPDF操作を利用したいと回答した。
具体的な操作では、「スキャンしたPDFをOCRして検索可能にする」が84%、「PDFをWordに変換する」が82%となった。PDFの機能が増える一方で、目的の機能を探して操作することへの負担も大きくなっており、日常的な作業をAIとの対話で簡略化したいというニーズがあるとしている。
アドビ 製品マーケティング本部 プリンシパル プロダクトマーケティングマネージャーの立川太郎氏は、これまで機能を探して使い方を覚える必要があったPDFについて、「やりたいことをチャットで指示するだけ」で扱えるようにすることを説明。あわせて、PDFを画面で読むだけでなく「耳で聴く」という選択肢を加えることで、Acrobatを利用できる時間や場所を広げるとしている。
「チャットによるPDF操作」は追加のAI契約を必要とせず、「Acrobat Standard」「Acrobat Pro」「Acrobat Studio」の各サブスクリプションプランで利用できる。
PDFをポッドキャスト形式の音声に変換
「ポッドキャストを生成」は、Acrobatで開いているPDFから、ポッドキャスト形式の音声ファイルを生成する機能だ。PDF内の主要な情報をAIが整理し、対話形式の音声コンテンツとして分かりやすく説明する。スマートフォン版アプリからも利用できる。
長い資料や複雑なドキュメントを読む時間が取れない場合でも、通勤や移動中、家事などをしながら内容を確認できるようになる。
アドビが紹介した調査によると、日本国内のポッドキャスト利用率は2020年の14.2%から2025年には18.2%へ増加している。また、ポッドキャスト利用者の約80%が移動中や家事の最中などに「ながら聴き」をしているという。PDFの情報を音声で確認する使い方にも、こうした利用スタイルを取り込んだ。
「ポッドキャストを生成」は、月額680円から利用できるアドオン「Acrobat AI アシスタント Plus」の新機能として提供されるほか、「Acrobat Studio」の契約者も利用できる。
個人向けの料金は、Acrobat Standardが月額1,980円、Acrobat Proが月額2,530円、Acrobat Studioが月額3,300円から(いずれも税込)。Standardは基本的なPDF編集に対応し、ProではOCR、墨消し、PDF比較など70以上の高度な機能も利用できる。StudioではProの全機能に加え、Acrobat AIアシスタント Plusと「Adobe Express」プレミアムプランの全機能が含まれる。
(画像提供:Adobe)
