昨年発売された「iPhone X」「iPhone 8 / 8 Plus」は、iPhone史上初のワイヤレス充電機能が搭載され、充電規格「Qi」に対応したワイヤレス充電器で充電できるようになった。
そして、これらのiPhoneは、昨年12月にリリースされた「iOS 11.2」を適用することで、7.5Wの高速ワイヤレス充電が可能に。「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad」など、7.5W対応を発表しているワイヤレス充電器なら急速充電が可能だ。
現時点では、この7.5W急速充電に対応しているワイヤレス充電器は少ないが、今回、新たに韓国メーカーKomatechから7.5Wの高速充電に対応したワイヤレス充電器「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」が登場。国内でも代理店を通じて発売されることが決定されている。
当サイトは、発売前に国内販売代理店から同ワイヤレス充電器を提供していただき、商品を直接手にとって確認することができた。以前に、同じく7.5Wの急速充電に対応している「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad」もレビュー済みなので、こちらの製品との比較も交えながら新製品を紹介していきたいと思う。
クールでスタイリッシュな外見が特徴
こちらが今回新しく発売するKomatechの「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」の本体。筆者の個人的な好みや気分によって、提供していただいたのはブラックモデルとなっているが、同製品は2色展開となっており、この他にホワイトモデルも存在する。
「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」は、「皿型」と呼ばれるタイプのワイヤレス充電器で、充電パッドの上に端末を乗せることで充電を行う。充電パッドのおもて面全体には、シリコンのような素材が使われており、充電中に端末がズレにくいように工夫されているのが好印象だ。
充電パッドの中央には、製品名の「Freedy」のロゴが主張しすぎないくらいの程よい大きさで配置されている。余談だが、この「Freedy(フレディ)」という名前は「Free(自然に)」と「Feed(電力を供給する)」の2つの単語を組み合わせて作ったとのことだ。製品ロゴのデザインもクール。
充電器を裏返すと、お椀の裏側のような丸みを帯びた形状をしており、内部の温度上昇を抑えるための通気穴も設けられているなど、見えない部分のデザインや機能性もしっかり考慮して作られている様子が伺える。
また、公開されている商品説明や同梱されてくる説明書には記載されていないのだが、充電器の裏側は吸盤のようになっており、上から少し強めに力を加えることで、机などに固定して使うことが可能。ガラステーブルなどの滑りやすい場所で使う時に活用できそうだ。
この特性を利用すると、少し傾いた場所にも充電器を固定することができるわけだが、あまりにも傾斜がつき過ぎると、充電する端末がずり落ちてしまう。充電器表面のグリップ力もそこまで強いものではないため、あくまで平面に固定するためのものだと思って使うようにしよう。
電源の供給には、製品に同梱されてくる専用ACアダプターを使用する。電源ケーブルの長さは1.2メートルとそこそこ長いので、少し遠いところからでも電力を供給することが可能だ。
ただし、高出力ワイヤレス充電器の場合、ACアダプタが大型であることが多いわけだが、今回もその例外から漏れることなく、予想通り大きかった。場合によっては、家のコンセントの一部をACアダプタが占有してしまうことになる可能性があるため、できればマルチタップを使用するなど、他のコンセントを埋めないように工夫する必要があるだろう。
最大15Wでのワイヤレス充電に対応
ここまでは、「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」の本体デザインについて紹介してきたが、ここからは肝心の性能について触れていきたい。同製品は、製品名にもあるように最大15Wの高速ワイヤレス充電ができるなど、かなり高性能なワイヤレス充電器になっている。
どれほど高性能かと言うと、一般的なiPhone用ワイヤレス充電器は5W出力に対応していることが多いが、15Wの出力ができる同製品は、スペック上では一般の製品に比べて約3倍の速さで充電することができるはず。
ただし、当レビューを作成している時点では、15W出力でワイヤレス充電ができるスマートフォンは存在せず、iPhoneなら最大7.5W、Galaxy S8、LG V30+などのAndroid端末でも最大10Wの出力にしか対応していないため、残念ながら15W出力の恩恵を受けることはできないし、もちろんテストすることもできていない。
とはいえ、「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」は、現時点でiPhoneとAndroid共に最高出力でワイヤレス充電ができるので、事実上最強のワイヤレス充電器と言っても過言ではないだろう。
実際、筆者が持っている「iPhone X」で充電速度を検証してみたところ、1時間10分で20%から70%まで充電することができ、さらに70%から100%までは約40分程度という結果となった。ワイヤレス充電としては、やはり早いほうだ。
ちなみに、後でも少し触れる予定だが、iPhoneの高速ワイヤレス充電に対応している充電器は現時点でかなり種類が少ない中で、「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」のみ、iPhoneだけでなくAndroidの10W高速充電にも対応しているなど、かなりレア。
製品名 | 最大出力 (理論値) |
最大出力 (iPhone) |
最大出力 (Android) |
---|---|---|---|
Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad | 15W | 7.5W | 15W (対応製品は現時点で存在せず) |
Belkin Boost Up Wireless Charging Pad | 記載なし (最大7.5W?) |
7.5W | 記載なし (最大7.5W?) |
mophie wireless charging base | 記載なし (最大7.5W?) |
7.5W | 記載なし (最大7.5W?) |
RAVPower Alpha Series Fast Charge Wireless Charging Pad | 10W | 7.5W | 10W |
iPhoneの高速ワイヤレス充電(7.5W出力)に対応する製品はわずか4つ (18/01/16現在)
さらに、今後15W出力でのワイヤレス充電に対応したスマートフォンが登場することが考えられるため、将来的な拡張性を考えて同製品を導入すると、あとで買い換える必要がないなど、同製品を魅力的だと感じる要素は十分に揃っている。
その他、細かい仕様の話になるのだが、ワイヤレス充電中には、充電パッドの端にある赤色のLEDが点灯し、充電が行われているかどうかを一目で判断することができる。
また、充電パッド部分では充電に影響のある異物を検知したり、異常発熱を感知した時にデバイスを保護する仕組みが搭載されているなど、安全設計にもこだわって作られているため、安心して使用することが可能だ。
以上が「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」のおおまかな仕様になる。
実際に、筆者が数日間使ってみた感想を述べたいのだが、正直なところ、同製品にケチをつける箇所は全くと言って見当たらない。
強いて挙げるとするならば、ACアダプタが大きいことくらい。ただ、これは前述した通り、高出力ワイヤレス充電に対応する製品のほとんどが大きなACアダプタを使用していることから、「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」だけが持つ問題というものでもない。
その他、性能はとても高い(むしろ若干オーバースペック)上に、背面の吸盤機能などユーザーのデスク周りを快適にするための配慮がなされていて、十分に満足できる製品だった。
番外編:「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad」との比較
ここからは、番外編として同じくiPhoneの高速ワイヤレス充電(7.5W)に対応している「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad」と比較した結果をお伝えしていきたい。
まず、充電パッドの比較から。パッド自体の大きさはどちらもほぼ同じくらい。Freedyは充電パッド全体が滑りにくい素材で作られているが、Belkinはロゴを囲うようにサークル状に滑り止めが配置されており、どちらも実用的な上にデザイン的にもクール。
ただし、パッド表面の滑り止めの効果としては、正直なところどちらの製品も大差なく感じているため、各ユーザーの好みで選んでしまってOKだ。個人的にはFreedyのデザインの方がスマートな印象を受けたが、Belkinの方もガジェット感に溢れていてグッド。どちらも甲乙つけがたい。
次に、ACアダプターの大きさを比較したところ、FreedyのACアダプタの方がBelkinよりも1.3倍ほど大きいことが判明。15Wもの電力をワイヤレスで供給するためには仕方のないことなのかもしれないが、Belkinでさえ隣の差込口を塞いでしまうこともあったので、この点は少し不便。
ACアダプタをコンセントや延長コードに差し込む時には、配置を工夫して隣の差込口を塞がないようにするか、もしくは思い切って2つの差込口を塞いでしまうくらいの覚悟が必要かもしれない。
そして、肝心の充電速度に関してだが、どちらの製品も7.5Wへの対応をアナウンスしていることもあり、やはり充電速度は一般的なワイヤレス充電器よりも早い。
ただし、BelkinはiPhoneでの使用を想定した作りになっているため、Android端末での充電速度については一切触れられていないところがポイント。
Freedyの場合は、iPhoneの7.5WそしてAndroidでは最大10Wでのワイヤレス充電が可能と商品概要に明記されているため、10W以上の急速ワイヤレス充電を利用できる環境があるなら、同製品には安心感があるはずだ。
この点においては、「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」と「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad」とでは、性能面でFreedyの充電器に軍配があがる可能性がある。
特徴 | Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad | Belkin Boost Up Wireless Charging Pad |
---|---|---|
最大出力 (理論値) |
15W | 未記載 (7.5W?) |
最大出力 (iPhone) |
7.5W | 7.5W |
最大出力 (Android) |
10W | 未記載 (7.5W?) |
発売日 | 2018年1月18日 | 2017年9月29日 |
カラー | ブラック / ホワイト | ホワイト |
価格(税抜) | 5,870円 | 6,980円 |
ただし、両者の差は案外少ないことから、必ずしも「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」を選ぶことが最適と言うわけではない、と言うのが個人的な感想。
しかも、高速ワイヤレス充電は通常のワイヤレス充電器(5W)での充電とそこまで大きな差はない上に、現時点では有線の充電の方がワイヤレス充電よりも高速で充電できることから、必ずしもワイヤレス充電器を購入する必要があるとは言い切れない。
そうは言っても、せっかくワイヤレス充電に対応した端末を持っているなら、ワイヤレス充電器を使ってスマートな生活を送っていただきたいところ。家に帰ってきたら、とりあえずスマホを充電機の上に置けば、勝手に充電されていくため忙しい現代人にはぴったり。机の上に充電ケーブルを這わせる必要もないため、デスク周りもスッキリするはずだ。
筆者はもともと、「Belkin Boost Up Wireless Charging Pad」を最も気に入って使っていたが、今回のテストによって「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」をファーストチョイスにすることを考えている。iPhoneだけでなく、Android端末も利用している筆者にとって、Androidの高速充電対応を明記している製品は、非常にありがたい存在だからだ。
もし、興味があるなら今回紹介した最強のワイヤレス充電器「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」をチェックしてみてはどうだろうか。
「Freedy 15W FAST Wireless Charging Pad」はすでに予約受付が開始されており、今月18日に発売する予定。メーカー販売価格は5,870円(税抜)で、オンラインでの販売は、Amazon、ビックカメラ.com、ヨドバシ.comの3店舗は確定しているが、そのほかのサイトでの販売は現時点では未定だ。また、オンラインだけでなく、大手家電量販店などでも販売が行われる予定であるとのこと。