
XREALとASUS ROGのコラボレーションによって誕生した「ROG XREAL R1」は、2026年時点で世界初となる240Hz対応のゲーミングARグラスだ。
価格は14万1550円(税込)と決して安くはないものの、「ROG Ally」をはじめとする携帯ゲーミングPCやPC、家庭用ゲーム機と組み合わせることで、場所を選ばず大画面でゲームを楽しめる点が魅力となっている。そんな意欲的なゲーミングARグラスを実際に試す機会があったので、本稿で使用感を紹介したいと思う。
「ROG XREAL R1」とは?

「ROG XREAL R1」は、ASUSのゲーミングブランド「ROG」とXREALが共同開発した、ゲーミング向けのARグラスだ。
世界初となる最大240Hz駆動に対応したSony製0.55インチMicro-OLEDを搭載。片眼あたり1920×1080の解像度、応答速度0.01ms、ピーク輝度700nits、視野角57°を実現している。約4m先に171インチ、10m先では428インチ相当の仮想大画面を表示できる。
重量は約91gと軽量で、PCやゲーム機、ROG Allyなどと接続し、大画面でゲームを楽しむためのウェアラブルディスプレイとして位置づけられている。
2026年1月のCES 2026(ラスベガス)でASUSが世界初公開。その後、ハードウェアとソフトウェアの最適化を進め、5月中旬にグローバルで予約受付を開始し、6月1日頃から出荷が始まった。
そして、日本では6月15日に正式発表と予約受付を開始。ASUS Store、Amazon、XREAL公式では7月14日から順次出荷され、ビックカメラ、ヤマダデンキ、ヨドバシカメラなどでは7月下旬から順次発売された。価格は税込約14万1550円(1年保証)から。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ディスプレイ | Dual Micro-OLED、1920×1080、最大240Hz(Frame Rate Boost)、応答速度0.01ms、約700ニト、106% sRGB |
| 仮想画面サイズ | 最大171インチ(約4m相当)、距離調整対応 |
| 視野角(FOV) | 57度 |
| トラッキング | X1チップ搭載、ネイティブ3DoF、Anchorモード/Followモード |
| レンズ | エレクトロクロミック調光(3段階+オート) |
| オーディオ | Bose製空間オーディオ |
| 重量 | 91g |
| 接続 | USB Type-C(DisplayPort Alt Mode)、ROG Control Dock(HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4) |
| 消費電力 | 本体約3W、Dock利用時7.5W未満 |
| その他 | Instant 3D、TÜV Eye Comfort認証、OmniView 360対応 |
わずか91g。長時間でも疲れにくい軽量設計

「R1」を手に取ってまず驚くのは、その軽さだ。本体重量はわずか91g。ARグラスは長時間装着すると重さが負担になりやすいが、「R1」は軽量なため、長時間使い続けても疲れにくい。RPGなど、世界観にじっくり浸りたいゲームとの相性も良い。
デザインはマットブラックを基調とし、ROGロゴや赤いアクセントを取り入れたゲーミングらしい仕上がり。全体としては落ち着いた印象にまとめられているが、ROGブランドらしい存在感もしっかり感じられる。

テンプル部分にはBose製スピーカーを内蔵。USB Type-Cケーブルの接続部など、細かな部分まで質感にこだわっており、高級感のある作りに仕上がっている。
装着感にも配慮されている。ノーズパッドはS・M・Lの3サイズを同梱し、顔の形に合わせて交換できる。テンプルには最大約15度まで調整できるスプリングヒンジを採用しており、装着時のフィット感を細かく調整できる。
IPD(瞳孔間距離)についても、57〜66mmに対応する「Narrow」と、66〜75mmに対応する「Wide」の2モデルを用意。世界人口の約95%をカバーできるとしている。度付きレンズにも対応しており、専用レンズを別途用意すれば、普段メガネを使っている人でも裸眼で利用できる。

実際に顔に合わせて各部を調整してみると、フィット感は良好。91gという軽さも相まって、装着していることをあまり意識せずに使い続けられる。
レンズにはエレクトロクロミック(Electrochromic)調光機能を搭載。ボタン操作やAnchorモードに応じて3段階の濃さを切り替えられるほか、自動調整にも対応する。屋外ではレンズを濃くして映像を見やすくし、室内では周囲の様子を確認しやすくするなど、利用環境に応じて使い分けられる。
一方で、視野角(FOV)は57度とARグラスとしてはやや控えめ。映像を見ていると、画面の端が少し切れて見えるように感じる場面もあった。映像への没入感を重視する場合は、この点が気になるかもしれない。
なお、本体にはバッテリーを搭載せず、接続先のデバイスから給電するテザード方式を採用している。充電を気にせず使える一方、使用時にはUSB Type-Cケーブルで接続する必要があるため、完全なワイヤレス運用はできない。この点は、91gという軽量性や携帯性とのトレードオフといえる。
240Hz対応でゲーム体験はどう変わる?

搭載するMicro-OLEDディスプレイは、黒の表現やコントラストが非常に美しく、発色も鮮やかだ。ネイティブ1080p・120Hzでは文字もくっきり表示され、ゲームだけでなく映像鑑賞やデスクワークにも十分使える画質となっている。
さらに、最大171インチ相当の仮想スクリーンを目の前に表示できるため、携帯ゲーム機の小さな画面とはまったく異なる迫力でゲームを楽しめる。実際にゲームをプレイしてみると、目の前に大型ゲーミングモニターが突然現れたような感覚があり、RPGやアクションゲームでは画面への没入感がかなり高い。
240Hz表示は「Frame Rate Boost」モードで実現する。このモードでは、映像をいったん1920×540まで縮小したうえで1920×1080へアップスケールする画像処理を行っており、ネイティブ120Hzと比べると細かなディテールや文字のシャープさが低下し、やや見づらく感じることがある。
とはいえ、対応する高性能ゲーミングPCや「ROG Ally」との組み合わせでは違いが気になりにくく、高フレームレートで動作するゲームでは、滑らかな映像と応答性の高さをしっかり体感することができた。
特にFPSやレース、アクションゲームなど、画面内の動きが激しいゲームでは240Hzの恩恵を感じやすい。0.01msという高速な応答速度も相まって、キャラクターやカメラを素早く動かしたときにも残像感が少なく、視点を切り返した際の映像も滑らかだ。
ただし、240Hzを活かせるかどうかは接続するデバイス側の性能にも左右される。Steam Deckのような携帯ゲーム機では、本体性能がボトルネックとなり、ゲームによっては45〜60fps程度に留まるケースもある。そのため、240Hzは「どんなゲームでも映像が劇的に滑らかになる機能」というより、高フレームレートを出せるゲーム環境でこそ真価を発揮する機能と考えたほうがいい。

また、「R1」ならではの魅力として、3DoFに対応した「Anchorモード」もある。これは仮想ディスプレイを空間上の特定の位置に固定する機能で、頭を動かしても画面が追従せず、まるで目の前に大型モニターを設置しているような感覚でゲームを楽しめる。
通常のARグラスでは、頭を動かすと画面も一緒に動くため、長時間ゲームをしていると視線を戻す操作が気になることがある。その点、Anchorモードなら画面を空間上の好きな位置に置いたままプレイできる。画面サイズや表示距離も調整できるため、自分が見やすい位置に大型ディスプレイを配置できるのは便利だ。
独自機能の「Instant 3D」は、2D映像をリアルタイムで立体視へ変換できる機能だ。対応ゲームや映像ではキャラクターが手前に浮き出てくるような立体感を楽しめる。ただし、コンテンツによって立体感の出方に差があり、映像によっては輪郭が不自然に見えたり、文字やUIが見づらくなったりすることもある。常にオンにして使うというより、対応するゲームや動画を見つけたときに試してみる機能と考えたほうがよさそうだ。
このように「R1」は、大画面・240Hz・3DoF・3D表示を組み合わせることで、場所を選ばずゲーミングモニターに近い環境を持ち歩けることが大きな魅力だ。
一方で、240Hzモードでは画質とのトレードオフがあり、接続するデバイスによってはその性能を十分に活かせないことがある。ゲームのジャンルや使用環境によって120Hzと240Hzを使い分けるのが、「R1」を上手に使うポイントといえる。
Bose製スピーカーと専用Dockで使い勝手も向上

映像だけでなく、サウンド面にもこだわりが感じられる。「R1」のテンプルにはBoseがチューニングしたオープン型スピーカーを内蔵している。
ゲームをプレイしてみると、ARグラスに内蔵されたスピーカーとは思えないほど音の広がりがあり、音量も十分。ゲーム中のBGMや環境音はもちろん、キャラクターの声も聞き取りやすい。Boseは遠くの足音や環境音の反響まで捉える高忠実度オーディオをうたっており、FPSなどで敵の位置を把握するための音も聞き取りやすい。
耳を塞がないオープン型なので、イヤホンのような圧迫感がないのも使いやすいところ。自宅でゲームをするときはもちろん、移動中やホテルなど、周囲の状況を把握しながら大画面で楽しみたい場面にも向いている。
ただし、音漏れは完全にないわけではない。静かな場所では周囲にも聞こえるため、公共の場所で使う場合は音量に注意したい。本格的にゲームへ没入したい場合や、周囲への音漏れを避けたい場合は、別途イヤホンやヘッドホンを組み合わせることをオススメする。

そして、「R1」の使い勝手を大きく高めているのが、付属する「ROG Control Dock」だ。
このDockはHDMI 2.0×2とDisplayPort 1.4×1を搭載しており、最大3台の機器を同時に接続できる。例えばPS5やXboxをHDMIに、ゲーミングPCをDisplayPortにつないでおけば、Dockの入力切り替えボタンを押すだけで、ケーブルを抜き差しすることなく「R1」に表示する機器を切り替えられる。
「R1」を使うたびに「どの機器につなぐか」を考えるのではなく、あらかじめDockに接続しておけば、あとは「R1」をUSB Type-CケーブルでDockにつなぐだけ。感覚としては、複数のゲーム機を1台のゲーミングモニターに接続しておくのに近い。
しかも、ROG独自の「GamePlus」や「GameVisual」、240Hz表示に関わる「Frame Rate Boost」、3DoFの「Anchor/Follow」モードなどもDockから操作できる。「R1」本体に手を伸ばして細かな設定をする必要がなく、ゲームをプレイする姿勢のまま各種機能を呼び出せるのも便利だ。GamePlusではFPSカウンターやタイマー、ストップウォッチ、クロスヘアといったゲーミングモニターではおなじみの機能も利用できる。

外出先ではROG Allyなどと直接接続して身軽に使い、自宅ではPS5やXbox、ゲーミングPCをROG Control Dockにまとめて接続しておく。こうした使い分けができるのは、一般的なARグラスにはない「R1」ならではの魅力だ。
特に複数のゲーム機を所有しているなら、専用Dockは「R1」を日常的に使うための重要な存在だ。ゲームを始めるまでのケーブルの抜き差しや設定変更を減らし、「R1」を取り出せばすぐに大画面ゲームを始められる環境を作れることこそ、このDockの大きな価値だと言えるだろう。
ゲームプレイに特化したスペックや使い勝手を実現。価格に納得できるなら選ぶ価値あり

「ROG XREAL R1」を使ってみて、スペックの高さはもちろんだが、ゲームを快適にプレイするためのデバイスとして細部まで作り込まれているところが好印象だった。
91gという軽さは長時間のゲームプレイでも負担になりにくく、Micro-OLEDによる高コントラストで鮮やかな映像も満足度が高い。最大240Hz表示は、対応するゲームや高性能なゲーミングPCと組み合わせることで、映像の滑らかさをしっかり体感できた。
また、3DoFに対応する「Anchorモード」も使いやすさの向上に一役買っている。仮想ディスプレイを空間上に固定できるため、頭を動かしても画面が追従せず、まるで目の前に大型モニターを置いているような感覚でゲームを楽しめる。「ROG Ally」と組み合わせれば、携帯ゲーム機の小さな画面を171インチ相当の大画面へ置き換えるように使えるため、場所を選ばず大画面でゲームを楽しみたい人には特に魅力的だ。
さらに専用の「ROG Control Dock」を使えば、複数の機器を接続しておき、ボタンひとつで入力を切り替えられる。こうした部分まで含めて、ゲームを始めるまでの手間を減らす工夫が施されているのは「R1」ならではの魅力だと感じた。

一方で、気になる点もある。14万1550円(税込)という価格は決して安くなく、ARグラスとして気軽に購入できる製品ではない。また、本体にバッテリーを搭載しないテザード方式のため、使用時にはUSB Type-Cケーブルで接続する必要がある。視野角(FOV)も57度と広いとはいえず、人によっては画面の端が少し狭く感じるかもしれない。
240Hz表示についてもシャープネスが低下するため、文字を読むような用途では120Hzのほうが見やすい。240Hzを活かせるかどうかも、接続するゲーム機やPCの性能に左右される。
それでも、「場所を選ばず、大画面かつ高リフレッシュレートでゲームを楽しみたい」という目的において、「ROG XREAL R1」の完成度はかなり高い。
自宅ではROG Control Dockに複数のゲーム機を接続してゲーミングモニターのように使い、外出先では「ROG Ally」と組み合わせて大画面で遊ぶ、といった使い分けもできる。万人向けとは言えないが、価格や接続方式に納得でき、かつゲーム環境にこだわる人なら、この製品の価値を感じやすいだろう。



