M-SOUNDS MS-TW3 レビュー | 1万円台でも”隙”のない完全ワイヤレスイヤホン。最長60時間の驚異バッテリーも魅力

以前、当サイトでオーディオブランドM-SOUNDSの完全ワイヤレスイヤホン 「MS-TW2」 を紹介したことがあったが、今年9月に同製品の後継機種が登場している。

その後継機種とは 「MS-TW3」 。先代モデルは、1万円以内というお手頃価格でありながら高機能・高音質を実現したハイコストパフォーマンスを誇る完全ワイヤレスイヤホンだったが、今回紹介するMS-TW3は後継機種とは言いながらも製品デザインをゼロから見直した完全新型モデル。音質から機能面に至るまであらゆる面でブラッシュアップが行われている。

発売からすでに1ヶ月近く経っている本製品だが、発売以降、筆者はMS-TW3をじっくりテストさせていただいたため、当レビュー記事ではその使用感などを詳しく紹介したいと思う。

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イヤホンやバッテリーケースのデザインをチェック

早速、MS-TW3の製品デザインをチェックしていこう。上記画像はイヤホンを入れて持ち運ぶ、あるいは充電するためのバッテリーケース。

ケース表面は光沢がないマットな仕上がりになっていて、サラサラとした手触り。指紋や細かいスリ傷などがつきづらくなっている。

バッテリーケースの大きさは一般的な石鹸よりもひと回り小さいくらいで、完全ワイヤレスイヤホンの中では平均的かちょっぴり大きめ。AppleのAirPodsに比べると少し大きく感じられるものの、カバンやジーンズのポケットに入れたときに邪魔になるほどの大きさではないので持ち運びに困ることはないだろう。

バッテリーケースを開けると中にイヤホンが収められている。イヤホンは穴のかたちに沿うように斜め手前に引っ張ればスムーズに取り出すことが可能だ。

イヤホンの形状はカナル型で、耳穴の奥までググッと押し込めるようなロングノズル式が採用されている。この形状のおかげでフィット感はかなりしっかりとしていて、多少首を振ったりしてもイヤホンがポロっと落ちることはほとんどなかった。

また、カナル型と3Dロングノズルのおかげで外の音を高いレベルでシャットアウト。さらにイヤホンがガッチリ固定されるため、イヤホンが放つ音が鼓膜にダイレクトに伝わる感覚もある。前モデルから音質は大幅に向上しているが、その改善の要因にはボディ形状の改良もあるようだ。

ちなみに、MS-TW3には標準のイヤーチップのほかにSpinFitイヤーピースというものも付属してくる。このSpinFitイヤーピースは標準イヤーチップに比べて高い遮音性を実現しており、さらに伸びやかな高音を表現するのにも長けている。

筆者はどちらかというとSpinFitイヤーピースの方が好みではあったのだが、個人差があるとは思うので、用途や音質の好みに合わせて、どちらのイヤーピースにするか検討していただきたい。

上記画像は実際にイヤホンを耳につけたときの様子。イヤホンは耳からはみ出すことがなく、すっぽりと耳の内側に収まるようになっているため、見た目はかなりスマートだ。

イヤホン外側にある “円” は 「タップサークル」 と呼ばれるタッチセンサーになっていて、この部分を指でタップすることで音楽の再生・停止など様々な操作ができるようになっている。

物理式ボタンではないため慣れるまでちょっぴり時間を要するかもしれないが、一度慣れてしまえばわざわざスマートフォンを取り出して操作する必要がなくとても便利。むしろ物理ボタンだと耳の中にイヤホンを押し込み痛くなることがあるため、筆者は個人的にタッチセンサーの方が好みだ。

タップサークルでできる操作は以下のとおり。

操作 L R
音楽再生時・通話時 音量アップ 1回タップ
音量ダウン 1回タップ
音楽再生時 再生 1回タップ 1回タップ
停止 2回連続タップ 2回連続タップ
曲送り 長押し
曲戻し 長押し
通話時 通話を受ける 1回タップ 1回タップ
通話終了 長押し 長押し
着信拒否 長押し 長押し
iPhone Siriの起動 3回連続タップ 3回連続タップ

ちなみにこの手のイヤホンはスマートフォンとのペアリングが面倒だったりするが、MS-TW3のペアリングはとても簡単で、左右のイヤホンをバッテリーケースから取り出した状態で、左側イヤホンのタップサークルを3回タップ。

すると青色と白色のLEDが高速で点滅するため、その状態でスマートフォン側から 「MS-TW3-L」 を選択。あとはスマートフォンのペアリングを要求するポップアップが表示されるため、「ペアリング」 を選択するだけで接続設定が完了する。

一回ペアリングを完了してしまえば、あとはバッテリーケースから取り出すだけでスマートフォンに自動的に接続される仕組みになっている。

以下は同梱物。

ちなみにバッテリーケースおよびイヤホンに不満な点はほとんどないが、あるとすれば充電コネクタがmicroUSBだったこと。最近ではUSB-Cコネクタを採用している製品が徐々に多くなっているため、もし同じようにUSB-Cコネクタになっていたら、他製品との親和性も高くなったのではないかと感じている。

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新開発ドライバーなどにより良質なサウンドを実現

ここからはイヤホンの最重要ポイントである 「音質」 についてだ。まず結論から言うと、MS-TW3の音質は1万円台の製品といえども侮ることができない。Qualcommの最新チップや新開発のドライバーを搭載したことで、先代モデルから比べてもさらなる飛躍を遂げている。

MS-TW3には2層構造の複合振動板を使用した新開発の5.9φダイナミックドライバーが搭載されていて、深みのある低音やクリアな中高音を再現。さらにHDSS(歪みや濁りがない自然な音を実現する技術)のための音響モジュールも搭載されていて、原音に忠実な音を鳴らしてくれる。

実際に聴いてみると確かに中高音のクリアさが際立っており、さらに豊かな低音のおかげで気持ちの良いサウンドに仕上がっている。遮音性の良さも相まって、今聴いている音楽にどっぷりと浸かることができるはずだ。

ここからはかなり個人な感想になるが、ややヘビーで冷たいロックサウンドやアグレッシブな疾走感のあるダンスサウンドとの相性が良いように感じた。筆者はよくU2の音楽を聴くのだが、もし彼らの楽曲に限定するのであれば 「Elevation」 や 「Who’s Gonna Ride Your Wild Horse」 「Lemon」 「Beautiful Day」 あたりをぜひMS-TW3で聞いてみていただきたい。

ちなみに、デザインの部分でも少し触れたのだが、標準イヤーピースとSpinFitイヤーピースでは微妙に音質が異なる。遮音性もSpinFitイヤーピースの方が高くなっているため、それぞれの好みに合わせて自由にイヤーピースを変更して使っていただきたい。

また、音質からは少し離れてしまうのだが、MS-TW3は音声の遅延もかなり抑えられている。これはQualcommの最新SoCの採用によって実現されたもので、YouTubeなどでの動画の視聴やゲームプレイなどにおいてもかなり快適に使うことが可能だ。

最大60時間と驚異のバッテリー持ち

音質だけでなくバッテリー持ちにも注目してほしい。

MS-TW3は大容量のバッテリーを搭載、さらに最新のBluetooth Low Energy (LE) を搭載したおかげで最大10時間の駆動が可能になっている。さらにバッテリーケースで適宜充電することで最大60時間の駆動が可能だ。

AirPodsがイヤホン単体で最大5時間、バッテリーケース併用で24時間であることを考えたら、MS-TW3のバッテリー駆動はかなり良いことがお分りいただけると思う。

参考までに、他の完全ワイヤレスイヤホンと比較すると、Powerbeats Proはイヤホン単体で最大9時間、バッテリーケース併用で24時間。Jaybird VISTAはイヤホン単体で6時間、バッテリーケース併用で16時間。SONYのWF-1000XM3はイヤホン単体で8時間、バッテリーケース併用で32時間(ノイズキャンセリングOFFで)。MS-TW3のバッテリー持ちが際立つ結果に。

各イヤホンのバッテリー持ち
製品名 イヤホン単体 バッテリーケース併用時
AirPods 最大5時間 最大24時間
Jaybird VISTA 最大6時間 最大16時間
WF-1000XM3 最大8時間 最大32時間
Powerbeats Pro 最大9時間 最大24時間
MS-TW3 最大10時間 最大60時間

これほど長い駆動が可能であればバッテリー切れに困ることはそうないだろう。旅行・出張先に持っていったとしても、自宅に帰る頃までバッテリーが持つことも十分にありえるため、バッテリー残量に煩わされたくない方にぜひ本製品をオススメしたい。

ちなみにバッテリーケースに残っているバッテリー残量については、ケースに充電ケーブルを接続したとき、あるいはイヤホンを中に収納したときのLEDの点滅の仕方でわかるようになっている。

バッテリー残量が75~100%のときは青色LEDが4回点滅し、50~75%のときは3回点滅。0~5%のときは青色LEDが高速点滅するようになっている。イヤホン自体のバッテリー残量は接続したスマートフォンから確認することが可能だ。

電池残量 LED表示
0 〜 5% 青LEDが高速点滅
5 〜 25% 青LEDが1回点滅
25 〜 50% 青LEDが2回点滅
50 〜 75% 青LEDが3回点滅
75 〜 100% 青LEDが4回点滅

落下・水没による故障リスクを低減、保証サービスもあり

完全ワイヤレスイヤホンには、「落下」 「水没」 といった危険性が常につきまとうが、MS-TW3はそれらの危険から”守る” 機能と、万が一故障してしまった際の “安心サービス” が付随する。

まずは耐衝撃性について。MS-TW3はMIL規格準拠 (ミリタリーグレード) の落下試験をクリアしているほか、耐衝撃性に優れたボタン式電池の採用により、落下時の衝撃によるイヤホンが故障するリスクを低減している。

筆者は特に付け外しの際にイヤホンを落とすことが多いのだが、この場合1メートル以上の高さからイヤホンを落下させることになるため、コンクリートなどの硬い場所だと運が悪ければ破損してしまう可能性は十分にあるだろう。その確率を少しでも減らせるとなれば、MS-TW3は他のイヤホンよりも安心して使えるのではないだろうか。

次に防水性能について。MS-TW3はIPX7相当の防水性能を備えており、雨や汗による水没を防いでくれる。水で丸洗いすることもできるため、イヤホンを常にキレイな状態で保つことも可能 (イヤホンのみ)。

雨の日には水没を恐れてイヤホンをカバンにしまったままにする人もいるとは思うが、MS-TW3を使うならその心配は無用。晴れの日だろうと雨の日だろうと、いつでも同じように音楽を楽しむことができる。ちなみに筆者はこの1ヶ月間、同イヤホンを使ったあと、よく洗面台でジャブジャブ洗っていたがそれでもピンピンと元気だ。

これほどの耐衝撃性・防水性を備えているならほぼ故障する心配はないのかもしれないが、それでも万が一が起こった場合に備えてMS-TW3には 「あんしん保証サービス」 というものがついている。

同サービスは、保証の期間内(購入後1年間)であれば故障したイヤホンもしくは充電ケースを特別価格で購入できるというもの。もちろん故障だけでなく紛失した場合にも同じ価格で購入することが可能だ。

特別価格はイヤホンが片耳4,000円、充電ケースが3,000円 (いずれも税込) 。製品ごと買い換えるよりもはるかにお得だ。何かあったときには頼らせてもらおう。

まとめ:コスパの良さは変わらず。音質が強化された最新モデル

MS-TW3は1万円台という価格帯の製品にも関わらず、音質・装着感ともにグッドで使用感は非常によく、さらに破損・故障の心配が限りなく少ない安心・安全設計で、文句ナシの性能だ。

イヤホン単体で10時間、バッテリーケース併用で最大60時間という驚異的な駆動時間も実現しており、ケチをつける ”隙” すらない優秀なイヤホンと言える。

もしこれ以上の性能を求めるとすれば、やはりさらなる音質と装着感だが、それらは1万円台のイヤホンでは得られない領域。

そういう意味では、MS-TW3は1万円台のイヤホンとしては十分に購入候補に名を連ねる製品だ。これまでM-SOUNDSはコストパフォーマンスに優れた製品づくりをしてきたが、MS-TW3はそれを引き続き実現した名機。もし1万台の完全ワイヤレスイヤホンを探しているのであれば、ぜひMS-TW3の購入を視野に入れていただきたいと思う。

ちなみにMS-TW3は、ホワイトとブラックの2色展開がなされている。今回筆者が入手したのはホワイトモデル。ブラックモデルの場合はイヤホンだけでなくケースもブラックになるため、黒いイヤホンが欲しい方はぜひブラックモデルを選んでいただきたい。

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