
RGS株式会社は8月3日、生成AIの業務利用に伴う情報漏洩リスクへ対応する新ソリューション「SecureGo」を発売した。
企業が生成AIを安心して業務へ取り入れられるよう、情報漏洩対策と社員教育を組み合わせたサービスだ。同日、都内で開かれた発表会にはブランドアンバサダーに就任した柔道金メダリストの角田夏実さんも登壇し、自身の経験を交えながら「守り」の大切さを語った。
「安心して使えるサービスが見当たらなかった」ことが開発の出発点
RGSは、「日本の効率化社会への貢献」を掲げるIT企業だ。2012年の創業以来、銀行や年金システムなど、日本の社会インフラを支える大規模システムの開発に携わってきた。
代表取締役の余澤洋平氏は、中国・湖北省の農村部で生まれ、高校時代にテレビで見た東京の夜景に憧れて来日したという。以来30年以上にわたり日本向けのITシステム開発に携わり、香港での上場経験も持つ。自身が理想とする「社会課題を解決できる会社」を実現するため、2012年にRGSを創業した。
同社は金融・社会インフラ分野のシステム開発に加え、開発現場の効率化を支援する自社製品にも力を入れている。ソフトウェアテスト自動化ツール「AT-1」や、COBOLなどで構築されたレガシーシステムをJavaへ変換する「CopelarGo(コペラルゴー)」などを展開してきた。
金融系システム開発で求められる高い品質基準と、自動化技術を組み合わせてきたことが同社の強みだ。「SecureGo」も、そうした技術や現場経験を背景に生まれた製品となる。
生成AIは業務効率を高める一方で、会社の管理を通さず社員がAIサービスを利用する「シャドーAI」が新たな課題になっている。RGSによると、国内企業の約55%が業務で生成AIを活用している一方、機密情報が意図せずAIへ入力されるリスクも高まっているという。IPA(情報処理推進機構)が公表した2026年度の「情報セキュリティ10大脅威」でも、AI利用に関するリスクが3位に入り、企業にとって無視できない課題となっている。
RGSが「SecureGo」の開発に着手したキッカケも、こうした現場の課題だった。同社自身が生成AIの活用を検討するなかで、求めるセキュリティ水準を満たしながら安心して利用できるサービスが市場に見当たらなかったという。「自分たちが安心して使えるものを作ろう」という考えが、製品開発の出発点になった。
「SecureGo」はWindowsとmacOSに対応し、クラウド版とオンプレミス版を提供する。AIへ入力される内容を214種類のルールに基づいてリアルタイムで監視し、氏名やマイナンバーなどの機密情報を検知すると送信を制御する。
発表会ではデモも行われた。機密情報を含む文章を生成AIへ送信しようとすると、システムが即座に検知。送信を止めるだけでなく、必要に応じて該当部分を自動で伏せ字にする「マスク処理」を行い、安全な状態にしたうえで送信できる様子が披露された。
AIの利用そのものを制限するのではなく、業務への影響を抑えながら情報漏洩を防ぐことを重視している。
さらに、端末管理やログ収集・分析、情報漏洩対策など、これまで複数の製品で対応することが多かった機能を1つのサービスにまとめた。管理や運用にかかる負担を減らせる点も導入企業にとって利点となる。
システムと教育の両面からAI活用を支援
「SecureGo」は、情報漏洩を防ぐ仕組みに加えて社員教育も組み込んでいる。
システムは日々の操作ログを分析し、部署や個人ごとの情報管理の傾向や注意点を把握。その結果に応じて、それぞれに適した教育コンテンツを配信するほか、標的型メールを想定した訓練も個別に実施できる。システムによる対策と社員教育を組み合わせることで、組織全体のセキュリティ意識向上を目指す。
また、2026年度末から施行予定の「SCS評価制度(サプライチェーン・サイバーセキュリティ評価制度)」への対応も進める。企業には取引先へセキュリティ対策の状況を説明する機会が増えると見込まれており、「SecureGo」はAI利用状況や対策内容を可視化し、その説明を支援する役割も担う。
価格は初期費用が10万円から。「防御・検知」機能は1端末あたり月額1,000円から、「教育」機能は1ユーザーあたり月額1,000円からとなる。中小企業でも導入しやすい価格帯とし、RGSは初年度100社、1万ライセンスの導入を目標に掲げる。
発表会にはブランドアンバサダーに就任した角田夏実さんが登壇した。角田さんは、ショッピングサイトを装ったフィッシング詐欺でクレジットカード情報を盗まれた経験を紹介。当時は、会社名が本物と「1文字だけ違う」ことに気付かず、「この会社だろう」と思い込んで情報を入力してしまったと振り返った。
「どれだけ気を付けていても、人はうっかりミスをしてしまうことがある。個人でも精神的な負担は大きく、企業ならさらに大きな被害につながる」と話し、人の注意だけに頼らずシステムで支える仕組みの必要性に理解を示した。
角田さんはまた、「一人でも多くの方が笑顔になれる活動をしていきたい」とアンバサダー就任への抱負を語った。今後は柔道の普及活動に力を入れたい考えを明かしたほか、選手としてではなく応援する立場でアジア競技大会を盛り上げたいこと、ドラマ出演など新しい分野にも挑戦したい意向を示した。
RGSは「SecureGo」を通じて、生成AI時代の情報漏洩対策を支援するとともに、金融システム開発で培ったセキュリティの知見を生かし、日本企業が安心して最新技術を活用できる環境づくりを目指していく。
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