
Nothing Japanは10月20日、新型スマートフォン「Nothing Phone (4b)」を日本国内で発売すると発表した。予約受付は10月24日に始まり、発売日は10月27日。メモリ8GB、ストレージ128GBのモデルを5万9,800円(税込)で販売する。
スマートフォンの価格が上昇するなか、ミドルレンジクラスでありながらも6万円を切る価格で購入できる点で本製品はかなり魅力的だ。6.77インチの有機ELディスプレイやQualcommの「Snapdragon 6 Gen 4」を搭載し、FeliCaにも対応。Nothingらしい個性的なデザインと独自のソフトウェアも楽しめる。
今回、日本向けモデルを発売に先駆けて試用する機会を得た。使ってみて感じたのは、最上位モデルのような高性能を追求するのではなく、普段使いの快適さとデザインの個性を手頃な価格で両立させようとしていること。一方で、カメラの構成や充電速度など、価格を抑えるための割り切りもある。実際の使い勝手と仕様の両面から、5万9,800円という価格に見合うスマートフォンなのかを見ていきたい。
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NothingらしいデザインとGlyph Barが魅力。普段使いで気になる操作感もチェック
「Nothing Phone (4b)」は、Nothingの「b」シリーズとして初めて登場したスマートフォンだ。海外では2026年7月7日に発表され、同月17日から英国や欧州、インドなどで販売が始まっていた。今回、海外での発売から約3カ月を経て、日本でも正式に販売されることになった。
本体サイズは164.4×78.2×8.6mm、重量は約210g。前面にはガラス、フレームと背面にはプラスチックを採用する。カラーはホワイト、ブラック、ブルーの3色で、ブルーは楽天モバイル限定モデルとなる。
まず目を引くのは、背面のデザイン。Nothingのスマートフォンらしく、内部構造を思わせるパーツを見せながら、全体をスッキリとまとめている。最近のスマートフォンは、背面のカメラ部分を除けば似たようなデザインになりがちだが、本製品はひと目でNothingの製品だとわかる個性がある。
背面には「Glyph Bar」と呼ばれるLEDライトも搭載する。着信や通知を光で知らせるほか、充電状況やタイマーなどの情報を表示できる。スマートフォンを伏せて置いているときにも、画面を点灯させずに状態を確認できる仕組みだ。対応アプリでは配送状況なども光で知らせてくれる。
ディスプレイには、6.77インチのSuper AMOLED(有機EL)パネルを採用する。解像度は2,344×1,080ピクセル、画素密度は約381ppi。最大120Hzのリフレッシュレートに対応し、ピーク輝度は最大2,000ニト。HDR10+にも対応する。
6.77インチというサイズは、ウェブサイトを読んだり、動画を視聴したりする用途に向いている。画面が大きいぶん、一度に表示できる情報量も確保しやすい。120Hzのリフレッシュレートにも対応しているため、スクロールや画面の切り替えを滑らかに表示できる点も魅力だ。
一方、大画面のスマートフォンは本体も大きくなりやすい。幅は78.2mmあり、片手で画面の隅々まで操作するには手の大きさによって難しさを感じることもある。画面の広さを優先するか、片手での扱いやすさを重視するかは、購入前に考えておきたいところだ。
本体左側面には「Essentialキー」を備える。AI関連の機能を呼び出すためのボタンで、情報を整理・保存する「Essential Space」や、必要な情報を探す「Essential検索」などを利用できる。
Essential Spaceは、スクリーンショットやメモなど、あとで見返したい情報をまとめて管理するための機能だ。気になった情報を保存しておき、必要なときに振り返るといった使い方を想定している。AIを活用した情報整理や音声メモにも対応するため、ウェブで見つけた情報や思いついたアイデアを記録する習慣がある人には便利な機能になりそうだ。
SoCには、Qualcommの「Snapdragon 6 Gen 4」を採用する。4nmプロセスで製造されたチップセットで、メモリは8GB、ストレージは128GB。海外では256GBモデルも用意されているが、日本向けモデルは8GB+128GB構成となる。microSDカードによるストレージ拡張には対応しない。
SNSやウェブサイトの閲覧、動画視聴、メッセージのやり取りといった日常的な用途を中心に使うのであれば、こうした使い方に対応できる性能を備えている。最上位クラスのスマートフォンと同じ処理性能を求める製品ではないが、スマートフォンで行うことの大半が日常的なアプリの利用であれば、必ずしも最高性能が必要になるわけではない。
気になるのは、ゲームなど負荷の高い用途での使い方だ。高い描画性能を必要とするゲームでは、タイトルや設定によって動作に差が出る可能性がある。ゲームを快適に遊ぶことを最優先するなら、より高性能なチップセットを搭載するモデルも比較したい。
参考として、HoYoverseのアクションゲーム『ゼンレスゾーンゼロ』をプレイしてみたところ、探索シーンではおよそ30〜50fpsで動作していたが、戦闘シーンではマックスで40fpsまで落ちていたことから、この手の高画質タイトルでは中画質程度で楽しむ感じになるだろう。
カメラは、背面に約5,000万画素のメインカメラと約800万画素の超広角カメラを搭載する。メインカメラは光学式手ブレ補正(OIS)に対応し、前面には約1,600万画素のカメラを備える。画像処理には「TrueLens Engine 4」を採用し、ソフトウェア処理を組み合わせて写真を仕上げる。背面のメインカメラでは4K/30fpsの動画撮影にも対応する。
超広角カメラは、風景や建物、複数人での集合写真など、広い範囲を収めたい場面で活用できる。スマートフォンのカメラでは、メインカメラだけでなく、撮影する場面に応じて画角を切り替えられることも大切だ。
動画撮影では、背面カメラと前面カメラを同時に使う「デュアルビデオ」に対応する。前後のカメラで撮影した映像を別々のファイルにするのではなく、1つの動画にまとめて記録する仕組みで、撮影者自身の表情や反応も映像に収められるため、旅行やイベントの記録、SNS向けの動画制作などに使える。
ただし、カメラ構成には明確な割り切りもある。光学望遠カメラを搭載していないため、遠くの被写体を大きく写す場合はデジタルズームに頼ることになる。特に、遠くの人物やステージ上の被写体を撮る機会が多い人は、望遠カメラを備えたモデルとの差が気になるかもしれない。
通信機能は5G、Wi-Fi 6、Bluetooth 6.0などをサポートする。SIMはデュアルNano-SIMに対応し、画面内光学式指紋認証も備える。日本向けモデルはFeliCaにも対応しており、対応する電子マネーや交通系ICサービスなどを利用できる。
防塵・防水性能はIP64等級で、粉じんの侵入を防ぎ、水の飛まつにも耐えられる仕様だ。ただし、水没に耐えられることを示すものではないため水辺などでの使用には注意したい。また、ステレオスピーカーを搭載する一方、3.5mmヘッドホン端子は備えていない。有線イヤホンを使う場合は、USB Type-C接続などの方法が必要になる。
バッテリー容量は5,200mAh。メーカー公称の駆動時間は、通話が最大46時間、音楽再生が最大34時間、動画再生が最大22時間となっている。実際の駆動時間は画面の明るさや通信状況、利用するアプリなどによって変わるが、5,000mAhもあれば少なくとも半日から1日は十分に駆動できるだろう。
有線充電は最大33Wに対応し、メーカーによれば約30分でバッテリー残量を50%まで回復できる。最大7.5Wのリバース有線充電にも対応しており、ケーブルで接続した対応機器に給電できる。一方、ワイヤレス充電には対応しない。
OSにはAndroid 16をベースとした「Nothing OS 4.1」を搭載する。アイコンやウィジェットなどにもNothing独自の世界観が反映されており、ハードウェアだけでなくソフトウェアにも個性を求めるユーザーに向けた仕上がりだ。OSのアップデートは3年間、セキュリティアップデートは6年間提供する予定となっている。
日常使いは快適、ゲームやカメラは価格相応。使ってわかった実力
「Nothing Phone (4b)」の価格は5万9,800円(税込)。6.77インチの有機ELディスプレイ、Snapdragon 6 Gen 4、5,200mAhのバッテリーを備え、日本向けモデルではFeliCaにも対応する。NothingらしいデザインやGlyph Bar、Essential Spaceといった独自機能も楽しめる。
スマートフォンは毎日触れる製品だからこそ、処理性能やカメラの仕様だけでなく、画面や筐体のデザイン、操作の感触も使い続けるうえで大切になる。「Nothing Phone (4b)」は、独自のデザインやGlyph Barに加え、OSにもブランドらしさが表れている。こうした個性に魅力を感じる人なら、一般的なデザインのスマートフォンとは違った楽しみ方ができるはずだ。
もちろん、光学望遠カメラを搭載していないことや、128GBのストレージ容量など、購入前に確認しておきたい点はある。カメラのズーム性能やゲームの処理性能を重視する人にとっては、ほかのモデルも比較する価値があるだろう。
同価格帯のスマートフォンとしては、「Samsung Galaxy A37 5G」「Samsung Galaxy A57 5G」「Google Pixel 9a」などがある。特に「Galaxy A57 5G」や「Pixel 9a」はミドルハイ寄りのモデルで、これらと比べても「Nothing Phone (4b)」は1万円近く安い。
約6万円でFeliCaに対応したスマートフォンを購入でき、デザインにも個性を求められるのは、本製品の大きな魅力だ。ハイエンドモデルのような性能をすべて求めるのではなく、SNSやウェブ閲覧、動画視聴といった日常的な用途を快適にこなしながら、スマートフォンの見た目にもこだわりたい。そんな人にとって、「Nothing Phone (4b)」は有力な候補になるだろう。
