
ASUS JAPANは10月16日、ゲーミングブランド「ROG(Republic of Gamers)」の20周年を記念したポータブルゲーミングPC「ROG XBOX Ally X20」を発売する。価格は25万8,800円(税込)。
本製品は、MicrosoftとASUSが共同で展開するハンドヘルドPC「ROG Xbox Ally X」をベースに、ディスプレイや操作系を改良した特別モデルだ。AMDの「Ryzen AI Z2 Extreme」、24GBメモリ、1TB SSD、80Whバッテリーといった基本構成は従来モデルを引き継いでおり、ゲームの処理性能が大幅に向上したわけではない。
その代わり、ディスプレイにはシリーズ初となる有機EL(OLED)パネルを採用し、ジョイスティックにはTMR方式のセンサーを導入。さらに、4方向と8方向を切り替えられるDパッドを搭載するなど、映像の美しさや操作のしやすさに関わる部分が進化している。
外観も20周年記念モデルにふさわしい特別な仕上がりだ。半透明のブラック筐体にゴールドのアクセントを組み合わせ、2000年代のゲーム機を思わせるデザインにまとめている。
価格は25万円を超えるため、気軽に手を出せる製品とは言いにくい。それでも、携帯型ゲーム機としての使い勝手を左右する画面や操作系に手が加えられたことで、従来モデルとは異なる魅力が生まれている。
今回は「ROG XBOX Ally X20」の実機を詳しくチェックし、外観や操作感、ゲームプレイ時の使い勝手を中心にレビューする。基本性能が共通する従来モデル「ROG Xbox Ally X」との違いにも触れながら、25万8,800円を支払って選ぶ価値があるのかを考えていきたい。
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ROGブランド20周年を記念した特別モデル。外観だけでなく画面と操作系も進化

「ROG XBOX Ally X20」を理解するうえで押さえておきたいのが、ASUSのゲーミングブランド「ROG」が2026年に誕生20周年を迎えたという背景だ。
ROGは2006年に発足し、マザーボードやグラフィックスカード、ゲーミングノートPC、周辺機器など、幅広い製品を展開してきた。高性能なハードウェアに加え、ゲームを快適に楽しむための機能やデザインにも力を入れており、同社のゲーミング製品を象徴するブランドとなっている。
今回の「ROG XBOX Ally X20」は、その節目に合わせて開発された記念モデルだ。ベースとなっているのは、2025年に登場した「ROG Xbox Ally X」。MicrosoftとASUSが協力して開発したハンドヘルドPCで、Windows PCとしての自由度を保ちながら、Xboxのような感覚でゲームを楽しめるよう設計されている。
本体を起動してゲームを選び、コントローラーに近いグリップを握ってプレイする。そんなコンソールゲーム機に近い体験を、持ち運べるサイズのWindows PCで実現しようというのが、Allyシリーズの狙いだ。
「ROG XBOX Ally X20」も、この基本的な考え方を受け継いでいる。Windows 11を搭載しているため、Xboxのゲームだけでなく、SteamなどのPCゲームプラットフォームも利用できる。ゲームを楽しむための専用機として使えるのはもちろん、必要に応じてデスクトップ画面に切り替え、一般的なWindows PCとして活用することも可能だ。
- OS:Windows 11 Home 64ビット
- プロセッサ:AMD Ryzen AI Z2 Extreme(8コア/16スレッド、最大5.0GHz、NPU最大50 TOPS)
- メモリ:24GB LPDDR5X-8000(オンボード)
- ストレージ:1TB PCIe 4.0 x4 NVMe/M.2 SSD(M.2 2280)
- 外部ストレージ:microSDカードスロット(microSD/microSDHC/microSDXC対応)
- ディスプレイ:7.4型OLED(有機EL)、1,920×1,080ドット、最大120Hz、タッチパネル対応
- ディスプレイ表面:グレア、Corning Gorilla Glass Victus
- ディスプレイ機能・対応規格:VESA DisplayHDR 1000、Dolby Vision
- 輝度:最大1,400ニト
- バッテリー:80Wh(リチウムポリマー、4セル)
- バッテリー駆動時間(JEITA 3.0):動画再生時 約14.0時間/アイドル時 約25.7時間
- 無線通信:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax(Wi-Fi 6E)、Bluetooth 5.4
- インターフェース:
- USB4(USB Type-C、Power Delivery対応)×1
- USB 3.2 Gen 2(USB Type-C、Power Delivery対応)×1
- マイク/ヘッドホン/ヘッドセット・コンボジャック×1
- 生体認証:指紋認証(電源ボタン一体型)
- サイズ:幅300.0×奥行き121.0×高さ27.5~51.3mm(突起部除く)
- 重量:約756g
では、従来モデルから何が変わったのか。
まず目に入るのは、半透明のブラック筐体とゴールドのアクセントだ。内部構造が透けて見えるデザインは、2000年代のゲーム機や周辺機器を思わせる。背面には20周年記念ロゴが刻印されており、通常モデルとは異なる特別感を演出している。
ただし、外観の変更だけで終わっていないところが本製品のポイント。従来の7インチIPS液晶から7.4インチOLEDへとディスプレイが変更され、ジョイスティックにはTMR方式のセンサーが採用された。Dパッドも4方向と8方向を切り替えられる構造になっている。
いずれも、ゲームをプレイするときに違いを感じやすい部分だ。画面の発色やコントラストが向上すれば、ゲームの世界に入り込みやすくなる。スティックの入力精度が高まり、Dパッドの使い分けができるようになれば、ゲームジャンルに応じた操作もしやすくなる。
一方、SoCには従来モデルと同じAMDの「Ryzen AI Z2 Extreme」を搭載し、メモリは24GB、ストレージは1TB SSD、バッテリー容量は80Whとなっている。ゲームを動かすための基本的な処理能力は共通しているため、買い替えによってフレームレートが劇的に向上することを期待する製品ではない。
言い換えれば、すでに「ROG Xbox Ally X」を使っている人にとっては、画面や操作感にどれだけ価値を感じるかが購入を判断するポイントになる。これからハンドヘルドPCを購入する人なら、最初から高品質なディスプレイと改良された操作系を備えたモデルを選ぶメリットがある。
7.4インチOLEDで映像表現が向上。最大1,400ニトの高輝度にも対応

ディスプレイは、Allyシリーズとして初めて有機EL(OLED)パネルを採用した。画面サイズは従来の7インチから7.4インチへと拡大し、解像度は1,920×1,080ドット、リフレッシュレートは最大120Hzに対応する。
OLEDは、画素そのものが発光する仕組みを採用している。液晶パネルのようにバックライトを必要としないため、黒い部分の画素を消灯させることで、深みのある黒を表現できる。暗い場所が多いホラーゲームや、明暗差を生かした映像演出の多いタイトルでは、その違いがわかりやすい。
また、色の鮮やかさやコントラストにも優れており、ゲーム内の風景やキャラクターの色彩をより豊かに楽しめる。画面サイズも少し大きくなっているため、携帯型ゲーム機としての見やすさも向上している。
輝度はピーク時で最大1,400ニトに達し、「VESA DisplayHDR 1000」と「Dolby Vision」に対応する。HDR対応ゲームでは、明るい光源や暗い影の表現に幅が生まれ、映像の立体感を感じやすくなる。
もちろん、ピーク輝度は常に画面全体で維持される数値ではないため、実際の明るさは表示する映像や動作条件によって変わるが、小型ディスプレイでHDR映像を楽しむうえで有利な仕様といえる。
さらに、画面上部のベゼル幅は従来モデルから約60%縮小された。画面サイズの拡大とベゼルの縮小が組み合わさり、正面から見たときの画面占有率も高まっている。
携帯型ゲーム機では、本体を顔に近づけてプレイすることも多い。わずかな画面サイズの違いでも、文字の読みやすさやゲーム内の細かな表示の見やすさに影響するため、こうした変更は実用面でも意味があると言えるだろう。
OLEDパネルは発熱への配慮も必要になることから、内部の冷却システムも再設計されている。従来モデルから受け継いだ高性能なSoCを安定して動作させながら、画面の変更にも対応する構成となっている。
TMRジョイスティックと可変式Dパッドで操作性を強化

今回の「X20」では、操作系にも手が加えられている。
アナログスティックには、TMR(トンネル磁気抵抗)方式のセンサーを採用している。一般的な接触式センサーとは異なり、磁気を利用してスティックの位置を検出する仕組みで、物理的な接触に伴う摩耗を抑えやすい。
従来の「ROG Xbox Ally X」では一般的なアナログスティックを採用していたが、「ROG XBOX Ally X20」ではTMR方式に変更された。長く使い続けた際に問題となりやすいドリフト現象への耐性を高め、入力の安定性を狙った仕様だ。
また、スティック操作時の消費電力を約75%削減したとされる。消費電力の低減は、携帯型ゲーム機のようにバッテリー駆動を前提とする製品にとっても利点となる。

もうひとつの変更点が可変式のDパッド。一般的な十字キーは、上下左右の4方向を基本の入力とするが、格闘ゲームなどでは斜め方向への入力が重要になることも多く、8方向の入力を正確に行えるかどうかが操作性を左右する。
そこで「ROG XBOX Ally X20」のDパッドは、指で持ち上げてクルリと回すだけでパーツ交換不要で4方向と8方向を切り替えられるように。ゲームの種類やプレイスタイルにあわせて使い分けられるため、幅広いジャンルを遊ぶ人にはうれしい仕様だ。
こうした改良に加え、グリップの形状についても見直されている。従来モデルから受け継いだXBOXコントローラーに近い握り心地を保ちながら、より持ちやすい形状を目指した。
本体重量は約756g。従来モデルの約715gから若干増加しているため、個人的にはさほど違いは感じなかったものの、携帯性を最優先する人にとっては気になるところかもしれない。
半透明ブラックとゴールドが映える記念モデルらしいデザイン

「ROG XBOX Ally X20」を手に取って、まず目を引くのはやはり半透明のブラック筐体だ。
近年のゲーム機やPC周辺機器は、落ち着いたブラックやホワイトを基調とした製品が多い。そんな中、内部の構造を透かして見せるデザインは、どこか懐かしさを感じさせる。
2000年代には、ゲーム機や携帯型ゲーム機、コントローラーなどで透明・半透明の筐体を採用した製品が数多く登場した。内部の基板や部品が見えるデザインは、電子機器そのものへの興味をかき立てる要素でもあった。
本製品は、そうした時代の雰囲気を現代のハンドヘルドPCに取り入れている。さらにゴールドのアクセントを組み合わせることで、懐かしさだけでなく、20周年記念モデルらしい特別感も演出している。背面に刻まれた記念ロゴも、通常モデルとの違いをわかりやすく伝えるポイントだ。
半透明の筐体は、内部が見えること自体がデザインの一部になるため、一般的な単色のボディとは異なる表情を楽しめる。光の当たり方によっても見え方が変わり、机の上に置いても存在感がある。
もちろん、見た目の好みは人によって分かれる。シンプルなデザインを好む人には通常モデルのブラックのほうが馴染みやすいかもしれないが、ゲーミングデバイスらしい個性を求める人にとっては魅力的な仕上がりだ。

インターフェースはUSB Type-Cポート×2、microSDカードリーダー、3.5mmヘッドホンジャックを搭載し、いずれも本体上部にまとめられている。ケーブルを接続したままプレイするときにも、左右のグリップ周辺にケーブルが垂れ下がりにくい配置だ。
USB Type-Cポートのうち、左側はUSB4に対応し、もう一方はUSB 3.2に対応する。どちらもUSB Power Deliveryによる給電をサポートするため、充電しながらUSBハブなどの周辺機器を接続する使い方にも対応できる。
外部ディスプレイへの映像出力や、キーボード、マウスなどの接続にも対応しているため、自宅ではモニターと組み合わせて使うことも可能だ。
携帯型ゲーム機として持ち運ぶだけでなく、必要なときには周辺機器を接続して作業環境を整えられる。この柔軟さは、Windowsを搭載するハンドヘルドPCならではの魅力といえる。
Ryzen AI Z2 Extreme搭載。ゲーム性能は従来モデルから大きく変わらず

続いて、処理性能を確認していこう。
「ROG XBOX Ally X20」には、AMDの「Ryzen AI Z2 Extreme」を搭載する。CPUは8コア/16スレッド構成で、グラフィックスにはRadeonを採用。メモリは24GBのLPDDR5X-8000、ストレージはPCI Express 4.0 x4接続のNVMe SSDを1TB搭載している。
この構成は、従来の「ROG Xbox Ally X」と共通だ。そのため、同じ解像度や画質設定でゲームを動かした場合、従来モデルから大幅なフレームレートの向上を期待するのは難しい。
ただし、「Ryzen AI Z2 Extreme」自体は、携帯型ゲーム機として十分な処理能力を備えたSoCだ。ハンドヘルドPCでは、バッテリー容量や冷却能力、本体サイズなどの制約から、デスクトップPCと同じように高い消費電力を使い続けることは難しい。その条件下で、最新の3Dゲームを動かせるだけの性能を確保している点は評価できる。
たとえば『DOOM: The Dark Ages』はフルHD設定で60fps前後、『Gears of War: E-Day』や『バイオハザード レクイエム』は同じくフルHD設定で30〜45fps前後でプレイすることができた。もっと負荷の高いタイトルでは、画質を調整したり、解像度を下げたりする必要があるかもしれないが、これらのタイトルをフルHD設定でプレイする分には比較的ストレスなくプレイすることができた。
「ROG XBOX Ally X20」には、Windows 11のCopilot+ PC向け機能として提供される超解像技術「Auto SR」にも対応する。対応タイトルでは、低い解像度で描画した映像をAIで補完し、より高精細に見せることができる。こうした技術を活用すれば、描画負荷を抑えながら画質を保つことも狙えるだろう。
また、本体にはXBOXボタンを搭載し、コンソールゲーム機に近い操作でゲームを起動できる「XBOXモード」を利用できる。通常のWindowsデスクトップを経由せず、ゲームを中心とした画面からタイトルを選べるため、携帯型ゲーム機としての使い勝手にも配慮されている。
XBOXモードでは、通常起動時と比べてメモリ消費を約2GB削減できるとされる。ゲームに利用できるメモリの余裕が増えることで、動作の安定性やパフォーマンスの改善も期待できる。
もちろん、Windows PCとしての自由度も維持されている。XBOXのゲームだけでなく、Steamなどのゲームライブラリも利用できるため、すでにPCゲームを購入しているユーザーにとっても使いやすい構成だ。
価格は25万8,800円。従来モデルから買い替える価値はあるか

「ROG XBOX Ally X20」は、ROGブランドの20周年を記念した特別なハンドヘルドPCだ。半透明のブラック筐体にゴールドのアクセントを組み合わせたデザインに加え、OLEDディスプレイやTMRジョイスティック、可変式Dパッドなど、従来モデルから改良された部分も多い。ROGブランドのファンはもちろん、デザインや操作性にこだわるユーザーにとっても、魅力的な1台に仕上がっている。
なかでも注目したいのが、7.4インチのOLEDディスプレイだ。深みのある黒や鮮やかな色彩、高いコントラストによって、ゲームの世界をより美しく楽しめる。TMRジョイスティックや可変式Dパッドも、操作感や入力精度を重視するユーザーにはうれしい改良だろう。
ただし、AMD Ryzen AI Z2 Extremeや24GBメモリ、1TB SSDといった基本構成は「ROG Xbox Ally X」と共通しており、ゲームの処理性能が大幅に向上したわけではない。本体価格も25万円を超えるため、購入にあたっては、こうした改良にどれだけの価値を感じるかが判断のポイントになる。
すでに「ROG Xbox Ally X」を使っている人の場合、買い替えてもゲームの動作が劇的に改善することは期待しにくい。現在のディスプレイや操作感に不満がなければ、従来モデルを使い続けるのも十分に合理的な選択だ。一方、画面の美しさやスティックの操作感にこだわりがあり、そうした部分を改善したいと考えているなら、買い替えを検討する理由はあるハズだ。

