
名作アクションシリーズ「NINJA GAIDEN」が、長い沈黙を破り完全新作として帰ってくる。
10月21日に発売を控える『NINJA GAIDEN 4』は、Team NINJAとプラチナゲームズの共同開発により、現代のゲームシーンにふさわしい新たなアクション表現と、シリーズが築いてきた過激かつ硬派なゲーム性の融合を目指している。
主人公には、新たな世代の忍「ヤクモ」が登場。シリーズを象徴するリュウ・ハヤブサも重要な役割を担い、新たな「NINJA GAIDEN」を描く。
発売まで約2ヶ月半と迫るなか、都内にあるプラチナゲームズの開発拠点のひとつ「プラチナゲームズTOKYO」にて、本作のプレビューハンズオンイベントがメディア向けに開催され、『NINJA GAIDEN 4』を先行で遊ばせてもらうことができた。
また、同イベントでは本作のプロデューサー兼ディレクターの中尾裕治氏 (プラチナゲームズ) 、およびTeam NINJAの平山正和氏への合同インタビューも実施された。本稿は、『NINJA GAIDEN 4』がどのようにして開発されているのか、またどんな作品になっているのかをインタビューの内容とともにお伝えしたいと思う。
「NINJA GAIDEN」 の魂はそのままに。最新作で目指した「革新の忍道」
記者:
まず、「面白かった」というのが率直な感想で、同シリーズのファンとしてはそれが何より嬉しかったです。自分の感触としては、やはり『NINJA GAIDEN 2』をベースに作られているのかなと感じましたが、やはり意識されたのでしょうか?
プロデューサー兼ディレクターの中尾裕治氏 (プラチナゲームズ)氏:
はい、そうですね。『NINJA GAIDEN 2』はかなり意識しています。特に今回は、「絶技引導」が再び使えるようになったという点もあって、『NINJA GAIDEN 2』の持っていた良さはリスペクトしている部分が大きいです。
一方で、過去作をないがしろにするつもりはまったくなくて、『NINJA GAIDEN 3』の中で評価された点や、初代だからこそ良かった要素もしっかりと受け継いでいます。そのうえで、柱として据えているのが『NINJA GAIDEN 2』という感じですね。
記者:
おそらく『NINJA GAIDEN 4』を楽しみにしつつも、不安も感じていたファンは多かったと思います。というのも、「プラチナゲームズ色に染まってしまうのでは」という懸念があったからです。正直、私もそう思っていました。しかし実際にプレイしてみると、先ほどのお話にもあったように、シリーズの良さをしっかり取り込んだうえで、100%「NINJA GAIDEN」として成立していて、さらにその上にプラチナゲームズの強みが乗っていると感じました。このバランスに至るまでには、どのような議論ややり取りがあったのでしょうか?
Team NINJA 平山正和氏:
そうですね。バトルのサイクルについては、「滅却」や「絶技」といった「NINJA GAIDEN」の核となるシステムを、『NINJA GAIDEN 4』の中にどう落とし込むかという点で、何度も議論を重ねました。
「鵺の型」をはじめとする新キャラクターの要素も加わっていますが、それ単体で戦えるような仕組みにするのではなく、シリーズならではのバトルサイクルの中に自然に組み込む形を目指しました。ここはかなり重点的に詰めた部分です。
また、シリーズの特徴のひとつに「理不尽に感じるほど苛烈な状況でも、超忍としてのアクションで敵をさばく」という体験があると思っています。そうした体験を実現するため、ステージ中のバトルにおける敵の出現頻度やパターンといった、「苛烈さの演出」をどう構築するかという点についても、かなり綿密にやり取りしました。大きく言えば、この2点が重要なポイントでしたね。
中尾裕治氏:
平山さんの仰る通りですが、付け加えるなら、開発初期の段階で「NINJA GAIDEN」というゲーム自体がすでに完成された存在だったというのが大きな前提としてありました。
単に新しい要素を加えるだけでは、敵との絶妙な攻防のバランスが崩れてしまう可能性がありました。ですので、プラチナゲームズとしての要素をどうやって自然に「NINJA GAIDEN」の中に溶け込ませ、元々あったバランス感やバトルの苛烈さをどう維持するかという点には、特に気を遣いながらチューニングを進めました。
実際に触っていただければおわかりいただけたと思いますが、「鵺の型」があるからといって、従来の要素を意図的に弱くするような調整は一切していません。従来の良さはそのまましっかりと活かしつつ、「鵺の型」によって新たな攻略のきっかけを与える、そんな形で新旧の要素を融合させたことで、今のバランスに仕上がったと思っています。
記者:
13年ぶりとなるシリーズ最新作『NINJA GAIDEN 4』ですが、今回はTeam NINJAに加えてプラチナゲームズも開発に参加する新体制での制作となっています。プロジェクト発足から開発の進め方、そして今作における「軸」となる方向性はどのように決められたのでしょうか?
中尾裕治氏:
開発の母体はプラチナゲームズが担当していますが、Team NINJAさんとは週単位で密に連携しながら、ビルドの確認や調整を重ねる形で進めてきました。
プロジェクト当初、まず我々プラチナゲームズ側が主体となって「そもそも「NINJA GAIDEN」とは何か?」という部分を研究し、その上でTeam NINJAさんにアドバイスをいただきながら、「NINJA GAIDEN」という作品をどう再構築していくかを議論していきました。
13年ぶりの新作ということもあり、「新しい「NINJA GAIDEN」として、こういった要素を入れていきたい」という提案は初期の段階から行っており、そこからバランス面については実際に制作を進めながら、一緒に検討していくというスタイルで開発してきました。
一貫してブレていないのは、「しっかりと「NINJA GAIDEN」を作る」という点です。その核を固めながら、プロジェクトを進行させていったと思います。
平山正和氏:
10年以上ぶりの新作ということで、「NINJA GAIDEN」を再び世に出すにあたって一番大事にしたのは、「ピュアアクションとして作ること」でした。
今は、パリィやジャスト回避を軸としたアクションゲームも数多く出ていますが、「NINJA GAIDEN」はそういった方向性に偏らず、自分の思った通りにキャラクターを動かせる「フルコントロールのアクション」であることが重要だと考えています。
もちろん、体術の中にはそうしたシステムの要素も部分的には含まれていますが、「それがないと攻略できない」という構造にはしていません。あくまで、プレイヤーが自由に動かせるという感覚を何よりも重視して調整しています。
一方で、近年のアクションやアクションRPGにおけるチェックポイントの設計やリトライ性、オンボーディングといった部分は、進化してきた点でもあると考えています。今回、新たなナンバリングタイトルとして、より多くの方に遊んでいただきたいという思いもあり、従来作にもあった「ヒーローモード」に加えて、オートガードなどの補助機能を有効にできる設計にしています。
ただし、これらはずっと自動で動作するわけではなく、プレイヤーの成長に合わせてオプションで切り替えが可能になっています。少しずつステップアップできるようにしているのもポイントです。
さらに今作では、シリーズ初となる「常時難易度の変更」が可能になっていて、たとえばチャプター1で上達したらチャプター2で難易度を上げて挑戦するといった、柔軟な遊び方ができるようになっています。そういった「遊びやすさ」には、これまで以上に力を入れました。
中尾裕治氏:
あと、ユーザビリティの部分にはかなり力を入れていて、ある意味“モダナイズ”されているとは思いますが、一方で、理不尽さとそうでない部分のギリギリを攻めるような「NINJA GAIDEN」らしい感触、プリミティブな体験については、あえて手を加えず残すようにしています。
記者:
数時間プレイさせていただいた印象として、過去作以上に戦略の自由度が増したように感じました。プレイヤーごとに戦い方の幅はかなり広がっている印象でしたが、そこは自由度を重視した設計なのでしょうか? それとも、最終的にはすべてのシステムを駆使するような戦い方に誘導していく意図があるのでしょうか?
中尾裕治氏:
おそらくプレイ中にご覧いただいたと思いますが、今回の体験版では体術がすべて解放されていました。製品版では徐々にアンロックしていく形になりますが、とにかく体術のテクニックの数は非常に多く用意しています。
ただ、我々としては「すべてを使いこなして戦ってください」という設計ではなく、あくまで多彩なアクションや攻防の切り替え手段として、豊富な選択肢を用意しているというイメージです。
つまり、「この中から自分に合ったアクションを選んで戦ってほしい」というメッセージでもあります。どの技を使ってもクリアできる、というわけではありませんが、それぞれのプレイヤーが「この戦い方が自分には合う」「こっちのほうが強い」といった風に、戦略を模索できる自由度の高い設計を目指したつもりです。
記者:
前作が登場してから約13年が経過しました。その間にハードウェアも大きく進化していますが、そうした進化によって、前作ではできなかったことが今作では可能になった点や、注目してほしい部分があれば教えてください。
平山正和氏:
そうですね、大きな変化の一つとして挙げられるのは、(今回の試遊ビルドでも体験できる)武器のシームレスな切り替えです。これが実現できたのは、やはりハードウェアの進化があってこそだと思います。
「NINJA GAIDEN」は非常に多くのアクションがあるゲームですが、それらをリアルタイムで切り替えて使えるようになったことで、アクションの横の広がり、つまりプレイの幅をより広げることができたと感じています。
中尾裕治氏:
いまの武器切り替えの話にも関連しますが、今回の作品ではステージ全体のテーマとして「雨」を取り入れていたり、血の表現も過去作以上に豊かになっています。これも13年という時間があったからこそ、改めて試行錯誤しながら作り込むことができた要素ですね。
特に血の演出にはこだわっていて、量や出方なども含めて、「グロテスクでおぞましい」という方向性ではなく、もっとスカッとする爽快感のある表現を目指しています。そういった意味でも、表現の自由度は格段に上がったと感じています。
記者:
ゴア表現については、もっと残酷にすることも可能だと思いますが、あえて行き過ぎない表現に留めている印象を受けました。そのバランスはどのように決めているのでしょうか?
平山正和氏:
何よりも重視しているのは、アクションの「手触り」や「気持ちよさ」といった部分です。これはこれまでのシリーズでも一貫して大切にしてきたポイントです。
たとえば、内臓が飛び出すようなリアルなグロテスクさを求めているわけではなくて、あくまで「斬った瞬間の爽快感」や「刀でバッサリ斬る気持ち良さ」、そういったバイオレンスの中にある快感が重要だと思っています。
今回、プラチナゲームズさんに手がけていただいた新しい血の表現も、そうした方針をしっかりと理解し、うまく取り入れてもらえたと感じています。
中尾裕治氏:
血の演出について、ある種ちょっとこだわった部分としては「ヒットエフェクトに頼らず、切られた “肉の感触”をしっかり表現する」という点です。それによって、「確かに斬った」と感じられるようなリアルな感覚をプレイヤーに伝えることができるんじゃないかと思っています。
記者:
『NINJA GAIDEN 4』の難易度設計について、全体のバランスや高難易度モードなどはどのような方針で構築されているのでしょうか?
平山正和氏:
「NINJA GAIDEN」といえば、歯ごたえのある戦闘や苛烈なバトルが魅力だと思っているので、理不尽ではないけれど、しっかりと乗り越えられる難易度というのを目指して設計しています。これはまず大前提ですね。
そのうえで、今回も通常モードとは別に、上位難易度を用意しています。これは単に敵の攻撃力を数値的に上げるだけでなく、AIの思考パターンや攻撃モーションの変化、敵の配置の調整など、より手ごたえのある内容にしています。いわゆる「超忍」のような、シリーズを極めたプレイヤーにも楽しんでいただけるような難易度を用意できたと思っています。
中尾裕治氏:
そうですね、過去作と比べて一方的に難しくなったというわけではないのですが、今回は新要素として「鵺の型」を導入しています。これにより、プレイヤー側の能力がかなり強化されている部分もあります。
そのぶん、敵やステージも相応に “アッパー” になっているところがあるので、ただ従来の「鴉の型」だけで進めていこうとすると、意外と苦戦するかもしれません。
「鵺の型」をいかに使いこなすかというのが、今回の調整やステージ設計に込めたメッセージでもあります。そういう意味では、結果的に過去作以上に高い難易度と感じる人もいるかもしれません。
少なくとも、「難しくないように調整しよう」といった考えは一切なく、「NINJA GAIDEN」らしい緊張感ある難易度をしっかり保てているんじゃないかなと思います。
熟練と新風が編み出す「らしさ」の新たなグラデーション
記者:
プラチナゲームズとTeam NINJAがタッグを組んで新しい「NINJA GAIDEN」を作るにあたり、それぞれの違いやシナジーの中で「一緒に作って良かった」と感じた部分はありますか?
平山正和氏:
本当にたくさんありますね。プラチナゲームズさんと一緒に進める中で、「Team NINJAだけで作っていたら絶対に出てこなかっただろうな」と思うアイデアが数多くありました。
たとえば新主人公「ヤクモ」も、もともとはプラチナゲームズさんからの提案がきっかけですし、「血楔(けっせつ)」のようなダイナミックな外連味のあるアクションといいますか、彼らならではの魅力が活きている要素だと思います。
それらは我々だけでは生まれなかった発想であり、お互いの “らしさ” をぶつけ合いながら、うまく融合させていけた点がとても良かったですね。開発初期には、「えっ、こういうの入れてくるんだ!」と驚くことも多く、一緒に開発できて良かったなと思っています。
中尾裕治氏:
「NINJA GAIDENとしては、これはこうしないとですよね」みたいなところを本当にお互い正直にぶつけ合ってた感じですね。やっぱりそこは結構よかったなって。
平山正和氏:
そうですね。その議論が一番多かったかもしれないです。いわゆるこれどうですかって見せていただいたときに、アクションゲームとして面白かったり派手だったりすごく外連味があったりってところはすごく良いなと思いながらも、それを「NINJA GAIDEN」として成立させるにはどうしたらいいかと考え、改めて「源流」に戻していくという議論がやっぱりすごく多かったかなと思ってました。
実は、開発の途中で「鵺の型」が猛威を振るっていた時期もあって(笑)、極端な話、「もう 絶技も滅却も要らないんじゃない?」みたいな議論にもなりました。ですが、最終的には、「鵺の型」で敵の部位を欠損させ、それを滅却することで「血塊」というエッセンスが発生し、それを使って絶技へと繋がる……というバトルサイクルを構築しました。このようにプラチナゲームズさんの新しいアイデアを、「NINJA GAIDEN」らしい設計へと落とし込むためのやり取りが非常に多かったと思います。
記者:
なるほど。もっと派手にダイナミックにしたらどうかという議論があったけれど、それをある意味「抑える」ことで元々の「NINJA GAIDEN」らしさに近づけていったという流れがあったということなのですね。
中尾裕治氏:
そうですね。「抑える」と言うよりも、一番多かったのは「役割をしっかりつける」。「派手に見せる部分」と「実直に見せる部分」をきちんと住み分けて、今作のなかでどう成立させていくかが整理していくのが結構多かったかもしれませんね。
なので、「ここは大味にせず丁寧に作るべきだ」と判断した部分がある一方で、「ここは逆にとことん派手にしていこう」という部分もあって。その線引きや調整は、かなり意識的に行っていきました。たとえば、プラチナゲームズ側が両方を派手に仕上げてきたものに対して、「ここはもう少しトーンを落としましょう」と調整するようなやりとりもありましたね。
記者:
実際に、ビジュアル表現をトーンダウンさせた具体例としては、どのあたりでしょうか?
中尾裕治氏:
「鵺の型」の表現がそうですね。例えば、乱殺状態になるとビジュアルが変化して「血殺」というド派手な演出が入ると思うのですが、開発初期はその演出の頻度がかなり高かったんです。とにかくグシャグシャ言って(笑)、フィルターもドバーンと出てくるようなシーンが多くて。
でも、そのあたりはゲームとしての「抑圧」と「解放」のバランスを大事にしつつ、「NINJA GAIDEN」特有のシリアスな表現との兼ね合いもあって、演出の頻度を落とす方向になりました。逆にいえば、ここぞという場面に絞って演出を入れることで、両方の良さを際立たせるようなバランスを目指しました。
平山正和氏:
この表現、私もすごくカッコいいと思っていて、昔から入れたいと思っていた演出なんです。ただ、今作では通常モードとの切り替えが頻繁に行われるため、「鵺の型」を使うたびに毎回あの演出が入ってしまうとビジュアル表現の変化としてはちょっと妨げになる。
かといって、派手さを抑えてしまうとちょっと表現を「抑える」形になってしまう。そのジレンマを解消するために、「確定演出として出すタイミング」を限定し、印象的な場面でだけ見せるようにしたんです。そうすることで、演出の魅力を残しつつ、ゲームプレイへの影響を抑える調整になったと思います。
若き忍「ヤクモ」と伝説の超忍「リュウ・ハヤブサ」、“対比”が紡ぐ 「NINJA GAIDEN」 の現在形
記者:
過去作を遊んだファンの中には、「リュウ・ハヤブサはいつから使えるのか」が気になっている方も多いと思います。具体的にどれくらいで登場してくるのでしょうか。
中尾裕治氏:
具体的に「どのタイミングで登場するのか」については、物語に深く関わってくるため詳しくはお伝えできませんが、ストーリー中にはリュウの物語も挿入されていきます。
メインストーリーはヤクモが主人公として進んでいくのですが、その中でリュウがどう関わっていくのかといった展開を、実際にリュウを操作しながらプレイしていくシーンもあります。 クリア後に解禁される「チャプターチャレンジ」では、すべてのステージでリュウで遊ぶことができます。今作の主人公はあくまでもヤクモではあるのでストーリーのなかで登場(プレイ)する比重としてはやはりヤクモのほうが多いですが、過去の作品を楽しんだ人も再びリュウを使って楽しめる要素として、全部のステージでリュウを使ってプレイできるようにしたという感じになっています。
記者:
ヤクモとリュウ・ハヤブサ。対照的なキャラクターのように映りましたが、あえて対比的なキャラクターとして作ったのでしょうか。
中尾裕治氏:
すべてを明確に対比させているわけではないのですが、共通点と対比の両方を意識して設計しています。まず大きな対比としては、「若き忍」と「真の超忍となった熟練の男」というキャラクター像の違いですね。
また、序盤のステージ構成からも、ヤクモの成長を描く物語になっていることを感じていただけたのではないでしょうか。彼が段階的に“登り詰めていく”展開は、リュウとは対照的で、自らの力で道を切り拓いていくようなシチュエーションになっています。設定やアクション、キャラクター性といった要素全体で、ヤクモとリュウの対比を意識して作り込んでいます。
とはいえ、本作が持つ「ハード・クール・ドライ」というシリーズの持ち味は継承したいと思っていて、キャラクターの核として “寡黙な忍者” という柱はヤクモにもリュウにも共通しています。そのあたりは、バランスを取りつつ設計していますね。
ちなみに、今回リュウ・ハヤブサには新たに「閃華状態」という強化形態を用意しています。ヤクモの「鵺の型」に相当するもので、これは完全にファン向けの要素なんですが、「真龍閃華」というかつてのシリーズで登場した最強技「残像突進攻撃」へのリスペクトも込めています。
「閃華状態」中に空中攻撃を出すと、まさに「真龍閃華」を思わせる動きを見せます。この拡張された「真龍閃華」を自由自在に扱うリュウ・ハヤブサっていうのが、まさに私の方で実現したかったリュウ・ハヤブサの進化像でした。それに加えてプラチナゲームズならではの派手さみたいなところをモリモリに盛り込んだものなので、楽しんでいただける要素にはなったかなと思っています。
今日がちょうどリュウをプレイアブルとして初披露する場でもあったので、リュウ関連の話になりますが、今回は新たにリアルタイムで忍法を切り替えられるシステムを導入しています。
今日触っていただいたものでは、「火炎龍」と「重波弾」を使える構成でしたが、例えば細い通路では貫通性能のある「重波弾」が有効だったり、敵が複数点在しているようなシチュエーションでは「火炎龍」が効果的だったりします。そういった戦術的な切り替えをしながら戦うというのも、今回のリュウの進化ポイントのひとつだと思っています。ぜひそのあたりも体験していただきたいですね。
記者:
お二人が新キャラクター・ヤクモのどんなところが好きか、お聞かせいただけますか?
中尾裕治氏:
いろいろありますが、ヤクモは寡黙でクール、そして淡々と任務をこなすような人物ですが、どこかとっつきにくい印象もあると思うんです。序盤のプレイでもそれを感じてもらえたと思います。
でもそこが、リュウ・ハヤブサとは異なる“クールさ”を表している部分だと思っていて。ヤクモは「完成された忍者」ではない分、物語を通しての変化がより鮮明に感じられると思います。その過程をぜひ楽しみにしてほしいですね。
あと、あと、今回のテーマのひとつに「忍者とは何か?」という問いがありますが、ヤクモというキャラクターを通して、そこに迫っていくような構成にしています。そうしたテーマ性を描けるのもヤクモならではですし、僕自身、彼のそういった部分がとても気に入っています。
平山正和氏:
自分もまさにその部分が好きですね。今後のストーリーでも、未熟なヤクモがどのように成長していくのか。それは単に強くなるだけでなく、内面的な変化も含めて描かれていきます。
もちろん、あれだけクールなヤクモが急に饒舌になるようなことはありませんが(笑)、その無口さの中にも、心の変化が感じられるようなストーリーになっています。これは、すでに “仕上がっている” リュウでは描けなかった視点で、「忍者の成長」という新たなテーマだと思います。
中尾裕治氏:
細かいところではありますが、今回登場する「ウミ」などのキャラクターもヤクモの仲間として登場します。ショップで体術を教えてくれるキャラクターなど、それぞれとの会話を通してヤクモの違った一面が垣間見えるようにしています。そういったサブキャラクターとの関係性も丁寧に描いていますので、ぜひ注目していただきたいです。
記者:
本作を楽しみにしている読者の皆さんに、一言ずつお願いいたします!
平山正和氏:
まずは、十数年ぶりのシリーズを皆さんに発表できることをまず嬉しく思っております。 今回新主人公のヤクモというキャラクターが登場しますけれども、リュウとは違う手触りでありながらも、「NINJA GAIDEN」らしい攻防の手触りですとか、抑揚のある体験といったものはしっかりと体験できるキャラクターになってますので、ぜひお楽しみください。
ただ、ヤクモだけじゃなくてシリーズで登場してますリュウ・ハヤブサもしっかりとプレイアブルキャラクターとしても遊べますので、ヤクモだけでなくリュウも含めて、ぜひ超忍アクションを楽しんでいただければと思いますので、今後の情報をお待ちいただければと思います。ありがとうございました!
中尾裕治氏:
はい。 今回のインタビューの中でも繰り返しお伝えしてきましたが、「NINJA GAIDEN」らしさという点は、我々プラチナゲームズとしても決して損なってはならない部分だと、常に意識して開発に取り組んできました。
Team NINJAさんと共に制作を進める中で、「らしさ」を守ることを最優先にしてきた結果、たとえ十数年ぶりの新作であっても、実際にプレイしていただければ「これぞNINJA GAIDENだ!」と感じていただける内容になっていると自信を持っています。
久しぶりに “忍者として眠りから覚めた” ような気持ちで、この新作を楽しんでいただけたら嬉しいです。どうぞご期待ください。本日はありがとうございました!
ーーありがとうございました!