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マウスコンピューター 飯山工場の見学ツアーに参加。PCの組み立て現場や動作試験の様子をチェックしてきた

マウスコンピューターは今年8月、同社の飯山工場 (長野県飯山市) で、全国の小学6年生とその保護者の親子ペアが実際の工場でPCを組み立てる参加型イベント 「親子パソコン組み立て教室」 を開催した。

そのイベント当日、取材陣向けに飯山工場の工場見学ツアーが実施。普段は見たり立ち入ったりすることができないマウスコンピューターの組み立て工場を、社員の案内のもと見学することができた。

マウスコンピューターのPCは、各ユーザーからの注文を受けたあと、どのような工程を経て組み立てられて出荷されているのか。工場での作業の流れや実際の作業現場について、当記事で紹介したい。

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マウスコンピューター 飯山工場を見学

工場見学でまず最初に入ったのが品質管理室。部品の動作試験や組み合わせの試験をするところだ。

上記がノートPCのヒンジの耐久性をチェックする開閉試験機。ノートPCの上部をつまんで何度も動かすことで耐久性をチェックする。この試験機では約2万回ほどの開閉試験をしているとのこと。

ノートPCの開閉試験は、メーカーによっては上部を2箇所つまんで試験をすることもあるが、マウスコンピューターは実際にユーザーが使うときには片手で開けることが多いことから、その状態を再現するために1箇所だけでつまんで試験を実施しているという。ちなみに、この試験機はマウスコンピューターが独自にカスタマイズして作ったものであるとのことだ。

こちらは恒温槽。部屋の中は-30℃から80℃まで温度を変化させることができ、温度の変化によってモニターに結露が発生しないか、寒い日に部屋の温度がマイナスになっても正常に電源が入るか、暑くなった車内にデバイスを置きっぱなしにしてもバッテリー系に影響が出ないかなど、主に温度に関係するテストを実施する。

ここは静音室で、ドアをしっかり閉めると外部の音が入らず、無音の環境を作り出すことができる。スピーカーの音質をチェックし、Dolby Atmosなどの試験を通すための部屋であるとのことだ。冷却ファンの動作音のチェックにも使用されている。

また、この部屋の照明の一部は輝度や色温度を変えられるようになっていて、実際の環境下でどのようにディスプレイが見えるのかなどもチェックできるとのことだった。

ここは外部から部品などの受け入れをする場所。工場で使用するすべての部品が運び込まれるところだ。

マウスコンピューターでは、型番と数量のほかに、仕様書をもとに部品のバージョンまで確認しているという。わざわざバージョンを確認する理由は、組み合わせによって不具合が発生する可能性があるからだ。

部品には1点1点にシリアルが書かれたシールが貼り付けられていて、このシリアルを読み取ってデータベースに登録して管理している。シリアルが付いていないものは、独自のシリアルを発行してシールを貼りつけて管理しているとのことだった。

また、ここから納入された部品の中で、使用する上で確認が必要なものには黄色ラップが、使用できないものは赤ラップが貼られる。こうして作業員に注意を促しているようだ。

PCを組み立てるにあたって、まずは必要な部品を倉庫内から集める 「ピッキング」 と呼ばれる工程からスタートする。

ピッキングをする上で、これまでは構成表というものを使って部品を集めていたとのことだが、昨年12月からSDGsの関係で紙を削減しようという方針になり、タブレットに表示された部品の情報をもとにコンテナに部品を集めていく方式に変更されたとのこと。

コンテナには色カードが添付される。この色カードは曜日ごとに色が分けられており、出荷曜日に応じたカードを添付することで、いつ出荷する商品なのかを視覚的に分かりやすくしてくれる。

シリアル番号を読み取ることで、必要な部品が入っている入れ物の前についているライトが光り、どの部品をピックアップすれば良いかが一目でわかる 「デジタルピック」 。部品を取ってライトを消し、また次の部品を取ってライトを消してを繰り返すことで、間違った部品をピックアップしたり、ピックアップし忘れを防ぐ。こうしてコンテナを持って倉庫の中を歩き回りながら、組み立てに必要な部品を集めていく。

飯山工場は、デスクトップPCの組み立てを行う第1工場と、ノートPCの組み立てを行う第2工場に分かれている。今回は親子パソコン教室のイベントが工場見学と同時に実施されており、第1工場がイベント会場になっていたことから、第2工場をじっくりと見学させてもらった。

指定された部品を集めたら、組み立てを始める前に行うのが 「仕掛かり」 という作業。組み立て予定のPCに各部品のシリアルを紐づける工程のことだ。ここで間違った部品のシリアルを読み込むとエラーが表示されるため、違う部品が登録されることがない。

仕掛かりが完了すると、いよいよ組み立ての工程に入る。マウスコンピューターは、ストレージなどの構成を自分好みにカスタマイズできるBTO (Build To Order=受注生産) パソコンを製造しており、作業員1人が1台のPCを組み立てるセル生産方式を起用している。

作業机では、シリアルを読み込むことで組み立て方の資料が表示される。基本的にはこの資料の内容に従って組み立てを行っていくとのことだった。

組み立てたPCは、OSのインストールが実施され、USBポートやSDカードスロットといったすべてのポートが正しく搭載されているか確認する。ポートの確認まで完了したら、ユーザーの手元に届いたPCが起動しないということがないように、各部品に負荷をかけて悪い部品を振い出す 「負荷試験」 が実施。無事に負荷試験をパスした端末には、画面に緑色の文字でパスしたことを示す文字が表示される。試験中に問題が発見された場合は、赤色で 「NG」 と表示され、第1工場で交換対応になる。

負荷試験が完了したら、いよいよシールや注意事項の確認をする最終チェックの段階に。画面によく貼り忘れやすいシールや注意書きが表示されるため、それらを確認して、シールがちゃんと貼られているか、位置が合ってるかを確認していく。

最終チェックが終わると、梱包作業に入る。それぞれのPCは筐体によってサイズが異なるため、箱ごとにIDが表記されたシリアルを読み込んで、指定された箱を使用する。その後、クリーニングや付属品のチェックをしたら、箱詰めして出荷という流れになる。こうして出荷されたPCが、数日後にユーザーの手元に配送されているということだ。

PCを組み立てる部門のすみにひっそりとあるのが、品質管理の管轄の 「OQC」 。完成した製品をランダムに抜き取り、ユーザーの仕様に基づいてチェックをする。ここでチェックをクリアできなかったPCは、生産の方に戻されて再点検となる。

以上が今回の見学ツアーの全容だ。注文を受けたPCは、組み立てと負荷テスト、そしてチェックの全工程を完了し、きちんと動作するものだけがユーザーの元に届けられる。各工程では部品や納期を間違えないように色々な工夫が施されており、とても興味深い見学ツアーだったと感じている。

このあとは第1工場に移動し、「親子パソコン組み立て教室」 で小学6年生のお子さんと保護者の方がPCを組み立てる様子を見学することができた。組み立て教室のイベントのレポートはこちらの記事をチェックしていただきたい。

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