
Apple初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」が発売した。閉じた状態では一般的なスマートフォンと同じような使い方ができ、本体を開くと7.6インチの大画面が現れ、2つのアプリを並べて操作したり、写真や動画を大きな画面で楽しめる。
これまでのiPhoneとは使い勝手が大きく変わる製品だけに、実際に日常生活で使うと何が便利で、反対にどのような部分に不便さを感じるのか、気になっている人も多いのではないだろうか。
以前ハンズオンレビューをお届けしたが、今回、改めて実機を試用する機会に恵まれた。約1カ月ぶりに「iPhone Duo」を手に取り、今度は日常生活の中でじっくりと使い込んでみた。
実際に使ってみると、やはりハードウェアの作り込みには感心させられる。開閉の感触や画面が切り替わるときの演出など、細かな部分まで丁寧に仕上げられており、Appleが初めて手がけた折りたたみスマートフォンとしての完成度の高さが伝わってくる。
一方で、使い込むうちにまだ改善してほしいと感じる部分も見えてきた。画面が大きくなったからといって、普段のiPhoneで行っていた操作がすべて便利になるわけではなく、アプリの対応状況や操作方法によっては、かえって使いにくく感じることもある。
そこで本稿では、筐体やディスプレイ、カメラ、処理性能といった基本的な部分に加え、普段使っているアプリの体験がどのように変わるのか、7.6インチの画面をどのように活用できるのかといった点にも注目しながら、「iPhone Duo」を詳しくレビューしていきたい。
(写真=小笠原令司)
手に取って、開いて、閉じて。細部に宿るAppleらしさ

まず、本体を手に取って感じるのは質感の高さと重量だ。本体フレームにはチタニウムを採用しており、表面にはツヤがある。高級感のある仕上がりで、閉じた状態でも、開いて大画面を使っているときでも、丁寧に作り込まれていることが伝わってくる。

本体サイズは開いた状態で高さ117.8mm、幅164.6mm、厚さ5.2mm。閉じると高さ117.8mm、幅84.1mm、厚さ11.3mmになる。閉じた状態は「パスポートサイズ」と表現されることもあるが、実際に手にしてみると、一般的なパスポートよりひと回りほど小さい印象だ。折りたたむことで横幅が抑えられるため、開いた状態の大きさから想像するよりも、持ち歩きやすく感じられる。


ズボンの前ポケットにも余裕を持って収まり、普段の外出で持ち歩く際に困ることはほとんどなかった。ただし、ジャケットの胸ポケットに入れるとかなりギリギリで、収まったとしても取り出す際に少し苦労する。ケースを装着すると入らなくなることもあるため、ジャケットに入れて持ち歩くなら、内ポケットを使うのがおすすめだ。
重量は254gで、「iPhone 18 Pro Max」の249gを5g上回る。普段から大型のiPhoneを使っている人なら、持ったときの重さに大きな違和感はないかもしれない。一方、競合であるSamsungの「Galaxy Z Fold8」は201gで、こちらと比べると約50gも重い。毎日持ち歩くスマートフォンだけに、この差は決して小さくない。特に、片手で長時間操作することが多い人や、軽さを重視して端末を選んでいる人は、実機を手に取って確認しておきたいところだ。



耐水・防塵性能はIP68等級で、最大水深6mに最大30分間耐えられる。雨の中でスマートフォンを操作したり、プールで遊んでいる様子を撮影したりする場面でも、一般的なiPhoneと同じように使える。折りたたみ構造を採用しながら、こうした基本的な耐水性能を備えているのは安心できるポイントだ。
FeliCaにも対応しているため、交通系ICカードや電子マネーなども利用できる。読み取り位置は背面カメラのすぐ下あたりにあり、決済端末や改札のリーダーには、その部分を近づければよい。折りたたんだ状態なら普段のiPhoneと同じ感覚で使えるが、本体を開いているときは読み取り位置を合わせにくく感じることがあった。電子決済や改札の通過では、閉じた状態で使うほうがスムーズだろう。
スピーカーは、本体を開いたときの左上と右下に配置されている。折りたたみスマートフォンでは、本体の開閉によってスピーカーの位置関係が変わるため、音の聞こえ方が気になるところだが、「iPhone Duo」では開いていても閉じていても、左右からバランスよく音が聞こえる。立体音響もしっかりしており、動画や映画を楽しむ際に、スピーカーの位置を意識させられることはほとんどなかった。

ヒンジにも、Appleのこだわりが感じられる。100以上の微小な部品を組み合わせた構造で、カーボンファイバー(炭素繊維)を使ったサポートプレートやリブが、開いた状態の画面中央を下から支える。折りたたみスマートフォンでは、開いたときに画面を平らに保てるかどうかが使い勝手を左右するが、「iPhone Duo」では、こうした内部構造によって画面を支え、折りたたむ際にかかる負担も分散する設計になっている。
本体を開き始めると、最初はバネの力でヒョイッと開き、その後は滑らかに動いていく。「Galaxy Z Fold8」と比べると、開く際には少し力を込める必要があるものの、ヒンジの動きそのものは「iPhone Duo」のほうが滑らかに感じられた。開閉を繰り返していても動きに引っかかるような感覚が少なく、使っていて心地よい。


特に気に入ったのが、好きな角度で本体を止めておけることだ。たとえば、90度ほど開いた状態にして机の上に置いておけば、画面を見ながら作業したり動画を視聴したりするときにも使いやすい。「Galaxy Z Fold8」は途中で止めることができない仕様のため、この点は「iPhone Duo」の方が優れる部分と言える。ちなみに、上記写真のように対応する動画アプリなら縦分割も可能なため、画面をめいっぱい使って動画を見ながら作業することも可能だ。
本体を閉じると「パタンッ」と心地よい音がするのも印象的だった。毎日使っていれば何度も耳にする音だが、安っぽさはなく閉じる動作そのものが気持ちいい。こうした細かな部分まで丁寧に仕上げられていることも「iPhone Duo」を使っていて感じた魅力のひとつだ。
画面が大きくなると、写真を見せる時間まで楽しくなる

ディスプレイは閉じた状態で5.4インチ、開くと7.6インチになる。普段は外側の画面でメールやSNSを確認し、じっくり調べものをしたいときや、写真や動画を大きく表示したいときには本体を開く。ひとつの端末で画面の大きさを使い分けられるため、日常的な連絡から、少し腰を据えて行いたい作業まで、状況に応じて使い方を変えられる。
「iPhone Duo」では、外側と内側のディスプレイの縦横比を近づけている。外側は1:1.455、内側は1.422:1で、どちらも白銀比と呼ばれる1:√2(約1:1.414)に近い。こうした画面比率の設計は、本体を開いたときの表示のつながりにも関係している。




実際に本体を開くと、外側のディスプレイに表示されていた内容が徐々にボカされながら、内側の画面へと広がっていく。閉じた状態で見ていたウェブページやアプリの表示が、開いた瞬間に大きな画面へシームレスにつながるため、表示領域が急に切り替わったというより、今まで見ていたものがそのまま広がったように感じられる。この演出は見た目にも自然で、普段の操作の中でも気持ちよさを感じる部分だった。

内側のディスプレイには、表面に細かな加工を施したNano-texture仕上げが採用されている。ナノメートル単位のエッチング加工によって光の反射や映り込みを抑え、画面をマットな質感に仕上げている。
この加工は、使う場所によって見え方の印象が変わる。屋外で太陽の光が強いときや、夜道などの暗い場所では、周囲の光が画面に映り込みにくく、表示内容を確認しやすかった。

一方、室内で使っていると、表示内容がやや白っぽく見えることも。特に内側の画面で写真を表示すると、外側のディスプレイに比べて色の鮮やかさやコントラストが控えめに感じられる。長時間使っていると、こうした見え方が少し気になることもあった。
どちらの画面が見やすいかは、使う場所や表示するコンテンツによっても変わる。屋外での視認性を重視するなら内側のマットな画面は魅力的だが、写真を鮮やかに楽しみたいときには、外側のグレアディスプレイのほうが好みに合うかもしれない。内側の大画面があらゆる用途で優れているわけではなく、場面に応じて使い分けるのもよさそうだ。

折りたたみスマートフォンでは、画面中央の折り目が気になるという人も多いが、「iPhone Duo」では、このNano-texture仕上げによって光の反射を抑えることで、折り目を視覚的に目立ちにくくしている。実際に使ってみても、正面から画面を見ているときには目立ちにくく、ウェブサイトを読んだり動画を視聴したりしていると、折り目を意識する場面は少ない。
斜めから見ると画面中央にわずかな凹凸を確認でき、指でなぞれば折り目の存在も分かる。完全に折り目をなくすのは折りたたみ式ディスプレイの構造上、まだ難しいのだろう。それでも「iPhone Duo」は、折り目があることを前提に、その存在をできるだけ意識せずに使えるよう工夫している。
折りたたみを繰り返すことで、ディスプレイに負荷がかかり、故障につながらないか心配する人もいるだろう。「iPhone Duo」では、約10層からなる薄い構造をディスプレイに採用し、各層にかかる負担を分散している。
OLEDパネルの上下には高強度ガラスを配置し、最下層にはチタンプレートを採用。各層の間には、独自の粘弾性を持つ光学透明接着剤を使用している。本体を折りたたむ際には、各層が本のページのように滑ることで、ディスプレイにかかる負担を分散する仕組みだ。こうした構造によって、繰り返し折りたたむことによるディスプレイへの負荷を抑え、耐久性に配慮しているという。
折りたたみは数ヶ月から数年かけてだんだんとダメージが入っていくことが多いため、まだ発売したての「iPhone Duo」がどれだけ強度に優れているのかは未知数。それは今後の経過を確かめていく必要があるだろう。

リフレッシュレートはProMotionに対応し、コンテンツに応じて最大120Hzで駆動する。画面をスクロールしたときの動きは滑らかで、対応ゲームをプレイするときにも、その恩恵を感じられる。画面の大きさだけでなく、表示の滑らかさという点でも、動画やゲームを楽しみやすいディスプレイに仕上がっている。
そして、7.6インチという画面の広さが生きるのは写真や動画を楽しむときだ。「iPhone Duo」のような折りたたみスマートフォンは写真ビューワーとしても優秀だ。内側の画面は4:3に近い縦横比で、写真を表示するのに向いている。旅行先で撮影した写真を友人に見せるときも、普段のiPhoneより大きく表示できるため、写真の細部まで見てもらいやすい。

実際、飲み会の席で写真を見せるときにも便利だった。隣に座っている人だけでなく、少し離れた席にいる人にも画面を向ければ写真を一緒に楽しめる。料理や風景の写真も、画面が大きいだけで印象が変わる。写真を見せるためにスマートフォンを何度も回したり、相手に近づいてもらったりする必要が減り、自然と会話も弾みやすくなる。
もちろん、写真を見せるためだけに36万円以上するスマートフォンを購入するのは現実的ではない。それでも、旅行やイベントの取材などで写真を撮る機会が多い人にとっては、撮影した画像をその場で確認したり、複数人で見たりするときに画面の広さが役立つと感じた。
メールとカレンダーを並べてみたら外出先の仕事が少し楽になった

「iPhone Duo」と従来のiPhoneとで大きく異なるのが、画面を左右に分割して2つのアプリを同時に表示できること。画面を下からスワイプしてアプリを表示し、左右に配置すると分割表示になり、アプリの間にある中央部分をタップすれば、その組み合わせを保存できる。
たとえば左側にメール、右側にカレンダーを表示しておけば、メールの内容を確認しながら予定を調整できる。ブラウザとメモを並べておけば、ウェブサイトで調べた情報を確認しながら、もう片方に要点を書き留められる。対応する動画配信サービスでは画面を縦に分割して動画を表示することもできるため、動画を見ながら別の作業を進めたいときにも便利だ。
従来のiPhoneは画面がひとつしかないため、片方のアプリで情報を確認してから、もう片方のアプリを開いて入力し、また元のアプリに戻るという操作を何度も繰り返す必要があった。画面を開いたまま2つのアプリを並べられる「iPhone Duo」では、こうした手間を減らせる。
特に便利だと感じたのは、荷物を発送するための伝票を作成したときだ。送り先の住所がメールで届いていた場合、これまではメールアプリを開いて住所を確認し、Safariに切り替えて配送業者のウェブサイトに入力するという作業を繰り返していた。
ひとつの画面で作業していると、確認のために元のアプリへ戻るたび、入力途中の画面から離れなければならない。入力ミスがないか確認する必要もあり、そのたびにアプリを行き来するのはかなり面倒だった。
「iPhone Duo」なら、片方にメールアプリ、もう片方にSafariを表示しておけば、メールで住所を確認しながら、Safari側で伝票の入力を進められる。必要な情報を探すためにアプリを切り替える回数が減り、伝票を作る作業がずっとスムーズになった。両方の画面が見えているため、入力ミスのチェック作業も進めやすい。
普段のiPhoneでは、こうした作業は画面が狭くてやりづらいと感じることが多く、帰宅してからMacで済ませようと思うこともあった。ところが「iPhone Duo」なら、外出先でも2つのアプリを並べて作業できる。スマートフォンだけで完結できる作業が増えるのは、日常的に使ってみて初めて実感できたメリットだ。

アプリの切り替えも直感的だ。「iPhone Duo」の分割表示では、片方にホーム画面、もう片方にアプリを表示しておくこともできる。また、両方にアプリを表示している状態で、どちらか一方のアプリを下からスワイプすれば、その側だけホーム画面に戻れる。片方のアプリを開いたまま、もう片方だけ別のアプリに切り替えたいときにも、普段のiPhoneと同じ操作で切り替えることができる。
「Galaxy Z Fold8」では、ホーム画面を分割表示の片側に置くことができず、アプリを切り替える際にはエッジパネルからドラッグ&ドロップする操作が必要になる。これに対して「iPhone Duo」は、普段のiPhoneに近い操作感を保っているため、使い方を覚え直す負担が少ない。折りたたみスマートフォンを初めて使う人でも、比較的すぐに慣れられると思う。
ただし、分割表示には制約もある。同時に表示できるアプリは2つまでで、左右の画面の大きさも必ず1:1になる。iPadのように表示領域の比率を自由に変えたり、3つ以上のアプリを同時に表示したりすることはできない。「Galaxy Z Fold8」では、こうした画面配置の自由度がより高い。


もちろん、機能を増やしすぎると操作が複雑になり、かえって使いにくくなる可能性もある。Appleは分かりやすさを優先して機能を絞ったのかもしれないが、実際に2つのアプリを並べて使っていると、片方をもう少し広く表示したいと感じる場面もあった。たとえば、メールで住所を確認しながら伝票を入力する場合、入力欄の多いウェブページを広く表示できれば、さらに作業しやすくなるはずだ。画面の広さを生かす機能だからこそ、表示比率を調整できるようになるとうれしい。
また、2画面表示にしたときには、アプリの外側に余白が目立つことも気になった。せっかく7.6インチの大画面があるのに、表示領域を十分に使い切れていないように感じる場面がある。アプリ側の対応も関係してくる部分だが、画面を開いたときにコンテンツがもっと自然に広がるようになれば、使い勝手はさらによくなるだろう。


アプリの対応状況も、現時点では課題が残る。画面を開いた状態で、iPhone Duoの大画面に対応していないアプリを起動すると、中央に小さく表示されてしまうことがある。せっかく本体を開いても、すべてのアプリで大画面の恩恵を受けられるわけではない。ここはアプリ開発者側の対応が進むのを待ちたいところだ。

本体を折り曲げてテントのような形にすると、スタンバイ機能が起動し、外側のディスプレイに時計やカレンダーなどを表示できる。充電中でなくても使えるため、机の上に置いておけば、デジタル置時計のように大きな文字で便利に時刻を確認できる。
デスクで書類の整理などをしていると、作業中にふと「今、何時だっけ?」と気になることがある。そんなとき、顔を上げるだけで時刻が目に入るのは地味に便利だった。こうした使い方は、普段のiPhoneではあまり意識しなかったものだが、折りたたみ構造があるからこそ生まれる便利さだと感じた。

文字入力については、本体を開いているときと閉じているときで使い勝手が変わる。
開いた状態では、iPadのキーボードに近い感覚で入力できる。筆者は普段からQWERTYキーボードを使っているため、特に戸惑うことなく文字を入力できた。画面が広いのでキー同士の間隔にも余裕があり、長い文章を入力するときにも使いやすい。メールの返信やメモの作成など、ある程度まとまった文章を書くときには、広い画面が役立つと感じた。



ただし、フリック入力を使う場合は注意したい。開いた状態でフリック入力に切り替えると、入力部分が画面の右側に寄る仕様になっている。画面を開いたまま片手で操作しようとすると、左手では入力しにくく、右手で持つようにしないと指が届きにくい。入力部分を左側に寄せる設定は用意されていないため、フリック入力を中心に使っている人は、購入前に店頭などで実機を触って確認しておきたいところだ。


本体を閉じれば、普段のiPhoneと同じような入力方式になる。ただし、閉じた状態でも画面の横幅は一般的なバータイプのiPhoneより広いため、手が小さい人は片手入力で一番奥のキーまで指が届きにくいと感じるかもしれない。画面が広いことは写真や動画の表示、複数アプリの操作ではメリットになる一方、片手で文字を入力するときには不便につながることもある。

キーボードを左右どちらかに寄せる機能は用意されているので、片手での入力が多い人は、使いやすい位置に調整しておくのがおすすめだ。画面が大きくなったことで作業がしやすくなる一方、普段のiPhoneで自然にできていた操作が、少しやりにくくなる場面もある。このあたりは、実際に使う人の手の大きさや入力方法によって、評価が分かれそうだ。
本当は3眼カメラが欲しい……それでも撮った写真を楽しむ体験は広がる

カメラは、外側には48MPのメインカメラと48MPの超広角カメラのデュアルカメラを搭載。内側にはアンダーディスプレイ方式のカメラを備えている。


内側のカメラは、よく見ると画面に埋め込まれていることが分かるものの、普段使っているぶんにはそれほど気にならない。内側のカメラで撮影するときには、カメラの位置が分かるように表示が強調される仕組みになっている。

外側のメインカメラは、48MPのFusionカメラ。焦点距離は35mm判換算で26mm相当、絞り値はf/1.6で、センサーシフト式の光学式手ぶれ補正を備える。ゼロシャッターラグにも対応し、通常は24MP、最大48MPで写真を記録できる。
専用の望遠カメラは搭載していないため、2倍ズームではメインセンサーの中央部分を切り出して使う。52mm相当の12MPで記録し、光学品質相当の画質を得られる仕組みだ。遠くの被写体を大きく写したいときには、専用の望遠カメラがある端末に比べて制約を感じる場面もあるだろう。
超広角カメラも48MPで、焦点距離は13mm相当、絞り値はf/2.2、視野角は120度。48MPのマクロ撮影にも対応しており、広い景色を撮るときから、被写体に近づいて細部を写したいときまで幅広く使える。

ズームの主な切り替え倍率は0.5倍、1倍、2倍。光学品質相当で撮影できる範囲は4倍までで、デジタルズームは写真で最大10倍、動画で最大6倍となる。また、26mm相当の1倍に加え、28mm相当の1.1倍、35mm相当の1.4倍も選べる。
筆者は仕事柄、遠くにある被写体を撮影する機会が多いため、メインカメラと望遠カメラの組み合わせが好みだ。とはいえ、超広角カメラも広い範囲を一度に写せるため、狭い場所での撮影や、大きな建物を収めたいときに役立つ。
たとえば、六本木駅の天井にあったドコモの「iPhone Duo」の広告を撮影するときには、超広角カメラがあってよかったと感じた。できれば3眼構成であれば、さらに幅広い撮影に対応できたと思うが、メインカメラと超広角カメラの組み合わせにも十分に実用性はある。

カメラ機能の中で個人的に気に入っているのが、外側のディスプレイにアニメーションを表示して被写体の視線をカメラに向けやすくする「キッズキュー」だ。スヌーピーのアニメーションを表示し、子どもが自然とカメラの方向を見るように促してくれる。
小さな子ども、特に赤ちゃんの写真を撮るときにカメラに目線を向けてもらうのは意外と難しい。筆者も、兄弟や友人がおもちゃを使って一生懸命に視線を誘導していた場面を何度も見てきただけに、こうした機能が用意されているのは良いと感じた。カメラの性能を高めるだけでなく、撮影する人や家族が直面するちょっとした悩みにも目を向けているところに好感が持てた。
ただし被写体とカメラの距離が近すぎると、子どもがカメラではなく画面に表示されたスヌーピーを見ているため、目線が合わないことがある。ある程度距離を取って撮影するのがオススメだ。
本体を折り曲げた状態で置けば、スタンドを使わずに自撮りや集合写真を撮影できる。スマートフォンをどこかに立てかける必要がなく、撮影場所を選びやすいのは便利だ。
ただし、この使い方では画面が地面に接することになる。画面には「Ceramic Shield 2」を採用しているため、ある程度の耐久性は期待できるものの、36万円以上する端末をそのまま地面に置くのはやはり怖い。できれば保護フィルムを貼っておきたいと感じた。
観光地などでスマートフォンを置いて撮影する場合には盗難にも注意したい。筆者も「Galaxy Z Flip7」を使って世界各地の観光地で自撮りをすることがあるが、スマートフォンから離れて撮影するのはやはり少し不安になる。ストラップやリードを取り付けておけば万が一の際にも手元から離れにくくなるため、こうした撮影方法を試すなら対策を考えておきたい。
ゲームも動画も大画面で、バッテリー駆動時間も申し分なし

処理性能を支えるSoCには「A20 Proチップ」を採用する。CPUは2つのスーパーコアと4つの高効率コアからなる6コア構成で、GPUはNeural Acceleratorsを搭載した7コア構成。さらに、デュアル16コアNeural Engineを備える。


ベンチマークテストでは、Geekbench 7のCPUスコアがシングルコア3977、マルチコア10923、GPUスコアが62447だった。A19 Proを搭載する「iPhone 17 Pro」と比べると、CPUのシングルコア性能は約20〜23%、マルチコア性能は約25〜30%向上し、GPU性能も約40%高くなっている。

実際に『ゼンレスゾーンゼロ』をプレイしてみたところ、グラフィック設定を「高」にしても快適に動作していた。120Hzの高リフレッシュレートにも対応しているため、キャラクターの動きや画面のスクロールも滑らかだ。大画面でゲームを楽しめることもあり、スマートフォンでゲームをプレイする機会が多い人にとっては魅力的な端末だろう。
「iPhone Duo」のバッテリー駆動時間は、ディスプレイの使い方によって大きく変わる。通常使用では最大24時間の駆動が可能とされており、普段使いなら1日持つケースが多いという印象だった。
動画再生時間は、外側の5.4インチディスプレイで最大44時間、内側の7.6インチディスプレイで最大31時間。ストリーミング動画の再生時間も、外側が最大37時間、内側が最大26時間となっている。外側の画面を中心に使えば長時間の駆動を期待できる一方、内側の大画面を多用すると消耗が早くなる。
バッテリー容量は、2つのバッテリーを合わせて約4883mAh。動画再生時間を比較すると、「iPhone 18 Pro」は最大36時間、「iPhone 18 Pro Max」は最大45時間となっている。「iPhone Duo」は、外側の画面を使う場合には「iPhone 18 Pro Max」に近い水準だが、内側の画面で動画を再生すると「iPhone 18 Pro」を下回る。

実際に使っていると、一般的な使い方なら夕方から夜にかけて40%前後のバッテリーが残っていることが多かった。日中にメールやSNSを確認し、必要に応じて写真を撮る程度なら、途中で充電しなくても1日を通して使い続けることができる。
一方、カメラを多用したり、テザリングや動画視聴、3Dゲームのプレイを続けたりすると、10時間ほどでバッテリーが大きく減ることもあった。内側の大画面を頻繁に使う人や、外出先で長時間作業をする人は、モバイルバッテリーを用意しておくと安心だ。特に取材や旅行など、充電できる場所が限られる状況では、どちらの画面を中心に使うかも意識しておきたい。
充電は、60W以上の電源アダプターを使用すれば約20分で50%まで、MagSafe充電器なら約30分で50%まで充電できる。対応する電源アダプターは別売りだが、短時間で充電できるため、外出前や休憩中にバッテリーを補充しやすい。
顔ではなく指でロックを解除。毎日使うからこそ気になること

生体認証には、顔認証のFace IDではなく、サイドボタンに内蔵された指紋認証のTouch IDを採用する。個人的には、やはりFace IDのほうが使いやすいと感じた。
折りたたみスマートフォンの場合、外側と内側の両方に顔認証用のセンサーを配置する必要がある。コストや内部スペースなどを考慮した結果、Touch IDを採用したのだろうと推測する。

ただ、実際に使ってみると、指紋認証の精度やセンサーの位置が少し気になった。折りたたんだ状態では、端末の右側面にあるサイドボタンが奥側に位置するため、指を伸ばして押す必要がある。認証のたびに手の位置を調整しなければならず、従来までのiPhoneでFace IDに慣れている身としては、少し不便に感じることがあった。
センサーを端末上部に配置できれば使いやすそうだが、その場合は音量ボタンの配置などにも影響が出てくる。縦向きで机に置いたときにボタンが机と接触する可能性もあるため、設計上の制約があったのだろう。
一方で、「iPhone 18 Pro」では顔認証用のカメラが画面下に移動したこともあり、今後のiPhoneではFace IDとTouch IDを併用する方式があってもよいのではないかと感じた。折りたたみスマートフォンのように、閉じた状態と開いた状態で使い方が変わる端末なら、2種類の認証方法を使い分けられるメリットも大きいはずだ。
ケースや充電器はこれまでと同じ感覚では選べない

「iPhone Duo」の純正アクセサリーについても試用することができたので紹介しておきたい。
Apple純正の「スタンド付きiPhone Duo フォリオ」は、マグネットで本体背面に取り付けるタイプの保護カバー。スタンドを備えているため、動画を視聴するときなど、iPhone Duoを横向きに置いて使いたい場面で便利だ。

手帳型ケースなので、端末の表面までしっかり保護できるのもうれしいポイント。手触りもよく、Apple純正アクセサリーらしい仕上がりになっている。
一方、外側のディスプレイを使う際にはカバーを開く必要があるため、スマートフォンをポケットから取り出してすぐに使いたい筆者にとっては、少し手間に感じる場面もあった。


また、装着すると本体に厚みが加わるものの、画面を保護しながらスタンドとしても使えるのは、このケースならではの利点だ。本体の薄さや手軽な操作感を優先するか、保護性能やスタンドとしての使いやすさを重視するか。普段の使い方によって、評価が分かれそうなアクセサリーだ。


また、MagSafeについては既存アクセサリとの併用にすこし注意が必要かもしれない。というのも、「iPhone Duo」を横開き状態で車載マウントやスタンド型のワイヤレス充電器に取り付けると、少しずつ位置がズレて下がってくることがある。本体が254gと重いうえに、横開きの構造によって片側に重さがかかるため、マウントに取り付けた状態では自重で傾きやすいようだ。
対策としては、磁力の強いサードパーティ製のMagSafeアクセサリーを使う方法が手軽だ。あるいは四角形のマウントなら、カメラ部分が引っかかって支えになる可能性もある。重量バランスを取るため、車載マウントなどに取り付ける際は、開いた状態よりも閉じた状態で使うほうが安心だろう。
本体の高さが117.8mmと短いことも、既存アクセサリーとの相性に影響する。たとえば、MagSafeウォレットを取り付けると、本体からはみ出して使いにくくなることがある。

36万円以上を払う価値はある? 日常で使って見えてきた魅力と課題

「iPhone Duo」に興味はあるものの、36万円以上という価格に見合う使い方ができるのかわからず、購入を迷っている人もいるだろう。実際、SNSでもそうした声を見かけた。
では、36万円以上という価格に見合う価値はあるのだろうか。
筆者の場合は仕事でスマートフォンを使う機会が多いこともあり、主にビジネスシーンでの活用に価値を感じた。メールで必要な情報を確認しながら別のアプリで伝票を作成するときも、画面を切り替えることなく、左右に表示したアプリを見比べながら作業を進められる。メートとカレンダーを見ながらスケジュールを組むのだって快適だ。スワイプアップで何度もアプリを切り替える手間がなくなるだけでも、日々の作業は格段にスムーズになった。
一方で、現時点ではすべてのアプリが大画面に最適化されているわけではなく、分割表示の自由度や操作性にも改善の余地があることも事実だろう。
そもそも「iPhone Duo」は、現時点では新しい使い方をいち早く試したいアーリーアダプター向けという側面が強く、幅広いユーザーにとって必須のスマートフォンとは少し違うように感じる。
たとえば、カメラ性能を重視するなら「iPhone 18 Pro」のほうが適している部分もあり、「iPhone Duo」があらゆる面で上位に位置する製品というわけではない。従来のiPhoneの延長線上にある上位モデルというよりも、スマートフォンの新しい形として捉えるのが良いだろう。

これまでにないタイプのiPhoneだけに、購入前から自分にとってどれほどの価値があるのかを判断するのは難しい。36万円以上という価格を考えると、今すぐ購入するべきかどうかは、自分の使い方と照らし合わせながら慎重に判断したいところだ。
SNSを楽しんだり、動画を見たりするのが中心の人でも、2つのアプリを並べて表示することで、これまでのiPhoneとは違った使い方が見つかるかもしれない。
また、今後サードパーティ製アプリの大画面への最適化が進めば、使い勝手がさらに向上するはずだ。そう考えると、現時点で無理をして購入する必要はなく、対応アプリが増えて使い方の幅が広がるのを待つのもひとつの選択肢だろう。
とはいえ、筆者自身、久しぶりに「スマートフォンで何ができるのか」を改めて考えさせてくれるiPhoneに出会ったと感じている。折りたためること自体が目的なのではなく、画面を広く使えることで、これまでのiPhoneでは少し面倒だったことがスムーズになる。そうした変化を実際に体験できたことは、「iPhone Duo」を使って得られた大きな発見だった。

