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「iPhone Duo」ハンズオンレビュー。折り目、インカメ、マルチタスクーー実機を使って見えた課題と工夫とは

Apple初の折りたたみスマートフォン「iPhone Duo」を一足先に実機で試した。日本では「36万4800円(税込)〜」という価格が大きな話題になっているが、実際に触れてみると、価格だけでは見えてこないAppleのこだわりが随所に詰め込まれていることが分かる。

開閉時の滑らかな動き、好きな角度で止められるヒンジ、開いた瞬間に外側の画面から内側の大画面へ表示がつながっていくアニメーション。そして、折りたたみスマートフォンでは避けにくかったカメラの存在感やディスプレイの映り込みまで、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせて細かく作り込んでいる。

一方で、254gという重量や11.3mmという折りたたみ時の厚さなど、気になる部分もある。そこで本稿では、実機に触れて分かった「iPhone Duo」の実力を詳しく見ていきたい。

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7.6インチを持ち歩くための設計。「iPhone Duo」の画面比率を見る

折りたたみスマートフォンそのものは決して新しいカテゴリーではなく、2018年にはRoyoleが「FlexPai」を発表し、2019年にはSamsungが初代「Galaxy Fold」を発売。その後はSamsung、Google、OPPO、モトローラなど、多くのメーカーが製品を投入してきた。

一方で、折りたたみスマートフォンには長らく「分厚い」「重い」「壊れやすい」「高価」といった課題があった。Counterpoint Researchによると、世界のスマートフォン市場に占める折りたたみスマートフォンの割合は、出荷台数が過去最高となった2025年第3四半期でも2.5%にとどまっている。

つまり、技術としてはかなり成熟してきたものの、一般的なスマートフォンに置き換わるほど普及したカテゴリーではないというのが実情。そこに、今回Appleが初めて参入した格好となる。

「iPhone Duo」が目指しているのは、折りたたむことで持ち運びやすさを保ちながら、必要なときには大画面を使えるという、折りたたみスマートフォン本来の価値をより分かりやすくすることだ。

閉じた状態では5.4インチのアウターディスプレイを備えたスマートフォンとして使い、開けば7.6インチのインナーディスプレイが現れる。小説やコミック、写真、動画などを大きな画面で楽しめるほか、複数のアプリを並べて使うこともできる。

ここで興味深いのが画面の比率。一般的な折りたたみスマートフォンは、閉じたときに通常のスマートフォンらしい縦長の形になるよう設計されている。そのため開くと正方形に近い画面になる製品も多い。

「iPhone Duo」は閉じた状態でも横幅をある程度確保し、アウターディスプレイとインナーディスプレイの縦横比を近づけている。アウターは1:1.455、インナーは1.422:1で、白銀比と呼ばれる1:1.414(1:√2)に近い。

そのため、横向きに開けば映画や動画を大きく表示しやすく、縦向きに回転させれば電子書籍やコミックの1ページを大きく表示しやすい。横向きでは見開き表示、縦向きでは1ページ表示という使い分けもしやすい。

開いたときの表示面積は旧「iPad mini(第1〜第5世代のiPad mini)」に近い。物理的なサイズでは「iPhone Duo」のほうが長辺で約3mm、短辺で約9mm小さいが、実際に使ったときの感覚はかなり近い。

この「開いたときに何をするのか」から逆算した画面設計は、「iPhone Duo」を理解するうえで重要なポイントだ。

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開閉する動作まで作り込む。実機で感じたヒンジと画面の一体感

実際に触れて最初に印象に残ったのが、開閉の気持ちよさだった。

閉じた状態から開こうとすると「バインッ」とわずかにバネ感が感じられるくらいにパカッと開く。その後、90°程度まで滑らかに開いていき、その後は少しずつ抵抗が増していく。ヒンジは100を超える部品で構成され、マグネットを使って力のかかり方を調整しているという。

開いた状態だけでなく、完全に開くまでは好きな角度で止めることができるのが便利なところ。

いわゆるテントのような「へ」の字に立てると、充電中でなくてもスタンバイ機能が起動し、時計やカレンダーなどを表示できる。そのまま動画や番組を視聴することも可能だ。

また、L字型に置けば立てた側を表示用、机と平行になった側を操作用として使える。動画では下側にコントローラーを表示し、写真アプリでは写真を表示しながら下側に編集用の操作画面を出すといった使い方ができる。

このL字型の置き方は、アウトカメラで撮影するときに撮影者と被写体の双方が画面を確認できるため、撮られる側も自分がどのように写っているのかを確認できたり、プレビュー画面にすることでアウトカメラで自撮りすることも可能。折りたたみスマホでお馴染みの機能だが、「iPhone Duo」でもしっかりカバーされている。

ただユニークなのが子どもを撮影するとき。外側のディスプレイにスヌーピーのアニメーションを表示して自然にカメラへ視線を向けてもらえる「キッズキュー」を利用できる。アニメーションは25種類用意されているという。

(画像:Apple)

ソフトウェアにも細かな工夫がある。本体を開くと、外側の画面が徐々にぼかされるように変化しながら、内側の画面へ表示がつながっていく。外側で見ていたものが、そのまま大きな画面へ広がったように感じられる演出で、「今まで見ていた画面が、そのまま大画面になった」と理解しやすくする効果がある。

ディスプレイはNano-texture仕上げ。iPad ProやMacBook Pro、Studio Displayなどでもオプションとして選択できる画面仕上げで、表面にナノメートル単位のエッチング加工を施すことで、画質を落とさずに光の反射や映り込みを抑える。写真や動画を見ているときに周囲の照明や自分の姿が映り込みにくく、コンテンツに集中しやすいというメリットがある。Nano-texture仕様になることで若干のマット感が出るものの、実機で確認したところ筆者はそこまで気にならなかった。

内側のカメラは、アンダーディスプレイ方式を採用する。パンチホールなどを設けず、カメラを画面の下に埋め込んだ構造だ。黒背景などでは多少カメラの存在が気になることもあるが、それでもパンチホールに比べれば画面への干渉はかなり小さい。

通常時はカメラの存在を意識せずに動画や電子書籍を楽しめる一方、自撮りをするときだけ画面上に黒い丸を表示してカメラの位置を知らせる。普段は隠しておき、必要なときだけ見せるという考え方だ。

角度と背景によっては「折り目」が見えることも

「折り目」については、これまであまり詳しく触れられてこなかったため、個人的にも気になっていたポイントだったが、結論から言えば「完全に消えている」とは考えないほうがいいだろう。

白背景のコンテンツを見る限り折り目はほとんど気にならない。一方、画面を黒くして斜めから見ると、折り目の存在は確認できた。指で触れても大きな凹みを感じることはほとんどないため、実利用において気になる場面は少なそうだが、ダークモードや黒背景のコンテンツを見るときなどは、(見る角度によって)折り目が気になることもあるかもしれない。

もちろんこれは「折りたたみ」が抱える課題のひとつで、「iPhone Duo」だけの話ではない。各社の最新モデルを見ても折り目の見え方には差があるものの、あくまで「ほぼ見えない」の段階で、完全にゼロを実現している会社はまだない。ただ、折り目の目立たなさで先行しているのは、現状「OPPO Find N6」かもしれない。

折り目、カメラ、マルチタスク……使って分かった細かな工夫

「iPhone Duo」は、画面を2つに分けてアプリを表示するマルチ分割画面に対応する。スワイプアップして左右にアプリを配置すると自動的に分割表示になり、中央部分を押せばアプリの組み合わせを保存できる。メールとカレンダーなど、よく使う組み合わせを登録しておけば、いつでも同じ画面を呼び出せる。

ただし、iPadのように画面比率を自由に変更したり、3つ以上のアプリを同時に表示したりすることはできない。操作を複雑にしすぎず、画面レイアウトが崩れるのを防ぐための仕様と考えられる。

壁紙はロック画面とホーム画面で個別に設定できる一方、アウターディスプレイとインナーディスプレイで別々の壁紙を設定することはできない。開閉時に外側から内側へ画面がつながって見える演出も、この仕様に関係していると考えられる。

iPhone Duoのアウトカメラは、Appleが「48MP Dual Fusionカメラシステム」と呼ぶ2眼構成だ。折りたたみ筐体に収める都合上、iPhone 18 Proシリーズのような3眼+可変絞りではなく、メインと超広角に絞っている。

主力は48MP Fusionメインカメラだ。焦点距離は26mm相当、絞りはf/1.6固定で、センサーシフト式の光学手ぶれ補正を備える。ゼロシャッターラグに対応し、標準では24MP、最大では48MPで記録できる。専用の望遠レンズはなく、いわゆる2倍は、メインセンサー中央を切り出した光学品質の52mm相当(12MP)だ。

もう一方の48MP Fusion超広角は13mm相当、f/2.2、視野角120度。Appleはこれを「iPhone 18 Pro」と同じ系統と説明している。48MPマクロにも対応し、広い景色と寄りの撮影を1本で担う。ズームの実用ステップは0.5倍、1倍、2倍。光学品質のレンジは4倍、デジタルズームは写真で最大10倍、動画で最大6倍だ。

アウトカメラは望遠レンズに加えて、メインカメラの物理絞りやLiDARなどは搭載しないため、性能は「iPhone 18 Pro」シリーズには一歩及ばず。カメラ性能を最優先するユーザーには「iPhone 18 Pro」のほうが適しているだろう。

本体はチタニウム製フレームを採用し、開いた状態で5.2mm、閉じると11.3mm。重量は254gで、「iPhone 18 Pro Max」の249gを5g上回る。Samsungの「Galaxy Z Fold8」が201gであることを考えると、軽量な折りたたみスマートフォンとは言いにくい。

その一方、実際に手にすると重量バランスは悪くなく、数字ほどの重さは感じにくかった。大画面を持ち歩くための端末として考えれば、許容できる範囲に収まっている。

薄さについては、開いた状態なら「iPhone Air」の5.64mmより約0.4mm薄い。ただし折りたたむと11.3mmになるため、携帯時の厚みは通常のiPhoneよりかなりある。

MagSafeにも対応するが、アクセサリーのサイズには注意したい。本体の高さは117.8mmと短く、iPhone 12 miniよりも小さい。そのため既存のMagSafeウォレットなどを取り付けると本体からはみ出す場合がある。80mm以下のアクセサリーでなければ使いにくいケースもあるため、手持ちのアクセサリーを流用する場合はサイズを確認したほうがいい。

価格は256GBモデルが36万4800円から。米国では1,999ドルで、「Galaxy Z Fold8」の1,899ドルとの差は100ドルでありながらも、日本では約9万5000円の差が生じている。Samsungが日本向けの値決めにおいて頑張った部分もあったように思うが、それにしてもこのあたりの事情は昨今の為替レートを恨むしかないだろう。

36万円超の価格、254gの重さ。それでも残った「楽しい」という感覚

パスポートサイズのスマートフォンは、「Galaxy Z Fold8」などすでに何台か触っていたこともあり、「iPhone Duo」を触ったときも「新鮮味」を感じることはなかった。これが筆者の正直な受け止め方だった。

とはいえ、実際に「iPhone Duo」を触ってみると、「細かいところまでしっかりと作り込まれているな」という感心がとても大きかった。

個々の技術を見れば、横長の画面や画面の下にカメラを隠す仕組み、好きな角度で止められるヒンジなど、すでに他社の折りたたみスマートフォンで使われているものも多い。また、閉じているときは普通のスマートフォンのように使い、必要なときだけ開いて7.6インチの大画面を使うーー、あるいは半開きにして動画を見たり、カメラを固定したり、2つの画面を使って操作と表示を分けたりといった操作は、他の横開きスマートフォンと共通している部分が多い。

気になるところもある。開いた状態では5.2mmと薄いが、閉じると11.3mmになる。重さも254gあり、「iPhone 18 Pro Max」の249gより重い。「Galaxy Z Fold8」の201gと比べると、かなり差がある。折りたたみ機構を入れる以上、薄さや軽さだけを追いかけるのは難しいのだろうが、持ち歩くときには気になる部分だ。

価格も大きなポイントになる。256GBモデルで36万4800円からと、気軽に買える価格ではない。カメラも「iPhone 18 Pro」シリーズほど充実しておらず、「高いから全部入り」という製品ではない……が、それでも使っていて楽しく思えたのは「開く」「閉じる」「途中まで開く」というそれぞれの動作がシームレスにつながっているからだろう。

個人的に気に入っているのが、画面を開くときの演出。閉じた状態で表示していたものが、そのまま内側の大きな画面へ広がっていくように見える。なくても困らないものではあるが、何度か開閉していると、もう一度見たくなる。折りたたみスマートフォンを開くという動作そのものを、ちょっと楽しいものにしている。ハードウェアとソフトウェアを一体で開発できるAppleだからこそ、こうした細かな部分まで作り込めるのだろう。

折りたたみスマートフォンが登場してから約8年。各社が薄さや軽さ、カメラ、ヒンジなどを改良してきたなかで、多少の厚さや重さを受け入れてでも、折りたたむことで何ができるのかを細かく考えたのが「iPhone Duo」で、Appleの折りたたみに対する「答え」のように思えた。「iPhone Duo」を触ってみて、個人的には一番面白いと感じたポイントだったように思う。

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