進化し続けるAppleウォレット&Apple Payを改めてアチコチで使ってみた。みんなどこまで使ってる?

日本上陸から約9年。対応店舗の拡大に加えて、機能面でも着実に進化を続けてきたAppleのウォレット機能。今年6月にはついに「マイナンバーカード」をiPhoneに搭載できるようになり、「Appleウォレット」の状況はさらに一変した。

「コンビニで使える」「電車に乗れる」といった従来のユースケースを超え、観光体験、街の小規模事業者、さらには行政手続きまで。いま、Apple Payが使えるシーンは生活のあちこちに広がりはじめており、iPhoneひとつあれば、もはや財布は不要。そんな “ノーウォレット生活” が現実味を帯びてきた。

そこで今回、「iPhoneだけでどこまで行けるか」をテーマに、改めて「ウォレット」アプリを利用できるシーンをアチコチで体験してみた。

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「これもiPhoneでできるの?」そんな瞬間が増えてきた

まず最初の体験は、コンビニでの住民票発行だ。これは2025年6月、ついにiPhoneが「マイナンバーカード」に対応したことで実現した。iPhoneのウォレットアプリにマイナンバーカードを登録することで、物理カードがなくても証明書を発行できるようになった。

最寄りのコンビニに設置されているマルチコピー機の画面を操作し、本人確認のためにiPhoneをかざす。画面ロックを解除し、指示に従って生体認証を済ませると、数秒後には「本人確認が完了しました」の表示が。あとは手数料を支払えば、役所に行かずともその場で住民票が印刷できる。

セブン-イレブンならnanacoが利用できるコピー機もあるため、ウォレットアプリにnanacoを登録しておけば、手数料すらApple Payで支払うことが可能だ。

スマホひとつで行政手続きがここまでシームレスになるのは、やはり新鮮な驚きがある。「iPhoneとApple Pay、行政の垣根も超え始めているな」と実感した瞬間だった。

次は、通勤時のJR改札。これはもう首都圏の人なら日常的に使っているはずだが、改めて考えてみると、iPhoneをかざすだけで改札を通れるという体験はやはりすごい。モバイルSuicaをApple Payに登録し、「エクスプレスカード設定」を有効にすれば、Face IDもパスコード入力も不要。スリープ状態のiPhoneを改札機に近づけるだけで、無事にゲートが開く。

現在、日本でエクスプレスカードとして利用できる交通系ICカードは、Suica、PASMO、ICOCAの3種類に限られている。その他の交通系ICカードはまだ対応していないものもあるが、これら3つは多くのユーザーに利用されており、「改札口で立ち止まることなく一瞬で通過できる」という体験が、日々のストレスを確実に軽減してくれていると実感している人も多いはずだ。

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人力車の乗車賃もApple Payでサクッとお支払い

浅草では、もっと意外なシーンが待っていた。日本の観光地でおなじみの「人力車」の支払いに、Apple Payが使えたのだ。導入されていたのは「iPhoneのタッチ決済(Tap to Pay on iPhone)」。これは2024年末に日本でもサービスが始まったばかりの新機能で、事業者側が専用の決済端末を用意しなくても、自身のiPhoneを使うだけで非接触決済を受け付けられる。

実際のやりとりはこうだ。人力車の車夫が乗車後、ポケットからiPhoneを取り出し「こちらにタッチしてください」と差し出す。物理的なクレジットカードやデビットカード、Apple Pay、その他のデジタルウォレットなど、さまざまなタッチ決済に対応しているという。

今回はAppleウォレットに登録したクレジットカードで支払い。金額が表示されたiPhoneにタッチするだけで、支払いが完了した。

こうした中小事業者が簡単にキャッシュレス対応できる仕組みは、今後は全国の観光地やイベント、中規模事業者を中心にあらゆる現場で普及が進みそうだと感じた。

今回、協力していただいた「えびす屋」に聞いたところ、2019年に東京・浅草店でキャッシュレス決済を導入したところ、いまでは半分以上の顧客がデジタル決済を利用しているそうだ。インバウンド需要の高まりを反映するかのように、利用者の8割は訪日観光客だが、最近は国内観光客の利用者も増えているとのことで繁盛している様子だった。

最後は、カフェでの支払い体験。これはある意味「Apple Payの定番ユースケース」かもしれないが、今あらためて便利さを実感する。タッチ決済に対応したVisaやMastercard、Amexなど、店ごとに異なる決済環境にもApple Payなら柔軟に対応できる。

当初は使い道が限られていたAppleウォレットも最近ではさまざまなシーンで使うように

AppleウォレットおよびApple Payは、2016年10月にサービスがはじまり今年で9年目を迎える。海外とは異なる日本独自の仕様として実装され、交通系ICをエクスプレスカードとして登録できるようになったのも、実は日本がはじめてだった。

2020年10月にはPASMOに対応したり、2021年にはVisaブランドのカードがApple Payに登録できるようになり、Visaの非接触決済「Visaのタッチ決済」が利用できるように。

そして2024年5月には、iPhoneのみで対面での非接触決済に対応する「iPhoneのタッチ決済」が提供開始され、2025年6月にはマイナンバーカードの搭載に対応するなど、徐々にその利便性を増している。

ロサンゼルスのTAPカード、香港のオクトパスカードも入れて使用したこともある

今回は、大きく分けて4つのシチュエーションを体験してきたが、他にもAppleウォレットには飛行機の搭乗券を登録しておいたり、ホテルのステータスやクレジットカードの特典などに付帯するラウンジ利用券などを登録しておける。筆者は荷物の発送にヤマト運輸をよく利用するのだが、「宅急便をスマホで送る」で作った送り状データを登録できるのがとても便利で、日々活用している。

さらに海外に目を向けると、観光地の入場券や野球・サッカーの試合のチケット、市内観光パスなどもAppleウォレットに登録できたりする。

本当にサイフを置き換えるにはまだ至らないものの、それでもサイフを取り出さずに済むシーンは以前に増して多くなったように感じる。マイナンバーカードの搭載によって、今後は保険証や運転免許証の代わりにもなる予定(あるいは調整中)であるため、将来的には本当にサイフを持ち歩かずに済む時代が訪れることになるかもしれない。

Apple Pay取材
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