
Appleは10月26日、新型タブレット「iPad mini(A20 Pro)」を発表した。2024年10月に発売された「iPad mini(A17 Pro)」から約2年ぶりの刷新となり、ディスプレイが液晶から有機EL(OLED)に変更されたほか、処理性能や通信機能も強化されている。
iPad miniのヘビーユーザーである筆者にとって、今回の新モデルで特にうれしいのは「OLED化」と「防水・防塵性能の向上」。本体も薄型・軽量化され、持ち運びやすさにも磨きがかかった。ただし、リフレッシュレートは最大60Hzのままで、価格もさらに高くなっている。
画面の見やすさや使い勝手が向上した新型「iPad mini」。前モデルとの違いを確認しながら、どのような人に向いているのかを見ていく。
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OLED採用で画質が向上。最低輝度1ニトもうれしい

新型「iPad mini」の大きな変更点は、ディスプレイが液晶からOLEDへと変わったことだ。前モデルの「Liquid Retinaディスプレイ」に代わり、新モデルでは「Super Retina XDRディスプレイ」を採用した。
OLEDは画素そのものが発光する仕組みで、黒を表示するときには画素を消灯できる。液晶に比べて黒を深く表現しやすく、明るい部分と暗い部分のコントラストも高められるため、映画やゲームなどを楽しむ際の映像表現が向上する。
画面の明るさも強化された。前モデルの最大輝度は500ニトだったが、新モデルではSDR表示時に最大600ニト、ピーク輝度は最大1,200ニトに対応している。コントラスト比も2,000:1から2,000,000:1へと大幅に向上した。屋外などの明るい場所でも画面を確認しやすくなり、HDR対応の映像コンテンツもより豊かな明暗表現で楽しめる。
個人的に嬉しいのは、明るさを最低1ニトまで下げられること。
「iPad mini」は、動画を見たりゲームを遊んだりするだけでなく、寝る前に電子書籍を読んだり、何となく動画を流したりする使い方にも向いている。出張先のホテルなどでなかなか寝付けないとき、YouTubeで歴史に関する動画を見たり、ヒーリング音楽を再生したりすることがあるが、そうした場面では画面が明るすぎると気になってしまう。
最低輝度を1ニトまで下げられれば、暗い部屋でも画面のまぶしさを抑えながら動画を再生できる。就寝前にタブレットを使うことがある人にとっては、ありがたい改良だろう。
また、256GBと512GBのモデルでは、画面への光の映り込みを抑えるNano-textureディスプレイガラスも選択できる。個人的には必須とは感じないが、屋外で写真を確認したり、日差しの下で資料を読んだりする機会が多い人なら、検討する価値がありそうだ。

一方で、少し惜しいのがリフレッシュレート。従来モデルと同様に最大60Hzにとどまり、120Hzの「ProMotion」には対応していない。
120Hz対応ディスプレイなら、ウェブページのスクロールや画面操作をより滑らかに表示できる。ゲームでも対応タイトルであれば高いリフレッシュレートを生かせるほか、Apple Pencilを使って文字を書いたりイラストを描いたりするときの表示にも関係する。
もちろん、60Hzでも一般的なウェブ閲覧や動画視聴、電子書籍の読書には十分使える。ただ、せっかくOLEDを採用して画質を向上させたのなら、表示の滑らかさについても進化してほしかったところだ。
薄型・軽量化に加え、待望の防水防塵にも対応

新型「iPad mini」は、ディスプレイを8.3インチから8.5インチへと大型化しながら、本体の薄型・軽量化も実現した。
本体サイズは195.3×132.6×5.4mmで、前モデルの195.4×134.8×6.3mmと比べると、厚さは0.9mm薄くなっている。重量はWi-Fiモデルが255g、Wi-Fi + Cellularモデルが263gだ。前モデルからそれぞれ38g、34g軽くなっており、持ち運びやすさの向上も期待できる。
「iPad mini」は、スマートフォンより大きな画面でコンテンツを楽しみながら、一般的なiPadよりも気軽に持ち歩けることが魅力だ。電子書籍を読んだり、移動中にゲームを遊んだり、外出先で資料を確認したりする用途では、薄型・軽量化も歓迎したい改良となる。

さらに、今回の新モデルは「IP67」相当の防水・防塵性能にも対応した。前モデルにはなかった保護性能で、粉じんの侵入を防ぐほか、規定の条件下で水深1mに最長30分間沈めても有害な影響を受けないとされている。
タブレットはスマートフォンと比べて、使う場所が限られると思われるかもしれない。しかし、キッチンでレシピを確認したり、屋外で資料を見たり、飲み物を置いたデスクで作業したりと、水濡れや汚れが気になる場面は意外とある。
そうした場所でも以前より安心して使いやすくなるのは、実用面でうれしい変更だ。筆者の場合で言うと週に1回の自宅での半身浴の際に「IP67」相当の防水性能をもったスマートフォンを浴室に持ち込んでいる。お風呂場に「iPad mini」が持ち込めるようになるのは正直かなり嬉しい。
ただし、防水・防塵性能は使用に伴って低下する場合があり、水濡れによる損傷は保証の対象外となることから、水に濡らしても問題ないと考えるのではなく、あくまで万が一の水濡れに備える機能として捉えておきたい。
A20 Pro搭載でゲーム性能も強化。512GBモデルはCPU構成に注意

処理性能を担うチップには、最新の「A20 Pro」を採用した。前モデルの「A17 Pro」から世代が進み、CPUやGPUの性能が向上している。
Appleによると、GPU性能は前モデルの最大2.7倍、CPUのマルチスレッド性能は最大60%向上した。さらに、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングにも対応している。
こうした性能向上が特にうれしいのは、3Dグラフィックスを多用するゲームを遊ぶ人だろう。レイトレーシングは、光の反射や陰影などをより現実に近い形で描画するための技術だ。対応するゲームでは、映像表現の向上が期待できる。
もちろん、ゲーム以外でも写真編集などの処理負荷が高いアプリを使う際には、性能向上の恩恵を受けられる。Apple IntelligenceをはじめとするAI機能を利用したり、端末上でAI処理を実行したりする用途でも、進化したチップが役立ちそうだ。
ただし、購入時にはストレージ容量による仕様の違いに注意したい。
CPUは基本的に5コア構成だが、512GBモデルのみ6コア構成となっている。GPUはいずれも7コア構成だ。大容量ストレージを選ぶ場合は、保存できるデータ量だけでなく、CPU構成にも違いがあることを覚えておきたい。
ゲームを多く遊ぶ人や、写真・動画などのデータを大量に保存する人にとって、512GBモデルは魅力的な選択肢になりそうだ。一方、ウェブ閲覧や電子書籍、動画視聴が中心であれば、必要なストレージ容量を見極めたうえでモデルを選ぶとよいだろう。
Wi-Fi 7やBluetooth 6に対応。通信機能も進化

新型「iPad mini」は、通信機能も強化された。Appleが設計したワイヤレスネットワークチップ「N1」を採用し、Wi-Fi 7、Bluetooth 6、Threadに対応している。
前モデルはWi-Fi 6EとBluetooth 5.3に対応していたため、ワイヤレス通信の規格が新しくなった。Wi-Fi 7対応ルーターなどの機器と組み合わせれば、対応する通信環境でより高速なワイヤレス接続を利用できる。
AirDropやAirPlayの安定性も改善されたとAppleは説明している。写真やファイルをほかのApple製デバイスに送ったり、対応機器に映像や音声を出力したりする際にも、使い勝手の向上が期待できる。
セルラーモデルには、新しい通信モデム「C2」を搭載した。モバイルデータ通信の速度は前モデルと比べて最大50%向上し、電力効率も改善している。
また、eSIMに対応しているため、通信プランの追加や既存プランの移行をオンラインで行える。ただし、物理SIMカードには対応していないため、これまでSIMカードを差し替えて使っていた人は注意が必要だ。
カラーは2色に。価格の上昇も気になるポイント
新型「iPad mini」の価格は、128GBモデルが11万9,800円、256GBモデルが13万6,800円、512GBモデルが17万1,800円からだ。いずれも税込価格で、256GBと512GBのモデルではNano-textureディスプレイガラスを搭載した仕様も選べる。
OLEDの採用やチップの刷新、防水防塵への対応など、幅広い改良が加えられたことは歓迎したい。一方で、価格は11万9,800円からとなり、気軽に購入できるタブレットとは言いにくくなってきた。
「iPad mini」は、持ち運びやすいサイズを重視する人にとって魅力的な製品だが、画面サイズや価格を考えると、標準モデルのiPadなども比較対象になる。購入を検討する際は、コンパクトさにどれだけ価値を感じるかが重要になりそうだ。


そして、ハードウェアの向上は全体的に嬉しいものばかりだったが、個人的にはカラーラインアップの減少が地味に残念なポイントだった。
新型はミッドナイトとスターライトの2色展開だ。前モデルではブルー、パープル、スペースグレイ、スターライトの4色が用意されていたが、新モデルでは選べる色が減った。

落ち着いた色合いを好む人には今回のラインアップも魅力的だが、前モデルのパープルのような明るく個性的なカラーを好んでいた人にとっては、少し残念な変更かもしれない。ちなみに筆者は、前回の「iPad mini (A17 Pro)」でパープルを選択。その前の「iPad mini (第6世代)」ではピンクを選んでいた。
OLEDと防水対応は魅力。120Hz非対応と価格は悩ましい

新型「iPad mini」は、OLEDの採用による画質の向上や防水防塵性能への対応、薄型・軽量化、A20 Proによる処理性能の強化など、幅広い改良が施された。
筆者としては、特にOLEDへの変更と防水防塵性能への対応を歓迎したいところだ。画面が明るくなっただけでなく、最低輝度を1ニトまで下げられるようになった点も地味に見逃せないポイント。就寝前に電子書籍を読んだり、暗い部屋で画面を見たりする際にも、より快適に使えそうだ。また、3Dゲームをよく遊ぶ人にとっては、GPU性能の大幅な向上も魅力となるだろう。
すでに「iPad mini(A17 Pro)」を使っている場合、ウェブ閲覧や電子書籍の利用が中心であれば、急いで買い替える必要性はそれほど高くないかもしれない。一方、ディスプレイの画質やゲーム性能を重視する人、防水防塵性能を求めていた人にとっては、買い替えを検討する価値のあるモデルになるだろう。
……筆者はいろんなデバイスをすでに購入してしまったので、おサイフ事情としてはやや悩むところだが果たしてどうしようか。10月29日午前2時10分の予約開始までもう少し悩んでみようと思う。
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(画像:Apple)



