2019年4月に発売した 「iMac (Retina 5K, 27インチ, 2019)」 と、2020年8月に発売した 「iMac (Retina 5K, 27インチ, 2020)」 は、ユーザーがアクセスできるSO-DIMMスロットが用意されているおかげで、ユーザー自身の手によるメモリの増設・換装が可能だ。
購入時にCTOオプションでメモリを増設することもできるが、AppleのCTOオプションを利用するより、自分自身の手でメモリ交換した方が安く済む。メモリ容量にもよるが、なんと半額近い値段でメモリを増設できてしまうため、メモリを増設するなら自分の手で行うことがオススメだ。
というわけで、当記事では 「27インチiMac (2019)」 「27インチiMac (2020)」 に最適なメモリを調べてみた。また、増設方法についても記事下で解説しているため、もしiMacのメモリ増設・換装を考えているのなら当記事を参考にしていただければ幸いだ。
ちなみに、21.5インチの画面を搭載した 「iMac Retina 4Kディスプレイモデル (現在は販売終了)」 やApple Siliconを搭載した 「24インチiMac」 についてはメモリの増設・換装はできないため、購入段階でメモリをカスタマイズしておくことをお忘れなく。
(最終更新:2022年8月3日)
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27インチiMac (2019/2020) のメモリ規格
まずは 「27インチiMac」 がサポートするメモリの規格について確認しておこう。
Apple公式サイトの 「iMac – 仕様」 ページによると、「27インチiMac (2019/2020)」 は、おなじ2,666MHz DDR4メモリ(SO-DIMM) をサポートしている。
規格詳細は以下。難しい用語が並んでいるように感じるかもしれないが、要はこの規格に適合するメモリを購入すれば増設・換装が可能ということになる。参考までに、これは2018年10月に発売した 「Mac mini (2018)」 のメモリ規格とまったく同じものだ。
- PC4-21333 (PC4-21300)
- DDR4 SDRAM 2,666MHz
- 260ピン
- バッファなし
- パリティなし
ちなみに、2017年に発売した 「27インチiMac (2017)」 がサポートするメモリ規格は、PC4-19200/2400MHz DDR4 SO-DIMM(260ピン) だったため、同モデルで使用していたメモリを 「27インチiMac (2019/2020)」 に使い回すことは理論上は可能。
ただし、それをしてしまうと最新iMacの最大動作クロック数 (2,666MHz) が活かせないため、もし新しくメモリを購入するつもりなのであれば 「27インチiMac (2019/2020)」 のメモリ規格に合致したものを購入した方が、より高いパフォーマンスを発揮させることができるはずだ。
なお、今回は2019年モデルと2020年モデル用のメモリを紹介しているが、それよりも前のモデルのメモリ規格やオススメのメモリが知りたい場合はこちらの記事が参考になると思う。ぜひ活用していただきたい。
27インチiMac (2019/2020) に最適なメモリは?
メモリの規格が確認できたと思うので、次は実際にメモリを選びに行こう。
上記の規格に合うものであれば基本的にどれを購入しても良いのだが、iMacはデュアルチャネルをサポートしているので、同じ規格・同じ容量のメモリを2枚1組で使用することで、より高いパフォーマンスを発揮できる。せっかく増設するなら、同じ規格・容量のメモリを2枚購入するか、最初から2枚セットになった製品を購入したほうがいいだろう。
「27インチiMac (2019/2020)」 には4つのスロットが用意されているため、合計4枚のメモリ (2枚+2枚=4枚) の構成で組むのがオススメ。
たとえば8GBのメモリを4枚挿すと、合計メモリ容量は32GBになる。もし、あなたがiMac購入時に最少の8GB (4GB+4GB) で購入したのなら、別途8GBのメモリを2枚買うことで、4GB+4GB+8GB+8GBで合計24GBにすることもできるだろう。
「27インチiMac (2019/2020)」 のメモリ最大容量は128GB。2019年モデルについては、Appleは64GBまでサポートするとしていたが、OWCの検証によって128GBまで読み込めることが確認できている。
これらの規格に適合するメモリは次の項目であげる製品になる。紹介するのはAmazonに出品されている中で良さそうなもの (最終更新:2022年6月3日) を選択したものになるが、どれも信頼できるメーカーが製造しており、ほとんどが永久保証を謳っているため品質については安心できるだろう。
iMac (27インチ, 2020) における注意点
「27インチiMac (2020)」 は、初期搭載メモリ (SK Hynix製もしくはMicron製) と、他メーカーのメモリを混在させると、クロック周波数が2,133MHzに下がってしまうことがあることが筆者の検証によって判明している。
クロック周波数が2,133MHzに下がってしまった例
メモリ挿入位置を変えたらクロック周波数が2667MHzに戻った
メモリの相性によってはクロック周波数が下がらなかった例もあるが、多くの場合が2,667MHzから2,133MHzに下がってしまうことが確認できている (これは不具合ではなくiMacの仕様)。
この対策としては、①4枚すべて同じメモリで統一する、②1段目と2段目、3段目と4段目にそれぞれ共通したメモリを挿す、③クロック周波数が2,133MHzに下がってしまうがデュアルチャネルが利用できる1段目と3段目、2段目と4段目にそれぞれ同一のメモリを挿すのいずれかを選択する必要がある。筆者なら高いパフォーマンスを発揮できる①あるいは③を選択するだろう。
ちなみに筆者の環境では以下のTimetec Hynix製のメモリを購入したところ、最大クロック数2,666MHzとなった。もし初期搭載メモリ(SK Hynix製)に追加する形でメモリを増設しようと考えている場合は、Timetec Hynix製のメモリを購入してみても良いかもしれない。ただし、初期搭載メモリによってはやはり2,133MHzに下がってしまう例もあるとのこと。もしそうなった場合は前述の①あるいは③で対処する必要があるだろう。
なお、上記画像は他メーカーメモリ混載時のパフォーマンスを比較した画像。左が1段目と3段目、2段目と4段目にそれぞれ同一メモリを搭載したときの様子で、右が1段目と2段目、3段目と4段目にそれぞれ同一メモリを搭載したときの様子だ。
左はクロック周波数は2,133MHzに下がってしまうものの、デュアルチャネルが発揮された結果、右に比べて高いパフォーマンスを発揮できている状態。こうなるようであれば、1段目と3段目、2段目と4段目にそれぞれ同一メモリを搭載する方が良いかもしれない。
ただし、メモリによってはこの結果が反転 (=右の方が良い数字が出ることがある) することがあるため、実際のところはメモリ購入後にどちらの方がパフォーマンスが高く出るのか計測してみる必要があることに注意が必要だ。ベンチマークアプリはこちらのリンクからダウンロードできる。
27インチiMac (2019/2020) に適合するメモリの価格一覧
下記は、「27インチiMac (2019)」 「27インチiMac (2020)」 のメモリ規格に適合するメモリ製品の一覧表。コンテンツブロッカーを入れている場合はリンクが表示されないことがあるようなので、その場合はコンテンツブロッカーを無効化してご覧ください。なお、価格は2022年8月3日1:00時点。
メモリ容量 | 枚数 | おおよその価格 | メーカー名(商品リンク) |
---|---|---|---|
4GB | 4GBx1 | 2,700〜7,700円 | Transcend |
iRam | |||
4GBx2 | 15,200円 | iRam | |
8GB | 8GBx1 | 4,200〜11,100円 | Timetec Hynix IC |
Transcend | |||
Crucial | |||
OWC | |||
iRam | |||
8GBx2 | 9,000〜22,100円 | Crucial | |
v-color Hynix IC | |||
Kingston ”HyperX Impact”(CL値注意) | |||
Samsung | |||
iRam | |||
8GBx4 | 17,000円 | Timetec Hynix IC | |
16GB | 16GBx1 | 9,000〜18,600円 | Crucial① |
Crucial② | |||
CORSAIR(CL値注意) | |||
OWC | |||
iRam | |||
16BGx2 | 15,000〜37,100円 | Crucial | |
Team | |||
v-color Hynix IC | |||
Kingston ”HyperX Impact”(CL値注意) | |||
iRam | |||
16GBx4 | 32,000〜46,000円 | v-color Hynix IC | |
Timetec Hynix IC | |||
32GB | 32GBx1 | 16,000〜38,400円 | Timetec Hynix IC |
iRam | |||
32GBx2 | 32,000〜44,000円 | v-color Hynix IC | |
Samsung |
【注意①】上記表のCORSAIRとKingstonのメモリは、iMacの初期搭載メモリとレイテンシが異なるため、この2社のメモリを購入する場合は同一メモリのみで統一することをオススメします。
【注意②】27インチiMac (2020)は初期搭載メモリ(SK Hynix製もしくはMicron製)と他のメモリを混在させると、クロック周波数が2,133MHzに下がってしまうことがあります。基本的には初期搭載メモリがSK Hynix製だった場合はTimetec Hynix製のメモリを購入する、もしくは初期搭載メモリがMicron製だった場合はMicron製のメモリを別途購入するのがオススメですが、もしそれでクロック数が下がってしまう場合はメモリの挿入する位置を変更するか、初期搭載メモリを外して自ら購入したメモリのみを挿入する必要があることに注意してください。
オススメのメモリ (筆者も使用)
筆者は 「27インチiMac (2019)」 用にCrucial(Micron製)の16GBメモリを2枚、「27インチiMac (2020)」 用にTimetec Hynix ICの16GBメモリを2枚購入してみた。
両モデルとも購入時のCTOオプションを利用せず、最少の8GBで注文したため、新しく購入したメモリを加えることで合計40GB(4GB+4GB+16GB+16GB)となる。40GBもあればメモリ容量が不足することはほとんどないが、もし将来的に不足を感じるようになったらさらに大容量のメモリを追加する予定だ。
↓ iMac (2019) 用に購入したメモリ
↓ iMac (2020) 用に購入したメモリ
ちなみに、iMac用のメモリといえば安心と信頼のiRam製メモリが有名。すこしお値段が高くなるが信頼できるメモリが欲しい方はぜひそちらをご購入いただきたい。
iMacのメモリの増設・換装方法については別記事 「iMac (27インチ)」 のメモリを増設・換装する方法 ~画像付きで手順や注意点を解説」を公開したのでこちらをご覧いただくか、以下でも紹介しているため、気になる方はぜひご覧いただきたい。
27インチiMacのメモリを増設・交換する方法
「27インチiMac (2019/2020)」 のメモリスロットにアクセスするための手順は、27インチiMac (Late 2015)や27インチiMac (2017)とまったく同じ。背面にメモリスロットが隠されているので、このメモリスロットを開放し、メモリを挿すだけとなる。
Appleのサポートページ 「iMacにメモリを取り付ける」 でイラスト入りで解説されているのだが、実際にメモリを増設した時の写真を撮影してみたので、増設・交換する際の参考にしていただきたい。
- iMacの電源を落として10分ほど待機
- iMacから電源コードを抜く
- ディスプレイを下にしてiMacを寝かせる
- 背面ボタンを押してメモリコンパートメントドアを開ける
- メモリケージ両脇にある2本のレバーを外側に押してメモリケージを外す
- レバーを手前に引いてメモリケージ開放&メモリスロットにアクセス可能に
- 用意したメモリを挿入(もしくは交換)
- 1〜7までの手順を遡るようにiMacを元の状態に戻す
手順をひとつずつ解説していく。
まずはiMacの電源を落とし、内部の温度が下がるまで10分程度待つ。温度が下がったら電源コードなど接続されているケーブルをすべて外し、ディスプレイが下に来るようにiMacを寝かせよう。このとき、iMacのディスプレイが傷つかないようにiMacの下にタオルのような柔らかい布を敷くことをお忘れなく。
電源コードの下にメモリコンパートメントドアを開けるボタンが隠されている
次はいよいよiMacのメモリスロットにアクセスする作業に移る。まずはメモリコンパートメントドアを開く必要があるのだが、電源コードが挿さっていた部分に小さなボタンが用意されているので、このボタンを押すことでメモリコンパートメントドアがパカっと開くようになっている。
爪楊枝でなんとか押せた
このボタンが意外に固く、そして小さいため指で押し込むのは難しいため、”硬い棒状のもの” で押す必要がある。今回筆者は爪楊枝の後ろ側を使って押し込んでみたが、力加減によっては爪楊枝が折れてしまう可能性があるため、できれば折れる心配の少ないものを使うのがベスト。2017年モデルの時は小さい六角レンチで開けた記憶がある。
メモリコンパートメントドアを開く
2本のレバーは外側に押すと外れる
無事にメモリコンパートメントドアを開けることができたら、次はメモリを格納しているメモリケージを引っ張り出そう。両脇にある2本のレバーをそれぞれ外側に押すことでレバーが外れ、さらに下に降ろすことでメモリケージを引っ張り出すことが可能だ。この状態になって、ようやくメモリスロットにアクセスすることができる。
外れたレバーを下に降ろすとメモリスロットにアクセス可能に
あとは空いているメモリスロットに新しく購入したメモリを挿入したり、現在すでに入っているメモリを外して新しいメモリに交換したり、ご自由にどうぞ。メモリを挿入する際は、メモリ下にある”切り欠き”が左側に来るように。また、外れないようにする必要があるため、少し力を入れてしっかりと奥に押し込むようにしよう。
デュアルチャネルを有効にするため、対になるメモリは交互に挿入
メモリを挿入したら、これまでの手順を遡るようにiMacを元の状態に戻していく。メモリコンパートメントドアをつけ直せば作業は完了だ。これら一連の作業は文章にするとやや複雑に感じるかもしれないが、実際にやってみると意外と簡単。筆者のようにこの作業に慣れてくるとわずか3分~5分で完了できるようになる。
メモリが交換できたか確認しよう
メモリの交換ができたところで、次はいよいよiMacの起動だ。起動する場合はいつも通り起動ボタンを押すだけとなる (起動まで10秒から30秒程度かかることがあるので焦らないように)。無事起動できたら、STEP2までの手順でメモリが正しく増設・交換できたかどうかをチェックしよう。
チェックする方法は画面左上のリンゴマーク (Appleのロゴ) から、「このMacについて」 をクリック。すると、そのデバイスに搭載されているメモリの総容量が確認できるはずだ。さらに詳しい情報は、「このMacについて」 から 「システムレポート」 > 「ハードウェア」 > 「メモリ」 と進むと確認できるようになっている。以下は筆者のiMacの画面だが、合計4枚のメモリが認識できていることがお分かりいただけると思う。
以上がiMacのメモリを増設・交換する方法だ。実際の交換作業はさほど難しいものではないため、パソコンに詳しくない方でも簡単に交換が可能だ。
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