日本時間2月21日、韓国Samsungは米サンフランシスコで新製品発表イベント 「Galaxy UNPACKED 2019」 を開催。新型フラグシップスマートフォン 「Galaxy S10」 と 「Galaxy S10+」 を発表した。
これらの新型端末に関しては当ブログですでに速報記事を公開し、ありがたいことに多数の反響をいただいたが、その中で、読者の方から 「前モデルから具体的に何がどう変わったのかを知りたい」 という声があったため、当記事では前モデルと新モデルの違いについて詳しく解説したいと思う。また、すでに海外メディアがハンズオン動画を公開しているため、併せてそちらも紹介する予定だ。
「Galaxy S9/S9+」 と 「Galaxy S10/S10+」 の変更点一覧
まずは、「Galaxy S9/S9+」 と 「Galaxy S10/S10+」 の変更点・新機能について一気に網羅して見た。両者の違いは以下の通りとなっている(共通している部分は太字)。
- パンチホールデザインでさらなるベゼルレス化
- 画面の大型化(5.8インチ→6.1インチ)
- Dynamic AMOLED技術採用でHDR画質(HDR10+)に対応
- 端末サイズの変化(147.7×68.7×8.5mm→149.9×70.4×7.8mm)
- 軽量化(163g→157g)
- バッテリー容量が増大(3,000mAh→3,400mAh)
- 背面カメラがトリプルレンズ仕様に
- 指紋認証は画面内蔵型に
- 虹彩認証機能が廃止(顔認証機能は健在)
- 最新プロセッサ採用で約20%性能が向上
- RAM容量が増加(4GB→8GB)
- 内蔵ストレージ容量が64GB/128GB/256GB→128GB/512GBに
- microSD(別売り)最大容量が400GB→512GBに
- 次世代Wi-Fi規格 「Wi-Fi 6 (802.11ax)」をサポート
- ワイヤレス充電の新機能 「Wireless PowerShare」 をサポート
- 初期OSがAndroid 8.0→Android 9.0
- パンチホールデザインでさらなるベゼルレス化
- 画面の大型化(6.2インチ→6.4インチ)
- Dynamic AMOLED技術採用でHDR画質(HDR10+)に対応
- 端末サイズの変化(158.1×73.8×8.5mm→157.6×74.1×7.8mm)
- 端末の軽量化(189g→175g:セラミックモデル除く)
- バッテリー容量が増大(3,500mAh→4,100mAh)
- 背面カメラがトリプルレンズ仕様に
- フロントカメラが単眼から双眼仕様に
- 指紋認証が画面内蔵型に
- 虹彩認証機能が廃止(顔認証機能は健在)
- 最新プロセッサ採用で約20%性能が向上
- RAM容量が増加(6GB→8GB/12GB)
- 内蔵ストレージ容量が64GB/128GB/256GB→128GB/512GB/1TBに
- microSD(別売り)最大容量が400GB→512GBに
- 次世代Wi-Fi規格 「Wi-Fi 6 (802.11ax)」をサポート
- ワイヤレス充電の新機能 「Wireless PowerShare」 をサポート
- 初期OSがAndroid 8.0→Android 9.0
変更①パンチホールデザイン採用による”さらなるベゼルレス化”
今回の新型モデルは、「さらなるベゼルレス化」 と 「ディスプレイ内蔵型指紋認証の実装」 「カメラ性能の向上」 「処理の高速化」 「ワイヤレス充電の便利さアップ」 の5点が主なアップデート箇所となる。
まずは、「さらなるベゼルレス化」 。これまでGalaxyシリーズで画面両サイドを湾曲させたエッジスクリーンを採用するなど、ある意味早い時期からベゼルレスデザインに目をつけてきたSamsung。2017年発売の 「Galaxy S8/S8+」 から画面上下のベゼル幅も狭くしたことで、「現代のベゼルレスデザイン」 を採用、さらに昨年発売の 「Galaxy S9/S9+」 もS8のデザインを踏襲していた。
「Galaxy S9/S9+」 のベゼルレスデザインをもっと進化させたのが、今回の 「Galaxy S10/S10+」 だ。ベゼルレス化といえば 「iPhone XS」 のノッチデザインが有名かもしれないが、「Galaxy S10/S10+」 は 「パンチホールデザイン」 という別の手法を取り入れることでベゼルレスを実現している。
パンチホールデザインは、画面に穴を開けたようなデザインのこと。上記画像を見たらお分かりいただけるように、「Galaxy S10/S10+」 の画面右上に小さな穴が確認できる。ここにフロントカメラを内蔵することによって、iPhoneのようなノッチを作らずにベゼルレス化を果たすことに成功した。
パンチホールデザインについては早くも賛否両論。Galaxy S10のように画面に穴が空いているのを邪魔に感じる人もいるが、中にはiPhone XSのノッチを邪魔に思う人もいる。完全なるベゼルレス化を実現できる時代が来るまでは、最終的にはデザインの好き嫌いの話に落ち着きそうではある。
ちなみに、ベゼルレスデザインを採用したことによって、端末サイズを大きく変えることなく、画面サイズの大型化を実現することに成功した。前モデルとの簡単な比較は以下。
Galaxy S9 | Galaxy S9+ | Galaxy S10 | Galaxy S10+ | |
---|---|---|---|---|
高さ | 147.7mm | 158.1mm | 149.9mm | 157.6mm |
幅 | 68.7mm | 73.8mm | 70.4mm | 74.1mm |
厚さ | 8.5mm | 8.5mm | 7.8mm | 7.8mm |
変更②ディスプレイ内蔵型指紋認証の実装
多くのユーザーから歓喜の声が上がっていたのが、ディスプレイ内蔵型指紋認証の実装。昨年までのGalaxy端末は、指紋認証センサーが背面に搭載されていたが、「Galaxy S10/S10+」 は久々に端末の前面に戻ってきた。
しかしホームボタンが廃止されたベゼルレス端末のどこで指紋を読み取るのか、その答えは画面上にある。
「Galaxy S10/S10+」 が採用する指紋認証機能はディスプレイに内蔵されたもので、超音波によってユーザーの指紋を読み取ることが可能だ。Samsungによると、この指紋認証センサーは従来のものよりも高速でセキュアな認証が可能だという。実際、現地で実機を試した方から、「Galaxy S10/S10+」 の指紋認証速度は早いという報告が上がっている。
これまでは端末背面に指紋認証センサーが配置されていたため、指紋で画面ロック解除するには指紋センサーを手探りならぬ ”指”探りする必要があった。しかし、前面に指紋認証機能が帰ってきたことで、今までよりもスムーズな生体認証が可能になるだろう。
もちろん、「Galaxy S10/S10+」 には顔認証機能も利用できる。最大のライバルiPhoneは顔認証機能しか利用できないため、この点はかなりアドバンテージになると言えるだろう。
ちなみに、「Galaxy S9/S9+」 では虹彩認証機能が利用できたが、「Galaxy S10/S10+」 では同機能が廃止されている。
変更③カメラ性能の向上
毎年、カメラ性能の向上に多大な労力と努力をつぎ込んでいるSamsungだが、やはり今回も相当に力を入れてきたようだ。
「Galaxy S10」 は合計4つのカメラレンズが搭載されるようになった。また、上位モデルの 「Galaxy S10+」 に至っては5つのレンズが搭載される。内訳は 「Galaxy S10」 が背面に3つ、前面に1つ。「Galaxy S10+」 が背面に3つ、前面に2つだ。
背面に搭載されるのは、「Galaxy S10/S10+」 ともにトリプルレンズカメラ。レンズは超広角と広角、望遠の3種類で、画素数はそれぞれ1,600万画素、1,200万画素、1,200万画素。このうち広角レンズと望遠レンズには光学式手ぶれ補正機能が搭載、さらに絞り値を可変(F1.5とF2.4)に切り替えるデュアルアパチャー機能もサポートするため、暗所と明所での撮影をスマートフォン自らが判断して適切な明るさで撮影できる。
そして、前面カメラは 「Galaxy S10+」 のみがデュアルレンズカメラ (1,000万画素セルフィーカメラと800万画素RGB深度カメラ) が搭載される。デュアルレンズになることで今まで以上に奥行きのあるセルフィー写真の撮影が可能になる。
カメラ性能についてはなかなかスペック上だけでは分からないことが多いが、撮影した写真の仕上がりで毎回上位ランキングに食い込んでくるSamsungのことなので、おそらくトリプルレンズカメラを採用したことで、HTC U12+やHuawei Mate 20 Pro、AppleのiPhone XS Maxを負かすことができるのではないかと筆者は密かに期待している。
変更④処理の高速化
「Galaxy S10/S10+」 に搭載されているプロセッサは、7nmプロセスルールで製造された64bitのオクタコアCPU、もしくは地域によっては8nmプロセスルールで製造された64ビットのオクタコアCPUが搭載されるとのこと。このことから、同端末には最新のSnapdragon 855もしくはSamsungのExynos 9820が搭載されるものと予想される。
これらのプロセッサはすでにベンチマークスコアが明らかになっており、前モデルからおよそ20%、電力効率は40%向上していることが伝えられている。現在はまだ情報が少ないため、正確にどの程度性能が上がっているのかは分かっていないが、上記数字が正しいと仮定すれば、今回の新プロセッサ採用で 「Galaxy S10/S10+」 は順当に性能が向上していることになる。
ちなみに、SoCの処理能力が例年通り向上しているのは間違いなさそうだが、「Galaxy S10/S10+」 は最大ストレージ容量やRAM容量もちゃんと増量されている。さらにバッテリー容量も各端末で増量されているため、もしかするとバッテリー持ちが従来よりも伸びている可能性がありそうだ。
Galaxy S9 | Galaxy S9+ | Galaxy S10 | Galaxy S10+ | |
---|---|---|---|---|
プロセッサ | 10nm 64bit Octa coreプロセッサ (最大2.7GHz + 1.7GHz) (最大2.8GHz + 1.7GHz) |
7nm 64bit Octa coreプロセッサ 8nm 64bit Octa coreプロセッサ |
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RAM容量 | 4GB | 6GB | 8GB | 8GB / 12GB |
ストレージ容量 | 64GB/128GB/256GB | 128GB/512GB | 128GB/512GB/1TB |
変更⑤ワイヤレス充電の便利さアップ
これまで充電される側だったスマートフォンだが、これからは充電する側に回れるようになった。「Galaxy S10/S10+」 には自らがワイヤレス充電パッドになれる、リバースワイヤレス充電機能 「Wireless Power Share」 に対応した。
これは、「Galaxy S10/S10+」 の背面に、ワイヤレス充電に対応したデバイスやアクセサリを載せることで、「Galaxy S10/S10+」 のバッテリーを分け与えることができるというものになる。同時に発表された完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds」 やスマートウォッチ 「Galaxy Watch Active」 はもちろん、Qiに対応しているiPhoneを充電することもできる。
もちろん、ロスが多く充電スピードが遅いワイヤレス充電であるため、普段から利用するにはやや利便性が悪い機能ではあるものの、万が一バッテリーがなくなった際の保険と考えれば良い機能だと言えるのではないだろうか。
まとめ:Galaxy S10/S10+は購入に値する端末か
以上が、「Galaxy S9/S9+」 と 「Galaxy S10/S10+」 の大きな違いだ。この他にも次世代Wi-Fi規格 「Wi-Fi 6」 にスマートフォンとして世界で初めて対応していることや初めてHDR画質(HDR10+)に対応しているなど、簡単には語り尽くせないほどの変更点がある。
やはりそれは 「Galaxy S10/S10+」 が2年ぶりのメジャーアップデートモデルであるということ、そしてシリーズ10周年を記念する端末であるということが影響しているのだろう。Samsungもかなり気合を入れて開発したことが、実際に発表された製品からヒシヒシと伝わってくる。
そのおかげもあって 「Galaxy S10/S10+」 は、少なくとも現時点ではAndroid端末の中で最も高い性能の一台であることは疑いの余地もないだろう。カメラや内蔵プロセッサは高性能、IP68の高い防水性能やリバースワイヤレス充電機能の実装。さらに今回は触れなかったが、実はステレオスピーカーが搭載されているため音質も良かったりする。
あと、筆者が個人的に気になるのは画面内蔵型の指紋認証機能と顔認証機能の組み合わせ。ディスプレイに埋め込まれたおかげでスマートフォンの見た目を悪くする指紋認証センサーの存在がなくなったこと、さらに顔認証の効かない場面(マスク装着時など)でも指でスムーズに画面ロック解除できるなど、iPhoneにもない魅力がいっぱいだ。もし、あなたが近いうちにスマートフォンを買い換える予定ならば、「Galaxy S10/S10+」 は十分に検討に値する端末だろう。
「Galaxy S10/S10+」 の日本での価格はまだ発表されていないが、米国では「Galaxy S10」 が899.99ドル~、「Galaxy S10+」 が999.99ドル~で販売される予定となっている。発売は2019年3月を予定しており、予約は米国では本日から開始されている。同端末に買い替えを予定している方は、今後の国内発売に関する情報を要チェックだ。
「Galaxy S9」 シリーズ | 「Galaxy S10」 シリーズ | |||
---|---|---|---|---|
Galaxy S9 | Galaxy S9+ | Galaxy S10 | Galaxy S10+ | |
ディスプレイ | Infinity Display Curved Super AMOLED |
Infinity-O Display Curved Dynamic AMOLED |
||
ディスプレイサイズ | 5.8インチ | 6.2インチ | 6.1インチ | 6.4インチ |
背面カメラ | シングルレンズ 12MP (F1.5/F2.4) |
デュアルレンズ 広角: 12MP(F1.5/F2.4) 望遠: 12MP(F2.4) |
トリプルレンズ 超広角:16MP(F2.2) 広角:12MP(F1.5/F2.2) 望遠:12MP(F2.4) |
|
前面カメラ | シングルレンズ 8MP(F1.7) |
シングルレンズ 10MP(F1.7) |
デュアルレンズ セルフィー: 10MP(F1.7) RGB深度: 8MP(F2.2) |
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プロセッサ | 10nm 64bit Octa coreプロセッサ (最大2.7GHz + 1.7GHz) (最大2.8GHz + 1.7GHz) |
7nm 64bit Octa coreプロセッサ 8nm 64bit Octa coreプロセッサ |
||
メモリ | 4GB | 6GB | 8GB | 8GB / 12GB |
ストレージ容量 | 64GB/128GB/256GB | 128GB/512GB | 128GB/512GB/1TB | |
外部ストレージ (microSD) |
最大400GB | 最大512GB | ||
バッテリー容量 | 3,000mAh | 3,500mAh | 3,400mAh | 4,100mAh |
ワイヤレス充電 | Fast Wireless Charging 1.0 | Fast Wireless Charging 2.0 Wireless PowerShare |
||
OS | Android 8.0 | Android 9.0 | ||
通信 | Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac Bluetooth 5.0 |
Wi-Fi 802.11 a/b/g/n/ac/ax Bluetooth 5.0 |
||
生体認証 | 指紋・顔・虹彩認証を組み合わせたインテリジェントスキャン | 超音波指紋センサーによる指紋認証 顔認証 |
||
本体サイズ | 147.7×68.7×8.5mm | 158.1×73.8×8.5mm | 149.9×70.4×7.8mm | 157.6×74.1×7.8mm |
重量 | 163g | 189g | 157g | 175g (セラミックモデルは198g) |
カラー | ミッドナイトブラック コーラルブルー ライラックパープル チタニウムグレー |
プリズムホワイト プリズムブラック プリズムグリーン プリズムブルー |
プリズムホワイト プリズムブラック プリズムグリーン プリズムブルー セラミックホワイト セラミックブラック |