
DeepLは9月15日、リアルタイム翻訳サービス「DeepL Voice」の音声翻訳機能を大幅に強化したと発表した。
これまでのDeepL Voiceは、会話の内容をリアルタイムで翻訳し、字幕として表示する使い方が中心だった。今回、新たなVoice AIモデルを導入し、翻訳した音声を話者本人の声の特徴を保ったまま相手の言語で再生できるようになった。
日本語を含む14言語では、声質だけでなく、話すテンポやイントネーション、ためらい、高揚感、緊急性といった話し方の特徴も維持する。音声通訳そのものは30以上の言語に対応する。
「字幕を見る」から「声を聞く」リアルタイム翻訳へ
DeepL Voiceは、オンライン会議や対面での会話をリアルタイムに翻訳するサービスだ。企業のグローバルチームや顧客、海外のパートナーとのコミュニケーションなどを想定しており、これまで翻訳字幕を表示する機能を提供してきた。
その翻訳字幕については、AI翻訳業界専門メディアのSlatorが実施した独立ベンチマーク調査で、人間による評価として96.4点(100点満点)を記録し、最高評価を獲得したという。
今回のアップデートでは、そこに音声から音声へのリアルタイム翻訳を加えた。たとえば日本語で話した内容を英語へ翻訳する場合、翻訳後の音声を、話者本人の声質や話し方の特徴を保った状態で相手に届けられる。複数人が会話している場合も、それぞれの話者の声の特徴を維持して翻訳するため、誰が話しているのかを把握しやすい。
質問の語尾やイントネーション、話す際のためらい、緊急性、高揚感なども翻訳に反映する。文章を別の言語に置き換えるだけではなく、会話のテンポやニュアンスまで伝えることを狙った機能だ。
音声通訳はオンライン会議、対面での会話、DeepL Voice APIで利用でき、30以上の言語をサポートする。このうち日本語を含む14言語では、話者の声の特徴を維持した音声翻訳に対応する。
DeepLは、こうした機能の開発にあたって、話者の声の特徴を維持すること、翻訳品質を確保すること、リアルタイム会話に必要な低遅延を実現することの3つを技術的な課題として挙げている。
今回のVoice AIモデルでは、会話のテンポを保ちながら、文脈や話し方のニュアンスも伝えられるようにした。
Zoom、Teams、Google Meetに対応するデスクトップアプリも登場
DeepLは今回、新しい「DeepL Voiceデスクトップアプリ」も発表した。WindowsとMacに対応し、Zoom、Microsoft Teams、Google Meetと連携して利用できる。
アプリがオンライン会議を自動検出し、翻訳字幕をオーバーレイで表示する仕組みで、会議のプラットフォーム側に追加のシステム連携を設定する必要はない。
プレゼンテーションを見ながら字幕を確認したり、メモを取りながら翻訳を読んだりできるほか、音声で内容を把握したい場合は音声対音声翻訳へ切り替えられる。
字幕のサイズや背景の音量、翻訳設定なども調整可能だ。今後DeepL Voiceに新しい機能が追加された場合も、オンライン会議プラットフォーム側のアップデートを待たずに利用できるとしている。
DeepL Voiceの用途は企業のオンライン会議だけに広がっているわけではない。DeepLは2026年9月15日から17日まで米サンフランシスコで開催される「Salesforce Dreamforce 2026」にVoice AIパートナーとして参加し、全50ステージ、1,000以上のセッションでリアルタイム翻訳を提供する。
会場のDeepLデモブースでは、音声通訳に加えて、話者の声の特徴を維持する機能や、感情表現を含めた翻訳など、今回の新機能を紹介する予定だ。
また、DeepL Voice APIを使えば、開発者がリアルタイム音声AIを自社サービスに組み込むこともできる。用途としてはコンタクトセンター、会議ツール、現場向けアプリケーション、自社製品などを想定している。
DeepLは、製造業、小売業、ライフサイエンス、プロフェッショナルサービスなど、幅広い業界でDeepL Voiceの利用が広がっているとしている。今回の音声通訳対応によって、オンライン会議やイベントだけでなく、顧客対応や多言語サービスへの組み込みなど、リアルタイム翻訳を使う場面がさらに増えそうだ。
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(画像提供:DeepL)
