ASUS Zenbook Pro 14 Duo OLED レビュー | 2画面ノートPCに高性能CPU・有機ELを搭載した最新モデル

ASUSは、セカンドディスプレイを搭載したプロ向けノートPC 「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 の国内販売を8月から開始した。

「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 は、14.5インチのメインディスプレイに加えて、キーボード奥にセカンドディスプレイを搭載したことで、1台でデュアルディスプレイを実現できるユニークなノートPC。

セカンドディスプレイには新たにOLEDが採用され、より綺麗な画面で作業できるようになったほか、Intelの第12世代Coreプロセッサを搭載したことで性能が向上したのが大きな特徴だ。

今回、ASUS JAPANから数週間実機をお借りし、機能や性能を詳しくチェックすることができた。実際の使用感など気になる人はぜひ参考にしていただきたい。

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デザイン

「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 には、プロセッサにIntel Core i7を搭載したモデルとIntel Core i9を搭載したモデルの2モデルが用意されている。今回はこのうちのCore i7搭載モデルをレビューした。詳細なスペックは以下。

レビュー機のスペック
シリーズ名 ASUS Zenbook Pro シリーズ
製品名 UX8402ZA
型番 UX8402ZA-M3033W
OS Windows 11 Home 64ビット
CPU名 Intel Core i7-12700H
CPU動作周波数 P-core 2.3GHz/4.7GHz (6コア) / E-core 1.7GHz/3.5GHz (8コア)
メインメモリ 16GB LPDDR5-4800
メインディスプレイ 14.5インチ OLED (2,880×1,800ドット / 120Hz)
セカンドディスプレイ 12.7インチ ワイドTFT カラー液晶 (2,880×864ドット / 120Hz)
グラフィックス Intel Iris Xe グラフィックス (CPU内蔵)
ビデオメモリ メインメモリと共有
SSD 512GB (PCI Express 4.0 x4 接続)
バッテリー駆動時間 約5.5時間
消費電力 最大約150W
価格(税込) 329,800円

天板左には、新しくなったASUSロゴが印字

「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 の筐体にはアルミニウム合金が素材として用いられており、本来カラーは 「深く、強く」 を表現したテックブラックが採用。高級感やハイスペック感が感じられて、とてもカッコイイ。

初めて本製品を触る人が天板を開くと、まず驚くのが画面が2つ搭載されていることだろう。メインディスプレイのほかに、キーボードの奥に 「ScreenPad Plus」 と呼ばれるセカンドディスプレイが搭載されており、本製品だけでデュアルディスプレイ環境を構築できる。

2つの画面はどちらもタッチ操作に対応していて、付属するスタイラスペン 「ASUS Pen 2.0」 や指を使って操作することが可能。メインディスプレイは有機ELディスプレイ、キーボード上部に搭載されたセカンドディスプレイはTFT液晶で、画面サイズはそれぞれ14.5インチと12.7インチとなっている。セカンドディスプレイはサブディスプレイ的に使うもので、一般的なディスプレイよりもかなり横長の形状をしている。

セカンドディスプレイの 「ScreenPad Plus」 は、PCの画面を開くとちょうど見やすい角度(12°)に起き上がる仕組みになっていて、画面を見たり、指やスタイラスペンでの操作がしやすくなっている。PCを開く角度によってセカンドスクリーンの角度が変わらないように工夫されているため、基本的にどの角度でPCを開いていても快適に操作することが可能だ。

ちなみに、起き上がったセカンドディスプレイの下にできるスペースは巨大な吸気口になっていて、一般的なノートPCにはないエアフローを実現している。内部のファンの性能も高いため、高負荷状態で使用し続けても熱による性能低下を心配する必要がほとんどない。

本体サイズは幅323.5×奥行き224.7×高さ17.9〜19.6mmで、重量は約1.7kg。重量はすこし重めではあるものの、代わりに2画面を使って作業できると考えると、大きくて重くてほとんど持ち運びには向かないプロ向けノートPCよりも持ち運んで使うメリットは大きいのではないだろうか。

本体側面には、ACアダプタを接続する専用ポートに加えて、データ転送や映像出力、本体への給電も担うThunderbolt 4 (USB-C) ポートが2つと、USB 3.2 Gen 2 (USB-A) ポートが2つ、そしてHDMIポートといった実用的なポートが搭載されている。microSDカードスロットも搭載されており、大量の機器を接続しない限りはUSBハブなどのアクセサリは不要だ。

キーボードは86キーの日本語キーボードが搭載されている。キーボード左にタッチパッドが搭載されている関係でキーピッチは狭めで、またディスプレイに対してキーボードが左寄りになっていることもあり、慣れないうちは入力しにくく感じるかもしれない。

キーボード左のタッチパッドは、一般的なタッチパッドに比べるとサイズが小さく使いづらいが、本製品は2つのディスプレイの両方がタッチ操作に対応しているため、わざわざタッチパッドで操作する必要はほとんどない。

もし広いタッチパッドが必要になったら、セカンドディスプレイの 「タッチパッドモード」 を有効にすれば、セカンドディスプレイを大型のタッチパッドとして使用できる。使い終わったら、画面右上の 「×」 アイコンをタッチすれば再度ディスプレイとして使用可能だ。

付属品は、画像の左上と右上にあるのがACアダプターとACケーブルで、ACアダプターの下にあるのがタッチペンの 「ASUS Pen 2.0」 。左下にあるのが本体に貼り付けて使用する専用スタンドで、右下がユーザーマニュアル。そして、各付属品の下に敷かれているのが専用スリーブだ。

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ディスプレイ

「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 の最大の特長は、やはりディスプレイが2つ搭載されていること。ノートPCなのに1台だけでマルチディスプレイを実現できる。

メインディスプレイは有機ELディスプレイ、キーボード上部に搭載されたセカンドディスプレイはTFT液晶で、画面サイズはそれぞれ14.5インチと12.7インチ。どちらもリフレッシュレートは最大120Hzで、シネマグレードの100%DCI-P3色域に対応するため、クリエイティブな作業もしっかりこなすことができる。ちなみに、セカンドディスプレイも100%DCI-P3色域に対応するため、メインディスプレイとセカンドディスプレイ間の視覚的分断はかなり軽減されている。

メインディスプレイはグレア仕上げだが、ディスプレイの角度的に天井のライトなどの光が反射しやすいセカンドディスプレイはノングレア仕上げになっていて、コンテンツが見づらくなるのを防いでくれる。

ディスプレイ仕様
  メインディスプレイ セカンドディスプレイ
搭載ディスプレイ 有機ELディスプレイ ワイドTFT カラー液晶
表面仕様 グレア ノングレア
サイズ 14.5インチ 12.7インチ
解像度 2,880×1,800 2,880×864
タッチ操作対応
リフレッシュレート 120Hz 120Hz
最大輝度 500ニト 500ニト
100% DCI-P3対応

実際に使ってみると、やはり画面が2つもあるため一般的なノートPCよりもマルチタスクがとにかく捗る。メインディスプレイに作業中のウィンドウを配置し、セカンドディスプレイにSNSやメッセージアプリを配置しておけば、作業中にいちいち画面を切り替えずともすばやくメッセージに反応できる。

決まったアプリを使って作業することが多いなら、「タスクグループ」 で各アプリの配置を登録しておくと、より効率的に作業できるはずだ。

さらに両ディスプレイともタッチ操作に対応するため、指先やタッチペンで直感的に操作できるというメリットも。メインディスプレイとセカンドディスプレイ間でウィンドウを動かしたいときは、指でウィンドウをドラッグするか、もしくは本体右の電源ボタンの近くにある画面入れ替えボタンを押せば上下のウィンドウを入れ替えることができる。

セカンドディスプレイの左端 (初期設定時) に表示されるコントロールセンターには、便利な機能が多数用意されている。ディスプレイの明るさ調整や、カメラとマイクのミュートなどがワンタッチで操作できる。歯車マークをタッチすれば細かい設定ができるほか、黒丸が4つ並んだアイコンをタップすれば、手書きで文字を入力できるツールや数字キーなどの便利機能を呼び出すことができる。

特に筆者のお気に入りは 「Number Key」 。表計算ソフトを使うときに、テンキーのような感覚で便利に数字を入力できる。右利きの人ならセカンドディスプレイの右側、左利きの人ならセカンドディスプレイの左側に寄せて使うと使いやすいのではないだろうか。

アドビの各種ソフトを使うときに、それぞれのソフトに適した便利ボタンやつまみをセカンドディスプレイに表示する 「コントロールパネル」 は、従来まで対応していた 「Premiere Pro」 「After Effects」 「Photoshop」 「Lightroom Classic」 に加えて、新たに 「Illustrator」 に対応。

上記のアドビソフトを起動すると、コントロールパネルが自動で起動し、ズームやコントラストの調整などよく使う機能をボタンやダイヤルなどで直感的に操作できるようになる。マウスやキーボードだけで操作するよりも圧倒的に効率良く作業できるため、クリエイティブ用途での使用を考えている人はぜひ活用していただきたい。

パフォーマンス

今回レビューに使用した 「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 の下位モデルは、第12世代のIntel Core i7-12700Hを搭載している。

軽量薄型をうたうノートPCは、本体サイズや排熱の関係でIntel Core Uシリーズのプロセッサを搭載することが多いが、本製品は内部空間とパフォーマンスの両立を追求し、さらに優れた冷却性能を実現したことで、Intel Core Hシリーズを搭載。薄型軽量タイプのノートPCでありながら、パワフルなパフォーマンスを実現している。

実際に 「Cinebench R23」 でシングルコアスコアとマルチコアスコアを計測してみた。

計測の結果、シングルコアスコアは1758、マルチコアスコアは14634。プロ向けノートPCとしては申し分ないスコアで、実際に複数のアプリを使ってのマルチタスクもほとんど快適にこなすことができる。

また、Windowsに標準で備わっているパフォーマンス測定機能でスコアを計測してみたところ、基本スコアは 「8.4」 になった。自分のノートPCの性能と比較したい人は、ぜひ活用していただきたい。

GPUは、CPU内蔵の 「Intel Iris Xe グラフィックス」 が搭載。独立GPUを搭載したモデルほどの高スコアは見込めないが、一応 「3D Mark Time Spy」 でベンチマークスコアを計測してみた。スコアは2043、Graphics scoreが1784、CPU scoreが11726となった。

もし高いGPU性能が必要なら、独立GPUの 「NVIDIA GeForce RTX 3050 Ti Laptop GPU」 を搭載する 「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 の上位モデルを購入していただきたい。

SSDは512GBで、PCI Express 4.0 x4接続のおかげで読み書きはとても高速。「CrystalDiskMark」 で転送速度を計測してみたところ、読み込みが6789MB/s、書き込みが5009MB/sという結果になった。

まとめ

「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 は、本体に2つのディスプレイが搭載、さらに両ディスプレイともタッチ操作に対応するなど、マルチタスクのしやすさや直感的な操作など便利さに特化した性能を持ったプロ向けノートPC。

複数のアプリを横断しながら作業することが多い人はもちろん、アドビソフト用の 「コントロールパネル」 でクリエイティブな作業も効率よくこなせる。さらに独立GPUを搭載した上位モデルなら3Dゲームのプレイも可能だ。

欠点はキーボードでの文字入力がしづらいことだが、長く使ってキーボードの配置に慣れてくればどんどん思い通りに入力できるようになるはず。

あとは 「Zenbook Pro 14 Duo OLED」 はかなり特殊な形態のノートPCであるため、本モデルに慣れてしまうと他のノートPCが使いづらくなってしまうのがちょっぴりつらいところ。仕事用とプライベート用とで使用するPCが異なる人は、毎回の切り替えのときにストレスを感じることもあるかもしれない。本モデルがあまりにも便利すぎるからこそのお悩みポイントになりそうだ。

ただし、上記の点さえ気にならないのであれば、脅威の作業効率を実現してくれるノートPCであることは確か。興味を持った人は、家電量販店などで実際に本モデルを触ってみてはどうだろうか。

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