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Amazon 「Project Kuiper」 初の本格展開へ。27基の通信衛星を搭載したAtlas Vロケットが打ち上げ準備完了

Amazonの衛星インターネットプロジェクト「Project Kuiper」が、いよいよ本格展開の第一歩を踏み出す。2025年4月9日(現地時間)、米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から、United Launch Alliance(ULA)のAtlas Vロケットにより、27基のKuiper衛星が地球低軌道(LEO)に打ち上げられる予定だ。ミッション名は「KA-01(Kuiper Atlas 1)」。

この打ち上げは、最終設計が適用された衛星としては初の一斉展開であり、2023年10月のプロトタイプミッション「Protoflight」で得られた成果をもとに改良が加えられたフルスケールモデルとなる。

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27基のKuiper衛星が地球低軌道に打ち上げ予定

Project Kuiperは、Amazonが展開する大規模な通信衛星ネットワーク構想で、SpaceXが提供するStarlinkと同じく、通信インフラが行き届かない地域を含む地上のあらゆる地点に、高速かつ安定したインターネット接続を提供することを目的としたプロジェクトだ。

Amazonはこれまでに80回以上の打ち上げ枠を確保しており、今回のKA-01ミッションを皮切りに、本格的な配備が加速していく。最終的には3,200基以上の衛星によって構成される見込みだ。

今回打ち上げる衛星は、高性能なフェーズドアレイアンテナ、独自開発のプロセッサー、高効率な電動推進システム、光学インターサテライトリンク(光通信)など、あらゆる面で改良が施されている。

また、反射光の影響を軽減するために、Kuiper独自の誘電体ミラーコーティングが施されており、天文観測への影響も最小限に抑えるよう設計されている。

今回のKA-01ミッションでAtlas Vが担う役割も大きい。搭載されるKuiper衛星群は、Atlas Vロケットにとって史上最重量級のペイロードであり、そのためロケットは最も強力な構成(5基の固体ロケットブースターを含む)で飛行する。ペイロードフェアリング (ロケットの先端部に取り付けられる“覆い”のこと) は全長約23.5m、直径5mという大型仕様となる。

ULAは今後、Kuiper関連でさらに7回のAtlas V打ち上げを予定しており、それに続く38回の打ち上げは新型ロケット「Vulcan Centaur」が担う。また、Arianespace、Blue Origin、SpaceXとの契約により、追加で30回以上の打ち上げが計画されている。

衛星が打ち上げられた後は、まず地球低軌道(高度約450km)に投入される。そこから、各衛星は自身の電動推進システムを使い、最終的な運用高度である約630kmまで上昇。地球を90分ほどで周回しながら、自律的に通信システムを起動・接続テストを進めていく。

この段階では、Kuiperチームの地上管制センター(ワシントン州レドモンド)から24時間体制で運用管理が行われ、衛星が正常に稼働し、ネットワーク接続が確立されるかを慎重に確認する。最終的なミッション目標は、地上のインターネットからユーザー端末までのエンドツーエンド通信の確立だ。

Amazonは、次回の「KA-02」ミッションの準備もすでに進行中で、こちらもAtlas Vを使用し、同じケープカナベラルからの打ち上げが予定されている。なお、Project Kuiperのインフラは、今後数年をかけて段階的に構築されていく見通しで、サービス開始時期は2025年後半が見込まれている。

(画像:Amazon)