日本HPは1月18日、東京都内で報道関係者向けに事業戦略発表会を開催。昨年10月に日本投入を発表した製品を紹介するとともに、「CES 2024」 において発表した製品の国内投入を発表した。
新たに国内投入が発表されたのは、プレミアムノートPC 「Spectre x360」 の新モデル 「Spectre x360 14」 「Spectre x360 16」 。そして、ゲーミングノートPC 「OMEN Transcend 14」。各モデルの詳細は、以下記事のとおり。
上記の発表にあわせて、日本HP代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏によって、日本市場における各事業分野の戦略が紹介された。本稿では、日本HPの事業戦略発表会で語られたことをご紹介したい。
要約
日本HPは、2024年の事業戦略発表会を開催した。代表取締役社長執行役員の岡戸氏は、まず2023年度の業績を紹介し、その上で2024年度における成長戦略 (革新的な製品とサービス、信頼のサプライチェーン、サステナビリティの強化) を説明した。AIテクノロジーを搭載したAI PCの投入や、東京工場の生産体制、製品づくりや梱包に使用する素材の割合を持続可能なものに増やす取り組みを行なっていることを紹介し、2024年を 「飛躍の年」 にすることを目指す考えが示された。また、社員のダイバーシティや社会貢献の取り組みも紹介されている。
岡戸氏は、HPにとって2024年は 「飛躍の年」 にしたいとし、大きな成長を目指すと宣言した。
まず昨年度の実績として、売上が537億ドル、利益は45.7億ドル。フリーキャッシュフローは31億ドルとなっている。PC市場全体が不調傾向であったことからHPにとっても厳しい環境下ではあったというが、ハイブリッドワークを支援するシステムやゲーミングデバイス、さらには個人向けのサブスクリプションなど6つの成長分野のおかげで、2023年後半からは徐々に業績を回復し、最終着地としてはまずまずの結果となったとした。
これらを踏まえて目指す 「飛躍の年」 ーー。その牽引力となる柱は、大きく分けて3本あるという。
ひとつは 「新製品とサービス」 。グローバルにおけるPCマーケットシェア8期連続でトップだったHPは、これを維持しながらもAIとPCを融合させた新たなPC市場を開拓していきたいという。
岡戸氏は、生成AIとの融合で、PCはこれまでの “パーソナルコンピューター” から “パーソナルコンパニオン” へと定義を変え、伴走者としてユーザーを支援するデバイスになると話す。
そして、ほとんどのAIはクラウドベースで動作しており、クラウドベースでの動作だとレイテンシーやコスト、セキュリティなど様々な問題が指摘されているが、エッジ側でAIの処理ができるようになることで、処理速度はクラウドベースのものに比べて5倍高速になり、コストも最大で80%削減できるようになるため、今年はAI PCが市場全体の40〜50%程度まで増えるのではないかと考えているという。
これを踏まえて、日本HPは生成AIおよびハイブリッドワークを支援できる、モバイルPCを含めた各種ソリューションを投入していく。新たに国内投入が発表されたデバイスには、AIテクノロジーを搭載したインテルCore Ultraプロセッサを搭載したモデルを揃えた。
加えて、昨年秋以降に販売開始した 「HP ENVY Move All-in-One 24」 は自宅のどこでも快適に作業できるデバイスとして展開。法人向けには、出先でも快適かつ安心して作業できる 「HP eSIM Connect」 に対応したラップトップを販売し、アフターコロナおよびAIテクノロジーに対応したPC製品を展開していく。
二つ目は、「信頼のサプライチェーン」 。日本HPは、国内の生産拠点 「日本HP東京ファクトリー&ロジスティックスパーク」 を東京都日野市にもっていて、約30種類のデスクトップPC、ワークステーション、ノートPCを受注生産し、カスタマイズ製品についても5営業日で納品できるシステムを構築している。その納品のスピード感および柔軟性が 「東京生産 (MADE IN TOKYO)」 ならではの、日本HPの強みのひとつであるという。
生産拠点を日野市に置いたことで、顧客やパートナーが工場訪問をした際に製造ラインや製品についてフィードバックをもらえる機会が多く、また、輸送する距離を短くできるため振動・衝撃を軽減することにも繋がっているという。
さらに、製造と物流拠点を一緒にしたことで注文から出荷までの時間を短縮できていたり、きめ細やかな生産計画と作業工程のデジタル化にも貢献しているとのことだ。
ちなみに、同拠点で使用している段ボール緩衝材は一部日本で開発されたもので、それが海外で採用されるようになったという。他国の生産拠点をただ日本に作ったというわけではなく、それぞれの地域に合うようにカスタマイズされているのはもちろん、グローバルの生産にも貢献している部分があるようだ。
2024年を 「飛躍の年」 にするための成長の牽引力。3つ目は 「サステナビリティの強化」 だ。これは日本HPだけでなくグローバルで取り組んでいるものになるが、製品の設計や製造、配送から回収に至るまでライフサイクル全体で環境負荷の削減を推進している。
具体的には、製品づくりに再生プラスチックや再生金属、最新のオールインワンPCにはコーヒーかすを使用するなど、持続可能な素材を多く使用している。そして、製品の梱包も全体の91%で従来の発泡スチロールからパルプモールドや段ボール緩衝材に変えることで環境負荷に繋げている。
また、法人向けには日本独自のリユースプログラム 「PCリユースプログラム」 を手がける。HPのPCを購入する際に、それまで使用していた製品を日本HPが定額で買取り、データ消去ののちに修理・再生後リユースしている。
ちなみに、HPは社員の働きやすさの改善や誰もが活躍できる環境の整備を行なっている。たとえば、女性の管理職の割合を引き上げることを目指しており、2023年度実績は13.6%ですでに2025年度の目標を達成することで成功したことから、2025年度の目標を従来の12%から15%まで引き上げるとしている。リーダーシップチームの女性の割合は現在42%だという。男性の育休取得率についても2023年度実績は109%を達成。今後も100%を継続していきたいとしている。
また、都立高校授業の一環としてHPの気候変動対策やDE&Iに関する出張授業を行なったり、小学5年生を対象としたプログラミング体験会を開催するなど、ボランティア活動への積極的な参加していることも発表。社員のボランティア参加率は43.5%に達したとアピールしていた。
関連記事
・日本HP、「Spectre x360」 シリーズ新型モデルを国内発売。ゲーミングノート 「OMEN Transcend 14」 も同時発売
▼ 日本HP公式サイトで以下モデルを購入する
・Spectre x360 14
・Spectre x360 16
・OMEN Transcend 14