日本時間2月24日、ソニーは新型スマートフォン 「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 を正式に発表した。
この2機種は 「Xperia 1 II」 がフラグシップ、「Xperia 10 II」 がミドルシップという位置付けで、画面サイズ・解像度を始め、カメラ性能やプロセッサなど様々な点において性能差が設けられている。
そこで、当記事では 「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 のスペックを比較し、どれほどの違いがあるのかを確認してみた。購入を検討する際にはぜひ活用していただきたい。
画面サイズ・解像度
まずは画面について。 「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 はどちらも有機ELディスプレイを搭載するが、画面サイズと解像度に違いがある。
画面サイズは 「Xperia 1 II」 が6.5インチ、「Xperia 10 II」 が6インチで、解像度は 「Xperia 1 II」 が4K HDR、「Xperia 10 II」 がFHD+。単純にハイスペックな方が画面が大きく表示が綺麗という分かりやすいラインナップになっている。
Xperia 1 II | Xperia 10 II | |
---|---|---|
ディスプレイ | 6.5インチ 有機ELディスプレイ アスペクト比 21:9 |
6インチ有機ELディスプレイ アスペクト比 21:9 |
解像度 | 4K HDR (3840×1644) | FHD+ (2520×1080) |
画面のアスペクト比は同じ21:9で、シネスコ比率の映像コンテンツを楽しむことはどちらも可能だ。ただ、より綺麗な画質で映像を楽しみたいのであれば、迷わず 「Xperia 1 II」 を購入した方が良いはずだ。
ちなみに余談になるが、以前の 「Xperia 10」 は液晶ディスプレイで、「Xperia 1」 が有機ELディスプレイを搭載していたため、実質的に画面の綺麗さをとるなら 「Xperia 1」 一択だった。この点において選択肢が選べるようになったのは大きな進歩だと言えるだろう。
カメラ性能
「Xperia 1 II」 「Xperia 10 II」 はどちらも広角・超広角・望遠のトリプルレンズカメラが搭載されている。各レンズの性能や画質は異なるものの、やはりXperiaのカメラということでどちらでも美しい写真が撮影可能だ。
ただし、今回の 「Xperia 1 II」 に搭載されたカメラはこれまでのカメラの性能を遥かに凌駕する。3D iToFセンサーの搭載により、暗所での撮影でも移動する被写体をしっかりと追尾できるようになり、人や動物の瞳を検知してフォーカスを合わせるリアルタイム瞳AFにも対応。そして世界初の1AF/AE追従最高20コマ/秒の高速連写ができるようになったことで、撮り逃したくない大切な一瞬を捉えることが可能に。
Xperia 1 II | Xperia 10 II | |
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背面カメラ |
3眼カメラ ・3D iToFセンサー搭載 |
3眼カメラ ・2倍光学ズーム |
動画撮影 | 4K HDR動画 (24/25/30/60fps) スローモーション (120fps) インテリジェントウィンドフィルター |
4K動画 スローモーション (120fps) |
前面カメラ | 8MP / F2.0 / 84° | 8MP / F2.0 / 84° |
また、動画の撮影においても 「Xperia 1 II」 は4K HDR動画を撮影できるのに対し、「Xperia 10 II」 は通常の4K動画しか撮影することができない。しかも 「Xperia 1 II」 には、ソニー独自開発の音源分離技術で風雑音のみを除去する「インテリジェントウィンドフィルター」が新搭載されたことで、低ノイズのクリアな録音が可能となっている。
つまり、簡単に言うと 「Xperia 1 II」 はプロ顔向けの写真・映像をスマートフォンでも撮影することが可能。対する 「Xperia 10 II」 は割と一般的なスマートフォンの画質で写真・映像を撮影することができるという感じだろうか。やはり画質にこだわるのであれば、「Xperia 1 II」 を選ぶべきだろう。
プロセッサ性能
「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 は搭載プロセッサに違いが設けられている。それぞれ 「Xperia 1 II」 はSnapdragon 865、「Xperia 10 II」 はSnapdragon 665だ。
Xperia 1 II | Xperia 10 II | |
---|---|---|
プロセッサ | Snapdragon 865 | Snapdragon 665 |
「Xperia 1 II」 に搭載されているSnapdragon 865は昨年12月半ばに発表されたばかりの最新プロセッサで、同プロセッサを搭載したデモ機のベンチマークスコアは55万点近い数字を叩き出したことで話題になった (出典) 。
「Xperia 1 II」 での性能がどれほどになっているのかは分からないが、上記の理由から現時点で販売されているスマートフォンの中でも最高クラスの性能になっていることが予想される。ちなみに、Snapdragon 865は先日発表されたSamsungの新型スマートフォン 「Galaxy S20」 シリーズにも搭載されていた。
対する 「Xperia 10 II」 のSnapdragon 665は、OPPO A5などにも搭載されているプロセッサで、同プロセッサを搭載しているスマートフォンのベンチマークスコアはおよそ15万点から18万点ほど。ミドルシップモデルであることがはっきりと分かるスコアだ。
とにかく高性能であることを求めるのであれば、やはり 「Xperia 1 II」 一択になるとは思うが、そこまで高性能を求めないのであれば 「Xperia 10 II」 を選んでも良いだろう。ただし、スマホゲームをプレイする機会があるのであれば個人的には 「Xperia 1 II」 がオススメ。価格との兼ね合いもあるとは思うので、他の性能も考慮しつつこの点に関しては慎重に吟味しよう。
Xperia 1 II | Xperia 10 II | |
---|---|---|
RAM容量 | 8GB | 4GB |
ストレージ容量 | 256GB | 128GB |
外部ストレージ | microSDXC (最大1TB) | microSDXC (最大1TB) |
ちなみに、RAM(メモリ)容量やストレージ容量は 「Xperia 1 II」 が 「Xperia 10 II」 の2倍となっている。
RAM容量は同時に開けるアプリの数に、ストレージ容量は保存する写真やアプリの数などに関係するため、どちらも多ければ多いに越したことはない。ただし、あまり写真やアプリを入れることがない方にはストレージ容量はそこまで重要ではないなどユーザーによって事情が異なるため、自分の使い方をもう一度振り返ってみていただきたい。ちなみにストレージ容量に関してはmicroSDカードを使うことで補うことが可能なので、この点はお忘れなく。
バッテリー容量・ワイヤレス充電
「Xperia 1 II」 のバッテリー容量は4,000mAh、「Xperia 10 II」 のバッテリー容量は3,600mAhだ。一般的に消費電力量が同じであれば、バッテリー容量によってバッテリー駆動時間が変わる。
ソニーは両デバイスのバッテリー持ちを明らかにしていないため、どちらが長く駆動できるかは不明だが、バッテリー容量に1割程度の違いしかないことから、バッテリー容量の違いはそこまで気にする心配はないのではないだろうか。
むしろ気にするべきはワイヤレス充電の方。「Xperia 1 II」 のみワイヤレス充電に対応しているため、”置くだけで充電ができる” スマートな充電方式を利用したい場合は 「Xperia 1 II」 を選ぶ必要がある。ただし、必ず有線でしか充電しないという方はここの項目はあまり気にしなくて良いだろう。
通信(5G対応・Wi-Fi)
「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 は利用できる通信規格に大きな違いがあることに注意が必要だ。
まずは 「Xperia 1 II」 だが、本製品は第5世代移動通信システム 「5G」 に対応する。対応する周波数帯はサブ6GHz帯のみ。「Xperia 1 II」 を購入すれば次世代の高速通信を利用することが可能だ。対する 「Xperia 10 II」 はLTE (4G) のみをサポートする。
そして、Wi-Fi規格についても違いがある。「Xperia 1 II」 は802.11a/b/g/n/ac/axに対応しており、最新のWi-Fi 6 (ax) に対応するが、「Xperia 10 II」 は802.11a/b/g/n/ac、つまりWi-Fi 5までのサポートとなる。Wi-Fi 5とWi-Fi 6では最大通信速度が大きく違うだけでなく、MU-MIMOを利用した同時接続数が4台と8台で違いがある。また、利用できる周波数帯もWi-Fi 5は5GHz帯のみだったが、Wi-Fi 6からは2.4GHzと5GHzの両方を利用することが可能だ。
Wi-Fi 4 (802.11n) |
Wi-Fi 5 (802.11ac) |
Wi-Fi 6 (802.11ax) |
|
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最大通信速度 (理論値) |
300Mbps | 6.9Gbps | 9.6Gbps |
実行スループット上限 (理論値) |
150Mbps | 800Mbps | 1Gbps |
周波数帯 | 2.4GHz / 5GHz | 5GHz | 2.4GHz / 5GHz |
最大接続数 (MU-MIMO時) |
– | 4 | 8 |
もし、自宅にWi-Fiを利用する機器が4台以上あるのであれば、Wi-Fi 6に対応する 「Xperia 1 II」 が便利だろう(もちろん、Wi-Fi 6に対応したルーターが必要になるが)。いずれ5GやWi-Fi 6がスタンダード化することを見越して、「Xperia 1 II」 を購入してみてはどうだろうか。
カラーラインナップ
カラーラインナップについては、「Xperia 1 II」 が3色、「Xperia 10 II」 が4色展開となっている。
「Xperia 1 II」 は、左から順にブラック・パープル・ホワイト。
「Xperia 10 II」 は、左から順にミント・ブルー・ホワイト・ブラックだ。
ブラックやホワイトはどちらのモデルにも存在するが、パープル・ミント・ブルーは片方のみのラインナップとなる。カラーは購入時の大事な選択肢の1つになるため、自分が納得のいくものを選ぶようにしよう。
まとめ
以上が 「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 の違いだ。やはりハイエンドとミッドシップということでしっかりと性能差が設けられている。
特に大きな違いにあたるのがカメラ性能と5Gへの対応だろう。この2点をどれほど重視するかによってどちらのモデルを選ぶかが変わってくると言っても過言ではない。
さらにもう1つの要因になり得るのが販売価格。現時点ではまだ両モデルの価格は発表されていないが、価格によってはより選択が困難になる可能性もある。まずは価格の発表を待ちたいところ。
以下は 「Xperia 1 II」 と 「Xperia 10 II」 のスペックを比較した表になる。より詳しく両モデルを比較したい方はぜひ利用していただきたい。
Xperia 1 II | Xperia 10 II | |
---|---|---|
ディスプレイ | 6.5インチ 有機ELディスプレイ アスペクト比 21:9 |
6インチ有機ELディスプレイ アスペクト比 21:9 |
解像度 | 4K HDR (3840×1644) | FHD+ (2520×1080) |
背面カメラ |
3眼カメラ ・3D iToFセンサー搭載 |
3眼カメラ ・2倍光学ズーム |
動画撮影 | 4K HDR動画 (24/25/30/60fps) スローモーション (120fps) インテリジェントウィンドフィルター |
4K動画 スローモーション (120fps) |
前面カメラ | 8MP / F2.0 / 84° | 8MP / F2.0 / 84° |
プロセッサ | Snapdragon 865 | Snapdragon 665 |
RAM+ROM | 8GB+256GB | 4GB+128GB |
外部ストレージ | microSDXC (最大1TB) | microSDXC (最大1TB) |
SIM | Nano SIM + Nano SIM (1スロットはSDカードスロットと兼用) |
Nano SIM + Nano SIM (1スロットはSDカードスロットと兼用) |
OS | Android 10 | Android 10 |
バッテリー容量 | 4000mAh | 3600mAh |
外部ポート | USB Type-C 3.5mmオーディオジャック |
USB Type-C 3.5mmオーディオジャック |
ワイヤレス充電 | ◯ | × |
生体認証 | 指紋認証 (本体側面) | 指紋認証 (本体側面) |
防水性能 | IP65/68 | IP65/68 |
通信 | 5G:Sub6のみ対応 Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac/ax MIMO 2×2 Bluetooth 5.1 |
5G:非対応 802.11a/b/g/n/ac Bluetooth 5.0 |
サイズ | 166 × 72 × 7.9mm | 157 × 69 × 8.2 mm |
重量 | 181g | 151g |
カラー | ブラック / パープル / ホワイト | ミント / ブルー / ホワイト / ブラック |