新旧Xperia 「1 VI」 「1 VII」 を比較。1年前に比べてどう進化?

ソニーのフラグシップスマートフォン「Xperia 1」シリーズは、映像・音響・撮影という三拍子そろったモバイル体験を志向してきた。その最新モデル「Xperia 1 VII」が、先代「Xperia 1 VI」から約1年を経て登場した。

外観や基本設計を継承しつつも、独自のAI技術「Xperia Intelligence」を中核に据えたことで、より誰でも使える“本格機材”へと舵を切った印象がある。本稿では、Xperia 1 VIと1 VIIの主要ポイントを比較しながら、その進化の実像を探る。

ディスプレイ:21:9からの脱却と見やすさ重視の流れ

Xperia 1 VII

Xperia 1 VIで導入された19.5:9のアスペクト比は、従来の21:9に比べて横幅が広く、汎用性の高い比率となった。1 VIIでもこの方針は踏襲されており、動画視聴やWebブラウジング、ゲームプレイ時の視認性が向上している。

ただし、1 VIでは4K表示が廃止され、解像度がFull HD+に抑えられた。その分、駆動時間は最大36時間と劇的に向上。1 VIIもこの仕様を継続しており、バッテリー効率を重視した設計思想が読み取れる。

カメラ:光学ズームのVI、AIによる撮影支援のVII

Xperia 1 VI

ハードウェア面ではXperia 1 VIが85〜170mmの光学望遠ズームとテレマクロに対応し、スマートフォンとしては異例のズームレンジを誇る。一方、Xperia 1 VIIではカメラ構成自体に大きな変化はなく、16mm超広角・24mm/48mm広角・85〜170mm望遠というトリプルレンズ構成を維持している。

Xperia 1 VII

だが、注目すべきはAIによる「Xperia Intelligence」の導入だ。1 VIIでは、「AIカメラワーク」や「オートフレーミング」によって、被写体をフレーム中央に保つ補正や自動ズームを実現し、映像制作のハードルを大きく下げた。これにより、カメラ操作に不慣れなユーザーでも、ジンバルなしでプロ級の動画撮影が可能になる。

加えて、1 VIIでは超広角カメラに新たな「Exmor RS for mobile」(1/1.56型)を採用し、暗所性能とマクロ撮影に対応したことで、静止画・動画の両面で守備範囲が広がっている。

オーディオ:WALKMAN技術の継承

Xperia 1 VII

Xperia 1 VIでは、3.5mmイヤホンジャックを継続しつつ、スピーカーの低音域強化と歪み低減が図られていた。1 VIIではさらに踏み込み、WALKMAN譲りの高音質オーディオ回路を導入。高音質はんだの使用や回路設計の最適化により、解像度と音圧の両面で明確な進化を遂げている。

この点は、音楽ファンやゲームプレイヤーにとって大きな魅力となる。高音質なBGM再生や空間オーディオの没入感など、音響面の強化は見逃せないアップデートだ。

処理性能・発熱対策:Gen 3からEliteへ

Xperia 1 VI

SoCは、Xperia 1 VIが「Snapdragon 8 Gen 3」、Xperia 1 VIIが「Snapdragon 8 Elite」を採用。Snapdragon 8 EliteはAI性能や効率性の向上が謳われており、よりスムーズな処理や低発熱が期待できる。

1 VIではシリーズ初のベイパーチャンバー搭載も話題となったが、1 VIIではAIによるリソース制御も含め、発熱管理にさらに磨きがかかっていると考えられる。

ゲーム機能:「FPS Optimizer」からAI対応へ

Xperia 1 VIで導入された「FPS Optimizer」は、タッチ精度やトラッキング速度をユーザーが選択できるゲーミング向け機能だった。1 VIIではこれに加えて、AIベースのパフォーマンス制御が加わることで、より状況に応じた最適化が可能になると見られる。

OSとアップデート保証

1 VIは3回のOSアップデートと4年のセキュリティサポート。1 VIIではそれぞれ4回・6年に拡張された。Androidスマートフォンにおける長期サポートは、端末の価値を左右する要素だけに、この点も1 VIIの大きなアドバンテージとなる。

価格と販売形態

モデルRAM/ROM市場想定価格 (税込)
Xperia 1 VI12GB / 256GB約190,000円
Xperia 1 VI12GB / 512GB約205,000円
Xperia 1 VI16GB / 512GB約219,000円
Xperia 1 VII12GB / 256GB約205,000円
Xperia 1 VII12GB / 512GB約219,000円
Xperia 1 VII16GB / 512GB約235,000円

価格帯としては 「Xperia 1 VII」 のほうが一段高い設定となっているが、これは主に為替 (円安) や世界的なインフレの影響や、AIに対する投資分などが上乗せされている可能性がありそうだ。

総評:成熟したVI、AIに賭けるVII

Xperia 1 VII

Xperia 1 VIは、物理性能やバッテリー効率の最適化、望遠ズームの強化といった「完成度」を高めたモデルだった。一方のXperia 1 VIIは、AIを前面に押し出した「誰でもプロ体験」がコンセプトにある。

プロ向けから一般ユーザー向けへと舵を切る中で、ソニーの「映像×音響」の強みをAIでどこまで拡張できるかが今後の鍵となる。完成されたハードに、どれだけソフトの魅力を積み上げられるか。Xperia 1 VIIは、その試金石といえる存在だ。

(画像:SONY)

Xperia
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