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Xbox重役サラ・ボンド氏にインタビュー。日本発のタイトルが増えるXboxプラットフォームの現状を深く聞いてみた

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9月21日に開幕した 「東京ゲームショウ2023」 にあわせて、Xboxのゲームクリエイターエクスペリエンス&エコシステム部門のバイスプレジデントであるサラ・ボンド氏が、昨年に引き続き来日。同日18時より配信された 「Xbox Digital Broadcast」 を前に、メディア関係者とのグループインタビューに応じてくれた。

弊誌が昨年行ったインタビューでは日本およびアジア市場におけるXboxの取り組みを詳しく聞くことができたが、今年は 「Xbox Digital Broadcast」 での発表内容の注目ポイントのほか、昨年からの1年間でXbox Game PassやPC Game Passに日本のタイトルが増えたことによる影響や、Xbox Series Sの1TBモデルが登場したことでXboxプラットフォームにどのような影響があったのかについて聞くことができた。

以下はインタビューの内容。Xboxの重役がインタビューに応じてくれる機会は世界的に見てもかなり貴重なので、ぜひご覧いただければと思う。

サラ・ボンド氏:

今日は来ることができてとてもワクワクしています。今日発表する 「Xbox Digital Broadcast」 を皆さんに楽しんでいただけたらと願っております。

今日のショーでは19個の新情報を発表する予定で、そのうちの15個がアジアのクリエイターから提供されたものです。そして、そのうちの大多数がXbox Game Passで配信されることになっています。

そのハイライトについて、今日は皆さんに説明したいと思います。

まずは『ホテル・バルセロナ』のゲーム映像が初めて公開されます。来週には『逆転裁判123 成歩堂セレクション』がXbox Game Passで配信されるほか、『インフィニティ ストラッシュ ドラゴンクエスト ダイの大冒険』が9月28日に、『オクトパストラベラーII』が2024年初頭にXboxプラットフォームに登場する予定です。また、『エルダースクロールオンライン』がXboxコンソール上で遊べるようになりまして、日本語に完全対応します。

『Forza Motorsport』には、日本から着想を得た 「箱根コース」 があります。とても美しいコースで、角を曲がるときに桜の木が見えたりと、面白い形になっているのが特徴です。『Forza Motorsport』には日本の車も入っているので、日本の車に乗ってゲームを楽しむことができます (先行プレビューはこちら)。

『ペルソナ5 タクティカ』や『龍が如く7 外伝 名を消した男』も発表されました。発売は『ペルソナ5 タクティカ』が11月17日、『龍が如く7 外伝 名を消した男』が11月9日です。どちらもXbox Game Passで配信されます。

追記

記事公開当初、『インフィニティ ストラッシュ ドラゴンクエスト ダイの大冒険』がXbox Game Pass対応と記載しておりましたが、サラ・ボンド氏の発言に誤りがあり、Xbox Game Passには対応せず、9月28日にXboxプラットフォームに登場予定とのこと。本文内容も修正させていただきました。

ーーー昨年に引き続き、今年もインタビューをさせていただきましてありがとうございます。今年もよろしくお願いします!

早速ですが、先ほどサラさんも紹介されていたように今年もたくさんのアジア発のゲームがXboxプラットフォームに登場するということで、とても驚いています。

昨年サラさんがTGSでいらっしゃったときに、「これから1年の間に、たくさんのタイトルがXboxプラットフォームに登場する」 とおっしゃっていましたよね。その予告どおり『Wo Long: Fallen Dynasty』やアトラスの『ペルソナ』シリーズなど日本発のタイトルが展開されてきました。こういった日本のタイトルがXboxに展開されるようになったことで、日本のユーザーがXboxに対してどういう見方をするように変わってきましたか。

また、先日にはカイロソフトのタイトルがXboxプラットフォームにやってきたように、日本のタイトルがXboxで多く展開されるようになったことで、これまでXboxプラットフォームに作品を展開してこなかった日本のデベロッパーからも注目が集まっていると思います。これについてもサラさんの意見をお聞きできればと思います。

サラ・ボンド氏:

私たちの信念として、Xboxの世界にいる人々は 「自分がプレイしたいゲーム」 をプレイできることが重要だと考えています。どこの国のゲームなのか、どういうスタイルなのか、どういう色合いなのか。今まで自分が予期しなかったものを見つけた時に、プレイしてみようかなという気持ちになると思います。

日本のゲーム業界には、信じられないような深い歴史があると思っています。これは大きな要素だと思っていまして、過去10年間にわたって、Xboxは一貫してクリエイターやプレイヤーの方との関係構築に努めてきました。そして、クリエイターの方やプレイヤーの方からのフィードバックを受けて、こういった点を重視することは重要だと思っています。

過去5年間にわたって、Xboxプラットフォームにおける日本のクリエイターの作品は500ほどありました。現在、アジアには600ほどのクリエイターがいるのですが、その半分くらいが日本のクリエイターということで、非常に活発にXbox向けのゲーム開発をしてくれていると感じています。

このように継続的に投資をしてきた結果、過去3年間の間に、PC Game Passのプレイヤーの数は4倍になっています。コンテンツや人間関係が伸長していると実感するのは非常に喜ばしいことで、これからも私たちは楽しみにしていきたいと思っています。

ーーーXbox Game Passに日本のタイトルが多く入ってくるようになってから、日本におけるXbox Game Passの利用率は導入からどのような変化がありましたか?

サラ・ボンド氏:

日本に特化した数字は持ち合わせていないんですけれども、アジア全体では過去3年間で4倍になっています。ユーザーからのフィードバックを受けて、幅広いゲームをプレイできるということに非常に価値を見出してもらっているようです。

また日本のタイトルがXboxに入ってきたということで、日本以外のところに住んでいる方たちも、日本のタイトルをプレイするようになってきているんだと感じています。たとえば『ペルソナ』シリーズや『キングダムハーツ』シリーズなどですね。そういったフランチャイズあるいは日本のクリエイターが作ったものを海外のプレイヤーも非常に気に入っているような印象を受けます。

ーーーXbox Game Passでは、日本のインディーゲームがあまり配信されていない印象を受けています。今後拡充させていく予定はあるのでしょうか?

サラ・ボンド氏:

クリエイターの方々は、自分たちがどういうカテゴリーに含まれるかということをあまり意識していないようです。Xboxとしては、Xbox Game Passで幅広いゲームを提供するという部分に力を入れているので、様々なプレイスタイルのゲームを提供することで、プレイヤーのエクスペリエンスが良いものになるようにしていきたいと考えています。

私たちはXbox Game Passで配信するタイトルについて、クリエイターの方たちと交渉してきているのですけれども、その際に様々な規模や地域のクリエイターであるとか、色々なプレイスタイルのゲームを提供するといったことを考えながらタイトルを提供しています。クリエイター側もそういったものを求めていると思いますので、今後も同じようなやり方を実行していきたいと思っています。

ーーーXbox Series Sの1TBモデルが登場したことで、Xboxのコンソールの選択肢が広がりましたね。私の友人も、『ペルソナ』シリーズがXbox Game Passで配信されるというニュースを聞いて、ちょうど先日、Xbox Series Sの1TBモデルを購入したと報告していました。新しいコンソールが出たことで、Xbox自体の売り上げはどのように変化しましたか?日本とグローバルでの違いもあったら教えてください。

サラ・ボンド氏:

私たちはプレイヤーにたくさんの選択肢を用意してあげたいと思っています。今回のXbox Series Sの1TBモデルもプレイヤーからのフィードバックを受けて出すことを決定したものでして、ユーザーからはポジティブなフィードバックを受け取っています。お友達のお話もご紹介いただいてありがとうございます。そのお話もまた素晴らしい例のひとつだと思います。

私たちは、プレイヤーのコミュニティの声に耳を傾けるようにしています。やはりエクスペリエンスというのは、プレイヤーを中心にしたエクスペリエンスでなくてはならない。そのように私たちは信じています。

私たちの役割は、色々なデバイスや機能といった 「選択肢」 を開発して研究し、プレイヤーの方たちがいつでも、全ての言語で、どんなところでも、いつでも遊びたい時にゲームを遊んでもらえるようにするということだと思っています。

私たちが新しいものを発表したということは、必ずプレイヤーのことを中心に考えて決断したと思っていただけると嬉しいです。

また、これは昨年にも言ったかもしれないのですが、私たちはプレイヤーの方々に、より簡単に、より早くXboxプラットフォームに繋がることができる方法を提供したいと思っております。

Xbox Game Passも同じような考え方をもとに作られたものです。プレイヤーからは、もっと簡単に色々なタイトルを遊んだり、試したりしたいというフィードバックをいただいておりまして、デベロッパーの方々からももっと簡単にプレイヤーの人たちに自分たちの作ったタイトルを見つけられるようにしてほしいという要望がありました。

ーーーeスポーツ市場に対して、マイクロソフトはどういった考えを持っていますか?昨年、Xbox Game Passに『VALORANT』、『リーグオブレジェンド』が追加されたことで、Xbox Game Passにまた注目が集まったと感じています。

サラ・ボンド氏:

私たちにとってeスポーツは、機材を使って人が体験する、違うやり方だと見ています。プレイヤーの方々に対して拍手を送ると、プレイをしない人も参加して、そのプレイヤーに対して拍手を送るということもできますし、ゲームについて知る1つの方法だと感じています。

(eスポーツという) 異なる方法によって、今までゲームをプレイしてこなかった人に対してもゲームの世界の道を開いていく良いやり方なのではないかと私たちは考えています。

ーーーActivision Blizzardが今、『オーバーウォッチ・リーグ』を止めるかもしれないという噂が出ています。Microsoftの買収後には継続するのか、止めるのか、現時点での考えを教えてください。

サラ・ボンド氏:

Activision Blizzardについては、まだ会社が別ということで、彼らの計画に関してあれこれ口出しをすることはできないと思います。今のところは当局からの判断待ちということでプロセスの途中なので、私からはどうなるかは分からないというのが答えになります。

今は東京ゲームショウで色々な素晴らしいニュースが出てくると思うので、そちらにフォーカスしていただきたいと思います。

Xbox アダプティブコントローラー

ーーーアクセシビリティの取り組みについて伺いたいと思います。Microsoftは、Xbox アダプティブコントローラーや『Forza』シリーズなどで、聴覚や視覚に困難のあるプレイヤーもゲームを楽しめる方法を提供してきていますよね。ただし、現状Xbox以外のゲーム、例えばSteamなどの他のストアのタイトルではなかなかそういったアクセシビリティ機能にまで手が回っていない開発者も多いのが現状だと思います。そこに対してMicrosoftはどういったアプローチができるとお考えでしょうか?

サラ・ボンド氏:

私は、アクセシビリティはどんな人にも関係のある問題だと思っています。ゲーマーの中で、やはり一定数は何らかの障害がある方がいらっしゃると聞いていますので、アクセシビリティ機能があることでこういった方々にも良いことがあると思うんですね。

また、事故に遭ったりして、一定の期間だけでも何らかのアクセシビリティ機能が必要になる可能性は誰にでもあると思います。ですので、やはり業界全体に教育訓練をしていくことが重要だと感じています。アクセシビリティの機能があることで、恩恵を受けることができる人たちがたくさんいるということを分かってもらうということですね。

私たちとしては、デベロッパー向けのツールに、アクセシビリティ機能を持たせたものを開発できるように投資をしてきました。

このようにツールを用意することで、どのようにして自分のゲームにアクセシビリティ機能を組み込むことができるのか、というのがデベロッパーの方にも分かるようになると思うんですね。ですので、私たちとしては、Xboxプラットフォームにこういったツールなどを組み込むことで、アクセシビリティに関してデベロッパーたちにアプローチできると考えています。

ーーー私も赤緑系の色覚異常があるのですが、最近は色々なタイトルにアクセシビリティ機能が追加されてきたなと感じてはいます。サラさんのお話を聞いて、これからその先にどんどん向かっていくんだというのが分かって良かったです。

サラ・ボンド氏:

そうなんですね。共有してくれてありがとうございます。

ーーー知り合いのクリエイターに、Xbox Game Passにゲームを提供している人がいます。いちユーザーとしては、Xbox Game Passは非常に素晴らしいサービスだと思っているのですが、クリエイター目線では、Xbox Game Passのサービスはずっと続くのだろうか、というのが非常に気になってると話していました。現状でゲームバスのビジネスモデルがどれくらいうまくいっていて、今後どうしていきたいと考えているのかをぜひお伺いしたいです。

サラ・ボンド氏:

ビジネスモデルとして、Xbox Game Passはすごく成功しています。2018年にローンチしてから、それが理由で継続的に投資をしてきているというのがあります。成功の理由はいくつかあります。

まずクリエイターの方にとっては、Xbox Game Passを通じて自分のタイトルを見つけてもらえるというメリットがすごく大きいんです。それから、Xbox Game Passを利用しているユーザーはもっとゲームをするようになって、Xbox Game Pass以外での購入も上がっているんです。

これはクリエイターにとっても業界にとっても非常に良いことだと思います。エンターテイメントとしてのゲームに、もっとたくさんの人が関わってくれるようになっているという効果が生まれていると感じています。

ゲームというのは、基本的にはコミュニティが基礎としてあるものだと考えています。プレイヤーは、Xbox Game Passがあることで同じライブラリを友人や自分のコミュニティと共有し、一緒にプレイすることを容易にしていると思います。この点が他のサービスと違う点ですね。それから、ゲームは音楽やテレビ番組とは違い、収入をゲーム内で得るという選択肢があることも重要です。

あとこれはクリエイターの方からよく言われることなのですが、Xbox Game Passができたことで、クリエイターの方々が革新的なゲームや新しい発想のゲームを作りやすくなったというメリットがあります。というのも、プレイヤーのベースがXbox Game Passという形で提供されることで、クリエイターはクリエイティブリスクをとりつつも、革新的で柔軟なゲームを作ることができるようになりました。

以上のことから、私たちはXbox Game Passについて非常に満足している状態です。プレイヤーにとっても良いものになりましたし、クリエイターにとってもメリットがあり、そして私たちの事業としても良いものになっています。ここ1年の間でXbox Game Passが入っている市場の数を倍にすることができました。

「朝4時に日本に到着したばかりなので十分に頭が回っていないかも」 というジョークから入ったインタビューは終始和やかな雰囲気のなか行われた。家族みんなでゲームを楽しんでいるようだ。

ーーー最後に、サラさん自身のこれまでのゲームとの関わり方についてお聞きしたいです。好きなタイトルとか、どんなゲームが好きなのかをお聞きできればと思います。

サラ・ボンド氏:

私はゲームが大好きで、パズルゲームとかプラットフォーマーなどが好きです。また、私の夫がシューティングゲームが好きなので、私も一緒にプレイして手助けできればと思っています。私の子どもたちは『マインクラフト』や『Hi-Fi Rush』が大好きです。家族で幅広く、色んなゲームで遊んでいます。

個人的には『ゴールデンアイ 007』が好きなんですけれども、ここ数週間は時間がある時に『Vampire Survivors』をやっています。すぐプレイできるので、10分くらい時間があると『Vampire Survivors』をやろうかなと。大好きなゲームになりつつあります。

ただ、私がすごく気をつけている点としては、「私が好きなものだけが入ったXboxにしない」 ということです。私が好きなものだけではなくて、他の人が好きなものを提供するということを考えて仕事をしています。他の人たちがどんなことを考えているのか、そういったところもリサーチして、理解していきたいと思っています。

ーーーサラさん、ありがとうございました!

(画像提供:Microsoft)

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Microsoft、Series X ロゴ、Series S ロゴ、Series X|S ロゴ、Xbox One、Xbox Series X、Xbox Series S、Xbox Series X|S は Microsoft グループ企業の商標です。

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

同メディアで取り扱う情報は主にインターネットテクノロジー関連、AppleやGoogleなどの新製品やサービス。その他、今最も興味があるのは「VR/AR」「スマートスピーカー」。