【比較】WF-1000XM3とWF-1000Xの性能を比べてみた。何が進化した?

7月5日、ソニーはノイズキャンセル機能つき完全ワイヤレスイヤホンに待望の新型モデルを投入した。

イヤホンの名前は 「WF-1000XM3」 。2017年9月に販売が開始された 「WF-1000X」 の後継モデルだ。

「WF-1000X」 は、業界最高クラスのノイズキャンセリング機能が搭載されたということもあって当時大きな話題となったが、今回新たに登場した 「WF-1000XM3」 はさらにその一段上のノイズキャンリング機能を実現。他にも、音質など細かいアップデートが多数存在するなど、前モデルから着実な進化が行われている。

そこで当記事では、WF-1000XM3とWF-1000Xの違いについて解説する。前モデルからどのように進化したのかを比較表を交えて紹介するため、新型モデルの購入を検討している方はぜひ参考にしていただきたい。

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スペック比較表

  WF-1000X WF-1000XM3
発売年月日 2017年9月 2019年7月
型式 密閉ダイナミック型
電源 DC3.7V : 内蔵充電式リチウムイオン電池
使用周波数帯 2.4GHz帯(2.4000GHz-2.4835GHz)
対応コーデック SBC, AAC
対応コンテンツ保護 SCMS-T
伝送帯域(A2DP) 20Hz – 20,000Hz(44.1kHzサンプリング時)
重量 約6.8g × 2 約8.5g × 2
Bluetooth規格 Ver 4.1 Ver 5.0
最大通信距離 見通し距離 約10km
連続音声再生時間 NC ON:最大3時間
NC OFF:最大3時間
NC ON:最大6時間
NC OFF:最大8時間
連続通話時間 NC ON:最大3.5時間
NC OFF:最大3.5時間
NC ON:最大4時間
NC OFF:最大4.5時間
待受時間 NC ON:最大8時間
NC OFF:最大35時間
NC ON:最大9時間
NC OFF:最大15時間
充電ケースの充電可能回数 2回 3回
WF-1000XM3がWF-1000Xから進化したポイント

①ノイズズキャンセリング機能がさらに進化
②音質向上。アップスケール技術DSEE HXにも対応
③接続が安定
④遅延が解消
⑤物理ボタンからタッチセンサーに
⑥バッテリー持ちが大幅改善

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デザインが変更に

本体デザインは大幅に変更されている。前モデル 「WF-1000X」 はソニーらしくメタリックな筐体デザインになっていたが、新型モデル 「WF-1000XM3」 はプラスチック筐体に。

また、本体に搭載されるボタンは物理式ではなくタッチセンサー型に。このタッチセンサーでは音楽の再生・停止、曲送りなど基本的な操作が可能。また、長押しをすることで外の音が聞こえるようになるクイックアテンション機能にも対応する。ちなみにタッチセンサーの操作は専用アプリでカスタマイズできるなどユーザーの好みで変えられる便利機能が搭載されている。

ノイズキャンリング機能が業界最高クラスに

WF-1000XM3の最大の特徴は、業界最高クラスのノイズキャンセル機能が搭載されているということ。

前モデルの 「WF-1000X」 も高いノイズキャンセル機能が搭載されていたが、耳を完全に覆うヘッドホンとは異なるためやはり完全に外の音をシャットアウトすることは不可能だった。

音楽を流しているときに電車の走行音や車内アナウンスなどはやや聞こえなくなるが、それでも静寂を与えることはできなかった。

それらのフィードバックを受けてソニーは 「WF-1000X」 を改良。さらに上のノイズキャンセリング機能を搭載することになった。形状的に完全に外の音を遮断するのはやはり難しいと思われるが、それでも前モデルに比べればより静かな環境で音楽が聞けるようになっている。

この高いノイズキャンセル機能を実現したのは、以下の3つの改良のおかげ。

①高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1e
省電力ながら高い信号処理能力で、騒音を打ち消す効果のある逆位相の音を高精度に生成し、緻密かつ効果的にノイズを低減する。

②デュアルノイズセンサーテクノロジー
ヘッドホンの外側と内側に配置した二つのセンサーで効率的にノイズを集音。外側に配置したフィードフォワードマイクは外部の騒音を、内側に配置したフィードバックマイクは耳元に漏れこんだ騒音をそれぞれ検出するため、より精密な集音が可能だ。

③装着感の改良
耳の3点で本体を支える新構造 「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」 や、イヤピースの根元側の耳に接する部分に高摩擦のラバー (ハイフリクション・ラバー・サーフェス) を採用。耳から外れにくく密閉度も高いため、耳元に漏れこむ騒音も低減させた。

このうち、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1e」 と 「デュアルノイズセンサーテクノロジー」 は、外からのノイズを集音し消し去るためのもの。ノイズが除去できる周波数帯域も拡大したことで、これまで除去できなかった音も排除できるように。これらはテクノロジーの進化によって得られた賜物だ。

そして 「装着感の改良」 については最新技術とは直接には関係ないものの、外からの音を物理的に遮断するための開発側の工夫の塊だ。

これら3つの改良が組み合わせられることで、「WF-1000XM3」 は高いノイズキャンセル機能が期待できる。

内蔵されているプロセッサーQN1eは、ソニーのノイズキャンセリング機能付きヘッドホン 「WH-1000XM3」 に搭載されたQN1の改良版。WH-1000XM3は非常に高いレベルのノイズキャンセリング機能を実現したことで有名。「WH-1000XM3」 の遮音性能の高さも納得だ。

ちなみに、専用アプリを使うことで外の音の取り込みレベルを20段階で調節することができるという。「外の音がまったく聞けないのは困る」 というときはノイズキャンセルレベルを下げて、音楽に集中したいときはレベルを上げるといいのではないだろうか。

音質が向上。アップスケーリング技術DSEE HXが初搭載、BluetoothもVer 5.0にアップデートされ安定性向上

完全ワイヤレスイヤホンは製品サイズが小型ゆえに 「音質に難あり」 と言われることが多かったが、最近の完全ワイヤレスイヤホンは技術の進化によって有線イヤホンに負けないくらいの音質が実現できるようになった。

「WF-1000XM3」 は音質に高いこだわりを持って作られていて、以下の2つの改良が行われているとのこと。

高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1e
高いS/N比 (信号対雑音比) と低歪率をあわせ持ったD/A変換回路と高品位なヘッドホンアンプに加え、本プロセッサー自体がオーディオ信号を高精細に24bitデジタル処理することでクリアな音を実現。

②高音質技術DSEE HX
このうちの 「QN1e」 は、先ほどノイズキャンセルの項目でも出てきたプロセッサだが、このプロセッサは実は音質の向上にも役立っている。同プロセッサには高品位DACとアンプが内蔵されており、さらにオーディオ信号を24bitデジタル処理を可能にし、高いS/N比と低歪率を実現している。

そしてソニーの独自技術 「DSEE HX」 に対応したことも大きい。この技術はCD音源やMP3などの圧縮音源、音楽や動画などの配信サービスをハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングするというもの。もちろんハイレゾに対応するというわけではないが、圧縮音源などで失われることの多い高音域などを再現し、それらをハイレゾ級の高解像度で聞くことができる。

完全ワイヤレスイヤホンでDSEE HXに対応したのは 「WH-1000XM3」 が初めてとなる。ただし、対応コーデックはAACとSBCになっており、残念ながらapt-Xなどについては非対応となっている。

ちなみに、内蔵されるBluetoothはVer4.1から5.0にアップグレード。これによってスマートフォンなどのBluetoothデバイスから送信される信号を左右のイヤホンがそれぞれ受け取れるように。前モデルはL側からR側にリレーされる方式だった。

左右直送方式になったことで音の途切れを防げるようになっただけでなく、左右どちらか一方のイヤホンだけで音楽を聴くことも可能になっている。

遅延も大きく解消している。前モデル 「WF-1000X」 はYouTubeなど動画を再生したときに映像と音が大きくズレる遅延現象が発生していたが、この問題がかなり改善されている。

さらに、「WF-1000XM3」 はユーザーが身につけたかどうかを判別するスマート機能が搭載されるようになった。耳から外すと自動的に音楽が停止し、耳に装着すると自動的に音楽再生が始まるといった具合だ。

バッテリー持ちが3時間→6時間に

「WF-1000XM3」 はバッテリー持ちを大幅に改善することができた。

前モデルの 「WF-1000X」 はイヤホン単体で3時間、バッテリーケースを併用することで最大9時間の駆動が可能だった。これは、日中使用し続ければ帰る頃にはバッテリーがすっからかんになる程度のバッテリー持ちだ。

しかし 「WF-1000XM3」 はイヤホン単体で6時間、バッテリーケース併用で24時間持つ設計だ。ノイズキャンセル機能を使わなかった場合はイヤホン単体で8時間、バッテリーケース併用で32時間という計算になる。かなりの長時間駆動が可能だ。

  WF-1000X WF-1000XM3
イヤホン単体 最大3時間 最大6時間
イヤホン+バッテリーケース併用 最大9時間 最大32時間

これを実現したのは前述の新プロセッサ 「QN1e」 と 「Bluetooth 5.0」 の搭載。省電力性能を高めたことが影響しているものとみられる。また、イヤホンの重さがわずかに増えていることから、おそらく内蔵バッテリーの容量も増えているのではないかと筆者は個人的に予想している。

さらに、10分間の充電で90分の再生ができる急速充電機能にも対応しているため、少なくとも今後バッテリー持ちに困ることは少なくなるだろう。「WF-1000XM3」 を持って旅行に行くことも十分できそうだ。

まとめ

以上が WF-1000XM3とWF-1000Xの性能比較。想像以上に大きな進化を遂げており、前モデルに比べてかなり実用的な製品に仕上がっているのではないだろうか。

実際、同製品が発表されたことによる反響は大きく、Twitterではトレンドに上がるくらいの盛り上がりを見せた。中には早くも予約したという人も結構いたため、今後注目のイヤホンのひとつとしてカウントしても良さそうだ。

同製品の音質やノイズキャンセルの効き具合などは実機で確かめていただきたいところではあるのだが、前モデルに不満を感じている人に対しては、「WF-1000XM3」 は 「買い」 なのではないだろうか。少なくとも、購入を前向きに検討すべき製品であるように筆者は感じているが、あなたは当記事を読んでどう考えただろうか。

「WF-1000XM3」 は2019年7月13日に発売予定、本日7月5日から予約受付が開始されている。Amazonでは27,950円(税込)で販売されているが、10%のポイント還元となっているため実質25,155円で購入できる計算だ。

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