
シャープは9月1日、家電の使い方や家事、日々の予定などをAIに相談できる統合AIサービス「NIAH(ニア)」の提供を9月30日に開始すると発表した。
NIAHは、複数の家電やサービスを横断してユーザーの暮らしを理解し、家電の使い方を案内したり、家事の段取りを整理してくれるAIサービス。サービス開始時点では、空気清浄機やエアコン、洗濯機、冷蔵庫、調理家電など52機種に対応する。
また、NIAH対応製品として、プラズマクラスター加湿空気清浄機「KI-WX100」「KI-WX75」も発表した。いずれも9月10日に発売予定で、市場想定価格(税込)はKI-WX100が148,000円前後、KI-WX75が99,000円前後。
家電の使い方から家事の段取りまで。NIAHは何ができる?

NIAHでは、スマートフォンアプリを通じて、家電の使い方や家事について音声やテキストで相談できる。たとえば「ダウンジャケットを洗いたい」とNIAHに相談すると、ユーザーが所有している洗濯機の機種や搭載機能を踏まえて、対応する洗濯コースを案内し、設定までサポートする。
一般的な生成AIであれば洗濯方法を説明するところを、NIAHではユーザーが実際に使っている家電と連携し、その家電で何をすればいいのかまでつなげる。
家事の予定についても、「明日買い物に行く」「週末に掃除する」といった会話から予定やタスクを整理し、必要なタイミングで通知する。

さらに、複数の家電を横断した提案にも対応する。たとえば赤ちゃんがいる家庭であれば、洗濯機では赤ちゃんの衣類に適したコース、エアコンでは風が直接当たらない運転、調理家電では離乳食に使えるメニューのように、家庭の状況を共通して理解したうえで提案する。
シャープは、こうした仕組みによって「家電1台ずつが賢くなる」のではなく、家電やサービス全体がユーザーの暮らしに合わせて動く状態を目指している。

NIAHは、会話回数に応じて4つのプランを用意する。
| プラン | 会話回数 | 月額料金(税込) |
|---|---|---|
| フリー | 30回/月 | 無料 |
| ノーマル | 300回/月 | 495円 |
| プレミアム | 600回/月 | 990円 |
| ゴールド | 1,200回/月 | 1,980円 |
会話回数は、ユーザーが話しかけてAIが回答するまでの1往復を1回としてカウントする。毎月1日にリセットされ、未使用分は翌月に繰り越されない。対象家電を持っているユーザーには、サービス開始から6カ月間、ノーマルプランを無料で利用できるトライアルも用意する。無料期間終了後に有料プランへ自動移行することはないという。
シャープの担当者は、フリープランについて「困ったときだけ使う」ユーザーを想定する一方、有料プランでは家事負担の軽減など、継続して使う価値を提供したいと説明した。
なお、有料プランでは、登録ユーザー以外に最大3人まで予定やタスクを共有できるため、家族での利用にも対応する。
「もうひとりの家族」のようなAIを目指す

NIAHという名称は、人(Human)の願いが聞こえる近い距離に常に寄り添い、暮らしを支える「NEARなAI」という意味を込めたもの。
AIエージェントにはキャラクター性を持たせ、寄り添い型、スマート型、ヒューマン型という3タイプから選べる。
シャープによると、これまで提供してきた生成AIサービスでは、キャラクターの有無によって利用状況に大きな差があり、キャラクターを用意した場合には継続利用につながる傾向が確認できたという。
同社は、今回あえて新しいキャラクターとしてNIAHを用意した理由について、ロボホンなど既存のキャラクターとは役割が異なり、今後さまざまな家電やサービスを横断してユーザーの暮らしを支えるための「窓口」として、新しい世界観を作る必要があったと説明した。



NIAHはサービス開始時点で、ホットクック、洗濯機、エアコン、空気清浄機、冷蔵庫など、シャープの家電52機種に対応。2026年の最新モデルだけでなく、2025年発売の一部製品も対象とする。
シャープは、家電を買い替えなければ新しい価値を利用できないサービスにはせず、既存機種にもクラウドやソフトウェアのアップデートを通じて機能を提供していく考えを示している。
また、生成AIを活用したサービスについても2025年から展開しており、発表会では、生成AIサービスの導入によって問い合わせ件数が約30%減少したほか、調理関連サービスのダウンロード数が2.5倍に増えた事例も紹介された。
新型空気清浄機「KI-WX100/KI-WX75」もNIAHに対応

今回、NIAHに対応した新製品として、プラズマクラスター加湿空気清浄機「KI-WX100」「KI-WX75」も発表した。
新製品では、空気中の粒子数の変化を表示する「AIモニター」を搭載。さらに、NIAHがユーザーの関心ごとや運転状況などをもとに生成したメッセージを、朝・昼・夜の1日3回、本体から音声で知らせる。
朝には一日の空気の状態や小さな行動提案、昼には空気に関する豆知識や暮らしへの気づき、夜には一日の空気の変化や空気清浄機の働きなどを伝える。ユーザーがNIAHに登録した家族構成やペット、花粉、ニオイ、乾燥などの関心ごとも発話内容に反映される。
空気清浄機は、空気中の汚れを取り除く製品でありながら、その働きや空気の変化をユーザーが実感しにくい。そこで、AIモニターによる「見える化」とNIAHによる「言葉」を組み合わせ、空気清浄機がどのように動いているのかを伝える仕組みとしている。

「AI AUTO」モードでは、室内の粒子数に応じて風量を細かく制御。クリーンルーム規格Class 8レベルの空気環境を目指して運転する。集じんには「nanoHDフィルター」を採用し、0.003μmの微小粒子を1回の通過で99.9%以上捕集できるとしている。
加湿機能では、加湿内部洗浄機能を採用。給水トレーに水を入れて洗浄ボタンを押すことで、内部を自動洗浄できる。
また、「プラズマクラスターNEXT」を搭載し、浮遊するイヌ・ネコ由来アレル物質の作用を抑える効果も新たに実証した。ペットとの暮らしにも配慮しており、電源コードには苦み成分を配合したことで、ペットによる噛みつきなどのいたずらを抑えるとしている。ペット専用モードも引き続き搭載する。
NIAHの音声機能については、今後さらに進化させる計画だ。シャープは、現在の音声発話に続いてクローンボイスによる音声生成を導入し、さらに将来的には空気清浄機本体とNIAHが直接対話できる機能への発展を予定している。
既存サービスを引き継ぎながら、NIAHの連携範囲を拡大

NIAHの提供開始に伴い、シャープがこれまで展開してきた家電・AIサービスの一部も役割が変わる。
「COCORO HOME」についてはアプリ自体を継続し、家電の登録や一括管理、一括操作、家電の状態確認など、従来の機能は引き続き利用できる。一方、COCORO HOME内のAIとのトーク機能についてはNIAHへ移行する。
調理家電向けの「COCORO KITCHEN」もサービスを継続するが、当初はNIAHと連携する形となる。2027年には機能をNIAHに取り込む計画で、買い物、レシピ相談、調理、冷蔵庫での食材管理まで、一連の流れをNIAHが支援する構想を示している。
今後は、NIAHの対応範囲をシャープ製品だけにとどめず、他社製家電や住宅、エネルギー、ヘルスケア、見守り、防災、地域情報など、外部の機器やサービスにも広げる考えだ。

シャープは、これまで培ってきたIoT家電の基盤を生かしながら、家電単体の機能競争から、複数の家電やサービスをつないで暮らし全体を支える方向へ事業を広げたいとしている。
一方で、NIAHを有料サービスとしてどこまで定着させられるかについて、具体的な数値目標は現時点で設定していないという。まずは対応するIoT家電とユーザー基盤を拡大し、その上でNIAHを利用するユーザーを増やしていく考えだ。
9月30日のサービス開始時点では52機種からのスタートとなるNIAH。今後、対応する家電やサービスを増やしながら、家電の操作だけでなく、家事や予定の管理まで担う「暮らしの窓口」としてどこまでサービスを広げられるかが、今後の展開を左右しそうだ。
関連リンク




