ROG Phone 8 レビュー|小型・軽量化を果たしおサイフケータイにも初対応。普段使いにも適した新ゲーミングスマホ

ASUS JAPANは、今年1月に海外発表したゲーミングスマートフォンの最新モデル 「ROG Phone 8」 シリーズの国内発売を発表した。国内での発売は5月17日を予定している。

同シリーズの発売に先立ち、ASUS JAPANから 「ROG Phone 8」 のサンプル機を借りて、約2週間ほど試用することができた。ゲーミングだけでなく、日常ユースでの使いやすさも意識した今回の 「ROG Phone 8」 。その実力を探ってみたい。

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デザイン一新で洗練された印象になった 「ROG Phone 8」 

「ROG Phone 8」 シリーズは、ASUSのゲーミングブランド 「Republic of Gamers (ROG)」 が手がけるゲーミングスマートフォン 「ROG Phone」 の最新モデル。今年1月の 「CES 2024」 にあわせて発表され、すでに海外で販売が開始されているが、満を持して国内発売が決定したかたちだ。

最新の高性能SoCや強力な冷却システムを得たことで、従来よりもさらに快適なゲーム体験を実現するグローバルの仕様に加えて、国内向けモデルはシリーズで初めておサイフケータイに対応するなど、ゲーミングだけでなく普段の生活における使いやすさも意識して作られた。

今回レビュー用にお借りした 「ROG Phone 8」 は、シリーズの中では標準モデルにあたる製品。本体カラーはファントムブラックとレベルグレーの2色のうち、筆者は 「レベルグレー」 をお借りした。黒もカッコ良いものの、金属感が感じられる今回のグレーカラーはシックで洗練された雰囲気を醸し出し、とてもカッコ良い。

デザインは先代モデルの 「ROG Phone 7」 から一新。前面は上下のベゼルが狭くなり、フロントカメラがパンチホール式で搭載されるようになったことで、フロント全面がほぼディスプレイに。

前面には6.78インチのLTPO AMOLEDディスプレイが搭載。解像度は2,400×1,080ドット (フルHD+)、アスペクト比は9:20。リフレッシュレートは60Hz、120Hz、165Hzに加えて、1〜120Hzの可変リフレッシュレートに対応する。ピーク輝度は2,500ニトと明るく、太陽光の強い屋外でも画面が見やすい。

本体サイズは高さ163.8 × 幅76.8 × 奥行き8.9mm、重量は225g。先代モデルからわずかに小型・軽量化している。本体と画面のサイズは、持ちやすさと見やすさが両立できていて、縦向き・横向きのどちらでも快適に使うことができた。

背面には色やライティングをカスタマイズできる 「AURAライト」 が引き続き搭載されているものの、LEDの数が2倍になったことで、より光り方が滑らかになった。ライトの設定は 「Armory Crate」 アプリの 「コンソール」 項目から可能だ。

側面右側には、電源ボタンや音量ボタンが集められているほか、横向きで使ったときにコンソールでいうRボタンやLボタンのように使うことができる超音波タッチセンサー 「AirTrigger」 も引きつづき搭載。

端末下部には充電・通信用のUSB Type-CポートとSIMスロット、3.5mmイヤホンジャックが搭載。昨今は3.5mmイヤホンジャックを廃止するスマートフォンも多いなか、「ROG Phone 8」 は引きつづき有線イヤホンを使用可能。リズムゲームの愛好者には嬉しい仕様だ。

端末の左側面には、シリーズでお馴染みの2つ目のUSB Type-Cポートが搭載されている。このポートを使って充電すれば、横向きの状態でもケーブルが邪魔になりにくい。スマホゲームを長時間プレイするときには充電がほぼ必須になるため、このポートがあるだけで快適さが違ってくる。「ROG Phone」 シリーズの数ある特長の中でも、特に筆者が気に入っているポイントのひとつだ。

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最新SoC搭載で快適なゲームプレイを実現

SoCは 「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3」 を搭載。ゲーミングPCクラスの性能を持ち、先代の 「Qualcomm Snapdragon 8 Gen 2」 に比べてCPU性能は30%、GPU性能は25%向上しているという。

具体的にどれほどの性能なのか、AnTuTuベンチマークとGeekbench 6でベンチマークスコアを計測してみた。

AnTuTuベンチマーク結果

Geekbench 6 CPUベンチマーク結果

Geekbench 6 OpenCLベンチマーク結果

Geekbench 6 Vulkanベンチマーク結果

計測の結果、やはり最新SoCということでスコアはかなり高く、どんなゲームでも快適にプレイできそうだ。

実際に『原神』の画質を 「最高」 にして動作させてみたところ、デバイス負荷は 「非常に高い」 にはなってしまったものの、動作自体はとてもスムーズで、そのままゲームをプレイすることができた。

ちなみに、メインメモリの容量は16GB。本体ストレージの容量は256GB。ストレージに関してはmicroSDカードを使っての拡張ができないため、256GBで心許ないという人はオンラインストレージなどを活用してうまく拡張して使っていただきたい。

高い冷却性能のおかげで長時間のゲームプレイも問題なし

高いグラフィック設定のままでゲームをプレイすると、本体の熱が気になる場合があるが、「ROG Phone 8」 は冷却技術にも注力している。

まずは熱を発するSoCを本体中央におき、それを囲むようにバッテリーを配置するセンターレイアウトを採用。熱の発生源を分散しながら、端末の左右を持っても熱を感じにくい工夫がなされている。

そして、内部の冷却システムも 「GameCool 8 冷却システム」 に進化。SoCを全方位から冷却する 「360° SoC Cooling System Gen 2」 を採用したことで、先代モデルに比べて冷却性能が20%向上しているという。

試しに『原神』で画質を最高品質にして、発熱具合をチェックしてみた。他のハイエンドスマートフォンでは10分も経たないうちに本体が熱くなりプレイし続けるのがつらくなってくるところ、「ROG Phone 8」 は熱さこそ感じるものの、プレイを続行できないほど辛くは感じなかった。

上記画像は、『原神』を最高画質にして30分ほどプレイしたあとの端末の温度状況。中央部分の温度は40.3℃まで上がっているが、端末左右は中央に比べて少し温度が低くなっている。このおかげで端末が熱くてもプレイし続けることができたのかもしれない。

ちなみに、もっと発熱を抑えてゲームをプレイしたい場合には、いくつか方法がある。

まずは 「バイパス充電」 を活用すること。バッテリーを充電せずに直接システムに給電する充電方法のため、本体を電源アダプタに繋いだ状態でプレイしていても発熱が起こりにくい。熱によるバッテリーの劣化も抑えることができて一石二鳥だ。

もうひとつの方法は別売りの外付けクーラーユニット 「AeroActive Cooler X」 を使うこと。ファンを使って物理的に端末を冷却するため、端末単体で使うよりも温度を低く保つことができる。

今回の 「AeroActive Cooler X」 は、先代モデルに比べてさらに小型・軽量化したことで持ち運びしやすくなっているほか、物理ボタンも2つ増設できるため、ヘビーゲーマーの人にはぜひ活用していただきたいアクセサリーだ。

ゲーミングにおける便利機能を紹介

「ROG Phone 8」 で実際にゲームをプレイしてみて、アシストツール 「Game Genie」 の機能で便利なものがあったので紹介したい。

まずは 「バックグラウンドモード」 。スマホアプリは最小化すると休眠状態のようになってしまって、基本的に操作はできなくなってしまうが、同モードを使うことでバックグラウンドで動作させ続けることができる。

バックグラウンドで動作中のアプリはマクロを使って自動で操作できるため、時間ごとに決まった操作をする周回クエストなども自分で操作することなく進めることができる。ただし、マクロの利用を禁止しているゲームもあるため、ゲーム規約を必ず確認してから使っていただきたい。

バックグラウンドモードは手動で終了できるが、起動時に 「カスタム設定」 を選択して終了日時を指定すれば、指定の時間になったらバックグラウンドモードを終了することも可能だ。

もうひとつ便利だったのが、新機能の 「AI Grabber」 。ゲーム内のテキストをキャプチャーできる機能で、機能をオンにすると表示される赤い枠をキャプチャーしたいテキストの上に持っていくことで、枠内の文字を認識してコピーしたり、そのままウェブで検索することもできる。

「ウェブで検索」 を選択した場合には、ゲーム画面の上にフローティングウィンドウで検索画面が表示され、ゲームをアクティブにしたままで検索ができてしまう。この機能がなかなか優秀で、ゲームをプレイしていて分からないことがあっても、ゲームを離れることなく調べることができてとても便利だった。

ちなみに、「Game Genie」 はゲーム起動中に画面左上から中央に向けてスワイプすることで起動可能だ。

音楽・動画アプリで便利なバックグラウンド再生機能

ゲーミングに特化した機能を持つ 「ROG Phone 8」 だが、さらに今回は 「Video Genie」 という音楽・動画アプリを便利に使える新機能も搭載している。

多くの人に恩恵がありそうな機能が 「バックグラウンド再生」 。アプリを最小化しても音声を出しっぱなしにできる機能だ。

同機能を使うことで、アプリを開き続けないと再生が止まってしまう音楽・動画アプリも最小化してバックグラウンドで音を聞き続けることができる。試しに、YouTubeやニコニコ動画等で利用してみたがバックグラウンドで再生することができた。動画の映像は見ずに音声だけを作業用BGMとして聞きたい場合などに便利だ。

「Video Genie」 には、そのほかにも再生中に通知を非表示にする機能や、着信拒否機能、ミニ通知機能が用意されている。

5,500mAhバッテリーで長時間駆動を実現

「ROG Phone 8」 のバッテリー容量は5,500mAh。先代モデルの6,000mAhからはすこし減っているものの、それでも16.5時間と長い駆動が可能だ (ちなみに、先代は最大17.9時間だった)。

もちろんゲームなどヘビーなアプリを動作させるとバッテリーの減りは早くはなるものの、検証のためバッテリー残量を一気に減らしたいと思い、何度かベンチマークスコアアプリや3Dゲームを駆動させてみたのだが、バッテリー残量はなかなか減らず手強かった。

また日常使いでも日中に1回くらい充電すれば、朝から晩までバッテリー残量を気にせず使用することができたため、駆動時間についてはさほど気にする必要はなさそうだ。

なお、「ROG Phone 8」 の内蔵バッテリーは、先代の 「ROG Phone 7」 と同じくデュアルセル構造 (2,750mAh+2,750mAh) になっている。これにより本体から発される熱を軽減するだけでなく、充電速度の高速化にも繋げている。

充電は有線で最大65W入力に対応し、最速39分でフル充電することが可能だ。また、今回の 「ROG Phone 8」 からワイヤレス充電 (Qi規格) も利用できるようになるなど利便性が向上している。

なお、発熱はバッテリー劣化を引き起こす大きな要因だが、「ROG Phone 8」 は発熱を抑える仕組みを導入していることから、長く安心して使えるのではないかと筆者は考えている。

特に 「バイパス充電」 は効果が大きそうだ。前述のとおりバッテリーを充電せずに直接システムに給電する充電方法なため、本体の発熱を抑えながらゲームをプレイできる。最近はこの仕組みを採用したスマートフォンも多くなってきたものの、ゲーミングスマホには必ずあって欲しい機能だ。

望遠ありのトリプルカメラで思い出撮影もしっかりこなせる

ゲーミングだけでなく日常ユースでの使いやすさにもこだわった 「ROG Phone 8」 は、カメラ性能も自信あり。

背面には広角+超広角+望遠のトリプルカメラを搭載。メインの広角カメラは5000万画素で、電子式手ぶれ補正と光学式手ぶれ補正の両方を搭載したことで、ブレずにくっきりとした写真が撮影可能。動画撮影においても6軸ジンバルモジュールの搭載により、ブレの少ない映像に仕上げることができる。

望遠カメラは3倍光学ズームと最大30倍のデジタルズームに対応。デジタルズーム時はさすがに画質が落ちて荒い画像になってしまうものの、他のスマートフォンよりも少しだけくっきりと撮影できているように感じた。

実際に筆者が撮影した写真を作例として紹介する。

広角カメラで街中を撮影

屋内での縦向き写真

ちょっと暗めの場所での撮影

サイゼリヤのパスタを広角カメラで

おうどん接写。ネギの色味など注目

野球場にて。超広角で撮影

望遠カメラの光学3倍ズームを使用

遠くのつば九郎をデジタルズーム撮影。ちょっぴり荒いけどスマホカメラとしては画質良し

より遠くをデジタルズームで。こちらもデジタルズームの割には綺麗に撮影できた印象

夜の街中を広角カメラで撮影

前面のインカメラは3,200万画素で、1倍と0.7倍の倍率切り替えに対応。明るい場所、暗い場所でそれぞれ自撮りをしてみたが、どちらも比較的明るい写真に仕上がっていた。ASUSによると、イメージセンサーに白色のピクセルが入ったことで、明るく撮影できるようになっているとのことだ。

まとめ:日常使いにも便利なゲーミングスマホを探している人にオススメの1台

「ROG Phone」 シリーズというと、バリバリのゲーマーが使うゲーミングスマートフォンという印象が強いかもしれないが、ASUSによると、今回の 「ROG Phone 8」 は 「ゲーミングスマートフォンだけど、より多くの人に使ってもらえるような性能」 を目指して作られたスマートフォンであるとのことだ。

最新SoCや高い冷却性能といった、プロレベルのゲーミング性能を持つことについては、「さすがはROG Phone」 という感じだが、一方で望遠カメラを備えたトリプルカメラを搭載していることに加えて、さらに国内販売モデルは初のおサイフケータイに対応しており、メインのスマートフォンとして使う分にも十分と思えるよう仕上がっている。

スマホゲームを本格的にプレイしている人のなかには、「日常用」 「ゲーム用」 と用途を分けて2台持ちしている人もいるようだが、「ROG Phone 8」 なら1台でどちらもこなせてしまう。

バッテリー持ちについても、最大65Wで充電できるので、電源さえ確保できるならさほど心配は不要。それでも心配なら10,000mAhくらいの容量のモバイルバッテリーを用意しておけば、1日は余裕で使い続けることができるはずだ。

快適なゲーミングと、普段の使いやすさの両方を兼ね備えたスマートフォンを探している人は、「ROG Phone 8」 を手に取ってみてはどうだろうか。

「ROG Phone 8」 は、2024年5月17日に国内発売を予定している。価格は159,800円(税込)。決して安くはないものの、性能を考えるとその価値はあるスマートフォンだと個人的には感じられる。

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