今年11月、Amazonはスマートスピーカー「Amazon Echo」を日本国内向けに発売。現在は招待制での販売になるが、招待リクエストを送ったユーザーの手元には徐々に同製品が届きはじめている。
Amazonが発売した「Echo」ファミリーは全部で3種類。エントリーユーザー向け下位モデル「Echo Dot」に加えて、中位モデルの「Echo」、そしてハイエンドユーザー向け上位モデルの「Echo Plus」だ。
「Amazon Echo Dot」に関しては、先日レビュー記事を公開したが、予想以上の完成度でとても満足できる出来だった。しかし、やはりエントリーモデルであることから、スピーカーの音質についてはやや不満もあり、「Amazon Echo」を存分に楽しみたいのであれば、やはり上位機種が欲しいとも感じていた。
今回、筆者は「Echo Dot」に加えて、「Echo Plus」の購入に成功。先日自宅に届き数日間試すことができたので、同製品の特徴や使い勝手について紹介したい。
「Echo Plus」の真価はいかに
「Echo Plus」の本体は円筒形で、高さ約24センチ、幅は約8センチと縦に長い。自宅に届いた時あまりの大きさにビックリしたが、迫力のある音(詳しくは後述)を鳴らすことができ、やはりデカさは正義。ちなみに、重量は954gとズッシリと重いが、実は中位モデルの「Echo」に比べて133gほどしか違いはない。
「Amazon Echo」の上部にはマイクミュートボタンと「Alexa」を起動するアクションボタンの二つの操作系統が搭載されている。アクションボタンを押すことで人工音声アシスタント「Alexa」を起動することができる。
下位モデルの「Echo Dot」と中位モデルの「Echo」には4つの操作ボタンが用意されていたが、「Echo Plus」には音量調節ボタンがない。それでは音量の調節ができないのかというとそうではなく、上部にあるボリュームリングを回すことで調節可能、ボタン操作に比べてスムーズに音量調節をすることができる。
背面底部には、電源ポートと3.5mmのイヤホンジャックが配置されている。イヤホンジャックにオーディオケーブルを接続することで外部スピーカーを接続して音楽を再生することも可能だ。
その他は「Echo Dot」とほぼ同じ。「Echo Plus」の上部縁にはLEDリングが配置されており、「Alexa」を呼び出すと青に光る仕組み。セットアップ時にはオレンジ色に発光するのも一緒だ。
電源アダプタはこちら。「Echo Dot」のものに比べるとかなり大きく、差し込むコンセントの形状によっては他のコンセントを埋めてしまう可能性も。
ここからは、「Echo Plus」の使用感についてお伝えしたい。
現在販売されている「Echo」シリーズは、3製品とも基本性能はほぼ変わらない。搭載されている人工音声アシスタント「Alexa」の返答も他のEchoシリーズと変わらず。天気予報やニュースの読み上げ、Amazonで商品の注文など基本的な動作は同じことができるため、どの製品を買ってもスマートスピーカーを体験することは十分だ。
ただし、異なる箇所が2点ほどある。それは音質の違いとスマートホーム向けハブが搭載されているか否か。
まずは、音質についてだが、「Amazon Echo」シリーズは、「Echo Plus」「Echo」「Echo Dot」の順に音質が良く、今回紹介している「Echo Plus」は最上位モデルということもあり、音質はとても良い。
「Echo Dot」の場合は小さなスピーカーで頑張って音を出している感があったのだが、それが「Echo Plus」になると原音に忠実で、低音が響く高級感のある音を出すように。「Echo」とも比べる機会があったのだが、やはり音質では63.5mmウーファーと20mmツイーターを搭載した「Echo Plus」の方が優秀。
ちなみに、「Google Home」と比べてもその差は歴然。現在販売されている数あるスマートスピーカーの中でも、「Echo Plus」は最も優秀なスピーカーを持っていると言えるかもしれない。家で音楽を聴く機会がある方は、ぜひとも「Echo Plus」を選ぶべきだろう。
「Echo Plus」のもう一つの特徴。それは、ZigBeeに対応する機器をつなぐスマートホームハブとして機能するという点。現状では利用できる製品は少ないものの、Philips Lightningの照明システム「Philips Hue」と接続すれば、Amazon Echoを経由して声で部屋の照明を落とすことも可能だ。
「Echo Plus」との接続はとても簡単で、まず対応デバイスを電源につなぎ、あとは「Echo Plus」に接続を依頼するだけ。長くて1分ほど待機すると、「Echo Plus」から接続したことがアナウンスされる。あとは電気をつけたいときに、「Alexa、灯りをつけて」などと命令することで部屋の電気が灯る。細かい設定は「Amazon Alexa」アプリから可能だが、特に設定を変更せずとも使うことは可能。使い始めるのは、とても簡単だった。
ただ、これを聞いた人の中には「Echo Plusは便利」と感じる人もいるかもしれない。確かに声だけで家電をコントロールできると考えたら便利かもしれないが、残念ながら対応するデバイスが少ないため、日本で「Echo Plus」を利用してスマートホームを構築できるようになるのはまだまだ先になる可能性が高い。将来性を見据えたら購入はアリかもしれないが、今必須な機能ではないとも言えるだろう。
Echo Dot | Echo | Echo Plus | |
---|---|---|---|
スピーカーサイズ | 0.6インチ | 2.5インチウーファー/0.6インチツイーター | 2.5インチウーファー/0.8インチツイーター |
Dolby デュアルスピーカー | × | ◯ | ◯ |
音楽のストリーミング再生 | ◯ | ◯ | ◯ |
Bluetooth・3.5 mmステレオジャック接続 | ◯ | ◯ | ◯ |
スマートホーム・デバイスと連携 | ◯ | ◯ | ◯ |
内蔵スマートホームハブ | × | × | ◯ |
サイズ・重量 | 32 × 84 × 84mm, 163g | 148 × 88 × 88mm, 821g | 235 × 84 × 84mm, 954g |
価格 | 5,980円 | 11,980円 | 17,980円 |
今回は日本で販売されているAmazon Echoの最上位モデル「Echo Plus」を紹介した。実際のところ、「Echo」シリーズはそれぞれの製品に差が少ないため、「Echo Plus」より下位のモデルを買っても損をすることはあまりなさそう。
「Echo Plus」は、値段も17,980円と少々値が張るため、一般ユーザーは6,000円安い「Echo」を買っても悪くはないだろう。
ただ、筆者は価格や性能などを考慮しても「Echo Plus」を買って満足している。同製品の部屋の真ん中に置くことで部屋全体に音楽が広がるため、ここ最近使っていなかった「Prime Music」や先日サービスが開始された「Music Unlimited」を楽しく使うことができている。
将来的にスマートホーム構築を考えている方、スマートスピーカーに高音質を求めている方、「Echo Plus」を買ってみてはどうだろうか。