AppleはIntelのスマートフォン向けモデムチップ事業を買収することに合意したことを25日に発表した。買収額は10億ドル、無事に規制当局の承認を受けられた場合、2019年第4四半期にも買収手続きが完了する見込みだ。
この買収でAppleが得たものは、当然ながらIntelの持つ技術を使ったモデムチップを自社開発すること。もっと言えば、次世代通信規格5Gに対応したモデムチップをiPhoneに搭載することだ。
Appleは2020年のiPhoneにQualcomm製5Gチップを搭載することを計画しているが、米ロイターによれば2021年までに自社開発の5Gモデムチップを採用することを目論んでいる。以前は自社開発チップが搭載されるのは2022年から2025年の間と報じられていたため、計画がだいぶ早められていることがわかる。
Apple自社製モデムチップを搭載したiPhoneは2021年に登場か
もし、この計画通り2021年以降、iPhoneに独自開発のチップを搭載できるようになれば、Appleは他社製品に依存することなくiPhoneを製造・販売することが可能になる。Appleにそれを決断させたのは、間違いなくAppleとQualcommとの泥沼の法廷闘争だろう。
Appleは、2017年から約2年間にわたってQualcommとの間でライセンス料を巡って係争し、その間はQualcommではなくIntelのモデムチップを採用してきた経緯がある。しかし、Intelの5Gモデムチップ開発が難航していたこともあり、AppleはQualcommに対してライセンス料を支払い(金額は非公表)、すべての訴訟を取り下げ、Qualcommと和解する道を選んだ。AppleとQualcommは6年間のライセンス契約 (2年間の延長オプションあり) を結び、QualcommはiPhone向けにモデムチップを供給することになった。
前述のとおり、Appleは2021年からiPhoneに自社製のモデムチップを搭載することを計画しているが、ロイターによると、Appleは自社製モデムチップを即座にすべてのiPhoneに採用するのではなく、あくまで段階的に導入する予定であるという。
まず最初に搭載されるのはローエンド端末や旧型モデル。ハイエンドモデルに搭載されるようになるのは、2022年以降に発売するモデルになるものと予想される。ただし、AppleはQualcommとの間に6年間の長期ライセンス契約を締結しているため、急いですべてのデバイスに独自開発のモデムチップを搭載することはおそらくしないだろう。
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