2017年10月、Googleが「
そして、この流れに乗るように、次はAmazonが独自のスマートスピーカー「Amazon Echo」を国内で発売した。日本では、通常の「Echo」のほか、ミニサイズの「Echo Dot」、スマートホームハブが内蔵された「Echo Plus」の3種類が販売されているが、現時点ではまだ”招待制での販売”となっており、Amazonから招待メールが送られてきたユーザーだけが購入することができる。
「スマートスピーカー」は、搭載されている人工音声アシスタントの力によって、ユーザーの声に反応。様々なアクションを行うことができる。今回紹介する「Amazon Echo」には、「Alexa」というアシスタントが搭載されており、数あるスマートスピーカーの中でも大本命とも言われているが、果たしてどれほどの性能を持っているのか。当記事で詳しく紹介したいと思う。
大本命とされる「Amazon Echo」の魅力とは
今回、筆者が入手できたのは「Echo」ファミリーのうち最も小型なモデルの「Echo Dot」。ブラックモデルを購入したのだが、本体サイズが予想していたよりも小型(32mm×84mm×84 mm)で手元に届いた時に少しビックリした。
本体上部には音量の調節ボタン、マイクミュートボタン、アクションボタン(「・」ボタン)の4つが搭載されており、音声入力以外の手動操作も可能となっている。また、アクションボタンを押すことでユーザーの音声を聞くモードに移行するため、わざわざ「Alexa」と呼ばなくとも問いかけることができる設計だ。
本体上部の縁には、LEDリングが用意されており、「Alexa」と声をかけると青に光る。ペアリングなどのセットアップ時はオレンジに光るようになっており、普段のスタンバイ時は点灯しない仕様になっている。
「Echo Dot」の裏面には、ゴム製の滑り止めがあるため、何かの拍子に机から滑り落ちる心配はあまりないだろう。
背面にはオーディオ端子が用意されており、外部のスピーカーと接続することができる。オーディオ端子の隣にはMicroUSBポートが用意されているが、これは「Echo Dot」の電源コードを接続する箇所になる。
「Echo Dot」には9WのUSB電源アダプタとUSBケーブルが同梱されており、別途電源を用意する必要はない。ただ、必ずしも同アダプタを使用する必要はなく、サードパーティ製のUSB給電器を使うこともできるようだ。
実際の使用感・セットアップなど
ここからは「Echo Dot」を使ってみた感想をお届けしたい。
「Echo Dot」の初回セットアップはスマホのアプリを使って行う仕組み。「Amazon Alexa」アプリをダウンロードし、起動。スマホと連携させ、家の無線LANネットワークを「Echo Dot」に接続させることで使用を開始することができる。
「Alexa」の音声アシスタントとしての実力はかなり優秀で、こちらが発した音声をしっかりと聞き取り、聞き間違えることはほとんどない。時にはユーモアのある返答が返ってくることもあり、ほっこりするときも。
ただし、まだまだ対応できるアクションが少ないこともあり、全ての問いかけに応えることはもちろんできない。「すみません、うまくいきませんでした」という返答が返ってくることもしばしば。
「Googleアシスタント」と比べてどちらが優秀かと聞かれたら、多少返答には困るが筆者は「Alexa」と答えるかもしれない。
音声アシスタントが提供する情報量はどちらかというと、Alexaの方が多い印象を受ける。単純に挨拶として「おはよう」と声をかけた時に、Googleアシスタントはすぐにラジオに移行するところ、Alexaはその日にまつわる豆知識を詳しく説明してくれる。
上記の画像のように、11月16日のボジョレーヌーボー解禁日に「おはよう」と言った時は、「おはようございます。今日はボジョレーヌーボー解禁日です。今年はボジョレ地方南部で春に霜、北部では夏に雹が降ったため、収穫量は期待できませんが、果実は小さく凝縮されていて、今世紀最高、と称された2015年の再来かとの声もあります。私も味わってみたいです。」と話していた。
そのほか、スキルの追加によって、「Alexa」の能力を高めることができることから、より実用的なのはやはり「Amazon Echo」シリーズである可能性が高い。
ただ、Googleアシスタントは膨大な情報量を持つ「Google検索」を使って回答することができるため、時として「Alexa」が提供できない答えを導き出すこともできる。つまるところ、どちらも得意な分野もあれば苦手な分野もあるということだ。
「Echo Dot」ができることは他のスマートスピーカーと同等、もしくはそれ以上
天気予報や音楽の再生・ニュースの読み上げなど基本的なことは全てこなすことができる上、「Echo」はもともとAmazonが開発した製品であるため、Amazonの提供するサービスを全面的に利用できる点が魅力的。
例えば、Amazonに並ぶ商品を声だけで注文することができ、日用品や雑貨など多数の商品の中から、最も安い商品を購入するなど提案してもらうことも。購入には、ユーザーの許可が求められるので勝手に注文したりはせず、購入した商品は全て「Alexa」アプリから「Amazon」アプリに移行して確認することができるため、注文した商品の確認もかなりスムーズだった。
さらにアプリから「スキル」を追加することで、JRの運行状況を確認したり、食べログでお店を調べることも可能だ。
様々なスキルを試してみたが、筆者が個人的に面白いと感じたのは、架空キャラクターの初音ミクやピカチュウと話ができるスキル。各社が提供しているスキルを「Amazon Alexa」アプリから導入し、音声でこれらのキャラクターを呼び出すことでコミュニケーションを図ることができる。
キャラクターたちとコミュニケーションを図ることは、特に実用的なものではないものの、「これまで画面の中にいたキャラクターたちと1対1で話ができる時代が来たのか」と時代の進化を感じた。
ただし、ピカチュウに至っては「ピカピカ!」「ピッカー!」としか話すことができず、現時点では初音ミクもかなり初歩的な会話しかできない。話し相手としては20分保てば長いくらいなので、過度な期待は持たないように。
その他、ニュースの読み上げ機能には「スキル」追加によって、多数のニュースフィードを登録することが可能。PC WatchなどのITニュースメディアやゲームスパークのようなゲームメディアまで多くのメディアが揃っていて、「Echo」を発売日に買うようなアーリーアクセスユーザーは十分に満足できそうだ。この点は、他のスマートスピーカーに比べて便利だと感じる点だ。
逆に対応する音楽サービスに関しては「Google Play Music」や「Apple Music」「Spotify」などの主要な音楽サービスを利用することができず。「Amazon Echo」は「Amazon Prime Music」や、先日国内でもサービスが開始された「Amazon Music Unlimited」、「dヒッツ」、そしてインターネットラジオサービス「TuneIn」にのみに対応している。せめて「Spotify」に対応すれば便利なのだが、独自の音楽サービスへの加入を推し進めるAmazon的には「dヒッツ」以外の外部音楽サービスを提供する予定はないのかも。
そういう意味では、「Echo」シリーズはAmazonが提供するサービスをフル活用している方にとっては便利な製品かもしれないが、複数のサービスを織り交ぜるように使っている方にとっては不便さを感じる時もありそうだ。ただし、Amazonは「Echo」ユーザーに対して「Amazon Music Unlimited」を月額380円という激安価格(通常980円/月)で提供しているので、「Amazon Echo」で音楽を楽しみたい方は、この機会に加入してみてもいいかもしれない。
ちなみに、「Amazon Music Unlimited」のEchoプランへの加入は、「Echo」シリーズに直接お願いすることで可能で、「Alexa、Amazon Music Unlimitedに登録して」と言えば登録してくれる。再生デバイスは「Echo」シリーズのみに限定されているとのことだが、なぜかスマホでも再生できた。この辺りはもう少し検証が必要そうだ。
「Echo Dot」の音質はそこそこ、音は忠実だが迫力や深みは「Google Home Mini」に軍配
「Echo Dot」の音質に関しての評価は「そこそこ」。縦横10cm未満のデバイスから出る音としては、割とパワーがあるように感じたが、ツイーター・ウーファーが搭載されていないこともあり、わずかにサイズが大きい「Google Home Mini」に比べると低音や音圧に少々物足りなさを感じる。
そのため、筆者にとって「Echo Dot」はあくまで音声アシスタントとのコミュニケーション用。音楽再生をする時は、外部スピーカーに接続するか、他スマートスピーカーを使っている。
筆者は「Echo Dot」の他にも「Echo Plus」も持っているのだが、こちらの方が音が良いため、音質にこだわる方はぜひ「Echo Plus」などの上位機種を購入すると良いと思う。
「Echo」の魅力は、サードパーティのスキルを追加することで、できることが増えていく点にある。250以上の企業がスキルの開発を行なっており、現時点でも拡張性が高い。また、今後も開発スキルは増えることが予想されるため、これからもっと便利になっていくことが予想される。
さらに、必要のあるスキルや必要のないスキルをユーザー側で管理することもできるため、自分好みのデバイスに仕上げることが可能だ。
また、「OK, Google」や「Hey Siri」など音声アシスタントを呼び出す”呪文”も、Echoの場合は「Alexa(アレクサ)」というたった4文字で完了する。
スマートスピーカーを実際に使っていると感じるのが、少ない言葉・単語で起動できる方が使い勝手が良いということ。「OK Google」とど二語以上の呪文だと、スマートスピーカーに声をかけた後に何をお願いしようか忘れてしまうこともあるため、筆者はどちらかと言うと「Alexa」が呼び出しやすいと思っている。
まとめ:はじめてのスマートスピーカーはGoogle Home?Amazon Alexa?
以上、「Amazon Echo Dot」の使用感をお伝えしてきたが、同レビューでお伝えしたかったことは「Amazon Echo」シリーズ、そして「Amazon Echo Dot」の完成度は予想以上に高かったということ。
「Amazon Echo」シリーズが他スマートスピーカーから実力的に抜きん出ているかというと、そこまででもない。「Amazon Echo」が得意としている箇所もあれば、「Google Home」が得意としている箇所もある。もし「Google」のサービスで身の回りを固めているなら、「Amazon Echo」を選ぶより幸せになれるかもしれない。
しかし、これまで複数のスマートスピーカーを使ってきた筆者としては「Amazon Echo」をオススメしたい。スマートスピーカーは今後のアップデートで進化していく製品だとは思うが、それをサードパーティに広く開放している「Amazon Echo」シリーズに将来性を感じているからだ。
現時点で250以上の企業と提携し、機能を追加できるスマートスピーカーは「Amazon Echo」以外に見当たらない。
そして、今回紹介した3種類の「Amazon Echo」シリーズの中でも最も安いモデル「Amazon Echo Dot」。音質は「Google Home Mini」にパワーで劣るものの、「スキル」の概念によって「Google Home Mini」よりも拡張性は高い。また、音声も若干ロボ声な印象を受けるが、より人間的で情報量も多いなど、音声アシスタントとしての能力は十分だ。
また、エントリーモデルであるため価格も安いのも魅力的。Amazonでの通常価格は5.980円と最新テクノロジーを体験するにはお財布に優しく、「Google Home Mini」と比べて約500円安いというのもポイント。もしAmazon Echoを体験したいのであれば手始めに同製品を購入してみても良いのではないだろうか。
「Amazon Echo Dot」のカラーバリエーションはブラックとホワイトの2種類。現在は招待制となっており、招待リクエストを送信することによって招待メールを受け取ることができる。3つの商品全てに招待リクエストを送信すると、どれか1種類しか購入することができないため、もし購入したい端末が決まっているなら、一つだけリクエストすると良いと思われる。
もし入手できたら、ぜひまずは挨拶から。「Alexa」のユーモア溢れる豆知識を聞いてから、1日を過ごしてみてはどうだろうか。