
NECパーソナルコンピュータ(NECPC)が、法人向けPC事業で長く続いた「守り」の姿勢を改め、「攻め」の戦略へ舵を切ると宣言したのが今年7月のこと。
その第1弾製品として投入した「VersaPro UltraLite タイプ VY」は、1kg未満の重量と最大40時間のバッテリー駆動を実現したことで、多くの法人ユーザーから好評を得ている。
そこで同社は、15.6インチの大画面を搭載したAI PC「VersaPro タイプ VX」をはじめとする複数の新モデルを投入すると発表した。11月21日から受注を開始する。
動きの中心にあるのは、AI機能と堅牢なセキュリティ、そして独自のサポートを軸にした法人向けPCの再構築。新たに投入するPCを揃えることで、「NECビジネスパソコン史上最強のラインナップ」となる体制を整える。
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新生NECPCが放つ新たな「攻めの武器」。AIと長時間駆動技術が特徴

今回発表した「VersaPro タイプ VX」「VersaPro タイプ VE/タイプ VF」は、15.6型のA4ノートPCだ。
前者の「VersaPro タイプ VX」は、AI処理を担うNPUを内蔵したインテル Core Ultraプロセッサー(200Uシリーズ)を採用し、AI PCに対応した。全ての構成でSecured-Core PCに対応し、高度なセキュリティを標準提供する。



VXの特徴は、業務現場に求められる高い互換性だ。USB Type-A×4、USB Type-C×1に加え、VGAやHDMIも搭載。左右と背面の3方向配置により、周辺機器が多い環境でも扱いやすい構造になっている。バッテリー駆動時間は動画再生時で約6.1時間、アイドル時で約10.1時間。

後者の「VersaPro タイプ VE/タイプ VF」は、DDR5に対応したエントリーモデル。第13世代インテル Coreプロセッサーを搭載し、テンキー付きのアイソレーションキーボードやヤマハ製Web会議機能など、業務利用に適した基本性能を備える。こちらのバッテリー駆動時間は、動画再生時で最大7.6時間、アイドル時で約14.2時間となっている。
さらにNECPCは、ハードウェアとの連携に強みを持つ自社AIソフトも拡充。新型VersaProには、生成AIチャットボット「AI Plus Biz(AI+Biz)」を標準搭載した。
このチャットボットは、ユーザーがPCの不調や困りごとを入力すると、AIがハードウェア情報を含む現在の状態を自動取得し、通常は不足しがちな情報を補いながら、NECPCが20年以上蓄積してきたサポートナレッジやマニュアルをベースに最適解を提示する。
- 詳細情報の自動補完
PCの困りごとを入力すると、AI Plus Bizがハードウェア情報を含む現在の状態を自動で取得し、回答に必要な不足情報を補完する。 - 信頼性の高いデータベース
回答は、20年以上蓄積してきたサポートナレッジやマニュアル、FAQから生成される。機種ごとの差分も反映され、社内テストでは問い合わせ上位の困りごとの55%以上で汎用AIより高精度な回答を実現した。 - ハルシネーション対策
オペレーターへの自動接続機能こそないが、誤回答を抑える高度な調整が施されている。
社内テストでは、問い合わせが多いケースの半数以上で汎用的なAIより高精度の回答が得られたという。さらに誤回答を抑えるためのチューニングも施されており、実務で使いやすい落ち着いた挙動が特徴だ。
VYが示す「世界最長」へのこだわりと、AI×バッテリーの真価

NECPCの「攻め」はハードウェアにも鮮明に表れている。先行して発売され話題となった「VersaPro UltraLite タイプ VY」は、動画再生で最大約20.1時間、アイドル時では約40.2時間という世界最長クラスのバッテリー駆動を実現した。これは単にバッテリーを大きくしただけではなく、地道な技術蓄積の結果となっている。
マザーボードの基板面積を約25%削減して内部スペースを捻出し、新開発のLバッテリーを搭載しながらも1kg未満の重量を維持するなど、極めて細かな改善の積み重ねによる成果である。電源効率の最適化や新開発LCDの採用など、あらゆる領域での省電力化もこの長時間駆動に寄与している。
- 大容量と軽量化の両立
開発陣は「新しい武器を持ったモバイルPCにしたい」との思いから、大容量の新開発バッテリーを採用。マザーボードの基板面積を約25%削減し、電源配置を見直すことでスペースを確保した。 - 1kg以下を維持
大容量バッテリーを搭載しながら1kg未満をキープした点は、技術者のこだわりだ。 - 多方面からの省電力化
電源効率の改善、ファン制御の最適化、新開発LCD(タッチ)の採用によるバックライト電力の低減など、多数の施策が世界最長を支えている。
VersaProシリーズには、AIを活用したバッテリー管理機能も備わっている。ユーザーの利用パターンをPC内で学習し、バッテリーの劣化を抑える8割充電と必要な場面でのフル充電を自動で切り替える「スマート充電」は、その代表的な機能だ。
また、会議や動画再生といった負荷の大きい作業をAIが認識して省電力機能を自動で有効化する「ロングバッテリーモード(LBM)」も今秋に強化されている。
具体的な強化内容としては、まずはLBMをオンにしたときとオフにしたときの効果をAIがリアルタイムで計算し、バッテリー残時間を比較して表示するように。ユーザーはLBMをオンにすることでどれだけの恩恵が得られるのかを一目で確認できる。
また、バッテリー残量に応じて液晶輝度を調整するときに、画面が暗すぎないよう40〜60%の範囲で自動調整するなど、ユーザーの快適さを損なわないきめ細かい制御も特徴だ。これらのAI機能はすべてローカル環境で学習が完結するため、外部との通信が発生せず、セキュリティ上の懸念もない。
- スマート充電
AIがユーザーの行動をネットIDなどから予測し、バッテリー劣化を抑える8割充電と、稼働時間を確保するフル充電のタイミングを自動で切り替える。 - ロングバッテリーモード(LBM)の強化
会議中や動画再生といった電力消費の大きい状況をAIが認識し、バッテリー節約機能を自動でONにするときに、その効果がどれほどかを比較表示するように。また、バッテリー残量に応じて液晶の輝度を自動制御し、快適さ(暗すぎない40%〜60%)を考慮した省電力化設計が行われている。 - ローカル環境での学習
これらのAI機能は、個々のPC内での学習に基づいており、クラウド等の外部環境との送受信は行わないため、セキュリティ上の懸念がない。
「業務中断ゼロ」を目指す。世界最強サポートの異次元サービス

さらにNECPCは、製品だけでなくサポート体制にも徹底したこだわりを見せる。延長保証期間は最長6〜7年と世界的に見ても極めて長く、部品保有期間も通常の5年だけでなく、延長保証加入者向けには6年目・7年目まで部品供給が続く仕組みを整えている。
修理スピードも驚異的で、群馬工場では午前中に到着した修理品の約6割が当日中に出荷され、24時間以内の出荷率は98%に達する。この「1日修理」は法人モデルだけでなく、量販店で購入した個人向けモデルでも、メーカー延長保証に加入していれば対象となる点が大きい。
また、保険会社を使わない独自の「アクシデント・ダメージ・プロテクション(ADP)」を採用していることも特筆すべき点だ。一般的な動産保険では審査に時間がかかったり、上限金額や免責が設けられていることが多いが、NECPCのADPにはそれらが存在しない。水こぼれや天災だけでなく、ペットの尿がかかってしまったり、車に轢かれたといった予想外のトラブルまでも無償で修理対象となる。
セキュリティサービスとしては「遠隔データ消去サービス prime」を提供し、NIST(米国国立標準技術研究所)の提唱するガイドライン(SP800-88 Rev.1)に準拠した上書き消去方式を採用しており、一般的なMDM製品よりも情報漏えいリスクを徹底的に抑えている。
さらに米沢工場ではキッティング代行も行っており、マスターイメージの適用や資産シール貼付、Windows Autopilot登録(無償)まで工場側で完了させることで、企業は届いたPCを箱から出せばすぐに使える状態で受け取ることができる。
NECPCは、ハード、ソフト、サービスすべての分野で、徹底的な「こだわり」と「安心感」を追求し、法人向けPCの質を新たな次元に引き上げようとしている。これは、まさに「攻め」の姿勢を体現した、同社の本気度が伺える戦略だと言えるだろう。
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