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Meta、InstagramでAIによる年齢詐称検出を強化。未成年は自動的にティーンアカウントに移行

Metaは、Instagram上で年齢を偽って成人として登録している可能性のある未成年ユーザーに対して、AI技術を用いて正しい年齢を推定し、自動的に「ティーンアカウント」へと切り替える新たな仕組みのテストを米国で開始した。

この取り組みは、未成年者のオンライン上の安全性を高めることを目的としたもの。過去数年にわたって世界中で高まってきたSNSプラットフォームに対する規制強化の流れに連動した機能となる。

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Meta、AIで年齢を推定して自動でティーンアカウントに移行するテストを開始

Metaが導入するAIは「Age Categorizer」と呼ばれ、プロフィール情報やフォロワーの構成、ユーザーがやり取りしているコンテンツの種類、さらには「誕生日おめでとう」のようなメッセージの内容を分析することで、ユーザーの年齢を推定する。たとえ自己申告で成人と登録していたとしても、AIが18歳未満であると判断した場合、そのアカウントは自動的にティーンアカウントに移行される仕組みだ。

ティーンアカウントに分類されたユーザーには、いくつかの制限が自動的に適用される。アカウントはデフォルトで非公開となり、見知らぬユーザーからのDM(ダイレクトメッセージ)はブロックされる。

また、暴力的な表現や美容整形関連の広告など、センシティブなコンテンツの表示も制限される。アプリの連続使用が60分を超えると「休憩を促す通知」が表示され、夜間(午後10時から午前7時)には通知を自動的にミュートし、DMには自動応答が設定される。16歳未満のユーザーは、こうした設定を解除・変更する際に保護者の同意が必要になる。

  • MetaはInstagramで年齢詐称の疑いがある未成年に対し、AIで年齢を推定し自動的に「ティーンアカウント」に移行する仕組みを米国でテスト中。
  • この機能は未成年のオンライン上の安全を守るためのもので、近年の規制強化の流れに沿った取り組み。
  • 導入されるAI「Age Categorizer」は、プロフィール情報、フォロワー構成、コンテンツ、メッセージ内容などを分析して年齢を推定。
  • 自己申告が成人でも、AIが18歳未満と判断すれば自動的にティーンアカウントへ移行される。
  • ティーンアカウントでは以下の制限が適用:
    • アカウントは非公開設定になる
    • 見知らぬ人からのDMがブロックされる
    • 暴力・整形関連などセンシティブな広告の表示が制限
    • 60分以上の連続使用で「休憩通知」が表示
    • 夜間は通知が自動でミュート、DMに自動応答が設定
    • 16歳未満は設定変更に保護者の同意が必要

このAI年齢推定機能は、単なるユーザーの言葉づかいや閲覧傾向にとどまらず、同年代のユーザーがどのようなコンテンツに反応・行動しているかという「集団的な行動パターン」にまで着目している。

いわば機械学習によって構築された、年齢層ごとのソーシャル・シグナルの集合体を参照しながら、個別ユーザーの年齢を推定していく方式で、その精度や透明性については今後も議論の余地が残されるところ。

誤判定の可能性についてMetaも認識しており、AIによって誤ってティーンアカウントに分類されたユーザーには、元の設定に戻すオプションが提供される。また、保護者がInstagramアカウントを所有している場合には、子どものアカウント設定に関する通知が送られ、家庭内での年齢確認やSNS利用についての対話を促す設計となっている。

今回のAI活用は、SNSプラットフォームが未成年ユーザーの保護をどのように実現するかという問いに対するMetaの一つの解答とも言える。近年、欧州連合(EU)によるMetaへの調査や、米国での州政府による訴訟、そして未成年者を狙った悪質ユーザーによる事件が明るみに出たことを受けて、企業に対する社会的責任の追及は厳しさを増している。

一方で、こうした技術がユーザーのプライバシーとどのように折り合いをつけていくかは、今後も注視されるべき重要な論点だ。特に、Meta自身が「アプリストア側に年齢認証を任せるのが最もプライバシーに配慮した方法」と主張しているように、プラットフォーム企業とOSレベルの提供者(GoogleやAppleなど)との間で、責任の所在を巡る駆け引きも続いている。

Instagramという巨大プラットフォームにおいて、AIによる年齢認証とコンテンツ制御がどこまで信頼され、効果を発揮できるか。SNS時代のユーザー保護における「新たな試金石」となりそうだ。

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(画像:Meta)