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花王の 「ビオレUV」 成功事例からInstagramでのマーケティングを学ぶ。Metaの広告主・企業向けイベント 「Meta Marketing Summit」 レポート

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Meta日本法人のFacebook Japanは、広告主・企業向けイベント 「Meta Marketing Summit」 を10月27日に開催した。

同イベントでは、Metaが提供するプラットフォームを最大限に活用してマーケティング戦略を強化するための、MetaのAIテクノロジーを活用したソリューションが紹介された。ちなみに、同イベントが日本で開催されるのは今回がはじめてだ。

Metaが提供するプラットフォームの近況

オープニングでは、Metaの日本法人であるFacebook Japan 代表取締役の味澤将宏氏が登壇し、Metaが提供するプラットフォームの近況について紹介した。

Metaが提供するプラットフォームの利用者数は、全世界で39.6億人。これは全世界の人口の約半分にあたり、非常に多くのユーザーがMetaのプラットフォームを利用しているということになる。

日本においては、特にInstragramを利用するユーザーが多く、各ユーザーは自分の好きなブランドの商品をInstragram上で探して購入し、コミュニティを作っているのが現状だ。日本におけるInstagramの利用者数は、2019年の3,300万人から4年で大きく増加し、約2倍以上に成長している。

AIテクノロジーに関する言及もあった。Metaは、創業当初よりAIテクノロジーに対して積極的な投資を行っており、展開するプラットフォームにAIを導入することで利用者体験の向上に努めている。参考例として、Facebookに投稿されたヘイトスピーチのうち82%がAIで検出され、自動削除されているのだとか。またマーケティングにおいても成果が出ており、Metaのテクノロジー全体における広告経由のコンバージョン (2022年第4四半期) が前年比で+20%増加したとのこと。

Metaは、2013年にはAIを専門とする研究機関 「Fundamental AI Research (通称 「FAIR」 )」 を立ち上げ、2016年には機械学習のフレームワークである 「PyTorch」 をリリース。2023年には大規模言語モデル 「LLaMa」 もローンチしている。AIはMetaのプロダクトのイノベーションの中心にあることを改めて強調し、今後もAIに対する投資を加速させていく予定であると説明した。

また、同日からクリエイティブ生成AI機能が、日本のすべての広告主向けに段階的に提供開始されることも併せて発表されている。

まずひとつ目が、複数の広告面に合わせて画像を自動でクロッピングできる機能。ふたつ目は、商品写真に対して背景画像を自動生成することができる機能。そしてテキストのバリエーションに関しても自動的に生成する機能だ。これらの機能によって広告主の生産性を高め、広告成果の向上に寄与するとしている。

AIを活用した広告事業について

続いて実施された 「AIで広告効果を最大化せよ – 業界を変革する生成AIの可能性を探る」 では、株式会社Kaizen Platformの須藤憲司氏と株式会社サイバーエージェントの毛利真崇氏が登壇。Facebook Japan 執行役員 営業本部長 鈴木大海氏と共にAIを活用した広告事業について議論を繰り広げた。

須藤氏と毛利氏からは、昨今多くの分野で活用されているAIとはどういうものなのか、AIによって人間の仕事がどうなってしまうのか、両社において実際にどのような形で広告に活用しているのかについての具体例の紹介などがあった。

Metaでは、昨年から新たな広告プロダクト 「Meta Advantage」 の提供を開始しており、その中でわずかな設定だけで顧客にリーチしやすい広告が自動で表示されるようにする 「Advantage+ショッピングキャンペーン」 「Advantage+アプリキャンペーン」 を提供している。

これらを実際に活用した事例が紹介され、「Advantage+ショッピングキャンペーン」 では従来に比べてCPAが32%、CV数が1.5倍、インプレッションが1.2倍に。「Advantage+アプリキャンペーン」 では、アプリ内イベント単価が39%向上、アプリ内イベント数が1.8倍向上したという結果が出たとのこと。

これらの話を踏まえ、鈴木氏からは 「AIがより性能を発揮するためには、AIの出した結果が良かったのか悪かったのかをAIにフィードバックできる状態であることが重要」 であるとし、その上でAIが最大限に性能を発揮できるよう、人間が環境を整えてあげることが大事だと締めくくった。

花王の 「ビオレUV」 成功事例からInstagramでのマーケティングを学ぶ

イベントの後半では、Facebook Japan 執行役員 営業本部長の南勲氏が登壇し、昨今のマーケティングにおける課題とその解決法、それらを踏まえた上でInstagramにおいてキャンペーン効果を最大化させるための重要ポイントについての説明があった。

南氏によると、近年のマーケティングにおいては、KPIが必ずしも売り上げにつながっていないこと。また、Z世代を筆頭にクリエイターや口コミの影響力が増してきており、従来通りの方法では継続的な売り上げにつながりにくいという課題があるという。

その上で注目すべきが、パーチェスファネル (顧客が商品を認知してから購入に至るまでの心理変化の段階を示したもの) において最も攻略が進んでいないとされる 「ミドルファネル」 だ。

ミドルファネルは、パーチェスファネルにおける 「認知」 「検討」 「購入促進」 の3つの段階のうち、真ん中の 「検討」 の部分にあたる要素。このミドルファネルを攻略することで、ブランドとオーディエンスの関係を構築し、当事者意識を持って物事に取り組む 「自分ごと化」 を促進したり、単発の売り上げではなく、中長期的なブランド成長につながるブランド・エクイティの蓄積につながっていく。

この領域を得意とするのが、「好きと欲しいを繋ぐ、自分ごと化のプラットフォーム」 ことInstagram。

Instagramのコミュニティには利用者だけでなく、ブランドやクリエイターも参加しており、双方向のコミュニケーションが行われている。このコミュニティの中でブランドの価値を高めていくことを 「価値共創マーケティング」 と呼んでいるが、これこそが 「自分ごと化」 を促進させるためのキーポイントであり、キャンペーン効果の最大化につながっていくという。

過去1年間では、さまざまな価値共創のキャンペーンがInstagram上で実施されてきたが、その中でももっとも象徴的かつ高い効果を出したのが花王の日焼け止めシリーズ 「ビオレUV」 のキャンペーンだったという。このキャンペーンでは、Instagramにおける 「ビオレUV」 に関する会話量が、非広告接触者の3.9倍に増えた。さらに、そのなかから最終的に商品の購入に至ったと申告した方が19倍に増えたとのこと。

この成功事例については、続けて登壇したFacebook Japan 営業部長の丸山祐子氏に加えて、花王株式会社の小林達郎氏と株式会社博報堂の上山修一氏から具体的な紹介があった。

花王と言えば、2023年2月に発売した日焼け止め 「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト (通称:瞬感ミストUV)」 が大ヒットを記録しているが、そのヒットを生み出すことができた理由のひとつとして、Instagramにおける新しいマーケティング活動があったという。

この『瞬間ミストUV』。実は去年、一部のドラッグストアでテスト販売をしていたんですね。そのテスト販売のトラッキング調査の結果を見ていくと、一番購入に効いていたタッチポイントはやっぱり店頭だったんです。

しかしながら2番目はInstagramでした。ここがひとつの気づきになったのと、その他の調査を見ても特徴認知や購入にInstagramが寄与していることが見えてきました。(自社製品をアピールする) プラットフォームとしてここ (Instagram) が重要なのではないだろうかと考え、本格的に取り組むようになったと思います。

小林氏曰く、花王はこれまでマス広告を中心とした広告戦略を取っていたが、マス広告の広告効果が下がってきているといった従来型の広告戦略に課題を感じていたとのこと。一方で、新しいブランドがデジタル広告をうまく活用してヒットを生み出している状況を見て、デジタル広告を高めること、さらには広告の質自体も同時に上げていく必要があると考えたという。

花王というのは比較的マス広告が強い会社だと思います。ただ、ここ数年はやっぱりマス広告だけでは戦えなくなってきているというのを実感してきています。たとえば、我々と違いマス広告を使わない新しいブランドが突如として躍進して、大きなヒットを生み出すーー、みたいなこともたくさん出てきていると思います。そういったブランドのことについて、SNSまわりで調べてみるとやっぱり発話の質が全然違っているんですね。私達が担当している商品とは違う、というようなことがたくさん見られました。

そういう状況に、我々は強い危機意識を持って、もちろん広告のデジタルにかける比率を上げていくということも大事なのですけど、そのやり方自体も変えていこうということで、今まさに取り組んできているという状況かと思います。

花王が展開したマーケティングは、ユーザーの 「Wow!」 を生み出し、それが自走するサイクル 「3Sサイクル」 を作ること。そして、それらのサイクルをブーストさせるためPRやTVCM、デジタル配信などを展開することだったという。

「3Sサイクル」 の “3S” は、消費者と商品との3つの接点 「SNS/UGS戦略・クチコミ」 「Scene (使用場面)」 「Store (店頭)」 のそれぞれの頭文字 “S” をまとめたもの。これらがうまく回りはじめたときにヒットが生まれてくると考えているとのことだった。

最近私達が改めて整理してきたなかで、大切な3つの接点 「3S」 というものがあるんじゃなかろうか、この 「3S」 が回り始めたときにヒットが生まれてくるんではなかろうか、と話しています。その 「3S」 のうちの2つのSは、先ほどのテスト販売のトラッキング調査でも示されていた 「店頭・ストア」 と、そして 「SNS」 。

一番大切なのは、やっぱり使用場面において感動を、輪を生み出せるか。この 「Wow!」 が生まれ、SNSで誰かに話したい (と思ってもらえたとき)、SNSで広がっていく。もちろんその1個手前には、店頭で 「これは新しい!」 「何か使ってみたい!」 という輪が生まれてくる。この3つのSでのWow!が生まれ、回り始めるとヒットに繋がっていく。これを 「ビオレUV」 の新しいマーケティングのあり方として捉えてるんです。

従来のTVCMだったりPRだったり、もしくはデジタルの配信なども大事かもしれないですけど、これらは 「3S」 のサイクルを回すための “ブースター” として機能していくという考え方で整理できるんじゃないかな、と考えたりしています。ですので、SNSでの広がりを考えるにあたっても、もの作りまで一貫してやっていく必要があると思ってるんですね。花王の場合は、事業部として もの作りからSNSプロモーションまで、一貫してブランド担当者がやっていくことになっているので、こういうやり方が可能になったのかな、というのもあったかと思います。

丸山氏によると、「ビオレUV」 のキャンペーンに関してはかなり早い段階でMetaとのブリーフィングが実施されており、その際にInstagram上の投稿をビッグデータとして分析して広告に活かしていくというプロセスと、そこから実際の会話がどうなったのか、売り上げへの影響はどうだったのかを調査した。

その結果、反応が高かった投稿には、商品を実際に腕などに使ってみたというビジュアルがしっかり入っているものが多かったという。また、フィードとストーリーズ、リールのそれぞれでよく使われるワードの傾向について、異なる特徴があることも分かったとのことだった。

これらの調査結果を踏まえ、実際に肌の上で日焼け止めを伸ばすカットを入れたクリエイティブを作成するなどしたところ、高い効果を発揮。Instagram上の会話の中で商品名に触れる量は広告非接触者に比べて広告接触者が3.9倍になり、購入行動も19倍に向上した。

最後に丸山氏は、キャンペーン効果を最大化するにはやはりビッグデータを活用することが重要なポイントであるとし、まだ利用していない企業はぜひ活用してほしいと締めくくった。

(画像提供:Facebook Japan)

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AuthorNANA

東北出身の東京都在住(性別年齢は非公開)。趣味はガジェットいじり、旅行や料理、映画、ゲーム。イモリやサンショウウオが好きなので、家でよく愛でています。

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