現地時間5月4日、Appleは噂の新型13インチMacBook Proを発表。同日から注文受付を開始した。
今回発表された13インチMacBook Proは、これまで長らく噂されてきた 「14インチの画面」 を搭載せず、従来と同じ13インチの画面を搭載するに留まった。これによって、16インチモデルと13インチモデルという昨年からのラインナップは維持される形となった。
しかし、内蔵プロセッサがIntelの第10世代プロセッサに置き換えられるなど内面は大きな進化を遂げ、先に発売していた16インチMacBook Proとの性能差を縮めることに。
果たして13インチモデルと16インチモデルの両者にはどれほどの性能差があるのだろうか。
というわけで、13インチモデルと16インチモデルのスペックを比較しつつ、両モデルがどのようなユーザーに適した端末なのかを分析してみた。どちらのモデルを購入するべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみていただきたい。
スペック表
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) | |
---|---|---|
デザイン | ||
画面サイズ | 13.3インチ | 16インチ |
画面 | 広色域(P3) True Toneテクノロジー |
|
解像度 | 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) | 3,072 x 1,920ピクセル(226ppi) |
Touch Bar Touch ID |
○ | |
ストレージ(SSD) | 下位モデル 256GB/512GB/1TB/2TB |
512GB/1TB/2TB/4TB/8TB |
上位モデル 512GB/1TB/2TB/4TB |
||
プロセッサ |
下位モデル 第8世代 Intel Core i7(1.7GHz/4コア) |
第9世代 Intel Core i7 (2.6GHz/6コア) 第9世代 Intel Core i9 (2.3GHz/8コア) 第9世代 Intel Core i9(2.4GHz/8コア) |
上位モデル 第10世代 Intel Core i7(2.3GHz/4コア) |
||
メモリ | 下位モデル 8GB/16GB |
16GB/32GB/64GB |
上位モデル 16GB/32GB |
||
グラフィック (iGPU) |
下位モデル Intel Iris Plus Graphics 645 |
Intel UHD Graphics 630 |
上位モデル Intel Iris Plus Graphics |
||
グラフィック (dGPU) |
– |
AMD Radeon Pro 5300M AMD Radeon Pro 5500M AMD Radeon Pro 5500M AMD Radeon Pro 5600M |
本体サイズ | 30.41 × 21.24 × 1.56 cm | 35.79 × 24.59 × 1.62 cm |
重量 | 1.4kg | 2.0kg |
通信 | Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac Bluetooth 5.0 |
|
カメラ | 720p FaceTime HDカメラ | |
ポート | 下位モデル Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 2 |
Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 |
上位モデル Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 |
||
オーディオ | ・ステレオスピーカー ・ワイドなステレオサウンド ・Dolby Atmos対応 ・指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ ・3.5mmヘッドフォンジャック |
・6スピーカーシステム ・ワイドなステレオサウンド ・Dolby Atmos対応 ・高い信号対雑音比と指向性ビームフォーミングを持つスタジオ品質の3マイクアレイ ・3.5mmヘッドフォンジャック |
キーボード | バックライトMagic Keyboard (シザー構造/1mmのキーストローク/逆T時型の矢印キー) |
|
トラックパッド | 感圧タッチトラックパッド | |
バッテリー容量 | 下位モデル 58.2Wh |
100.0Wh |
上位モデル 58.0Wh |
||
バッテリー持ち | ブラウジング:最大10時間 ムービー再生:最大10時間 |
ブラウジング:最大11時間 ムービー再生:最大11時間 |
電源アダプタ | 61W USB-C電源アダプタ | 96W USB-C電源アダプタ |
カラー | シルバー/スペースグレイ | |
価格(税込) | 下位モデル 148,280円〜 |
273,680円〜 |
上位モデル 207,680円〜 |
MacBook Proを必要とするユーザーはどんな人か
MacBook Proはその名のとおり、ラップトップ型Macの中でもよりプロ向けに作られたハイスペックマシーン。写真や動画の編集など高い処理能力を必要とする場面で使われることを想定し、高性能なプロセッサやグラフィックスが搭載されている。
また、搭載されている機能のほぼすべてが最新の技術を使用したものになる。例えばMacBook Proのキーボードに 「Touch Bar」 という有機ELのタッチパネル式ファンクションキーが用意されている。ここにはファンクションキーの他にも映像再生時にシークバーが、WEBブラウジング中にはタブが表示されるため、これをタッチすることでMacを直感的に操作できる。
Touch Barの隣には 「Touch ID」 という指紋認証機能が搭載されているため、各種ログインがとてもスムーズ。また、対応するサイトではApple Payを使って決済することも。Touch ID非搭載のMacでは利用できない機能もMacBook Proでは使うことができる。
他にもMacBook Proには便利な機能が多数搭載されているわけだが、最も知るべきなのはMacBook Proであれば大抵の作業をこなせるということ。処理性能に不満を感じることなく作業をできるという点ではプロユーザーだけでなく非プロユーザーが購入するのも全然アリだろう。
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MacBook Proの全ラインナップ
MacBook Proのラインナップは13インチモデルと16インチモデル、大きく分けて2つのモデルが用意されているが、13インチモデルについては上位モデルと下位モデルが用意されているため、実質合計3モデルのラインナップとなっている。
MacBook Proのラインナップ
・13インチMacBook Pro (下位モデル/2020)
・13インチMacBook Pro (上位モデル/2020)
・16インチMacBook Pro (2019)
16インチ > 13インチ(上位モデル) > 13インチ(下位モデル)
上位モデルにいくに連れてプロセッサやグラフィックの性能が高くなる傾向にあるものの、その分だけ価格も高くなる。13インチモデルと16インチモデルの違いについては当記事で詳しく紹介するが、13インチモデルの上位モデルと下位モデルの違いについては、以下の記事が参考になると思うため、ぜひそちらも併せてご覧いただきたい。
製品デザイン
筐体・画面
同じMacBook Proでも、13インチモデルと16インチモデルでは製品デザインが大きく異なる。その違いは文章で読むより、実際に写真で見たほうが分かりやすいはずだ。
13インチモデルはキーボード、トラックパッド、スピーカーなどがギュッとコンパクトに纏まっている。
一方で、16インチモデルの場合は全体的に余裕のある作り。キーボードは端末中心に配置され、その左右には大きなスピーカーが搭載。トラックパッドもより大きなものが搭載されていて、操作がしやすいのが16インチモデルの特徴だ。
画面サイズは13インチと16インチ。画面の大きさは約3インチだが、実際に並べてみるとその違いは意外と大きく感じる。
あくまで筆者の体感的なものでしかないが、コンパクト型MacBook Proはウィンドウを2〜3つほど開くとやや画面がいっぱいになるのに対して、16インチMacBook Proは3〜4くらいまでは余裕で開くことができる。一度に表示できる情報量の多さでは、16インチMacBook Proの方が長けていると言えるだろう。
また、映画など映像コンテンツを大画面で楽しみたいのであれば16インチMacBook Proが合っているかもしれない。とはいえ、MacBook ProはThunderbolt 3(USB-C)ポートが搭載されており、そこからテレビやディスプレイに対して映像を出力できるため、そういった外部のディスプレイがある環境で使うのであれば画面の大きさは必ずしも重要視する必要はないだろう。
ベゼルの幅
16インチモデルは ”画面縁の太さ” がやや細めに作られている。完全なるベゼルレスとまではいかないもののベゼルが狭くなったことによって、より大きな画面で作業することが可能になった。
13インチモデルについても、16インチモデルと同様ベゼル幅を狭くすることで14インチへの拡大を期待する声があったが、それは残念ながら実現しなかった。
ただし、確かに16インチMacBook Proはベゼルが狭くなってスマートなデザインに生まれ変わったが、実際に使っているうちにベゼルレスの恩恵を感じることはほとんどなかったため、ベゼルの幅に関してはあまり気にする必要はないのではないだろうか。少なくともどのモデルを購入するかにおいて、「ベゼルレスデザインの有無」 が最も重要なポイントになることはないだろう。
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キーボード
今回の13インチMacBook Proのアップデートによって、MacBook Proの全ラインナップに新設計のシザー構造キーボード 「Magic Keyboard」 が搭載されるようになった。
この 「Magic Keyboard」 は、故障や打ち心地の悪さなどから一部から不評だった先代のバタフライ構造キーボードを置き換えるもの。iMacやiMac Pro向けキーボード 「Magic Keyboard」 と同じシザー構造を採用し、キーストロークは従来の0.5mmから1mmに増加。より打鍵感が増している。
さらに、キートップやシリコンキャップなどあらゆる箇所が見直されており、打鍵音がより小さく打ちやすくなった。キーの安定性も高いものに変わっているためタイプが楽になっている。
「Magic Keyboard」 が初めてMacBook Proに採用されたのは2019年に発売した16インチMacBook Pro。発売してから半年近く経つが、同キーボードに関する故障の報告はほとんど耳にしないことから、Magic Keyboardに関してはかなり信頼できるだろう。
ちなみにバタフライ構造キーボードを搭載していたMacBook Proを使っていた方は少し驚くかもしれないが、現在のMagic KeyboardではTouch Barおよびキーの配置に少しだけ変更が加えられていて、EscキーがTouch Barから離れ、独立した物理キーに変更されている。これは、EscキーがTouch Barに内包されてしまったことに対するプロユーザーからの不満の声にAppleが応えた形だ。
さらに左右のバランスを取るためかTouch Barの右端に置かれていたTouch IDも離れた配置に変えられるなど細かい変更点も。
本体サイズ・重量
MacBook Proの13インチモデルと16インチモデルは画面の大きさだけでなく、端末サイズも大きく異なるため、外に持ち出す用途として購入する場合は注意が必要だ。
実際に数字を並べてみるとわかりやすいと思うのだが、MacBook Pro 16インチモデルは13インチモデルに比べて二周りくらい大きい。
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) | |
---|---|---|
本体サイズ | 30.41 × 21.24 × 1.56 cm | 35.79 × 24.59 × 1.62 cm |
重量 | 1.4kg | 2.0kg |
MacBook Pro 16インチモデルの本体サイズは幅35.79×奥行き24.59×高さ1.62cm。対する13インチモデルは幅30.41×奥行き21.24×高さ1.56cm。
さらに16インチモデルは重量もかなりヘビー。16インチモデルは2.0kgと1Lの牛乳パック2本分くらいの重さだが、13インチモデルは1.4kgで、その差は約600グラム。500mlペットボトル1本以上の差があると考えるといいだろう。
もしあなたが毎日MacBook Proを外に持ち出すことを考えているのであれば個人的には13インチMacBook Proがオススメだ。
16インチMacBook Proを持ち運ぶにはバックパックなど頑丈で大きめなカバンが必要になってくる。しかし13インチMacBook ProであればA4サイズのカバンで十分事足りる。
16インチモデルは自宅やオフィス内など一定の範囲で留まって使用するのを基本としながら、たまに外に持ち出すことがあるくらいの使い方が最も適していると言える。
ただし、16インチMacBook Proは独立GPUを搭載しており、グラフィック性能に長けているため、持ち運びできるグラフィックの高いラップトップがどうしても必要な場合は16インチMacBook Proを買う以外にないだろう。
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プロセッサ
ここからはMacBook Proのスペックについて触れていきたい。
まずは内蔵プロセッサから。現在の13インチMacBook Proと16インチMacBook Proに搭載されているプロセッサは以下のとおり。
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) |
---|---|
下位モデル 第8世代 Intel Core i7(1.7GHz/4コア) |
第9世代 Intel Core i7 (2.6GHz/6コア) 第9世代 Intel Core i9 (2.3GHz/8コア) 第9世代 Intel Core i9(2.4GHz/8コア) |
上位モデル 第10世代 Intel Core i7(2.3GHz/4コア) |
13インチモデルはエントリーモデルと上位モデルで搭載されているプロセッサに大きな差がある。クアッドコアであるという点は共通しているものの、プロセッサの世代が2つも異なるため性能はかなり異なるとみられる(詳細はベンチマーク待ち)。
対する16インチモデルは6コアのIntel Core i7プロセッサが標準搭載されていて、さらに上位構成になると8コアのIntel Core i9プロセッサが搭載されるようになる。
13インチ・16インチモデルどちらも内蔵プロセッサをカスタマイズすることが可能で、より高性能なデバイスに仕立て上げることが可能だ。ただし、4コアと6コアもしくは8コアの差はかなり大きいため、性能ではやはり16インチMacBook Proが最強ということになる。
実際どれくらいの性能差があるかは以下のベンチマークスコアが参考になるはずだ(13インチMacBook Proは現在計測中なため、以下表は旧モデルとの比較表になっている)。
モデル | プロセッサ | コア数 | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|---|---|
16インチMacBook Pro(2019) | i9 / 2.3GHz | 8 | 1212 | 7449 |
i7 / 2.6GHz | 6 | 1134 | 6820 | |
13インチMacBook Pro(2019) | i7 / 2.8GHz | 4 | 1015 | 3770 |
i5 / 2.4GHz | 4 | 984 | 4312 | |
i7 / 1.7GHz | 4 | 1002 | 3628 | |
i5 / 1.4GHz | 4 | 883 | 3747 |
上記表を見ればおわかりいただけるように、やはりコア数の多いMacBook Pro 16インチモデルの方が性能としては優秀ということになる。ただし、シングルコアに関してはそこまで大きな差があるとは言えないため、必ずしも上位のプロセッサ(デバイス)を選ぶことが必須ではないはずだ。
もし13インチモデルと16インチモデルのどちらを買うのかを処理性能の観点で悩んでいるのであれば、6コアあるいは8コアの高性能プロセッサを使う必要があるかどうかを考えてみればいいと思う。
ちなみに筆者はほぼ4コアで十分。筆者は普段から13インチMacBook Proを愛用しているが、ほとんどの場合こうして記事を書いたり、情報を取得したり、写真や動画を編集することに使用している。ごくまれにCGモデリングを触る機会があるものの、よっぽど高度な作業をしたり、多数のソフトを起動しない限りは処理能力に不足を感じることがない。
不足を感じるとすればハイグラフィックなゲームをプレイするときなどだが、それも自宅に置いているiMac 5Kでプレイする (そもそも13インチMacBook Proは独立GPUが搭載されていない!) ため、MacBook Proにはそこまでの性能は求めていない。
もしこういったゲームをプレイしたり、3Dモデリングなど高負荷のかかる作業を行うのであれば問答無用で16インチモデルを選ぶべきだが、筆者のような使い方であればMacBook Pro 13インチモデルを購入するという選択肢は捨ててはいけないと思う。
ちなみに、16インチモデルに内蔵されている6コア・8コアプロセッサは発熱がかなり大きいものの、MacBook Pro 16インチモデルは排熱機構の強化が行われていて、先代モデルに比べてエアフローが28%増加、ヒートシンクが35%大型化している。
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内蔵メモリ
MacBook Proで快適な作業をするためには、メモリ容量の選択がとても重要だ。特にMacBookシリーズは自力でのメモリ増設・換装ができないため、購入時にどの容量を選ぶかが重要になってくる。
MacBook Proでは、モデルごとに選べるメモリ容量に違いが設けられている。13インチは下位モデルが8/16GB、上位モデルは16/32GB。16インチは16/32/64GBの3種類から選択可能だ。
以前のMacBook Proは13インチモデルが16GB(下位モデルをのぞく)、16インチモデルは32GBまでしか選べなかったが、現在の最新モデルは従来から倍増の32GBもしくは64GBから選ぶことができるようになっている。
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) |
---|---|
下位モデル 8GB / 16GB |
16GB / 32GB / 64GB |
上位モデル 16GB / 32GB |
とはいえ、ラップトップ端末で64GBものメモリを必要とする人もそこまで多くはないのではないだろうか。おそらく多くのユーザーは 「16GBと32GBのどちらにするべきか」 を悩むと思う。
メモリは一般的に作業机の広さで例えられる。メモリ容量が大きくなるほどマシーンが同時にできる作業量が増えると考えてOKだ。
主に多くのメモリ容量を消費するのは写真・動画編集・3Dゲームや3DCGモデリングなど。こういった作業をすることを考えている方はメモリ容量が大きいに越したことはなく、個人的には32GBは最低限必要と考えている。YouTubeなど動画コンテンツを多数生み出すつもりなら、64GBもあれば困ることはないはずだ。
裏を返せば、こういった作業をしない場合は16GBでも十分な可能性があるが、前述したようにMacBook Proはあとからメモリ増設ができないため、もし不安なのであればプロセッサやストレージ容量などよりもぜひメモリに予算を投じて欲しいところ。ちなみに13インチMacBook Proのメモリ容量は8~32GBまで選べるが、筆者は個人的には16GB以上のメモリを選んで欲しいと思っている。
グラフィック
次はグラフィック性能についてだが、これは単純明快。もし3Dグラフィックを使った作業をする、もしくは写真・動画 (特に動画!) の編集をたくさんするのであれば間違いなく16インチモデルを選ぶべき。
その理由は16インチMacBook Proのみに外部GPU (dGPU) が搭載されているからだ。実際の違いはベンチマークスコアを見ると分かるはず (13インチMacBook Proは現在計測中。以下表は2019年モデルのもの)。
GPU | Open CL | Metal | |
---|---|---|---|
16インチMacBook Pro(2019) | AMD Radeon Pro 5500M(4GB)/Core i9(2.4GHz) | 28663 | 26807 |
13インチMacBook Pro(2019) | Intel Iris Plus Graphics 645/Core i5(1.4GHz) | 6511 | 5910 |
Intel Iris Plus Graphics 655/Core i5(2.4GHz) | 6524 | 6289 |
上記はGeekbench 5を使って計測した13インチモデルと16インチモデルのGPUスコア。
13インチモデルはOpen CLおよびMETALの数値が6,000前後を記録しているが、16インチモデル(Radeon Pro 5500M搭載モデル)はなんと2万後半。こればかりは13インチモデルの完全なる敗北だ。
前述のとおり、筆者の場合はグラフィック能力が必要な作業はiMac 5KにさせているためMacBook Proに対して高いグラフィック性能を必要とする機会はかなり少ないが、もしMacBook Proに高いグラフィック能力が必要になる可能性があるのなら、選択肢は16インチモデル一択だ。
ちなみに、Radeon Pro 5500Mを搭載したMacBook Proであれば最大で2台の6Kディスプレイに画面を出力できる。Appleが12月に発売する 「Pro Display XDR」 にも2台まで出力可能だ。
ストレージ容量
ストレージ容量はアップデートを重ねるたびに最少容量が徐々に増加している。全MacBook Proのストレージ容量のラインナップは以下のとおり。
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) |
---|---|
下位モデル 256GB/512GB/1TB/2TB |
512GB/1TB/2TB/4TB/8TB |
上位モデル 512GB/1TB/2TB/4TB |
16インチMacBook Proのストレージ容量のラインナップは、512GB/1TB/2TB/4TB/8TB。対する13インチMacBook Proは上位モデルが512GB/1TB/2TB/4TBで、下位モデルが256GB/512GB/1TB/2TBだ。
最大容量が引き上げられたことで、より多くのデータをMacBook Pro内に保存しておけるようになったMacBook Pro。特に16インチモデルは8TBという超大容量のストレージが搭載されている。
ただし、8TBものSSDとなるとオプション代として約26.5万円もの大金が必要になる。これはMacBook Proがもう一台買えてしまう金額だ。最近は便利なクラウドストレージサービスなども増えてきているため、できればそういったサービスや外部ストレージなどをうまく活用して本体のストレージ容量は1TB・2TBくらいに収めておきたいところだ。
ちなみに13インチMacBook Proの下位モデルは最大2TBまでしか選べないため、もし2TBよりも大きい容量が必要なら、必然的に上位モデルを購入する必要があるだろう。
また、参考までに13インチモデルは256GBから512GBに変更するのに2.2万円の追加費用が必要だが、16インチモデルは512GBから1TBに変更するのに2.2万円でできてしまうため、16インチの方がお得にストレージ容量をアップグレードできることになる。
もし1TB・2TBの容量が必要なのであれば、16インチモデルを購入した方がオプション代を安く済ませることができるはず。ただし、13インチと16インチではそもそもの本体価格が異なるため、これはあくまでオプション代だけで考えた場合の話にはなる。
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スピーカー・マイク性能
MacBook Proのスピーカー性能は13インチモデルと16インチモデルで性能が異なる。
13インチMacBook Pro(2019) | 16インチMacBook Pro(2019) |
---|---|
・ステレオスピーカー ・3つのマイクロフォン ・3.5mmヘッドフォンジャック |
・6スピーカーシステム ・スタジオ品質の3マイクアレイ ・3.5mmヘッドフォンジャック |
16インチMacBook Proには6スピーカーによるハイファイサウンドシステムが搭載されており、従来まで搭載されていたステレオスピーカーよりもワイドなサウンドを楽しむことができる。スピーカーにはデュアルフォースキャンセリングウーファーが組み込まれており、音の歪みの発生原因になる振動を低減、クリアで自然なサウンドを鳴らしてくれる。
さらにマイクはプロ用の他社製マイクロフォンに匹敵するほど高品質な3マイクアレイが搭載。ヒスノイズを40%も低減し、小さな音すらも逃さない。他の機材がなくてもMacBook Pro1つでスタジオレベルの録音環境を作り上げることができるだろう。
それに比べると13インチMacBook Proはスピーカーの音質で劣る。ただし、MacBook Proのスピーカーは新型モデルが出るたびに地味なアップデートが繰り返されており、現行の13インチモデルや旧型15.4インチモデルも十分に良い音を楽しめる。
2020年の新型13インチモデルも、Dolby Atmosに対応するなど音質の強化が図られている。また、マイク性能についても指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイが搭載されているという。
上記のことから、もしMacBook Proでの楽曲制作や生配信などを考えているのであれば13インチモデルよりも16インチモデルを選ぶことで最高のオーディオ環境が手に入るかもしれないが、そういった作業をしないのであれば13インチモデルでも十分と言えるだろう。
13インチモデル・16インチモデルのどちらを買うべきか
13インチモデルはエントリーモデルが148,280円〜、上位モデルが207,680円〜で購入可能だ。対する16インチモデルは273,680円〜で購入可能 (価格はいずれも税込) 。
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) | |
---|---|---|
価格(税込) | 下位モデル 148,280円〜 |
273,680円〜 |
上位モデル 207,680円〜 |
これらの価格差をどう捉えるかはユーザー次第。もっと言うと、MacBook Proを使って何をしたいかにかかってくるだろう。
16インチモデルを購入するべきか、それとも13インチモデルを購入するべきか。その答えは 「高いスペックが必要なのか」 「大きな画面が必要なのか」 の2点を考えれば出てくるはず。
3Dレンダリングを動かしたり、高グラフィックなゲームをプレイしたり。写真や動画を編集したりする場合は迷わず16インチモデルを選ぶべき。YouTubeに上げる動画を毎日制作する方やゲーム実況など映像をキャプチャしながら映像配信する方、絵を描くイラストレーターの方などもそう。特にグラフィック系の仕事をするのであれば、作業効率を高めるために16インチモデルを購入してみてはどうだろうか。
ただし、中には筆者のようにそこそこ高いスペックでこと足りるという人もいるはず。そんな方は現行の13インチモデルでも十分満足できるだろう。
ましてやカフェや長距離移動中に作業をするのであれば尚更。16インチMacBook Proでは飛行機や新幹線のテーブル全面を占拠してしまうが、13インチMacBook Proならテーブル全体を埋めることなく作業することが可能。外で作業するなら、やはり13インチモデルのコンパクトさが魅力的に映るのではないだろうか。
13インチモデルは持ち運び性能、16インチモデルはスペックの高さに優れている。コストが安いのは13インチモデルだが、16インチモデルにしかできない作業もある。果たしてあなたに必要なデバイスがどちらなのか、ぜひじっくりと考えてみていただきたい。
関連記事
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最後に13インチモデルと16インチモデルの比較表を載せておくので、じっくりと両端末のスペックを見比べたい方はご活用いただきたい。
13インチMacBook Pro(2020) | 16インチMacBook Pro(2019) | |
---|---|---|
デザイン | ||
画面サイズ | 13.3インチ | 16インチ |
画面 | 広色域(P3) True Toneテクノロジー |
|
解像度 | 2,560 x 1,600ピクセル(227ppi) | 3,072 x 1,920ピクセル(226ppi) |
Touch Bar Touch ID |
○ | |
ストレージ(SSD) | 下位モデル 256GB/512GB/1TB/2TB |
512GB/1TB/2TB/4TB/8TB |
上位モデル 512GB/1TB/2TB/4TB |
||
プロセッサ |
下位モデル 第8世代 Intel Core i7(1.7GHz/4コア) |
第9世代 Intel Core i7 (2.6GHz/6コア) 第9世代 Intel Core i9 (2.3GHz/8コア) 第9世代 Intel Core i9(2.4GHz/8コア) |
上位モデル 第10世代 Intel Core i7(2.3GHz/4コア) |
||
メモリ | 下位モデル 8GB/16GB |
16GB/32GB/64GB |
上位モデル 16GB/32GB |
||
グラフィック (iGPU) |
下位モデル Intel Iris Plus Graphics 645 |
Intel UHD Graphics 630 |
上位モデル Intel Iris Plus Graphics |
||
グラフィック (dGPU) |
– |
AMD Radeon Pro 5300M AMD Radeon Pro 5500M AMD Radeon Pro 5500M AMD Radeon Pro 5600M |
本体サイズ | 30.41 × 21.24 × 1.56 cm | 35.79 × 24.59 × 1.62 cm |
重量 | 1.4kg | 2.0kg |
通信 | Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac Bluetooth 5.0 |
|
カメラ | 720p FaceTime HDカメラ | |
ポート | 下位モデル Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 2 |
Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 |
上位モデル Thunderbolt 3(USB-C)ポート × 4 |
||
オーディオ | ・ステレオスピーカー ・ワイドなステレオサウンド ・Dolby Atmos対応 ・指向性ビームフォーミングを持つ3マイクアレイ ・3.5mmヘッドフォンジャック |
・6スピーカーシステム ・ワイドなステレオサウンド ・Dolby Atmos対応 ・高い信号対雑音比と指向性ビームフォーミングを持つスタジオ品質の3マイクアレイ ・3.5mmヘッドフォンジャック |
キーボード | バックライトMagic Keyboard (シザー構造/1mmのキーストローク/逆T時型の矢印キー) |
|
トラックパッド | 感圧タッチトラックパッド | |
バッテリー容量 | 下位モデル 58.2Wh |
100.0Wh |
上位モデル 58.0Wh |
||
バッテリー持ち | ブラウジング:最大10時間 ムービー再生:最大10時間 |
ブラウジング:最大11時間 ムービー再生:最大11時間 |
電源アダプタ | 61W USB-C電源アダプタ | 96W USB-C電源アダプタ |
カラー | シルバー/スペースグレイ | |
価格(税込) | 下位モデル 148,280円〜 |
273,680円〜 |
上位モデル 207,680円〜 |
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