
2003年にゲームキューブ向けに発売された『カービィのエアライド』から22年――。待望の続編『カービィのエアライダー』が、ついに2025年11月20日にNintendo Switch 2向けに登場する。
ドイツ・ケルンで開催された欧州最大級のゲーム見本市「gamescom 2025」では、発売に先駆けて本作のプレイアブル展示が行われ、世界最速での試遊が実現した。
任天堂ブースには本作を含め複数の新作タイトルが並び、連日長蛇の列ができていた。その中でも『カービィのエアライダー』に対する注目度は際立っており、任天堂ブースのみならず「gamescom 2025」全体を見渡しても、特に長い待機列を形成していたことから、会場屈指の注目作であったことは間違いない。
本稿では、そんな『カービィのエアライダー』を一足早く体験したプレイ感をお届けする。本作は『カービィのエアライド』の単なる復活作ではなく「待ち望んだ新しいエアライド」がここにある、そう感じさせる作品に仕上がっていた。
『カービィのエアライダー』はただの復活ではない。新たなエアライド体験
今回の試遊では、まず基本操作を確認できる「教習所」から始まり、操作に慣れたあとは周囲のプレイヤーと一緒に「シティトライアル」を体験する形式となっていた。友人同士で訪れた人は同じグループで参加できるよう配慮されており、ひとつの流れとして楽しめる導入になっていた。
教習所ではチャージダッシュやドリフト、吸い込み攻撃(クイックスピン)といった基本操作を体験できたが、その時点でNintendo Switch 2のグラフィックス性能が生み出す滑らかな動作や直感的な操作感の心地よさに驚かされた。
背景やエフェクトも細部まで描き込まれており、短いチュートリアルでありながら、かつての『カービィのエアライド』を知る人には懐かしさを、新たに触れる人にはシンプルで楽しい魅力を伝えてくれる内容だった。
教習所を終えると、いよいよシティトライアルへ。筆者が体験した回では、来場者4人とCPU12人を合わせた16人対戦が行われた。前作では最大4人でのプレイだったため、規模は4倍に拡張されたかたち。
また、本作から最大16人のオンライン対戦に対応している。プレイヤーの数はシティトライアルはオンラインの場合では最大16人、ローカルでは最大8名までとなる。
シティトライアルの舞台となるのは「スカイア」と呼ばれる浮遊島。複数のエリアを自由に行き来できる広大なマップだ。街の建物の間を駆け抜けたり、高低差のある丘を飛び越えたりしながら、コンテナを壊してアイテムを回収し、マシンを強化していく。
さらに隕石雨や巨大ボスの乱入、空間の歪みによるワープといったランダムイベントが次々と発生し、状況が一変するスリルと笑いが常に入り混じる。
シティトライアルでまず驚かされるのは、その「密度」の高さだ。マップに配置されたアイテムやマシンの数は大幅に増加し、ただ走り回っているだけでも自然に強化が進むためテンポが良い。
もちろん効率的に強くなるにはコンテナを狙ったりイベントに参加したりする必要があるが、「常に何かが起きている」という感覚が強く、プレイ全体の濃さが格段に増していた。
コンテナの色によるアイテム傾向も健在で、青はマシン強化や回復、赤はコピーパネル、緑は攻撃系といった役割が引き継がれている。ただし、新たに爆発する危険なコンテナも登場し、油断すると逆にダメージを受ける場面もあった。こうしたリスクとリターンの交錯が、従来以上にプレイ体験を奥深いものにしていたように感じる。
ちなみに、前作では赤のコンテナから伝説のエアライドマシンこと「ドラグーン」と「ハイドラ」のパーツが出現していたが、今回の試遊でこれらのパーツがあるかどうかは確認できなかった。
22年ぶりに蘇る “混沌のレース”。多彩なイベントでカオス度アップ
試遊中には複数のイベントも発生。筆者の試遊のなかでは、ダイナブレイド襲来と巨岩出現の2つのイベントが確認できた。
ダイナブレイドは前作でも登場していたイベントだが、今作も内容としては同じ。特定の場所にダイナブレイドが飛来するため、コピー能力などを使って攻撃することで、パワーアップアイテムをゲットできる。逆にぶつかるとダメージを受けてパワーアップアイテムを落としてしまうため、接近は慎重に。
巨岩が出現するイベントに関しても、前作と内容としては一緒になっていて、破壊することで複数のパワーアップアイテムをゲットできる。ただし、前作では出現する巨岩が1つだったのに対して、今作では複数の巨岩が出現するようになったため、場所探しに出遅れてもパワーアップアイテムをゲットできるチャンスが広がっている。
また、別のグループの試遊中には、攻撃するとアイテムを落とすタックが登場したり、コンテナの中身が偏って同じアイテムばかりが出たり、大量のアイテムが置かれた秘密の部屋がオープンするといったイベントが発生していた。これらは前作でもあったイベントということで、前作を遊んだ人からすれば馴染み深いイベントだろう。
さらに、ポータルを連続でくぐることでアイテムを集めたり、レアなコンテナが出現する新しいイベントも確認できた。短い試遊時間ではすべては確認しきれていないとは思うが、遊ぶたびに新しい展開に遭遇できそうな期待感がある。
今回選べたライダーは「カービィのエアライダー Direct」で紹介されていた12キャラクターで、筆者はワドルドゥとナックルジョーを使った。
シティトライアルはレースとは違い、マシンを強化することでどんどん性能が変わっていくため、ライダーの違いによるプレイ感覚の差はあまり大きくなかったように感じている。
ただし、今作では「スペシャル技」という新たな要素が追加されている。前作ではAボタンとスティックだけで操作することが可能だったが、今作ではYボタンを押すことで各キャラクター固有の技を出し、戦況を有利に進めることが可能だ。
特に、「コックカワサキ」のスペシャル技である「激辛クッキング」は、プレイヤーが集まっているところで発動されるとかなり邪魔だったため、お邪魔系のスペシャルを持つライダーは戦況によっては若干有利なのかなと感じた。
決戦のスタジアムは選択制に
制限時間内にパワーアップアイテムを集めてマシンを強化し、その性能を最後に競い合う「スタジアム」。シティトライアルの最大の盛り上がりどころだ。
スタジアムに入る前には自分のマシンのステータスをチェックすることができるのだが、筆者は前作『エアライド』からプレイしていたこともあり、それなりの量のパワーアップアイテムを集めることができ、隣の試遊台にいた方に「たくさん集めたね!」と驚かれていた。
前作では、設定で固定しない限りスタジアムの種目はランダムだったが、今回の試遊では4種類の中から投票で選ぶ形式に変更されていた。
従来はマシン強化の方向性と競技内容がかみ合わず一方的に敗れることや、プレイヤー全員が相性の悪い競技に当たり戦いにならないといったカオスな展開も珍しくなかった。しかし今作では、プレイヤーが自分たちに合った種目を選べるため、パーティーゲーム的なノリよりも競技性が高まったと言えるだろう。
今回の試遊では、大量に出現する敵を倒した数を競う「バトルロイヤル」と、プレイヤー同士で攻撃し合ってライバルを倒した回数を競う「デスマッチ」を体験。どちらも前作からあったスタジアムで、マシンの攻撃力のほか、自身が倒されにくいように体力もそれなりに回収しておくことが求められる。
どちらも敵の出現やコピー能力による攻撃のエフェクトなど、前作では処理がカクつきやすい要素が多かった競技ではあったものの、Switch 2の処理性能のおかげでかなり滑らかにプレイできたのが印象的だった。
最終的にはどちらも2位でフィニッシュ。1位を獲得したのはイタリアから来た取材陣だったが、前作をだいぶやりこんだとのことでその経験が生きた結果だと、勝利の喜びを隠しきれずニヤニヤしながら話してくれた。同じやりこんだ勢としては、すこし悔しいところだ(笑)。
試遊2戦では味わい尽くせない。「正統進化」の確かな感触
今作のシティトライアルはフィールドが広く、イベントのランダム性も高いため、たった2試合の試遊だけではすべてを把握することは難しい。
それでも、シティトライアルならではの楽しさはそのままに、アイテムの配置やイベント、ライダーごとのスペシャルアクションなど、あらゆる要素が確実に進化していることを実感できた。16人同時プレイが可能になった本作では、混沌と熱狂はさらに増幅しそうだ。
伝説のマシン「ハイドラ」や「ドラグーン」の存在は確認できなかったように、隠された仕掛けはまだまだ残されているはず。
『カービィのエアライダー』は、10月4日・5日に東京ビッグサイトで開催される「Nintendo Live 2025 TOKYO」でも試遊出展が予定されている。
gamescomではシティトライアルしかプレイできなかったが、「Nintendo Live 2025 TOKYO」では、レース用コースでマシンの速さを競う「エアライド」も楽しめるとのこと。本作を発売前に体験してみたい人は、ぜひ足を運んでみてほしい。