Amazonは10月16日、同社の電子書籍リーダー 「Kindle」 シリーズの一斉刷新を実施。「Kindle」 「Kindle Paperwhite」 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 「Kindle Scribe」 の最新モデルを発表した。
各製品の位置付けはこれまでと大きくは変わらない。エントリーモデルの 「Kindle」 、Kindleよりも大きな画面と軽量薄型デザインが特長の 「Kindle Paperwhite」 、Kindle Paperwhiteの倍のストレージ容量を持ち、明るさ自動調整機能やワイヤレス充電に対応する 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 、そして専用スタイラスペンを用いてKindle本にメモ書きができる最上位モデルの 「Kindle Scribe」 。
一斉刷新によってラインアップはかなり分かりやすくなったものの、全4製品のうち、どのモデルが自分の使い方に合っているのか悩んでしまう人もいるかもしれない。
そこで本稿では、各種Kindleデバイスの特長を解説するとともに、どういう人にどのモデルがオススメなのか考えてみた。忙しい現代人のために、5分以内に結論が出せるように作ってみたので、ぜひ参考にしていただきたい。
- ラインアップは全部で4種類。各モデルの特長を知ろう
- 大量のコミックを読むならPaperwhiteシグニチャーエディション/Scribe
- 画面が大きくて見やすいのはPaperwhiteシグニチャーエディション/Scribeだが、KindleやPaperwhiteでも問題なし
- お風呂やプールなどで読書を楽しみたいならPaperwhite/Paperwhite シグニチャーエディション
- 充電ポートはいずれのモデルもUSB-C
- スタイラスペンによる手書きメモ機能に対応するのはScribeのみ
- Paperwhite/Paperwhite シグニチャー エディションの違いは?
- まとめ:悩んだらKindleかPaperwhiteを買おう
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ラインアップは全部で4種類。各モデルの特長を知ろう
現在販売中のKindleデバイスは、「Kindle」 「Kindle Paperwhite」 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 「Kindle Scribe」 の合計4モデル。このうち、「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 は 「Kindle Paperwhite」 にいくつかの機能を付け足した上位モデルという立ち位置だ。
この中でも 「Kindle」 はエントリーモデルとして販売されており、全モデルの中でもっとも軽量かつコンパクトなデザインを実現。価格も19,980円(税込)ともっとも安い。
ただし、画面輝度は上位モデルの 「Kindle Paperwhite」 と同じで、画面の見やすさはほとんど変わらないため、持ち運んで使うことを前提としているなら、もっとも適したモデルと言えそうだ。
「Kindle Paperwhite」 は、Kindleよりも本体が薄くて持ちやすいほか、IPX8等級の防水対応やより長いバッテリー持続時間を実現した中間モデル。お風呂やビーチなどで読書を楽しみたい人にオススメのモデルだ。価格は27,980円(税込)。
さらに 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 は、明るさ自動調整機能やワイヤレス充電に対応するなど、プレミアムな機能を有した上位モデルとなっている。ストレージ容量も32GBと倍になっているため、より多くの書籍を保存しておくことができる。価格は32,980円(税込)。
そして、最上位の 「Kindle Scribe」 は、スタイラスペンを使ってKindle本の中に直接メモを書き込むことができる手書き入力機能付き。ストレージ容量も最大64GBまで選択可能だ。価格は56,980円(税込)〜。
各モデルの性能を表で比較すると以下のとおり。
Kindle | Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション | Kindle Scribe | |
---|---|---|---|---|
デザイン | ||||
世代 | Kindle (第11世代) | Kindle Paperwhite (第12世代) | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション (第12世代) | Kindle Scribe (第2世代) |
画面仕様 | Amazonディスプレイ | Amazon Paperwhiteディスプレイ | Amazon Paperwhiteディスプレイ | Amazon Paperwhiteディスプレイ |
画面サイズ | 6インチ | 7インチ | 7インチ | 10.2インチ |
解像度 | 300ppi | 300ppi | 300ppi | 300ppi |
明るさ自動調整機能 | × | × | ◯ | ◯ |
手書き入力機能 | × | × | × | ◯ |
ストレージ容量 | 16GB | 16GB | 32GB | 16GB/32GB/64GB |
本体サイズ | 157.8 × 108.6 × 8.0mm | 127.6 × 176.7 × 7.8mm | 127.6 × 176.7 × 7.8mm | 196 × 230 × 5.7mm |
重量 | 158g | 211g | 214g | 433g |
防水性能 | ー | IPX8等級 | IPX8等級 | ー |
バッテリー駆動時間 | 最大6週間 | 最大12週間 | 最大12週間 | 最大12週間 |
Wi-Fi | 2.4GHz/5GHz | 2.4GHz/5GHz | 2.4GHz/5GHz | 2.4GHz/5GHz |
充電ポート | USB-C | USB-C | USB-C | USB-C |
充電時間 | 電源アダプター(9W)経由で約2時間 | 電源アダプター(9W)経由で約2.5時間 | 電源アダプター(9W)経由で約2.5時間 | 電源アダプター(9W)経由で約2.5時間 |
カラー | ブラック マッチャ | ブラック | メタリックブラック メタリックジェード | タングステン メタリックジェード |
税込価格 | 19,980円 | 27,980円 | 32,980円 | 56,980円〜 |
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大量のコミックを読むならPaperwhiteシグニチャーエディション/Scribe
まずは内蔵のストレージ容量について。Kindleは主に電子書籍をダウンロードして読むことになる。つまりストレージ容量が大きければ大きいほど、多くの電子書籍を保存しておくことが可能だ。
たとえば、Kindle/Kindle Paperwhiteは最大容量が16GBだが、Kindle Paperwhite シグニチャー エディションは32GB、Kindle Scribeは最大64GBのストレージ容量を持つことができる。
Kindle | Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション | Kindle Scribe | |
---|---|---|---|---|
ストレージ容量 | 16GB | 16GB | 32GB | 16GB/32GB/64GB |
1冊あたりの容量はコミックなら50MB程度 (1ページあたり約600KB)、書籍なら500KBから1MBくらい (1ページあたり約2KB) 。書籍の場合は主に文字データのためそこまでファイル容量は大きくないが、コミックは10冊で500MBに及ぶこともある。
もしコミックだけをダウンロードして保存する場合、16GBなら約320冊、32GBならこの2倍の約640冊のコミックを保存可能だ。
16GBでも十分な量のコミックを保存できるが、もし何年も連載を続けていて冊数が多いコミックなどを読むことがあるならストレージ容量は多いに越したことはない。
16GBで十分なら 「Kindle」 もしくは 「Kindle Paperwhite」 を、もっと多くのストレージ容量が必要なら、「Kindle Paperwhiteシグニチャーエディション」 や 「Kindle Scribe」 の購入を検討していただきたい。
ちなみに、「Kindle Scribe」 は電子書籍内に直接書き込みをしたり、書籍以外の文書ファイルをインポートしての書き込み、手書きのノートの作成など、電子書籍以外のファイルを保存する機会が多いことから、ストレージ容量は多い方が良い。がっつり使い込む予定なら、最大容量の64GBモデルを購入していただきたい。
画面が大きくて見やすいのはPaperwhiteシグニチャーエディション/Scribeだが、KindleやPaperwhiteでも問題なし
文字を読む上で一番重要なのは、画面の見え方。KindleシリーズにはすべてE-inkという紙のような質感で描画できるスクリーンが搭載されており、まるで本物の本を読んでいるかのような読書体験が可能だ。
画面サイズは上位モデルになるにつれて大きくなっていて、「Kindle」 が6インチ、「Kindle Paperwhite」 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 が7インチ、「Kindle Scribe」 が10.2インチ。当然ながら、サイズが大きいほうが広々とした画面でコンテンツを楽しめる。
Kindle | Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション | Kindle Scribe | |
---|---|---|---|---|
画面サイズ | 6インチ | 7インチ | 7インチ | 10.2インチ |
画面仕様 | Amazonディスプレイ | Amazon Paperwhiteディスプレイ | Amazon Paperwhiteディスプレイ | Amazon Paperwhiteディスプレイ |
解像度 | 300ppi | 300ppi | 300ppi | 300ppi |
明るさ自動調整機能 | × | × | ◯ | ◯ |
ただし、画面解像度はいずれのモデルも300ppiと同じで、今回のアップデートで画面輝度は 「Kindle」 「Kindle Paperwhite」 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 で共通化したことから、エントリーモデルの 「Kindle」 であっても画面はかなり見やすくなっている。画面は見やすさよりも大きさで選ぶのがシンプルだろう。
さらに高機能な画面を求める場合は、明るさ自動調整機能が搭載されている 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 「Kindle Scribe」 がオススメで、さらに 「Kindle Scribe」 は反射しにくい画面に仕上がっている。とにかく見やすさにこだわりたい人はこれらの上位モデルを選んでいただきたい。
お風呂やプールなどで読書を楽しみたいならPaperwhite/Paperwhite シグニチャーエディション
3つめの重要ポイントは 「防水性能」 。もしお風呂やプールなど水のある場所で読書をしたい人は必ず防水性能のあるデバイスを選ぶべきだ。
防水性能を持っているのは、Kindle PaperwhiteとKindle Paperwhite シグニチャーエディションの2モデル。2メートルの水深に1時間沈めても動作するほどの高い性能になっているため、日常生活下で水没故障させる機会はほぼないはず。対して、「Kindle」 や 「Kindle Scribe」 は残念ながら防水性能はなし。
Kindle | Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション | Kindle Scribe | |
---|---|---|---|---|
防水性能 | × | IPX8等級 | IPX8等級 | × |
ちなみに、防水性能があるからといってお風呂に沈めたり、シャワーを当てながら使うことはあまり推奨しない。温水に浸けることはそのデバイスに悪影響を与えるだけでなく、水で濡れた画面はタッチ操作することができないため、基本は半身浴など水上で使うことが基本となる。
これは当たり前の話だが、以前に水中でスマートフォンを使用しようとした友人が身近にいたため、念の為触れておく。
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充電ポートはいずれのモデルもUSB-C
Kindleデバイスは内蔵バッテリーを使って画面を表示するため、定期的にバッテリーを充電する必要がある。
充電ポートは従来までMicroUSBポートが採用されていたが、現行のラインナップでは全モデルにUSB-Cポートが搭載されている。おなじUSB-Cポートを搭載したスマートフォン/ノートPCの充電器をそのままKindleの充電に使用することが可能だ。
Kindle | Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション | Kindle Scribe | |
---|---|---|---|---|
充電ポート | USB-C | USB-C | USB-C | USB-C |
これにより、旅行先などにKindleデバイスを持っていく場合、わざわざ専用の充電器やケーブルを持たなくとも、USB-C充電のスマートフォンと充電器やケーブルを共有できるというメリットもある。荷物の最小化につながるはずだ。
スタイラスペンによる手書きメモ機能に対応するのはScribeのみ
全4モデルのうち、最上位モデルの 「Kindle Scribe」 は専用スタイラスペンを使った手書きメモ機能に対応する。Kindle本の重要な部分にメモを書き込んだり、PDFファイルにメモを書き込んだり、Microsoft Wordなどの文書に付箋を追加したりできる。取り込んだ文書とメモも、Eメール経由でエクスポートすることも可能だ。
Kindle | Kindle Paperwhite | Kindle Paperwhite シグニチャーエディション | Kindle Scribe | |
---|---|---|---|---|
手書き入力機能 | × | × | × | ◯ |
今回発売した新型モデルでは、新機能 「Active Canvas」 が追加。一部の横書きのKindle本の文中に直接メモを書き込むことができるようになり、読書とノートの更なる融合を実現した。
Kindle本の中にメモを書き始めると、「Active Canvas」 が自動でメモ用のスペースを提供。メモの位置はテキストに紐づけられるため、本のフォントサイズを変更してもメモを見失うことがない。
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Paperwhite/Paperwhite シグニチャー エディションの違いは?
「Kindle Paperwhite」 と 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 は、同じ 「Paperwhite」 シリーズということで、画面や本体サイズなどの仕様はかなり近い。
ただし 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 の方が上位モデルということで、ストレージ容量が倍 (32GB) になっているほか、明るさ自動調整機能やワイヤレス充電にも対応する。カラーも 「Kindle Paperwhite」 はブラック1色だけなのに対し、「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 はメタリックブラックとメタリックジェードの2色展開だ。
Kindle | Kindle Paperwhite | |
---|---|---|
ストレージ容量 | 16GB | 32GB |
自動明るさ調整機能 | × | ◯ |
ワイヤレス充電 | × | ◯ |
税込価格 | 27,980円 | 32,980円 |
両モデルの価格差は5,000円。この価格差をどう捉えるかは個人によるとは思うが、参考として、筆者なら5,000円でストレージ容量を倍にできると聞くと 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 の方がお得だと感じてしまう。
正直なところ、明るさ自動調整機能やワイヤレス充電は日々の使い勝手を大きく変える機能にはなり得ないため、単純にストレージ容量を増やしたいかどうかで選ぶのがオススメだ。
まとめ:悩んだらKindleかPaperwhiteを買おう
一斉刷新によって以前よりも各モデルの立ち位置がハッキリし、どのモデルを購入すべきかはだいぶ分かりやすくなったKindleデバイス群。ここまで解説してきた内容を簡単にまとめると以下のような場合分けとなる。
とにかく安い電子書籍リーダーが欲しい
→ Kindle
お風呂やプールで読書したい
→ Kindle Paperwhite・Kindle Paperwhite シグニチャー エディション
外で読書する機会が多い
→ Kindle Paperwhite シグニチャー エディション・Kindle Scribe
ワイヤレス充電が欲しい
→ Kindle Paperwhite シグニチャー エディション
大量のコミックを保存しておきたい
→ Kindle Paperwhite シグニチャー エディション・Kindle Scribe
スタイラスペンを使った手書きメモ機能が欲しい
→ Kindle Scribe
Kindleデバイスを選ぶ上でもっとも重要視しなければならないのは、「ストレージ容量」 「画面の大きさ」 「防水機能の有無」 「スタイラスペンに対応しているか」 の4点。
まずスタイラスペンに対応しているのは 「Kindle Scribe」 のみになるため、手書きメモ機能を使いたい場合は必然的に同モデルを購入する必要がある。最上位モデルということで、そのほかの要素については深く考えずとも便利に使えるようになっているため、迷わず選ぶことができるはずだ。ただし防水には対応しないため、その点には注意していただきたい。
多くの人が悩むのが 「Kindle」 と 「Kindle Paperwhite」 のどちらを選ぶべきかだろう。今回のアップデートにより、エントリーモデルの 「Kindle」 の画面性能が大きく向上したことから、単に電子書籍を読むだけが目的だったら 「Kindle」 がもっともオススメ。さらに防水性能を求めるなら 「Kindle Paperwhite」 、より多くのストレージ容量が欲しければ 「Kindle Paperwhite シグニチャーエディション」 を選ぶべきと言えるだろう。自分がよく読書するシチュエーションを考慮して、欲しい機能をピックアップしていけば、自分に適したモデルを見つけることができるはずだ。
もしここまで読んでもどのデバイスが良いか決めかねているという人には、筆者としてはエントリーモデルの 「Kindle」 をオススメさせていただきたい。現行のラインアップの中ではもっともコストパフォーマンスに優れており、多くのユーザーが満足できる仕上がりになっているだろう。
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(画像提供:アマゾンジャパン)