HP幹部のKoh Kong Meng氏にインタビュー。日本のPC市場はゲームブームで拡大中、今後のPC市場の鍵を握るのは ｢AI｣
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HPは先月18日、豪シドニーで開催された ｢SXSW Sydney 2023｣ にあわせて、報道関係者向けの新製品発表会を開催。Vice President & Head, Personal Systems Category Greater AsiaのKoh Kong Meng氏が登壇。新製品を紹介するとともに、HPのイノベーションの本質について話した。
そして、同発表会のあとKoh氏へのグループインタビューの機会が設けられた。インタビューでは、HPのグローバル・アジア市場における現況や、日本市場に対する戦略などを聞くことができた。
まずは現在のPC需要に関して。Koh Kong Meng氏曰く、HPは新型コロナのパンデミック前に比べて依然として高く、現在も市場は拡大していると考えているようだ。
具体的に、パンデミック前 (2019年) には1年間に2億5000万台のPCが売れていたが、コロナの感染拡大がもっとも酷かった時期には3億5000万台ものPCが売れたという。その頃に比べると、現在の需要はすこし落ち着きつつあるものの、それでもPC需要はまだまだ高い状態が続いているという。
特に地域によっては需要が伸びているところもあり、日本もゲームブームによってPC需要が伸びている国のひとつであるとのこと。日本市場において、HPはPC・ノートブックともにNo.1ブランドとして認められており、ゲーミングやワークステーションをはじめ、コンシューマー向け、法人向けのいずれにも力を入れているとのことだった。
また、HPはPC市場が拡大している理由のひとつとして、AIの普及を挙げている。
昨今はAIが多角的に進化したことにより、様々なものにAIが活用されるようになった。たとえば、Zoomなどのビデオ通話で背景をぼかす機能もAIを活用したものだ。もちろんChatGPTなどの大規模言語モデルを利用したAIチャットボットや、Adobeの生成AI ｢Firefly｣ などもAIを活用したサービスのひとつ。
AIが搭載されていないPCでこれを実現しようとするとCPUのパワーを使うことになり、バッテリーの減りが早くなり、PCの動作が遅くなることがある。しかし、AI処理に特化したNPU (Neural Processing Unit) を搭載したチップセットを使うことで、CPUへの負荷が減り、より快適にPCを使うことができる。
これまで、PCは仕事用として使われるのが一般的だったが、昨今は学校の勉強から映像配信サービスなどのエンタメ利用、そしてビデオゲームですら専用のコンソールを使わずとも、PC上で多くのタイトルが遊べるようになり、PCの活用の機会が大きく広がっている。ゲーミングは主にMicrosoftのPC Game Passなどがあるが、ライバルのSIE (PlayStation) もPC移植タイトルを拡充している。
もちろんHPはこうしたPCの利用シーンの拡大について好機と捉えており、これらのトレンドから生まれた新たな需要に対応した製品を投入しようとしている。それが今回発表された製品だ。
pectre Foldable 17
発表された2つの新製品 ｢Spectre Foldable 17｣ ｢ENVY Move All-in-One｣ についてHPは、どちらも革新的で、これまでにない製品だとアピールする。
3 in 1 デバイスの ｢Spectre Foldable 17｣ は、円安の関係で日本では約80万円とかなり高額な価格帯の製品ではあるものの、ノートPC／デスクトップPC／タブレットの3つの使い方がこれ1台で実現できること、そして細かいところまで利便性を追求しているところが注目ポイントだ。
たとえば内蔵バッテリーは、重量バランスを考えて上下に1つずつ搭載されている。画面のベゼルに関しては、一般的には上下のベゼルが厚く作られる傾向にあるが、本製品はタブレットとしても使えることから、上下よりも左右のベゼルが厚くなるように工夫したという。
ENVY Move All-in-One
ハンドルによって持ち運ぶことができるポータブル・オールインワンPCの ｢ENVY Move All-in-One｣ に関しては、デスクなどに設置されている状態ではあまり驚きはないが、実際にハンドルで手に持って移動させることができると ｢動かせるんだ！｣ という感動が生まれる。
単純なことではあるが、今まで他メーカーが実現していなかったという点では大きな価値のある製品だと考えているとのことだった。
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