Apple、2026年度第3四半期の決算発表。6月期で過去最高の売上・利益を記録、一方でサービス部門減速と供給不安で株価下落

Appleは米国時間7月30日、2026年度第3四半期(2026年4~6月期)の決算を発表した。売上高は1,094億ドル(前年同期比16%増)、純利益は約298億ドル(約27%増)となり、いずれも6月期として過去最高を更新。希薄化後1株当たり利益(EPS)は2.02ドルで、アナリスト予想や会社ガイダンスを上回る好調な内容となった。

四半期を通してiPhoneとMacの販売が大きく伸び、全地域で増収を達成。アクティブデバイスのインストールベースも全製品カテゴリー・全地域で過去最高を更新した。

一方で、サービス部門は市場予想に届かず、AI向け需要の拡大によるメモリ不足やApple Siliconの供給制約、慎重な次四半期見通しなどが嫌気され、決算発表後の時間外取引では株価が下落した。

今回の決算は、9月1日にCEOを退任するティム・クック氏にとって最後の決算発表となる。後任にはハードウェアエンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナス氏が就任する予定だ。

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iPhoneとMacが過去最高を更新。6月期として過去最良の決算に

各製品の売上高、会社全体の売上高・純利益 (および増減) は以下表のとおり。

総売上高1094億1700万ドル (+16.4%)
純利益297億8900万ドル (+27.1%)
 製品カテゴリー売上高
iPhone542億5200万ドル (+21.7%)
Mac103億5200万ドル (+28.7%)
iPad61億9100ドル (-5.9%)
Wearable & Home78億8300万ドル (+6.5%)
Service307億3900万ドル (+12.1%)
地域売上高
アメリカ457億8100万ドル (+11.1%)
ヨーロッパ293億9500万ドル (+22.4%)
中国188億1600万ドル (+22.4%)
日本65億5400万ドル (+13.4%)
アジア太平洋地域88億7100万ドル (+15.6%)

Appleはここ数年、スマートフォン市場の成熟や世界経済の減速を背景に、サービス事業の拡大やApple Siliconへの移行、Apple Intelligenceを軸としたAI機能の強化を進めてきた。2026年4~6月期は、その成果がハードウェア販売にも表れた四半期となった。

売上高は前年同期の約940億ドルから16%増の1,094億ドルとなり、市場予想(約1,086~1,089億ドル)を上回った。純利益は約298億ドル、EPSは2.02ドルで前年同期の1.57ドルから29%増加した。EPSには関税還付による0.11ドル分の押し上げ効果が含まれるものの、それを除いても市場予想を超えている。

粗利益率は50.1%だった。こちらも関税還付による約2ポイントの押し上げが含まれており、それを除いた約48.1%でも会社ガイダンスのレンジや市場予想を上回った。営業キャッシュフローも6月期として過去最高を更新し、1株当たり0.27ドルの配当も発表している。

製品別ではiPhoneが最も好調だった。売上高は542億5,000万ドルで前年同期比21.7%増となり、6月期として過去最高を更新。全社売上の約半分を占める主力事業として業績を支えた。

Macも103億5,000万ドルと前年同期比28.7%増となり、市場予想を大きく上回った。エントリーモデルからProモデルまで幅広く需要が伸びたことが寄与した。

一方、iPadは61億9,000万ドルで前年同期比5.9%減。前年の好調な販売実績との比較や供給面の影響もあり、市場予想を下回った。ウェアラブルやホーム&アクセサリ部門は78億8,000万ドルで6.5%増となり、おおむね市場予想通りだった。

そしてサービス部門についても307億4,000万ドルで前年同期比12.1%増と引き続き成長したものの、市場予想の約312億ドルには届かなかった。近年はAppleの収益を支える柱として高い成長を続けてきた事業だけに、今回の伸び鈍化は投資家の注目を集める形となった。

地域別ではすべての地域で前年を上回っている。北中米市場は約458億ドル、欧州市場は約294億ドル、中国市場は約188億ドルで22.4%増となった。中国市場ではiPhoneとMacが過去最高を記録したものの、市場予想にはわずかに届かなかった。日本市場は約66億ドル、アジア市場(日本・中国のぞく)は約89億ドルだった。

ティム・クック氏は決算説明会で、「6月期として過去最高の業績だった。iPhone、Mac、サービス部門はいずれも二桁成長を達成し、すべての地域で売上が増加した」と説明。「WWDC 2026」で発表した新しいSiri AIや各OSの新機能、児童保護機能なども今後の成長材料として挙げた。CFOのケヴァン・パレク氏も、EPSや営業キャッシュフロー、インストールベースが過去最高を更新したことを強調している。

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市場は供給不足と慎重な見通しを警戒。AIブームによるメモリ不足も影響

決算そのものは好調だった一方、コンファレンスコールでは今後の課題も明らかになった。

ティム・クック氏はApple Siliconの先進プロセスに供給制約が発生していることを認め、特にMacで需要に供給が追いつかなかったと説明した。想定以上の販売が続いたことで、サプライチェーンの対応が間に合わなかったという。

さらに、世界的なメモリ不足も続いている。AI向けデータセンター需要の急拡大によってDRAMやNANDフラッシュの供給が逼迫しており、ティム・クック氏はその状況を「100年に一度の洪水(hundred-year flood)」と表現した。

この影響で部品コストは上昇しており、MacとiPadではすでに価格改定を実施済み。iPhoneは主要市場では現時点で価格を維持しているものの、今後の値上げを予想する見方も出ている。

Appleは2026年度第4四半期(7~9月期)の見通しとして、売上成長率を9~11%と予想した。市場予想のおよそ12%を下回る水準で、約2.5ポイントの為替逆風に加え、供給制約やメモリ価格の上昇が利益率を圧迫すると見込む。粗利益率は47~48%を予想している。iPhoneは引き続き中位10%台の成長を見込むものの、供給不足が販売拡大の足かせになる可能性があるという。

また、今回の利益率には関税還付による一時的な押し上げ効果が含まれており、今後も同水準を維持できるかは不透明だ。Appleはこれまで掲げてきた「余剰キャッシュをすべて株主へ還元する」という姿勢についても、一部見直しを示唆している。

市場では「iPhoneとMacの需要は想定以上に強かった」と評価する声が多い一方、Services事業の伸び鈍化や供給不足、AIブームによる部品コスト上昇、慎重な9月期見通しが株価の重しとなった。

次の四半期は新型iPhoneの投入時期とも重なる。9月からはジョン・ターナス氏による新体制も始まるだけに、AI戦略を含めた今後の製品展開や価格政策、供給体制の立て直しがAppleの次の焦点となりそうだ。

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