Amazonの衛星インターネット計画Project Kuiperが本格始動。27機の衛星を軌道投入

Amazonが展開する衛星インターネット構想「Project Kuiper」が、いよいよ本格始動した。現地時間2024年4月28日、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のAtlas Vロケットが打ち上げられ、合計27機のKuiper衛星が地球低軌道(LEO)へと投入された。ローンチ準備から本番までの舞台裏を、米Amazonが自ら紹介している。

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Project Kuiperの第一歩。Kuiper衛星27機、無事軌道へ

この「KA-01」ミッションに向け、ULAはまずケープカナベラルの垂直統合施設(Vertical Integration Facility)でロケットの組み立てを開始。メインブースターを設置後、Amazon側では隣接するケネディ宇宙センター内の専用施設で衛星の打ち上げ準備を進めていた。

Kuiper衛星は、9機ずつ3層に重ねられ、ロケットフェアリング(保護カバー)内に格納。その後、フェアリングはULAによって打ち上げ施設まで慎重に運ばれ、ロケット本体に統合された。

打ち上げ3日前には、組み上がったAtlas Vが発射台へと移動。最終チェックを経て、米東部時間4月28日19時01分にいよいよ打ち上げのカウントダウンが始まった。

打ち上げに使用されたAtlas Vロケットは、5基の固体燃料ブースターを装着した最大出力構成。この構成が採用されたのは、Kuiper衛星群がAtlas V史上最も重いペイロードだったためだ。打ち上げ後、36分以内にすべての衛星を高度約450kmに配置。Amazonのミッションコントロールチームは、打ち上げから90分以内に全27機との通信を確立し、全システムが正常に稼働を開始したことを確認している。

ワシントン州レドモンドにあるKuiperのミッションオペレーションセンターでは、打ち上げ直後から衛星の初期起動、健康診断、姿勢制御、太陽光発電開始、推進システムの確認など、重要な初動対応が行われた。すべての衛星が正常に分離され、動作を始めた瞬間、センター内には大きな歓声が湧いたという。

フロリダ現地では、AmazonやULAの関係者が発射の瞬間を見守り、東海岸上空を航行するロケットの軌跡が一部地域からも視認された。社内でも打ち上げ成功を祝う様子が見られ、Amazon CEOのアンディ・ジャシー氏も、従業員向けの集会でこの成果を称えている。

この「KA-01」ミッションは、Project Kuiperによる本格的な衛星インターネット構築の第一歩に過ぎない。Amazonはすでに80回以上の打ち上げを確保しており、次回ミッション「KA-02」に向けた衛星製造と準備も進行中だ。

最終的には数千機規模のKuiper衛星ネットワークを構築し、世界中の未接続地域に高速・低遅延のブロードバンド通信を提供することを目指す。Amazonの計画はまだ始まったばかりだ。

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(画像:Amazon)

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