7月20日、アドビ株式会社は 「Adobe Premiere Pro」 が、M1 Macにネイティブ対応したことを発表した。
最新アップデートを適用することで、Appleの独自プロセッサ 「M1チップ」 を搭載したMacBook Air、MacBook Pro、Mac mini、iMacにおいて、より高速に動作するようになる。
さらに 「音声のテキスト化」 機能も正式リリースとなった。同機能は、映像・音声データから音声を自動で書き起こすというもの。これまで早期アクセスプログラムで提供されていたが、ついに製品版でも利用できるように。時間と労力がかかる音声のテキスト化をいとも簡単に完了できる。
M1 Macに対応
まずは待望のM1 Macへのネイティブ対応。このアップデートによって、M1チップを搭載したモデルにおいては、Intelプロセッサ搭載モデルにくらべて約80%高速に動作するように。
アドビは今回の発表に先駆け、一部メディアを対象とした発表イベントを開催。M1 Macにおける 「Adobe Premiere Pro」 の動作デモを行なった。
デモ機は昨年11月に発売したM1チップ搭載MacBook Pro (レビュー)。「シーン編集の検出」 機能を使って動作速度をチェックした。
アドビによると 「シーン編集の検出」 機能は最適化によって、M1 Macで約3倍高速になっているとのこと。また、macOS・Windowsへの最適化で最大2倍高速になっているという。
デモでは、ネイティブ非対応版で実行すると約6秒かかっていたのに対し、ネイティブ対応版で実行したところ2〜3秒で完了していた。実際の処理時間は動画の尺などに影響されると思うのだが、それでも、これほどの高速化はクリエイターたちにとってかなり嬉しいはずだ。
ちなみに高速化されるのは 「シーン編集の検出」 機能だけでなく、起動やプロジェクトを開く処理や書き出しなど各動作に及ぶが、その中でもAdobe Senseiを利用した機能は、Apple Neural Engine用に最適化したことでさらなる高速化を実現しているとのこと。さらに、M1 Mac版だけではなく、Windows版においても最適化されており、パフォーマンスが向上しているとのことだ。
同時に、Adobe Media EncoderとAdobe Character AnimatorもM1 Macにネイティブ対応。Adobe After Effectsについては、今年後半にパブリックベータ版がM1 Macにネイティブ対応予定だ。ちなみに、Adobe Premiere RushとAdobe Auditionは今年4〜5月にすでにM1 Macにネイティブ対応済みとなっている。
音声自動文字起こし機能
これまで早期アクセスプログラムで提供されていた音声の自動文字起こし機能がいよいよ正式リリース。同機能は13の言語に対応しており、日本語でも利用することが可能だ。
音声自動文字起こしは、動画に収録されている音声を自動で文字に起こすことができる。デモでは、アドビの田中玲子氏が2019年のAdobe Maxで登壇した際のプレゼンテーションのビデオが用いられた。
人名や 「Adobe Sensei」 といった固有名詞を正確に書き起こすことはさすがに難しいが、そのほかについてはほぼ100%正確に書き起こしできていた。なお、人名の綴りなどの修正が必要な場合、簡単にテキストを編集することが可能。
文字起こしテキストへの変換処理が終わると、自動的にキャプションを作成してタイムライン上に配置する。Adobe Senseiの機械学習が活用され、発話のタイミングと同期される。さらにタイムライン上に配置されたキャプションのテキストは、エッセンシャルグラフィックスパネルのデザインツールを使って自由にカスタマイズされる。
音声自動文字起こしは、複数話者がいる場合でも機能する。声の違いを基に、話者と話した内容を聞き分け、それぞれを別枠で文字起こしすることができる。デフォルトではスピーカー1、スピーカー2というように各話者に対して番号が割り振られるが、話者名をユーザーが好きなようにカスタマイズできる。
そのほか、今回の発表ではCharacter Animator (ベータ版) のボディトラッカーとパペットメーカーに関する発表なども行われている。詳細はアドビ公式ブログで確認いただきたい。