
アドビとカルビーが共催する体験型イベント「子どもと一緒にタイムトラベル!生成AIでデザインする50年後のカルビーポテトチップス」が、2025年11月29日、カルビー本社で開催された。
発売50周年を迎えたカルビーポテトチップスをテーマに、生成AIを使って“未来の味”とパッケージをデザインするという企画だ。参加者は小学生とその保護者で、会場にはスマートフォンやタブレット、ノートPCを手に、画面を食い入るように見つめる子どもたちの姿が並んでいた。
まずはExpressの使い方とポテトチップス50年の歴史を勉強

ワークショップに先立ち、今回のイベントの講師を務めたイラストレーター/キャラクターデザイナーの北沢直樹氏(なおっきーせんせい)から、Adobe Expressの基本的な使い方が紹介された。
画像の選び方や文字の配置、プロンプトを入力するとAIがどのように反応するのかなどを、実際の画面を見せながら説明していく。子どもたちは、まずは操作に慣れることを目的とした簡単な練習に取り組み、ツールの感覚をつかんでいった。




ひと通り操作を体験した後、次はカルビーの担当者からポテトチップスの歴史が紹介された。1975年の発売当初は透明袋だったパッケージが、品質保持の観点からアルミ蒸着袋へと切り替わってきたこと。さらに近年では、バイオマスインキの使用やRSPO認証マークの導入など、環境への配慮も進められている。
子どもたちは、普段何気なく手に取っているお菓子が、時代や社会の変化とともに姿を変えてきたことを、少し驚いた様子で聞いていた。この話が、後のパッケージづくりのヒントにもなっていく。
自由な発想から生まれた未来のポテトチップスが続々登場





Adobe Expressの使い方とAdobeの歴史を勉強したところで、いよいよメインプログラムのパッケージデザインのワークショップへ。Adobe Expressでの画像生成には生成AI「Adobe Firefly」が使われており、参加者はプロンプトと呼ばれる文章を入力しながら、思い描いたイメージをAIに伝えていく。


完成したパッケージには、大人ではなかなか思いつかないアイデアが並んだ。食べると体がひんやりする「冷え冷えアイス味」、一日の終わりに食べることを想定した「夜のひととき味」。50年後は深海にも自由に行けるようになっている、という発想から生まれた「深海焼き肉味」もある。ほかにも、食べた枚数によって味が変わるポテトチップスや、「激辛溶岩味」「火星栽培の野菜味」など、アイデアは実にさまざまだ。
どの作品にも、なぜその味なのか、どんな未来を想像しているのかといった背景が添えられており、パッケージそのものが物語を語っているようだった。


ワークショップの終盤、子どもたちが作った作品が印刷され、パッケージとして組み立てられた。画面の中にあったデザインが立体になり、手に取れる形になったことで、子どもたちは嬉しそうに眺めたり、お互いに見せ合ったりしていた。
最後には発表会と記念撮影が行われ、それぞれの「50年後のカルビーポテトチップス」は、思い出として子どもたちの手に渡された。
生成AIが広げた想像力と、アドビ×カルビーの狙い

イベント終了後、アドビとカルビーの担当者に個別インタビューを行い、今回の取り組みについて話を聞くことができた。そこでは、コラボレーションに至った背景や、生成AIを通じて見えてきた新しい視点、そして子どもたちの自由な発想への率直な驚きが語られた。
アドビのアドビ 広報部 広報担当部長 吉原淳氏は、「今や誰もがクリエイティビティを求められる時代」だとした上で、身近なお菓子を題材にデジタルツールでの制作を楽しんでほしかったと話す。
カルビーとの共同開催については、以前から同社がファンミーティングで手作りのパッケージ制作を行っていたことを知り、「それをデジタルでやってみませんか」と提案したのがきっかけだったという。
ポテトチップスは親子三世代にわたる共通の存在でもある。親子で同じテーマに向き合い、会話しながら制作できる点も、この企画ならではの狙いだった。
実際のワークショップでは、子どもたちが生成AIを使いこなし、迷いなく作品を形にしていく様子が印象的だったと振り返る。デザインは難しいもの、という先入観を軽々と越えていく姿に、大人の側が驚かされた場面も多かったという。

カルビー コーポレートコミュニケーション本部 グループ広報部 部長 兼CX推進課 課長 野堀和哉氏は、アドビとのコラボレーションについて「両社ともファンを大切にするという考え方が近かった」と語る。一社だけでは得られない体験をつくれると感じ、今回の取り組みを引き受けた。
生成AIについては、正直なところ「どこまでできるのか半信半疑だった」と明かす。しかし、子どもたちが入力した少し曖昧な言葉から、想像を超えるビジュアルが生まれていく様子を目の当たりにし、大きな可能性を感じたという。
とくに印象に残った作品として、「マグマ味」は辛さが直感的に伝わる分かりやすさがあり、「すぐにでも商品になりそうだ」と評価した。また、「宇宙DX味」や「深海焼き肉味」からは、今の子どもたちがどこに関心を持っているのかが見えてきたと話す。
普段の商品開発では、どうしても実現可能性を重視し、無難な着地になりがちだという。その点、今回のワークショップで触れた子どもたちの尖った発想は、大きな刺激になった。井上氏は「次の50年に向けて、こうした自由な視点を忘れずに商品づくりを続けていきたい」と語った。

