2月12日、アドビはPDF編集ソフト 「Adobe Acrobat」 の生成AI機能 「Acrobat AI アシスタント」 の日本語版の一般提供を開始した。
「Acrobat AI アシスタント」 は、無料の 「Adobe Acrobat Reader」 および有料の個人向け 「Adobe Acrobat」 において、月額680円〜のサブスクリプションを通じて本日から利用できる。
サブスクリプションプランは、デスクトップ版、webアプリ、モバイル版アプリ、ブラウザ拡張機能で利用可能だ。このうち、モバイル版アプリは音声コマンドにも対応する。
生成AI機能 「Acrobat AI アシスタント」 の日本語版が提供開始
「Acrobat AI アシスタント」 は、文書をすばやく解析して要約を作成したり、チャット形式で質問しながら回答を得られる生成AI機能。昨年2月にベータ版の提供が開始され、その後4月に英語環境での一般提供が開始されていた。今回、本機能の日本語版の一般提供が開始されたかたちだ。
本機能は自社開発のAI技術を活用した機能で、ドキュメントに特化したアプローチをとっており、PDFの構造を理解した上で回答を出してくれるという特徴を持つ。PDFだけでなく、その他のドキュメント (Word、PowerPoint、会議の議事録など) も読み込んで対応することが可能だ。
読み込む文書は日本語はもちろん、英語にも対応。英語の文書の内容に対して日本語で要約や回答を得ることも可能。ちなみに、読み込める文書のファイルサイズには制限が設けられており、100MB未満、600ページ未満のものを読み込むことができる。
搭載する機能は、「AIアシスタント」 と 「生成要約」 の2つ。生成AIとのやりとりは対話型のインターフェースを通じて行われるため、文書の内容を表示しながらやりとりの内容を確認したりとシームレスな利用が可能だ。
1つ目の機能である 「AIアシスタント」 は、文書内のコンテンツに基づいてオススメの質問を提示したり、質問に対して回答をしてくれる機能。AIからの回答には引用が生成され、クリックすることで文書の中から回答についての情報ソースを示してくれる。
文書は複数まとめて読み込ませることが可能で、AIはそれらを横断するような質問にも答えることができる。デモでは内容が似た契約書を2つ用意して、「2つの契約書の異なる点を教えて」 と質問したところ、契約期間や金額が異なっていることを指摘していた。こういった差分のチェックにも便利に使うことができそうだ。
2つ目の機能の 「生成要約」 は、ドキュメントを解析して要約を生成してくれる機能。全体要約はもちろん、セクションごとの要約も生成する。要約は文書内にある情報のみを利用して生成するため、ハルシネーション (AIが事実とは異なる情報を作り出してしまうこと) のような信頼性の低い情報を提示することはないとしている。
デモでは9ページにわたるビジネスレポートを要約したのだが、ものの数分で全体の要約とセクションごとの要約を生成して表示していた。長文のレポートや論文などの内容を把握するのに適していて、ビジネスパーソンや学生に役立つ機能と言えるだろう。
「Acrobat AI アシスタント」 機能は、データセキュリティプロトコルによって管理されており、文書の内容がユーザーの同意なしに保存されたり、本機能のトレーニングのために使われることはない。ユーザーの情報や企業秘密などの情報はしっかりと保護されるため、セキュリティ面もバッチリだ。
「Acrobat AI アシスタント」 は既存の製品とは別料金となっており、以下の製品内から利用することが可能。
- Acrobat Reader
- Acrobat Standard/Pro
- Acrobat Web
- Acrobat Readerモバイルアプリ
- ブラウザ拡張機能
「Acrobat AI アシスタント」 の料金プランは以下。「Acrobat Reader」 などの無料アプリでのお試し利用も設けられているとのことで、興味がある人はまずは使ってみていただきたい。
プラン名 | 月額料金(税込) |
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月々プラン | 980円 |
年間プラン (月々払い) | 680円 |
年間プラン (一括払い) | 8,080円 |
(画像提供:アドビ)