Shokz「OpenFit Pro」レビュー。“ながら聴き”の次へ、集中を持ち込むオープンイヤー

オープンイヤー型イヤホンのパイオニアとして知られるShokzから、新モデル「OpenFit Pro」が登場する。価格は税込39,880円で、4月7日より先行予約を開始し、発売は4月22日を予定している。

本製品は、これまでのオープンイヤー型イヤホンの常識を一歩押し広げるモデルだ。オープンイヤー型イヤホンには、「耳を塞がない快適さ」が魅力である一方、騒がしい環境では「音楽に集中しにくい」という弱点もあった。しかし、本製品では「フォーカスモード(ノイズ低減機能)」という新たなアプローチでこの課題に向き合っている。なお、本機は骨伝導ではなく、空気伝導方式を採用したオープンイヤーイヤホンとなる。

発表に先立ち、実機を試用する機会を得たので、その使用感をお伝えしていく。

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つけっぱなしでも気にならない装着感

「OpenFit Pro」は、Shokzのオープンイヤー型イヤホンの最新フラッグシップモデル。耳を塞がない「ながら聴き」の快適さはそのままに、同社初となる「フォーカスモード」を搭載したことで、騒音環境での使い勝手を向上させたのが特徴だ。

デザインは一見するとシンプルだが、細部を見るとかなり手の込んだ作りになっている。まず目を引くのが、本体に採用されたユニボディデザインだ。プレミアムアルミニウム合金を9段階の精密モールドプロセスで加工し、継ぎ目のない構造を実現している。

実際に手に取ってみると、パーツ同士の段差や継ぎ目をほとんど感じさせず、ひとつの塊として成形されたような質感がある。アクセサリーに近い上質さを意識した仕上がりだ。どんなシーンでも使いやすく、カジュアルな服装やスポーツシーンはもちろん、オフィスやビジネスでの使用にも自然に溶け込む。

この構造は見た目だけでなく、軽さと剛性のバランスにも寄与している。オープンイヤー型は長時間装着する前提の製品だが、実際に使っていて重さが気になる場面は少ない。

左右両方のイヤホンの外側(赤いマークがついている部分)には、物理ボタンが配置されている。タッチ式が主流になりつつある中で、あえてクリック感のあるボタンを残しているのは、実使用での確実性を優先した結果だろう。

イヤホン内側にあるオレンジ色の円状のパーツは、ノイズリダクション用の「ハイプロファイルマイク(突起型マイク)」だ。耳道付近での音を正確に捉え、より精度の高いノイズリダクションを実現するためにこの位置に配置されている。

イヤーフックにも超薄型のニッケルチタン合金を採用したことで、見た目以上にしなやかに変形する。耳の形に沿って自然にフィットするため、イヤホンを「かけている」というより「沿わせている」感覚に近い。

さらに、肌に触れる部分には「Shokz Ultra-Soft Silicone™ 2.0」が使われている。触った瞬間に分かる柔らかさで、実際に数時間装着していても耳の上部や側面が痛くなりにくい。このあたりは、日常使いを強く意識した設計といえる。

実際に装着して数時間過ごしてみたところ、フックの程よい装着感とUltra-Soft Silicone 2.0の柔らかさのバランスが良く、痛みの原因になる圧迫感はほとんど感じない。重量はかなり軽いが、フックのおかげで耳元に存在感は感じられるため、「軽すぎて落としたことに気づかないかも」という頼りなさを感じることはないはずだ。

軽いランニングやウォーキングでも試したが、フィット感は安定しており、大きくズレることはなかった。IP55の防塵・防水性能も備えているため、汗や多少の雨を気にせず使えるのも日常使いではありがたいポイントだ。

イヤホン外側の物理ボタンは、ポコっとした突起が指先に感じられて位置を把握しやすく、歩行中や作業中でも迷わず操作できる。自然に押しやすい位置にあるため、無理のない動作で押せるのもグッドなポイントだ。

オープンイヤー型という特性上、「常に身につける」時間が長くなりやすいデバイスだが、「OpenFit Pro」はその前提にしっかり応えたデザインに仕上がっている。見た目の上質さと装着時のストレスの少なさ、その両方を高いレベルで両立していると言えるだろう。

収納&充電用のケースは、フックがある関係で一般的なイヤホンよりもわずかにサイズは大きめ。表面はサラサラとした仕上がりで、触り心地は良いが、細かい擦り傷や皮脂などがつきやすそうな印象を受けたので、綺麗に使いたい人は持ち運び時には少し気を使いたいところ。

バッテリー持続時間は、ケース込みで最大50時間。実使用でも安心感があり、数日間は充電を意識せずに使い続けられた。10分の充電で数時間使える急速充電も便利で、出かける前に短時間充電するだけで十分実用に耐える。マルチポイント接続も安定しており、PCでの作業中にスマートフォンの着信へシームレスに切り替わるなど、日常のストレスは少ない。

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「フォーカスモード」の実力は?弱点だった騒音環境をどう克服したのか

「OpenFit Pro」の最大の注目機能は、やはり「フォーカスモード」だろう。冒頭でも一部述べたとおり、オープンイヤー型は耳を塞がない代わりに、周囲の音が完全に入ってきてしまうため、騒がしい環境では音楽に集中しにくいという弱点があった。

Shokzはこれに対し、独自のノイズ抑制・低減技術を用いたことで、周囲が騒がしい環境でも音楽を楽しみつつ、同時に周囲の気配も感じながらリスニングできる新しい体験を実現した。それが「フォーカスモード」だ。

実際に数日間使用してみると、一般的なANC(アクティブノイズキャンセリング)のように完全な静寂を作るというよりは、「音楽の視聴中や作業中に気になるノイズだけを後ろに下げる」感覚に近い。従来までは周囲が騒がしい場合には、音量を上げるかイヤホンを外すかの二択になりがちだったが、本製品はその中間を狙っている。

この挙動は、3マイク構成と耳の形状に合わせて最適化されるアルゴリズムによって実現している。フィードフォワードとフィードバックを組み合わせ、逆位相の音でノイズを打ち消すという仕組み自体はANCに近いが、「耳を塞がない状態で成立させている」のが本製品ならではのユニークな特徴だ。

カフェやオフィスで試すと、エアコンの送風音やPCファンのような定常的なノイズは、一段階遠くに引いたように感じられる。一方で、近くの人の声や呼びかけ、足音といった変化のある音はしっかり残るため、周囲との関係性は保たれる。

実際、音楽の音量を中程度にした状態で作業中に名前を呼ばれても、聞き逃すことはなかった。あくまで現実とつながったまま集中しやすい環境を整える挙動が特徴だ。

ただし、その特性上、すべての環境で同じ効果が得られるわけではない。電車内のように大きな騒音が断続的に発生する場面では、ノイズ低減の効き方は穏やかで、環境音の影響を受けやすい点には留意したい。

もう少し踏み込むと、フォーカスモードは「音を消す」というより「気にならなくする」チューニングに近い。たとえばエアコンや冷蔵庫の唸り音や、遠くのデスクで実施されているオンライン会議の声のような「意識を削ぐ音」が背景に溶けこむことで、結果的にコンテンツや作業に注意を向けやすくなる。強力な遮音とは別のベクトルで、集中を支える仕組みと言える。

デュアルダイアフラムが生む厚みのある音質

音質も従来モデルからしっかり底上げされている。OpenFit Proは、同期型デュアルダイアフラムドライバー「Shokz SuperBoost™」を搭載しており、11×20mmという大型ユニットによって、力強さのあるサウンドを実現している。

実際に聴いてみると、まず印象に残るのは帯域のつながりの良さだ。デュアルダイアフラム構造によって歪みが抑えられていることもあり、低音から高音まで、特定の帯域だけが強調されるような不自然さが少ない。結果として、ボーカルやナレーションは輪郭がはっきりしつつ、長時間聴いても疲れにくいバランスに仕上がっている。

オープンイヤー型は構造上、低域が抜けやすい傾向にあるが、本製品は土台となる低音〜中低音がしっかりと聞こえて音に安定感があるため、屋外でも音の厚みが損なわれにくい。

高音域は過度にシャープにならず、滑らかさを重視したチューニングだ。細かなディテールはしっかり感じられるが、刺さるような刺激は抑えられており、環境音が入り込むオープンイヤーとの相性はバッチリだ。

さらに、Dolby Atmosへの最適化とヘッドトラッキングにも対応している。実際に有効にすると、音が前方や周囲に広がるような感覚が得られる。頭の動きに応じて音の位置が変化するため、映像コンテンツでは臨場感が増し、より没入感のある視聴体験につながる。

音漏れは普段はほとんど気にならないが、オープンイヤー型の特性上、静かな環境で音量を上げると、どうしても「イヤホンで何かを聞いている」程度の音漏れは発生してしまう。周囲に配慮したい場合は、他のイヤホンを使うときの7〜8割程度に音量を抑えるように心がけよう。

オープンイヤーという特性上、周囲の環境の影響は受けるものの、ドライバー性能とチューニングによって「ながら聴き」にとどまらない音質を実現している点は好印象だ。日常使いの中で自然に音を楽しむ、という用途においては、十分に満足度の高い仕上がりといえる。

オープンイヤーの “新基準”。「OpenFit Pro」は音楽も仕事も邪魔しないイヤホンだ

「OpenFit Pro」は、従来のイヤホンの延長で選ぶというより、イヤホンを使う場面そのものを広げてくれるタイプのデバイスだと感じた。

たとえば、オンライン会議の待機中に軽く音楽を流したり、家事をしながらポッドキャストを聞いたり、オフィスで周囲とやり取りしつつ作業に集中したり。これまでならイヤホンを外していたような場面にも、自然と入り込んでくる。

周囲の音を遮らないようにしたいけど、何も聴かないのは物足りない。そんな「ちょうどいい距離感」で音と付き合いたい人にとって、本モデルは使いやすい選択肢になりそうだ。長時間つけっぱなしでも負担が少なく、日常の中に溶け込む感覚は、従来のイヤホンとは少し異なる体験だ。

価格は39,880円と、オープンイヤーとしてはやや高めの部類に入る。ただ、「ながら聴き」にとどまらず、開放感を保ったまま集中できるツールとして捉えると、そのユニークさがより分かりやすい。

すべての人に必要な製品ではないが、この使い方に価値を見いだせるのであれば、選択肢として十分に検討に値する一台といえる。

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イヤホン / ヘッドホンレビュー
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