
KDDIは11月17日、衛星とスマートフォンを直接つなぐ通信サービス「au Starlink Direct」を米国でも展開すると発表した。米T-Mobileとのパートナーシップにより、2025年度中のローミング接続開始を目指す。
同サービスは、米SpaceXの低軌道衛星ネットワーク「Starlink」による通信を、専用アンテナなしでスマートフォンから利用できるというもの。空が開けている場所であれば、従来の携帯網が圏外になる地域でも通信が可能になる。KDDIは2025年4月に国内でサービスを開始しており、11月時点で接続数は約300万件に到達。いよいよ米国でも利用可能にする。
米国の圏外エリアでも「繋がるネットワーク」
今回のT-Mobileとの連携により、「au Starlink Direct」利用者は、T-Mobileが提供する衛星ネットワーク「T-Satellite with STARLINK」にも接続できるようになる。これにより、日本国内に限らず、米国の広大な圏外エリア、たとえばグランドキャニオンやフロリダ州の自然保護区などでも、現地から写真付きの投稿や、家族への位置情報共有が可能になる。
提供される機能は、テキストメッセージの送受信、位置情報共有、緊急地震速報の受信など。さらに一部のデータ通信にも対応しており、「Googleマップ」や「X」など軽量なアプリの利用も想定されている。緊急時の連絡手段が確保される点は、海外渡航者にとって大きな安心材料になるだろう。
サービスの対象者はau契約者が中心だが、UQ mobile、povo、他社ユーザーも「au Starlink Direct専用プラン+」を契約すれば利用可能。ただし、「専用プラン」(無印)のみでは米国ローミングは対象外となる。

「au Starlink Direct」の展開は、KDDIが抱える国内の根深い課題ともつながっている。auの人口カバー率は99.9%に達する一方で、山間部や島しょ部が多い日本では、地形によって電波が届かない「国土カバー」の課題が残る。現状、土地面積で見るとカバー率は約60%に留まっており、残る40%の通信確保は長年の課題だ。
「au Starlink Direct」は、この「40%」を埋める手段として期待されている。地上インフラの整備が難しい山奥や離島での連絡手段の確保、緊急時の通信確保などで、衛星直結の強みは大きい。
(画像:KDDI)




