
KDDIとローソンが、スマートフォンやモバイルバッテリーなどリチウムイオン電池内蔵製品の店頭回収の実証事業を始める。2025年10月15日から、茨城県守谷市内のローソン2店舗に専用ボックスを設置し、使い終わった機器を安全に回収・リサイクルする。
この取り組みは、環境省が進める「リチウム蓄電池等適正処理対策」の一環で、三菱総合研究所が環境省からの事業受託者として事務局の運営を担当し、KDDIは回収した一部スマホのリサイクルを担う。
火災を防ぎ、身近な場所でリサイクル
スマホやモバイルバッテリーに使われるリチウムイオン電池は、小さくても大きな電力をためられる優れた技術だ。しかし、落下や圧力などの衝撃が加わると発火する危険性がある。実際、2020年から2024年の5年間で発生した事故は1,800件を超え、そのうちおよそ85%が火災につながった。ごみ収集車や処理施設で電池が圧縮され、火災を起こすケースも増えており、守谷市でも2024年末に同様の事故が起きている。
こうした問題を背景に、2026年4月から「資源有効利用促進法」の改正が予定され、スマホや加熱式たばこなどが「指定再資源化製品」に追加される見通しだ。メーカーや販売業者には、自主的な回収と再資源化が義務化される。
KDDIとローソンは、この法改正に先がけて実証を行う。ローソン店内には、温度や重量を感知するセンサーを備えた安全設計の回収ボックスを設置。リチウムイオン電池を搭載した機器が誤って一般ごみに出されてしまうことを防ぎながら、レアメタルなど貴重な資源の再利用を進める。
回収期間は、守谷松並庚塚店が10月15日から2026年1月末まで、守谷大柏店が12月中旬から1月末まで。年末年始(12月26日〜1月4日)は回収を休止する。
コンビニが「地域の資源拠点」に
今回の実証では、ローソンが店舗での運用を、KDDIがリサイクル処理を担当。KDDIはこれまで全国のauショップで携帯電話を回収しており、再資源化率は99.8%という高水準を実現している。この経験を生かし、回収した機器を適切に分解・再利用していく。
ローソンは、コンビニを地域社会の中心として活用し、生活の中で自然に環境活動に参加できる仕組みづくりを進めている。買い物ついでに不要なスマホを持ち込めるようにすることで、誰でも気軽にリサイクルに参加できるようになる。
KDDIは「この実証を通じて、地域と連携した資源循環モデルの構築を目指す」とコメントしている。
関連リンク
(画像:KDDI)